2007.11.21

■人の皮膚から「万能細胞」


 京都大物質-細胞統合システム拠点の山中伸弥教授らの研究グループが、体細胞を遺伝子操作してさまざまな細胞になる能力を持たせた多能性幹細胞「iPS細胞」を、人の細胞で作ることに成功し、米科学誌「セル」電子版で20日発表した。
 患者自身の細胞を用いた脊髄(せきずい)損傷などの細胞移植治療の実現に向け、大きな一歩となる成果。同日、米国の別の研究グループも米科学誌サイエンスでヒトiPS細胞の作成を報告、研究競争のさらなる激化は必至だ。
 山中教授は昨年、世界で初めてマウスでiPS細胞の作成に成功した。今回、マウスで用いたのと同種の4つの遺伝子をヒトの皮膚の繊維芽細胞にウイルスを使って導入したところ、さまざまな細胞に分化可能なES(胚(はい)性幹)細胞と、形態や増殖能、遺伝子発現パターンそれぞれで極めてよく似たヒトiPS細胞の作成に成功した。この細胞を培養すると、神経や筋肉組織などのほか、鼓動する心筋細胞や、腸管様組織になった。
 作成に受精卵を用いるES細胞と比べ、iPS細胞は自分の体細胞から作ることができ、倫理的問題や他人の細胞で起きる拒絶反応も少ないことから、再生医療への応用が期待されている。脊髄損傷や心不全、糖尿病などの治療のほか、病因の解明や新薬開発のための実験用細胞としても期待を集めている。
 山中教授は「今回の報告で、さらに研究のスピードが上がるだろう。ウイルスを使わない作成手法や、ES細胞との比較研究を進め、ES細胞に代わることのできるiPS細胞を作りたい」と話している。

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2007.11.06

■ピンポイントで「ワクチン」=注射いらず

 東京大医科学研究所の清野宏教授らの研究チームは、腸などの粘膜に存在する免疫細胞にピンポイントで抗原を送り届ける分子を発見し、5日付の米医学誌に発表した。エイズウイルス(HIV)やインフルエンザウイルスなど粘膜を通じて感染する病気に対し、注射を使わず、経口薬で予防できるワクチンの開発につながる技術だという。  研究チームは、腸や呼吸器の粘膜に点在し、異物を認識して免疫機能を働かせる「M細胞」に着目。ラットを使い、この細胞だけに結び付く分子「NKM16-2-4」を発見、精製した。 この分子に破傷風菌の毒素をもとにした抗原を結び付けてマウスに投与したところ、粘膜での感染を防ぐ免疫と血液中の免疫の双方が活性化した。さらに、ボツリヌス菌毒素をマウスに投与した後、致死量の1万倍の同毒素を腹腔(ふくこう)内に入れたところ、何もしないマウスがすぐに死んだのに対し、この分子を投与したマウスはすべて生き残った。

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2007.11.04

■「がんワクチン」実用化へ前進

 国立がんセンター中央病院(東京都中央区)が、治療の難しいすい臓がん、胆道がん患者を対象に「がんワクチン」の臨床試験に着手する。
 自らの免疫機能を高め、がん細胞を退治するがんワクチンは、副作用の少ない第4の治療法として国内の大学で臨床試験が行われているが、実用化は足踏みしている。がん治療・研究の拠点である同センターが臨床試験に乗り出すことで、実用化に向けて前進すると期待される。
 臨床試験は、病状が進行し、手術が適さないすい臓、胆道のがん患者十数人を予定。どちらも早期発見が難しいがんだ。
 ワクチンには、正常細胞にはなく、がん細胞の表面にある「WT1」というたんぱくのかけら(ペプチド)を利用。体内に入ると、がん細胞だけを直接攻撃する免疫細胞(キラーT細胞)を増やす作用がある。年内にも臨床試験を始める予定で、2週に1回ずつ2か月間、両肩や腹部など6か所に注射。抗がん剤も投与する。

