2011.11.09

札幌国際短編映画祭 SAPPOROショートフェスト2011報告

札幌国際短編映画祭 SAPPOROショートフェスト2011報告

★インターナショナル部門
★I―Aプログラム=なかなか粒ぞろいでしたが、「アー・ユー・リービング?」のスタイリッシュさが印象的でした。「ジョゼフィーヌという名前の女の子」は、「アメリ」を連想させる可愛いフランス映画です。

★I―Bプログラム=さまざまな人間模様を描いています。韓国の学生作品「ブロークン・ナイト」は、よくできた脚本で結構怖かったです。みごと、最優秀監督賞と作品部門のグランプリを獲得しました。「エッセンス」はもう少しで傑作になったのに残念でした。実写よりもアニメ「ラ・デタント」のスピード感が心地よかったです。

★I―Cプログラム=「シュガー」のスピーディでブラックなユーモアに笑って、アニメ「パス・オブ・ヘイト」のめくるめく映像表現に痺れるました。そしてSF「惑星アルファ46」の不思議なリアル感と皮肉なユーモアにニヤリとしました。映画監督の苦悩を描いた「カタルシス」は、映像は面白いのですが、結末がありきたりでした。

★I―Dプログラム=結構重い作品が多かったです。しかも、結末が予想通りの作品ばかりでした。その中でディビッド・オレイリー監督の過激な実験CGアニメ「エクスターナル・ワールド」の、突き抜けた表現が独創的でした。

★I―Eプログラム=重力以上の世界を描いたアニメ「ルビカ」の小気味良い表現が好きです。鳥たちの糞を肥料として利用するために働くペルーの男たちを描いた「グアナペ・サー島の男達」は、見事なドキュメンタリーでした。

★I―Fプログラム=「重力と僕」は、他の人たちと違う方向に重力が働く男を描いています。こちらの重力以上。細野晴臣(はるおみ)審査委員が、授賞式のスピーチで、何かの予兆かと心配していましたけれど。なかなか粋な展開です。エンドロールが右から流れてきて笑いました。「テロの時代」は、アイデアは面白いですが笑えませんでした。


★ナショナルプログラム
★N―Aプログラム=まず、アニメ「レインタウン」の端正な絵が印象に残りました。「ナリタ・フィールド・トリップ」は、三里塚問題を取り上げた作品。 三里塚映画 に出会えるとは思いませんでした。学校のいじめを鋭く描いた「フォーギブ」は、全作品の中で一番心に刺さりました。私的には、この作品がグランプリです。
「美雪の風鈴」は、不発弾が登場するストーリー展開がやや作為過ぎでした。

★N―Bプログラム=心理実験「スクリプト」は、本当に見事な脚本です。幻想的なアニメ「土踏まずは夏を知らない」は、未完成ながら将来の可能性を感じさせました。


★フイルムメーカー部門
★F―Aプログラム=ハロルド・チャップマン監督に出会えて幸せでした。センスが合いました。スタイリッシュで幅のある映像表現は、魅力的でした。

 平林勇(ひらばやし・いさむ)監督の「ヘルムート」は再会ですが、やはり面白いです。急遽上映が決まった「663114」は、福島原発事故の影響を蝉の立場で描いた佳作です。題名は「戦後 66 年の 3 月 11 日に起こった4基の原子力発電の事故」を意味しています。
 ことしも札幌に来られた岩井俊二(いわい・しゅんじ)監督も、震災と福島原発事故のドキュメンタリー作品「friends after 3.11」を公開していますね。

★F―Bプログラム=和田淳(わだ・あつし)監督の不条理アニメ。不思議な世界に引き込まれ、思わず笑ってしまいます。「そういう眼鏡」「春のしくみ」が好きです。和田監督の作品は、続けて観ると面白さが増していきますね。
 ダスティン・フェネリ監督の作品は、不思議なな味わいとふくらみを持っています。結末の分かってしまう「Snow」よりも「エスキモー・キス」が好きです。フェネリ監督が、フイルムメーカー部門のグランプリを獲得しました。

★北海道セレクション=道内作品ですが、ほかのプログラムと比べても、遜色のない力作ぞろいでした。片岡翔監督「ゆきだるまとチョコレート」の柔らかな子供目線と演出力、島田英二監督「零下15度の手紙」の編集力と映像のリリシズムは、さすがです。

★キッズアニメーション=毎回、質の高いアニメがそろっています。こどもだけでなく、大人も十分に楽しめます。フンコロガシとハエのバトルを描いた「プネェテラとペロテロ」が痛快でした。そのほか、「アレキサンダー」の糸の質感、「へザルフェン」のスピード感が、良かったです。

★アジアンタイフーンプログラム=ことしは韓国特集。ミン・ヨングン監督「a Fever」の映画的な展開のうまさに、舌をまきました。軍隊のブラスバンドをコミカルに描いた「ブラスクインテット」も力作でした。韓国映画、勢いがありますね。


