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■0275「北の零年」

 明治維新により、故郷を追われ、北海道移住を命じられた淡路・稲田家の武士とその家族の苦闘を描く上映時間168分の大作。吉永小百合111本目の出演作としても話題になった。ストーリーに粗さがあるものの、観終わって、確かな感動が残る。ただし北海道開拓の過酷さをリアルに再現した群像ドラマと呼ぶことには抵抗がある。むしろ気高い女性たちへの賛歌を寓話的に歌い上げていると言った方がいい。脚本は「デビルマン」の那須真知子。今回も、一歩間違えば大駄作になりかねない奇妙な脚本だ。しかし、それを厚みのある映像にした行定勲の力量は、相当なものだ。歴史大作にありがちな、図式的な単純化を避け、錯綜し奥行きのある作品に仕上げた。物語の背景にアイヌ民族の懐の深さ、知恵の深さを感じさせるのも、素晴らしい。
 さすが大女優・吉永小百合には、凛とした存在感がある。顔のアップがなければ年令は気にならない。それにしても渡辺謙が、こんな汚れ役を演じるとは思わなかった。彼が演じたことで、単なる悪役には見えなかった。志乃の娘・多恵の役は、少女時代が大後寿々花、思春期が石原さとみ。二人ともなかなか良い演技を見せた。そして、迫力あるクライマックスでの馬たちの大熱演も書き留めておこう。
 エンドロールには、夕張でのロケを切望していた中田鉄治・前市長の名前が流れ、別の深い感慨にも包まれた。エンドロール全体に、ロケ地で協力してくれた人たちへの感謝の思いがあふれていた。

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