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2007.11.02

■6時間疾走の「スーパーマウス」遺伝子組み換えで誕生

 毎分20メートルの速度で5~6キロの距離を最大6時間にわたって連続疾走できる驚異的な体力のマウスが遺伝子組み換えで誕生したと、米オハイオ州ケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究チームが発表した。 同大学のリチャード・ハンソン教授の報告によると、この「スーパーマウス」は既に500匹近く生まれている。エネルギー源に主に脂肪酸を使うが、疲労物質とされる乳酸の発生が極めて少ない特性があり、同教授は「人間に例えれば、自転車ロードレースの元王者ランス・アームストロングに匹敵する」と話している。  スーパーマウスは普通のマウスの1.6倍のエサを食べるものの、新陳代謝が活発なため体形はスリムで、寿命も長い。普通のマウスは1歳が繁殖の限界とされているが、スーパーマウスには2.5歳という高齢で子を産むメスもいる。 同教授らは、1955年に発見されたPEPCK-Cと呼ばれる酵素の代謝・生理機能の研究を進める過程で、同酵素に絡む特殊な遺伝子を持つマウスの存在を突き止め、その6つの血統から遺伝子操作によってスーパーマウスをつくり出した。

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2007.10.17

■ニンニク作用を詳細に解明

 ニンニクに高血圧などの循環器疾患の予防・治療効果があるのは、硫化物成分が赤血球で硫化水素に変わり、血管を構成する平滑筋が弛緩(しかん)して血流が良くなるためと考えられることが分かった。米アラバマ大の研究チームが16日までに実験で詳細な作用メカニズムを解明した。論文は米科学アカデミー紀要の電子版に掲載される。
 心臓などの血管で硫化水素を効率よく生じさせることができれば、循環器疾患の新たな治療法になると期待される。また、硫化水素を生じさせる量を基準として、ニンニク成分のサプリメント(栄養補助食品)の効能を標準化できるという。 

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2007.07.05

■おなかの脂肪を注射で減らせるかも

 ストレスが引き金でおなかが太り、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)になるのは、脳で食欲をつかさどる視床下部の働きよりも、脂肪組織で交感神経から分泌される神経伝達物質「神経ペプチドY」(NPY)が増える局所的な影響が強い可能性があることが分かった。米ジョージタウン大医療センターなどの研究チームが5日までに、マウスの実験成果を米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。
 研究チームは、脂肪細胞でNPYを受け取る受容体たんぱく質の一つ「NPY2R」の働きを薬物注射で抑えると、肥満や同症候群を防げることを発見。新たな肥満治療薬を開発できる可能性があるという。 研究チームは、マウスを毎日1時間ずつ氷水に入れたり、同10分間ずつ攻撃的な仲間がいるかごに入れたりする実験を長期間続けた。この際、通常の餌を与えていると目立った変化はないが、脂肪分と糖分が多い餌の場合、腹の脂肪組織で、NPYとNPY2Rを生み出す遺伝子の働きが強まった結果、脂肪細胞が増殖して太った上、メタボリック症候群に似た状態になった。
 しかし、腹の脂肪組織に特定の薬物を注射し、NPY2Rの働きを抑えると、肥満などを防ぐことができた。 NPYはこれまで、脳の視床下部での働きが注目され、同部での働きを抑える肥満治療薬の研究も進んでいる。

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2007.06.20

■新遺伝子「時計じかけのオレンジ」

 理化学研究所は6月19日、ショウジョウバエの体内時計で重要な役割を持つ新遺伝子を発見し、「時計じかけのオレンジ」と名付けたと発表した。似た遺伝子を持つ人間の体内時計の解明につながると期待している。
 体内時計は睡眠などの生理機能に影響を与える体内の仕組みで、複雑な遺伝子ネットワークで成り立っていることが分かってきた。人間などの体内時計システムを解明するため、同じ起源ながら単純なショウジョウバエの体内時計システムの研究が世界的に進められている。
 新遺伝子の発見は、理研の発生・再生科学総合研究センターの上田泰己チームリーダーらの研究チームと、九州大学の松本顕助教、国立遺伝学研究所の上田龍教授、米国テキサス農工大のポール・ハーディン教授らの研究チームとの共同研究の成果。
 研究チームは、ショウジョウバエの頭部で24時間周期で発現している遺伝子を200個見つけた。ゲノム技術を使い、遺伝子の変異に成功した137遺伝子の変異ショウジョウバエについて24時間周期の行動リズムを観察。そのうち、行動リズムが著しく長くなった変異体の遺伝子を調べたところ、体内時計を制御する重要な役割を持っていることが分かった。
 発見した遺伝子が「Orangeドメイン」と呼ばれるたんぱく質構造を持つことから、スタンリー・キューブリックによる映画化で知られる、アンソニー・バージェスの小説にちなんで「clockwork orange」(cwo)と名付けた。

