■千夜千幕0003「エレンディラ」
1983年作品。独=仏=メキシコ映画。ルイ・グエッラ監督。原作・脚本は、ガブリエル・ガルシア・マルケス。原作のタイトルは「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」。マルケスは最初から映画化を想定して小説を書いている。映画を観て、ラテン文学の魔術的リアリズムとは、こういう世界かと、目を見張った。グロテスクで幻想的だが、西洋的なシュールレアリズムとは違う。大地に根ざした神話的な空間が開く。寺山修司が熱烈に映画化を望んだ気持ちが分かる。
祖母と二人で暮らす14歳の少女エレンディラは、ある日うたた寝をして火事をだす。灰にしてしまった祖母の全財産を償うため、売春婦として砂漠を放浪することになる。この鬼のような祖母を、イレーネ・パパスが文字通り怪演。毒入りの誕生祝いのケーキを大量に食べるシーンは鬼気迫るものがあった。一方、少女エレンディラをクラウディア・オハナが演じている。毎日毎日、通りがかりの密輸業者らを相手にしながら、いたいけで可愛らしい。そして、エレンディラは旅の途中でユリシスという少年と出会い、意外なしたたかさをみせる。夢のようなラストシーン。濃厚な大地と人間のドラマに咲く、クラウディア・オハナの可憐な美しさが、強烈な印象を残した。
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