2007.02.15

■松梨智子監督「映画監督になる方法」を体験する

 情けなくなるような貧相でお馬鹿な展開が続く。へたくそな歌を歌う「いちごちゃん」役の町田マリーは、かわいいものの、その他は、お世辞にも魅力的とはいえない。たぶん低予算を逆手に取って意図的にチープさを演出しているのだろうと納得し始める。しかし、映画は驚がくの展開を見せ、皮肉な結末を迎える。作品として、うならせるものがある。その力わざとアイデアは、やはり才能と呼ぶべきものだ。久しぶりの体験。

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2007.01.18

■映画「オーメン666」

 昨年公開の映画「オーメン666」を、レンタルDVDで観た。オープニングタイトルはなかなか期待させたが、2006年6月6日公開に合わせた、いかにも急ごしらえな展開が続く。そして最後はブッシュ批判。気持は分かるが。

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2006.12.03

■DVD「フキコシ・ソロ・アクト・ライブ 2005」に笑った、うなった

 俳優・吹越満が1990年以来続けている一人舞台「フキコシ・ソロ・アクト・ライブ」が、初めてDVDになった。映像とのコラボレーションに力点を置いた2005年の舞台「mr.モーション・ピクチャー」。舞台を収録しただけでなく、DVDのために取りおろしたパートを交えて再構成している。
 とにかく面白い。独創的なアイデアを的確に演じる卓越した力量。それがあって、初めて実現する高度な舞台だ。擬音をパントマイムで表現したり、目線カメラ映像を使ったシュールなネタも楽しめたが、なんと言っても、有名な映画と同じ題で公開されていない作品を紹介する「TITLES」には、笑い転げた。幅の広い演技力なくしては、開くことのできない新しい笑いの地平があった。
  ことしの「フキコシ・ソロ・アクト・ライブXVI I I」も、すごく面白かったらしい。見た人が、うらやましい。

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2006.11.26

■「三月のライオン」の独創的な空気と構図

  「ストロベリーショートケイクス」が注目を集める矢崎仁司 監督の1991年作品「三月のライオン」をDVDで観た。1992年にルイス・ブニュエル「黄金時代」賞を受賞している。その独創的な空気感と、天才的な構図に魅せられた。主演は「ガキ帝国」でデビューした趙方豪(ちょう・ばんほう)。 妹を愛してしまう記憶喪失の兄を演じているが、独特な透明感が、夢のような雰囲気を醸し出している。1997年12月9日に悪性胸腺腫のため、41歳という若さで亡くなった。妹役の由良宜子(ゆら・のぶこ)も、ふわふわしていて可愛い。
 映画評論家トニー・レインズに「ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』以来の、近親相姦を描いた秀作」と言わしめた。

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2006.09.02

■「インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜」

 三池崇史監督の「インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜」を、レンタルDVDで観た。今年2月の「ゆうばり国際映画祭」で、残念ながら観ることのできなかった作品(観た人たちは、みな興奮していた)。
 岩井志麻子の原作は、岡山弁訛りが効果的に使われていたが、この作品はアメリカ向けに製作されたので、全編英語。不思議な感じ。ただ、原作の持ち味は生かしている。
 主演の工藤夕貴の熱演は評価するが、特筆すべきは、延々と続く拷問シーン。嬉々として爪の間に針を刺し続ける岩井志麻子が、一番怖かった。

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2006.06.06

■レンタルDVDで「ヘヴン」を観た

 レンタルDVDで「ヘヴン」を観た。クシシュトフ・キエシロフスキー監督の遺稿脚本を「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督が映画化した。純粋でありながら毒に満ちた男女の愛の童話。ケイト・ブランシェットとジョヴァンニ・リビシが共演している。過酷なストーリーだが、映像は禁欲的で寡黙だ。静けさの中に濃厚な感情が写し出される。
 教師のフィリッパは高層ビルに忍び込み時限爆弾を仕掛ける。彼女の夫を死に至らしめ、大切な教え子たちを次々に不幸へと導いた麻薬密売人を殺すために。フィリッパは何年間も男を憲兵隊に告発したが黙殺され、教え子の自殺を機に自ら行動に出た。しかし麻薬密売人は死を免れ罪のない4人が犠牲になる。エレベーターの中での爆発のシーンの異様な迫力、そしてフィリッパの故郷の風景の、この世のものとは思えない美しさが鮮烈。ラストは、本当に言葉を失う名シーン。

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2005.10.14

■「オッパイ星人」くだらなすぎ!!

 題名につられてDVD借りた私が悪いのですが、「オッパイ星人」(鈴木浩介監督、50分)は、あまりにもくだらなすぎ。だいたい、あの4星人は、地球制服にきたはずなのに、四畳半部屋から出ないで、あほなことばかり話している。動きがないばかりか、話しも面白くない。おまけにCGが幼稚すぎる。短いコントが続いて、少し面白くなってくるかなというところで終わってしまう。なんだこれ。どこが「オッパイ星人」??。チャプターみると、第9話が欠番になっているのも謎だ。

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2005.09.05

■ラテンアニメ「火星人メルカーノ」!!

 アルゼンチンで製作されたインディペンデントアニメ「火星人メルカーノ」(2002年、75分、フアン・アンティン、アジャール・ベラスコ監督)を観た。アルゼンチンの抱える貧富の格差、失業問題、犯罪、暴力などの社会問題を浮き彫りにしつつも、重くならず笑い飛ばしている。さすがはラテンアニメ。鮮やかな色彩が新鮮だ。線画とCGの組み合わせもなかなか。
 ただし、火星人も地球と同じ仕組みのパソコンを使っているというのが、アメリカ的な発想で、残念だった。ペットの火星犬を地球から来た火星探査機によって殺されてしまい、その復讐のために地球に来たのだから、反地球・反アメリカを貫いてもらいたかった。

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2005.08.09

■「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」

 「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ケリー・コンラン監督・脚本)は、この世界とは似ているけれど、少しだけ違うもうひとつの世界の1939年のニューヨークから物語が始まる。ストーリーは、懐かしいほど平凡だが、アクションは楽しめる。何よりもCGを使いながらセピアがかった映像の質感を楽しむタイプの作品。空軍パイロットのスカイキャプテン(ジュード・ロウ)と新聞記者のポリー(グウィネス・パルトロウ)に空に浮かぶ要塞の女艦長(アンジェリーナ・ジョリー)が絡む3角関係が、コミカルに描かれる。それぞれにかっこいい。手に汗握る波瀾万丈の展開の後、カメラネタのウエットに富んだ絶妙なオチに笑った。こういう味はなかなか出せない。好きだ。気に入った。

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2005.03.21

■「妄想代理人」第13話「最終回。」!

 脚本=水上清資、演出=遠藤卓司、コンテ=今敏、作画監督=鈴木美千代、美術監督=池信孝。「記号の町」の見事さに感心する。そして現実の都市は徹底的に破壊される。すさまじい展開。ここまで破壊的な広がりを見せるとは。少女の心の闇から始まった、ねじれにねじれた壮大な物語は、ここに終わる。ラストシーンの余韻がいい。それにしても「居場所がない、この現実こそが、俺の居場所だ」という猪狩の言葉は、限りなく重い。

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