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2007.06.12

■注射器いらず、常温保存可能「飲むワクチン」

 東京大医科学研究所などの研究チームは12日までに、遺伝子組み換えイネを原材料にした「飲むワクチン」を開発し、マウスの実験で効果を確認した。常温保存が可能で注射器もいらないワクチンが実用化されれば、開発途上国での感染症予防に役立つと期待される。論文は近く、米科学アカデミー紀要に掲載される。
 同研究所炎症免疫学分野の清野宏教授らの研究チームは、コレラ菌毒素たんぱくの一部で、CTBと呼ばれる無毒な部分を作る遺伝子をイネに組み込み、コメの胚乳(はいにゅう)の中にCTBが作られるようにした。このコメを粉末化してマウスに経口投与すると、腸管の粘膜からCTBが取り込まれ、コレラ菌に対する免疫ができた。
 口からの摂取の場合、腸管に運ばれる前に胃液などで消化される恐れがあるが、研究チームはコメの中にあるたんぱく質のカプセルの内側にCTBが集積するようにし、効果的に腸管に届けることに成功した。
 低温での保存・輸送が必要な一般的なワクチンと異なり、常温で1年半は保存できるため、感染症の流行に備えた貯蔵や、温度管理ができない地域での配布も可能。注射器を使わないため、医師派遣の必要や、針の使い回しによる二次感染の恐れもなくなる。
 このワクチンは組み込む遺伝子を変えれば、インフルエンザやSARSなど粘膜から侵入する多くの病原体に対応できるといい、研究チームの幸義和助教は「安全性の確認や、一定の品質を維持できる栽培方法などの構築が今後必要だ」としている。

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2007.05.30

■「鼻をつくる」遺伝子を特定

 脊椎(せきつい)動物が生まれる際、嗅覚(きゅうかく)の神経回路形成に不可欠な遺伝子を特定したと、理化学研究所と米ハーバード大の研究チームが30日、発表した。論文は同日付の英科学誌「デベロップメント」に掲載された。ほかの神経でも共通する点は多いとみられ、神経回路の形成の仕組み解明に役立つという。
 においの分子をとらえる細胞(嗅細胞)は当初受精卵の中に広がって分布しているが、次第に鼻になる部分に集まってくる。さらに、そこから神経が脳に向けて伸び、複雑な神経回路が形成される。
 理研脳科学総合研究センターの宮坂信彦研究員らがゼブラフィッシュの受精卵で調べたところ、嗅細胞の集まり方と、免疫機能などにかかわることで知られている「Cxcr4」遺伝子が作るたんぱく質の分布が似ていた。そこで、遺伝子操作で作った同遺伝子を持たない変異体で調べると、嗅細胞が決まった場所に集まっておらず、同遺伝子が嗅細胞の集合に必要であることが分かった。
 さらに、正常な個体では集まった嗅細胞から脳に向けて伸びる神経線維が、変異体では方向が定まらずに脳に届かないことも判明。Cxcr4が鼻から脳への神経接続にもかかわっていることが分かった。

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2007.05.01

■マゴットセラピーで足切断回避

 糖尿病などで足が壊死(えし)する「難治性潰瘍(かいよう)」で切断しか治療法のない患者に、岡山大の三井秀也講師(心臓血管外科)が「マゴット(ハエ幼虫)セラピー」という治療法を行ったところ、9割の患者が足を切断せずにすむなど高い効果が認められていることが、分かった。
 日本では壊死による足切断は3000例を超えるとされる。三井講師は秋にも医師主導臨床試験に取り組む予定。英国では保険医療が認められ、年間数百人が治療を受けている。
 マゴットセラピーは、壊死した皮膚にハエの幼虫をガーゼとともに固定して行う。幼虫が腐敗した部分を食べ傷をきれいにするとともに、幼虫の唾液(だえき)に含まれる物質が微生物を殺す役目を果たし、傷の回復を早める。週に2回ほどガーゼを取り換え、2―3週間で効果があらわれる。
 三井講師はオーストラリア留学中にこの治療法を知り、糖尿病などの合併症で足切断しか治療法のない60代の女性に日本で初めて実施。潰瘍が1週間で半分の大きさになり、患者の痛みも軽減したという。傷が完治したこの女性は3カ月で退院。切断をまぬがれた足で歩行に努めたためか、その後の糖尿病のコントロールも良好だという。

