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■0278「茶の味」

 爆発的なエネルギーに満ちた「鮫肌男と桃尻女」「PARTY7」を監督した石井克人が、個性的な家族たちの振るまいをゆったりと描く「茶の味」を完成させた。2004年カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品となり、高い評価を得た。確かに奇跡的とも言える独特の雰囲気が作品を包んでいる。言葉にすることの難しい空気感、生存感、宇宙感。石井克人が目指した世界よりも、おそらくはさらに広く深い作品になっていると思う。
 この作品には、中心がない。ひとり一人のたゆたう心と家族のささやかな絆が、特異なギャグや突飛な妄想とともに淡々と映像化される。里山の美しい映像が重なり、縁側や夕焼けのように開かれた空間が広がる。俳優たちが皆さり気なく素晴らしい。我修院達也でさえ、出過ぎていない。浅野忠信の「野グソ・デビュー」の話は絶妙な語り口。中でも6歳の坂野真弥の芸達者ぶりには驚かされた。生きることのとりとめなさ、けだるさ、悲しみ、喜びを表情で使い分け、この作品を輝かせている。手書きアニメに対する熱烈なオマージュが込められていることも忘れずに、書き留めておきたい。

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