★アイルランドショート=本当に多彩でした。ケン・ワードロップ監督の温かさに癒され、シリアスな戦争映画「クロッシング・サルウィン」にふるえ、インド映画のパロディ「ムーア・ストリート・マサラ」に笑いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.03

■札幌国際短編映画祭2010(10月6-11日)報告

 ノミネート82作品を含め、98作品を観ることができました。今年も、短編映画の魅力に溺れました。
 ことしのSAPPOROショートフェストは、メイン会場を大通公園にホワイトロックシアターを特設して行いました。閉鎖空間の劇場とは環境が違います。最初は、戸惑った参加者も多かったと思います。野外コンサートのように楽しめるようになると魅力に気をつきました。シアターは、白いテントで覆った空間です。お昼に日が射せば暑くなり、夜は寒くなります。救急車のサイレンなども聞こえます。半野外だから仕方ありません。そういう開放的な空間で、映画の別な楽しみ方を試みたのが、今年のSAPPOROショートフェストでした。まさに冒険でした。シアターの中には、樹々があります。そして、白いテントは風に揺れ、周りの樹々の姿を映します。ときおり鳥たちの影が横切ります。そういう環境の中で、映像を楽しむ。それが、映画祭というイベントでの新しい提案だったと思います。私は、慣れると楽しくなりました。

 映画祭初の特別招待作品の「A bed 二十歳の恋」は、題名から想像するような甘酸っぱい内容ではありません。結構重いです。しっかりとした脚本、計算された映像が印象的。初の招待作品だけのことはあります。出演した真野恵里菜さんは、少し緊張した表情で「皆さんの心の中に残れば」と挨拶していました。

 ことしも楽しいアニメがたくさんありましたが、 16分の映画に6年間の月日を費やしたフランスの作品「ロゴラマ」が傑出していました。おびただしいロゴで埋め尽くされた作品です。最優秀アニメーション賞を受賞しました。 人形のブルース・リーが活躍する「燃えよ!プチドラゴン」も痛快でした。最優秀ミニショート賞でした。映像的には、奇抜なアイデアに満ちた粘着質なチェコのCGアニメ「マーダーチェーン」の圧倒的な不気味さが、他の作品を吹き飛ばしました。あまりにも衝撃的な映像。本当に不気味で、一生夢に出て来そうです。
 初の大人向けのミッドナイトプログラムの濃厚な世界を堪能しました。女性の方が多かったかもしれません。フィンランドの作品「KINBAKU」は勉強になりました。一方、キッズアニメーションでは、子供たちと一緒にアニメを楽しみました。普段観ているアニメとは違うので最初戸惑っていましたが、面白さが分かって来ると、拍手も大きくなりました。こういう多彩なアニメを見る機会は、とても大切ですね。
 ことし一番の収穫は岩井俊二監督の特別プログラムでした。作品もトークも、素晴らしく面白かったです。大満足です。あんなに気さくな人だとは思いませんでした。岩井監督の「夏至物語」「マリア」。どちらも20代のテレビ用の低予算作品ですが、切れのある映像が大画面に映えていました。若い時から、しっかりと独自の世界を築いていました。

★作品部門グランプリ
 作品部門のグランプリは、ディーン・ヤマダ監督の日本作品「自転車」でした。 自転車のパーツが次々に盗まれることから始まる物語。 NーBプログラムを見ていて、すごい掘り出し物だとは思いましたが、まさかグランプリを獲得するとは思いませんでした。しかし、不思議な面白さに満ちた、気持ちのよい作品です。最優秀撮影賞 、 最優秀男優賞、最優秀作曲賞も受賞しています。
 私がグランプリだと思ったのは、IーBプログラムのフランス作品「ある脚本家の災難」です。見終わって、力一杯拍手しました。映画の中で、映画の脚本をテーマにするという、とても難しいストーリーを、見事に描き、深い感動を与えます。エリック・レイノー監督の力量は、相当なものです。最優秀監督賞 、最優秀脚本賞の受賞は当然だと思います。
 落合賢 監督の「井の中の蛙」は、最初はもたついていたものの、後半にかけて見事なテンポを見せます。そして、母の遺言を守るため日本縦断の旅をしている主人公の行動の意味が解き明かされていきます。最優秀編集賞を受賞しました。また、「ゲルニカ 」「Mr.バブルガム」と、ともに死をテーマにしながら、対照的な、まったく異なるテイストの作品に仕上げた片岡翔監督の多彩な才能に期待します。

★フイルムメーカー部門グランプリ
 7人の監督がノミネートされました。3つのプログラムで紹介。
 F-Aプログラム。フランスのフランソワ・ボゲル監督の独創性に驚きました。上映作品「天井仕事」は観た覚えがありました。onedotzero2003札幌で上映されていました。今見ても、ハイセンスで新しい。「Stretching」もすごい映像体験です。ロイストン・タン監督、メンゼン監督も多くの表現の引き出しを持っています。
 F-Bプログラム。カナダのカジック・ラドワンスキ監督はドキュメントの一場面のよう。レヴァンドフスキ監督は、独自の色調が強烈でした。