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2007.04.19

■脳が物の質感とらえる仕組みを解明

 人間が物の質感をとらえる仕組みを、NTTコミュニケーション科学基礎研究所(神奈川県厚木市)と米マサチューセッツ工科大の共同研究チームが明らかにした。脳や網膜は、画像の中で明るい部分と暗い部分がどう分布しているかによって、表面の光沢や明るさ、透明感といった質感を感じているという。この発見を応用すれば、簡単な画像処理で、質感をリアルに表現したり、自在に操ることができる。18日付の英科学誌ネイチャーで発表した。
 同研究所の本吉勇・研究主任らは、物の表面に凹凸があり、明るさや光沢が異なるさまざまな画像で明暗の分布を調べた。すると、光沢が強く全体に暗い画像では、明暗の分布を示すグラフが明るい側に広がっていることが分かった。逆に分布の広がりが小さい場合には、光沢を感じにくくなる。網膜や脳内の視覚神経組織には、それぞれ明るい点や暗い点に反応する2種類の神経細胞(ニューロン)がある。研究チームは、これらの反応の強さのバランスによって、質感を知覚できるとみている。
 本吉さんは「物の質感は複雑な光学現象から生じるが、人間が質感を感じ取る仕組みは、意外に簡単だと分かった。この仕組みを応用すれば、低コストかつ高速で画像や映像の質感を変えられるようになる」と話している。

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2007.04.13

■投薬で網膜再生

 傷ついた網膜で、光を感知する視細胞を別の細胞から作らせる新手法を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の研究チームが、ラットとサルの実験で発見した。投薬による視神経の再生に道をひらく成果で、11日発行の米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に発表した。

 理研の高橋政代チームリーダーらの研究で、哺乳(ほにゆう)類の網膜に存在するグリア細胞には視細胞に分化する能力があることが分かっていたが、新しく作られる視細胞は非常に少なく、機能回復までは期待できなかった。

 研究チームは新たに、網膜でグリア細胞から視細胞への分化を促しているタンパク質を突き止め、同様の効果がある低分子化合物を特定。このタンパク質を投与すると、約20倍の効率で視細胞が再生することをラットとサルの細胞実験で実証した。低分子化合物はタンパク質よりも投与が簡単なので、治療薬として有望だという。

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2007.04.03

■血液をO型に変える酵素、ハーバード大などが開発

 AとB、AB型の赤血球をO型の赤血球に変えることのできる酵素を米ハーバード大などの国際研究チームが開発した。
 米国の専門誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)に1日発表する。O型の血液は、どの血液型の患者にも輸血できるため、実用化すれば、輸血用血液の血液型の偏りを解消できる可能性がある。
 赤血球の表面は、毛のような糖鎖で覆われている。その糖鎖の先に結合している糖の種類によって、A、B、AB型に分かれ、何もついていないのがO型。結合している糖の種類が違うと輸血時に拒否反応が起きるため、O型以外の赤血球は輸血対象が限られる。緊急時など患者の血液型が不明な時はO型を使う。

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2007.03.09

■職場でもメタボ健診


 厚生労働省の検討会は6日、企業が行っている職場健診に、メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)の指標となる腹囲の測定を加えるべきだとする報告書をまとめた。
 脳卒中や心筋梗塞(こうそく)発症の危険が増大するとされるメタボリック・シンドロームの判断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上であることに加え、血圧、血中脂質、血糖のうち2項目以上が基準値を上回っていること。
 報告書は、「腹囲の測定は、脳・心疾患を予防する観点から必要」と指摘。ただ健診を受けやすくするために、本人の自己申告も認め、衣服を着たままでの測定でも構わないとした。

