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■0273「アレクセイと泉」

 本橋成一監督作品。第52回ベルリン国際映画祭のベルリナー新聞賞を受賞した。チェルノブイリ原発事故で被爆したブジシチェ村。大地は放射能に汚染され600人いた村民たちは移住勧告に従って村を出た。しかし、55人の老人と青年のアレクセイ1人は、村でそのまま暮らし続ける道を選んだ。この村の中心に位置する泉の水からは、まったく放射能が検出されない。こう書くと、深刻な社会告発作品と思われるだろうが、映画はタルコフスキーの映画を彷佛とさせる美しい自然風景に満ちあふれ、家畜たちと共存したのどかな自給自足の生活が、淡々と描かれていく。ユーモアと愛おしさが全編を包み込んでいる。
 チェルノブイリ原発事故の悲劇と村の生活を支配するのどかさ。このあまりにも大きい落差に打ちのめされ、原発事故が何というおぞましいものであるかをあらためて認識せられた。この物語のストーリーは、ほとんど寓話の高みにあるが、すべて実話だというのが奇跡的。アレクセイ青年の静かだが、含蓄に満ちた言葉が、耳に残る。一之瀬正史の撮影、坂本龍一の作曲も、素晴らしい。

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