 F-Cプログラム。ベルギーのトム・ギーンズ監督は全く救いのない展開。不条理ですが、デビッド・リンチとは違う感性です。石川慶監督は、ポーランド国立映画大学で学んだだけに、日本映画とはちょっと違う湿度です。「ディア・ワールド」は、タルコフスキー思い出しました。
 フイルムメーカー部門グランプリのカジック・ラドワンスキ監督は、確かに力のある映像でした。ドキュメンタリーのように登場人物と向き合い、観客が自分で考えることを促します。しかし、あの映像では、思考は紋切り型に流されるのではないかと思いました。個人的にはフランソワ・ボゲル監督を推薦します。映像表現の可能性の空間を押し拡げ、確実に豊かにしてくれています。「ストレッチング」は、最優秀コンテンポラリー 、エクスぺリメンタルショート賞を受賞しましたが、他の作品も、とても刺激的でした。

 会場で配布していたフリーペーパー「マグネット」のインタビューで岩井監督が「札幌が一年中ショートフィルムが上映されてる街になればいいね」と話していました。私もそう思います。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2009.10.21

■SAPPORO ショートフェスト2009プレミアムショート

 SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)プレミアムショートは本当に豪華だ。2008年度フィルムメーカー部門グランプリ受賞のケン・ワードロップ監督作品。古田亘(わたる)監督の「彼女の告白」。森本晃司監督のアニメ「次元爆弾」、
マイケル・アリアス監督の「HOPE」など。なかでも、「彼女の告白」には、大笑いした。卓越したストーリーテラーだと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.10.20

■SAPPORO ショートフェスト2009カリフォルニアショート

SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)カリフォルニアショート。姉妹映画祭カリフォルニア・インディペンデント・フィルム・フェスティバル(CIFF)2009からセレクト。BECKの妹アリッサ・スウェード出演のミュージックビデオ「Falling From Mars」、米国TVドラマ「HEROES」のアンドウ君役ジェームズ・キーソン・リー主演の「Akira's Hip hop shop」など9作品を上映。「Akira's Hip hop shop」では、片言の日本語を話す日本人役の俳優が笑えた。わざとセレクトしたのだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

■SAPPORO ショートフェスト2009 文化庁メディア芸術祭

SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)文化庁メディア芸術祭プログラム。2008年度の第12回文化庁メディア芸術祭優秀作品エンターテインメント部門4作品とアニメーション部門8作品の計12作品を上映した。第81回米国アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した加藤久仁生監督の「つみきのいえ」を劇場の大きなスクリーンで観ることができた。DVDでの鑑賞とは、やはりインパクトが違う。地球温暖化による海面上昇を心温まるメルヘンにしてしまう魔術に酔った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■SAPPORO ショートフェスト2009 F-C

 SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)フィルムメーカーC。神風動画の若々しいアニメに力があった。アイルランド出身のテリー・オリアリー監督、ロシアのナタリー・クジミナ監督も個性的な作家性を感じさせる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■SAPPORO ショートフェスト2009 チルドレン

 SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)チルドレンショートプログラム。今年は、すべてアニメ。子供向けと侮れない佳作ぞろい。「まいごのペンギン」(フィリップ・ハント監督、イギリス)は、ていねいな作りで情感を盛り上げる。海のCGも見事。ベルギー人アニメーター・セバスチャン・ゴダールと大阪の子供たちが創り上げたユニークな「うみといのち(うらしまたろうものがたり)」 も面白い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■SAPPORO ショートフェスト2009 N-B

 SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)N-Bでは、まず「28」(片岡翔監督、札幌)にやられた。エコロジカル・ホラー・コメディという新しいジャンルを切り開いたわけではなく、1発芸的なのだが、それでも「やられた」感は強い。「KUDAN」(木村卓監督)は、ユニークな世界観を独自のキャラクターで描いたアニメ。労作だ。宇木敦哉監督が1人で製作し、一般の映画館で劇場公開された「センコロール」も力作。札幌で怪獣が暴れまわる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■SAPPORO ショートフェスト2009 N-A

 SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)N-Aでは、「赤い森の歌」(泉原昭人監督)の独自な世界を描ききったアニメが印象的。精緻な映像に引き込まれた。筧昌也(かけひ・まさや)監督の「愛の小手指」は、指たちの恋の行方を描いたコメディ。単純だが笑える。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■SAPPORO ショートフェスト2009 I-F

 SAPPORO ショートフェスト2009(第4回札幌国際短編映画祭)インターナショナル I-F(驚き。)は、お気に入りのプログラム。「編集者ミナミケイジ」(ティアゴ・メンドンカ監督、ブラジル)が勉強になった。1970年代のブラジル、サンパウロで起きた「ボカ・フィルム・ムーブメント」を支えた雑誌「Cinema in Close-up」の発行・編集者ミナミケイジを描いている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