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■がん細胞自滅させる酵素を発見

 がん細胞を自滅に導く酵素を、吉田清嗣・東京医科歯科大助教授(分子腫瘍学)らの研究チームが発見し、9日付の米科学誌「モレキュラーセル」に発表した。酵素の働きを高められれば、抗がん剤の投与量を減らして副作用を軽減する効果が期待できるという。
 遺伝子の本体であるDNAが紫外線や放射線などの影響で変異することで、細胞はがん化する。変異が大きいと、細胞中のp53遺伝子が働き、細胞はアポトーシスと呼ばれる自滅現象を起こす。
 p53は酵素の働きで活性化すると考えられていたが、その酵素が何かは特定されていなかった。研究チームは、ヒトのがん細胞を使い、p53が活性化する時にDYRK2という酵素が働いていることを突き止めた。

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2007.03.05

■アルツハイマー病、発症原因の一つ解明

 佐賀女子短大の長谷川亨教授が4日、アルツハイマー病が高齢者に多く発症するメカニズムの一つを解明したと明らかにした。老化によって神経細胞の働きが抑制されると、同病を引き起こす物質「ホモシステイン酸」が脳の神経細胞死を招く働きをすることを実験で示した。発症の仕組みが明確になっていない同病の治療に役立てたい考えで、研究成果は、6月に米国で開かれる認知症予防の国際会議で発表する。
 長谷川教授は05年にホモシステイン酸の有害な働きを初めて特定。今回の実験では老化との関係を分析した。老化が進み、神経細胞の働きが弱くなると、ホモシステイン酸が細胞内に有害物質を蓄積させ、別の原因物質と組み合わされることで細胞死することが分かった。若い世代では、ホモシステイン酸があっても、有害物質が蓄積されていないので、神経細胞死までは起きないという。

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2007.02.27

■ビタミンCで白内障予防、発症リスク約4割減

 ビタミンCを食事からしっかり摂取している人は、老人性白内障になりにくいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の疫学調査で明らかになった。加齢に伴って起きる水晶体のたんぱく質の酸化が老人性白内障の原因と考えられているが、研究班は「ビタミンCには、これを防ぐ働きがあるとみられる」としている。

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2007.02.19

■歯や毛の再生、マウスで成功

 歯のもとになる組織(歯胚(しはい))から、神経や血管を含め歯をまるごと再生させることに、東京理科大と大阪大のチームが世界で初めて成功した。マウス実験での成功率は80%と高く、将来的に入れ歯やインプラント(人工歯根)に代わる方法として期待される。さらに、開発した技術は他の臓器や器官の再生医療にも応用できるという。18日付の米科学誌「ネイチャーメソッズ」(電子版)に発表した。
 臓器や器官の再生では、胚性幹細胞などを目的の細胞に分化させる課題と、分化した細胞を臓器に形作る課題がある。研究チームはすべての臓器や器官は、上皮細胞と間葉細胞と呼ばれる2種類の細胞が反応しあって形成される点に注目。歯をモデルに両細胞を使って、器官の基になる「器官原基」を生体外で組み上げる技術開発を進めた。
 胎児マウスの歯胚から両細胞を採取。それぞれの細胞に分離したうえ、寒天状のコラーゲンの中に重ねるように入れ培養したところ、高さ0.25ミリの「歯の種」ができた。これを拒絶反応を起こさない種類の大人のマウスの抜歯部に移植すると、約2カ月後には長さ4.4ミリに成長。歯の内部には血管と神経があることを確認した。抜歯部に移植を試みた22回中17回で歯が再生した。
 一方、マウスの毛でも同様の方法で培養し、毛の再生にも成功した。
 人での実施には、胎児からの歯胚入手という倫理上の課題や、別人からの移植に伴う拒絶反応の問題もある。研究チームは、患者自身の口内や頭皮から、基になる細胞を探していくという。

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2007.02.09

■内臓脂肪防ぐ仕組み解明

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を防ぐ働きがあるホルモンの「アディポネクチン」が体内で作用するメカニズムを、東京大大学院医学系研究科の門脇孝教授らの研究チームが、マウスを使った実験で突き止めた。メタボリック症候群の根本的治療法開発につながる可能性がある。米科学誌「ネイチャー・メディシン」(電子版)に発表した。

