■ヒロシマ原爆記念日
今日は、ヒロシマ原爆記念日。あらためて原爆投下、戦争について考える日です。
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私がパーソナリティーを務める、21日午後11時からの札幌の地域FM三角山放送局の「トウキョウトラッシュ」1時間は、映画評を中心にした番組。「死に花」「ドーン・オブ・ザ・デッド」「アタック・ナンバーハーフ2 全員集合!」「ぼくは怖くない」「キル・ビル Vol.2」「パッション」「コールドマウンテン」「CASSHERN」を紹介する予定。また、GWに訪ねた尾道と広島の報告もお届けする。
三角山放送局のホームページで、ライブ放送を聞くことができる。
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尾道から帰って5日。旅の思い出を反すうしている。尾道は、歴史が積み重なる坂の多い石畳の迷路だ。たくさんの発見がある。小津監督の「東京物語」のロケ地・浄土寺からの眺めは、驚くほど映画の中と同じだった。大林監督作品のロケ地を探す旅は、いつしか時間が凝縮した尾道という街と触れあう旅になった。映画の中の尾道ではなく、尾道が好きになった。
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広島県立美術館に足を延ばした。所蔵作品展と企画展を観る。道立近代美術館に比べ、かなり広く、ゆったりとしている。縮景園に隣接し、名園を眺めながら名画を楽しむぜいたくな位置にある。
所蔵作品展のひとつ「1920-30年代の美術1」。会場に足を踏み入れて驚愕する。なんとマックス・エルンストのブロンズ作品オイディプスが出迎えてくれた。そして中央には、サルバドール・ダリの大作「ヴィーナスの夢」が展示されている。猛烈に感激した。
ルネ・マグリットの「人間嫌いたち」も、めったに観ることのできない作品だ。フランシス・ピカビア、イサム・ノグチ、ベン・シャーン、エル・リシツキー、ヘンリー・ムーアの作品にも出会えた。
企画展は「日本のおしゃれ展」。きものを中心とした池田重子コレクションが西日本初公開。一口にきものといっても、本当に多彩だ。高度な技術にも感心する。昭和よりも大正の着物の方に高いセンスを感じた。
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「水をください」という断末魔の被爆者たちの叫びが、今も広島を覆っている。だから、至る所に水があふれている。悲しみを含んだ水は、空に上り、きらめきながら私の心にも流れ込む。
広島に花々が集まる。広島は花に満ち花に輝く。平和記念公園に供えられた献花だけでなく、街のいたるところに花が供えられている。広島ほど、花々の美しさに打ちのめされる街はない。
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広島の被爆を語るとき、あるいは平和式典で、何度もテレビに写し出された原爆ドーム。1996年には、平和のシンボルとして世界遺産に登録された。原爆投下の真下にあった広島産業奨励館が倒壊しなかったのは、建物の構造の特殊性による。4000度の高熱がモルタルを溶かしレンガが一気に崩落。真上からの爆風は鉄骨だけになったドームを吹きぬけていった。しかし、その偶然は、必然であったように思える。
何度も映像で見てきた原爆ドームだが、近くで見ると、その存在感に圧倒される。人類に対する警鐘を鳴らし続けている。今は、むき出しの鉄骨や瓦礫が、絶え間なく叫び声をあげている。
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広島平和記念資料館に入る。「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役で注目されたヴィゴ・モーテンセンも、来日した際、息子とともに資料館を訪れたらしい。館内は、さまざまな国の人たちであふれていた。
西館の資料は、時間が経っているにも関わらず、生々しさを失っていない。時間が停まっているかのように。資料館では「触らないで下さい」という注意書きを目にすることが多い。しかし、ここでは「さわってください」という説明が目立つ。溶けたガラス瓶や瓦をおそるおそる撫でる。
資料を見て、衝撃を受けた人たちが、呆然として椅子に座り込んでいる。おびただしい椅子の数。多くの人が、遠くを見つめ、あるいは目を閉じて座っている。私も気持ちを落ち着かせるために椅子に座り、目を閉じた。
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10年来の懸案だった、広島・尾道の旅から帰ってきた。
あまりにも、多くのことを感じてきたので、少しずつブログで報告していきたい。
広島には、深い悲しみと平和への祈りが凝縮していた。
尾道には、映画と文学と宗教の営みが凝縮していた。
歴史は流れていくのではなく、積み重なっていると実感した。
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広島から新幹線で、尾道に到着。おのみち映画資料館に来た。感無量。小津安二郎、新藤兼人、大林宣彦監督らの資料が集められている。懐かしい撮影機材も並んでいる。資料館としては大きくないが、映画への愛に満ちたスペース。訪れた人たちは、私を含めて皆幸せな表情をしている。
尾道といえば、尾道ラーメン。朱華園、つたふじといった有名店は、開店前から100人以上が並んでいる。私は、あきらめて並んでいる人が少ないお店に。尾道ラーメン初体験。なかなか美味。値段は450円。平麺と豚背脂が特徴といわれるが、お店によってさまざまな味なのだろう。一杯のラーメンで、論じることができないのは札幌ラーメンと同じ。機会があれば、いろいろ食べ歩きたい。
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広島市の元安川を見つめる。被爆後、多くの人々が死んだ元安川は、深い緑色に歴史を溶かし、周囲の景色を静かに写す。
原民喜の詩碑は、原爆ドームの近くに、ひっそりと建っていた。多くの人が行き来するが、小さく目立たないのでだれも気づかない。原爆ドームの方を向いているので、観光客が記念写真を撮るための台座に使われている。そのひそやかな詩碑は、いかにも原民喜らしいと思った。慎ましく、原爆ドームを間近に見つめ続けている。
碑銘には、彼の絶筆「遠き日の石に刻み/砂影おち/崩れ墜つ/天地のまなか/一輪の花の幻」が刻まれている。詩碑は、当初1951年11月に彼の友人たちが広島城跡に建てた。しかし、石投げの標的にされて表面の陶板が破損、裏面の銅板も盗まれたため、この地に移転された。
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