 アディポネクチンは脂肪細胞から出るホルモンで、脂肪を燃焼してインスリンの働きを助ける善玉物質。肥満や内臓脂肪蓄積で脂肪細胞が肥大化すると、このホルモンが低下し、糖尿病などのリスクが高まることがわかっていた。

 研究チームは、体内でアディポネクチンと結合する2種類の物質(受容体)を作れなくしたマウスについて、血糖値やインスリン抵抗性を調べた。その結果、受容体を欠いたマウスでは、糖尿病を防ぐ作用が消失することが判明。逆に、肥満マウスの肝臓で受容体の遺伝子発現を上昇させると、糖尿病が顕著に改善した。これらの実験結果から、受容体とアディポネクチンが結びつくことで、血糖制御や脂肪代謝、インスリン抵抗性を改善させると結論づけた。

 日本人の40%は遺伝的に、アディポネクチンが少ない体質で、高脂肪食や運動不足などの生活習慣とともにメタボリック症候群の増加要因となっている。門脇教授は「今回の成果をもとに、2種類の受容体と同じように働く治療薬の開発が期待される。遺伝的要因にも環境(生活習慣)要因にも効果があるメタボリックシンドロームの根本的治療につながる」と話している。

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2007.02.08

■医療用麻薬、規制大幅緩和

 がんなどの痛みを和らげる医療用麻薬を、在宅でも使いやすくするため、厚生労働省は国の麻薬管理マニュアルを初めて改訂した。患者本人が手元で薬を管理できるようにするなど、規制を大幅に緩和した。がん対策基本法が施行される4月を前に、自宅で行える緩和医療を受けやすくし、患者の生活の質を高めるのが狙いだ。

 モルヒネなどの麻薬は乱用防止のため、麻薬取締法で管理の仕方が厳しく制限されている。一方で、適切に使えば、意識を残したまま、痛みだけを取り除くことができ、医療用麻薬の需要が高まっていた。

 このため、厚労省研究班が89年度、医療従事者向けに使用の注意点をまとめたマニュアルを作成。調剤や患者への受け渡し、管理、廃棄などの仕方をまとめた。ただ、薬は薬局やナースステーションで管理し、受け取りは患者本人か家族に限っていた。

 しかし、胃で少しずつ溶ける飲み薬や、張り薬などが発売されたことなどから在宅使用が広がり、国内の使用量はこの15年間で約10倍になった。また、「在宅患者が増えた今、マニュアルの医療用麻薬の基準は厳しすぎる」という声が在宅ケアの現場などから出ていたことなどから、厚労省は、専門家による検討会を設置。マニュアルを昨年末に改訂した。

 改訂後、患者自身が自宅で薬を保管できるようになった。患者が希望すれば看護師やホームヘルパー、ボランティアなどが薬を取りに行き、患者に届けられるほか、処方箋(しょほうせん)をファクスで送り、調剤を始めてもらえる。薬局などから患者が遠くにいる場合、書留便で送ることもできる。

 厚労省は「緩和医療を適切に行う」と明記する、がん対策基本法の施行に合わせ、07年度中に医療従事者向けの講習会を開き、使用実態の調査なども行い、さらに適正使用を促す方針だ。

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2007.01.05

■唐辛子に美肌効果、しわやたるみ減る

 唐辛子の辛み成分「カプサイシン」を薄めて皮膚に塗ると肌の弾力性が増すことを、名古屋市立大大学院の岡嶋研二教授らが明らかにした。
 同教授は製薬会社と共同で、この成分を含む化粧品の開発を進めており、早ければ今年中にも商品化されるという。
 岡嶋教授らは、痛みや熱を感じる皮膚の知覚神経をカプサイシンで刺激すると、神経末端からCGRPという物質が放出されることを見つけた。CGRPは体内でインスリン様成長因子(IGF)-1の増加を促すが、このIGF-1は細胞を活性化し、肌の老化を防ぐ働きを持つ。

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2006.12.30

■アフリカ産植物、HIV感染抑制に効果

 世界中でエイズの新薬研究が進む中、東北大大学院医学系研究科の服部俊夫教授(感染症・呼吸器病態学)らの研究グループは、アフリカ原産の植物のエキスにエイズウイルス(HIV)の感染を抑制する「抗HIV活性」があることを確認した。南アフリカでは民間療法としてエイズ治療に用いられており、有効成分を特定して新薬開発の可能性を探る。

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2006.12.23

■世界最大のトカゲ、雌単独で生殖=英動物園2カ所で初確認

 英国の2つの動物園で、世界最大のトカゲ類コモドオオトカゲの雌が、雄との交尾なしで正常な卵を産み、このうち1カ所では子がかえったと、英リバプール大などの研究チームが21日付の英科学誌ネイチャーに発表した。トカゲ類の中には雌単独の単為(たんい)生殖を行う種もあるが、コモドオオトカゲで確認されたのは初めて。

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2006.12.20

■オス決定遺伝子を発見

 生物のオス(精子をつくる性)を決定づける遺伝子を、東京大学大学院理学系研究科の野崎久義助教授らの研究グループが、原始的な緑藻類の仲間で見つけた。「OTOKOGI(侠)」と命名されたこの遺伝子の発見で、生物の性はメスが原型でオスはその派生型であることが示唆されるという。オスとメスの起源に迫る成果で、19日発行の米専門誌「カレント・バイオロジー」に発表した。
 精子をつくるオスと卵をつくるメスが存在する卵生殖の生物では、性を決定する遺伝子がいつ、どのように誕生したのかはこれまで謎だった。
 野崎助教授らは、神奈川県の津久井湖で採取した新種の藻類のゲノムを解析し、オスだけに現れ精子の核に局在する遺伝子を発見、「OTOKOGI」と名付けた。
 生物の生殖は、性差はあっても配偶子の大きさに違いがない同型配偶から、メス型の配偶子がやや大きい異型配偶を経て、大型で運動能力がない卵と小型で運動能力が高い精子をつくる卵生殖へと進化したと考えられている。これまで、同型配偶の単細胞藻類(クラミドモナス)では、一方の性を決める遺伝子が見つかっていたが、それがどちらの性に相当するのかは不明だった。
 ゲノム解析の結果、クラミドモナスの性決定遺伝子が「OTOKOGI」の起源であることも分かった。この結果「性の原型はメスで、オスはOTOKOGIのような性決定遺伝子を持つことでメスから派生する」と考えられる。

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■冬眠で生き延びた

 兵庫県の六甲山で約3週間遭難した西宮市職員打越三敬さん(35)が19日会見した。遭難2日後の10月9日に意識を失い、31日に発見されるまで20日以上食べ物だけでなく、水すら飲んでいなかったことが分かった。
 会見に同席した医師は「体温が約22度という極度の低体温症だった。動物の冬眠に近かったのではないか。驚異的な生命力だ」と説明。保護時はほとんどの臓器が機能停止状態だったが、現在は後遺症を残さずに回復した。

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2006.12.02

■世界一太った女性、死去

 ギネスブックに「世界で最も太った女性」として登録されたロザリー・ブラッドフォードさんが11月29日、肥満による合併症のため、米フロリダ州の病院で死去していたことが分かった。63歳だった。
 身長約170センチのロザリーさんは、1987年1月に体重476キロの世界最高を記録。ピーク時には544キロ以上に達していたという。
 ロザリーさんは生後6カ月で母親に捨てられた生い立ちから過食症になり、89年には自殺未遂も起こした。その後、インストラクターの指導の下で92年に142キロまで体重を減らし、減量幅の世界記録を作った。ただ、最近は体重が181キロを超え、両足のむくみで寝たきり状態だったという。 

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2006.11.26

■免疫効果高めるエイズワクチン

 経口投与を繰り返すと着実にエイズに対する免疫力が高まる新しいエイズワクチンの開発に、順天堂大や近畿大などの共同研究グループがマウスを使った実験で成功した。
 よく効くエイズワクチンの開発は世界的な課題で、将来の臨床応用が期待される。30日から東京・千代田区で始まる日本エイズ学会で発表する。

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2006.11.25

■ヒト遺伝子2万5000個のうち3000個で数に個人差

 ヒトが持つ約2万5000個の遺伝子の約12%にあたる約3000個で、その数に個人差があることを、日米などの国際共同研究チームが突き止めた。遺伝子の数の違いが病気へのなりやすさや、薬の効きやすさと関係することが分かっており、一人一人の体質に合った「オーダーメード医療」の実現に役立つと期待される。

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2006.11.17

■スーパーモデル、拒食症で死去

 米国で活躍していたブラジル出身のスーパーモデル、アナ・キャロリーナ・レストン(21)が拒食症が原因で、日本時間17日にサンパウロ市内の病院で死去した。死亡時は172センチ、39キロだった。レストンは13歳でモデルを始め、アルマーニなどトップブランドのショーに数多く出演していたが、食べては吐くことを繰り返す摂食障害になり、治療を続けていた。

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2006.11.16

■鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染の鍵握るアミノ酸を特定

 東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究グループは、H5N1型鳥インフルエンザウイルスの表面にある特定のアミノ酸が変異すると、ヒトへの感染を起こしやすくなることを突き止め、16日付の英科学誌ネイチャーに発表した。新たなウイルスが発見された場合、この部分の変異の有無を調べることで、ヒトへの感染可能性のリスク評価に役立てられるという。

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2006.11.10

■ウニの遺伝子、7割がヒトと共通

 ウニのゲノム(全遺伝情報)の解読を、欧米の研究チームが完了した。遺伝子数はヒトとほぼ同じ2万3000個で、遺伝子の70%がヒトと共通していた。研究チームは「遺伝子レベルでは、ハエや線虫に比べヒトに近い。このデータは進化の解明につながる」と驚いている。10日付の米科学誌「サイエンス」に発表する。
 解読によると、ゲノムの大きさを示す塩基数は8億1400万対でヒトの4分の1だった。チンパンジーとヒトは99%の遺伝子が共通しているが、ハエとヒトは40%とされる。
 また、今回の解読で、ウニは生まれながらに病原体を認識するよう働く遺伝子をヒトの20倍多い200個以上持つことも判明。研究チームのカナダ・トロント大の日比野拓研究員(医学生物物理学)は「病原体の感染後に得る獲得免疫を持たないことを反映していると考えられる。ヒトの感染防御の仕組み解明にも役立てたい」と話す

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2006.11.06

■「考えるだけ」でスイッチ切り替え、日立が実験成功

 これは、すごいかも-。日立製作所は6日、暗算や暗唱などによって生じる脳内の血液量の変化を電圧信号に変えることで、鉄道模型の電源スイッチの「オン」「オフ」を切り替える実験に成功した、と発表した。
 将来的には、「こうしたい」と考えた際の血流変化を電気信号に置き換える技術の開発を目指しており、運動機能を失った難病患者が自立するための福祉機器開発につながるものとして期待される。

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2006.11.02

■モズクにがん抑制効果

 モズクの主成分フコイダンにがん細胞の転移を阻止する効果があることが分かった。29日に横浜で開催された第65回「日本癌(がん)学会学術総会」で、シーズ(浦添市、前田すえこ社長)と共同研究を進めていた岡山理科大臨床生命科学科の浜田博喜教授らが学術論文で発表した。

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■ブドウ成分に長寿効果

 ブドウや赤ワインなどに含まれるポリフェノール類の「レスベラトロール」を、脂肪分が多い餌に加えてマウスに与えると、高カロリーによる体重増加や寿命短縮を防ぐ効果があったと、米ハーバード大などの国際研究チームが2日、英科学誌ネイチャーの電子版に発表した。

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2006.10.24

■野菜は脳の若さ保つ

 高齢者は野菜をたくさん食べることで、認知力の低下を抑制できる-。シカゴにあるラッシュ大学医療センターのマーサ・クレア・モリス助教授が、こんな研究成果を発表した。24日発行の米科学誌ニューロロジーに論文が掲載される。
 モリス助教授らが6年にわたって高齢者3718人の食習慣を調査したところ、「1日当たり少なくとも2.8食分の野菜を取った人は、1食分以下だった人に比べ、認知力の低下が40%遅い」と判明。「これは5歳分の若さを保つのと同じだ」と同助教授は指摘している。

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2006.10.18

■2008年新基準なら男の98%「不健康」

 いくら何でもひどすぎる-。メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)などを防ぐために厚生労働省が2008年度から導入する健康診断・保健指導の基準では、受診者のうち何らかの異常を指摘される割合が男性の98%、女性でも92%に上る、との推計を大櫛陽一・東海大教授(医学教育情報学)がまとめた。

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2006.10.16

■おたふくかぜが大流行