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2015.05.23

「神々のたそがれ」

「神々のたそがれ」は、ロシアの巨匠アレクセイ・ゲルマン監督の遺作です。アンドレイ・タルコフスキー監督作「ストーカー」の原作者として有名なストルガツキー兄弟のSF小説「神様はつらい」を15年の歳月を費やして映画化しました。実際には、完成間近で監督が死去し、脚本家の妻のスヴェトラーナ・カルマリータと息子で映画監督のアレクセイ・ゲルマンJr.が完成させました。

ゲルマン監督は、ストルガツキー兄弟が1964年に発表した「神様はつらい」刊行直後に映画化を考え、1968年には脚本第一稿を書き上げていました。しかし同年8月に起きた「チェコ事件」で企画を中断。約35年後の2000年に撮影に着手し、2006年にすべての素材を撮り終え、編集に時間をかけていました。

地球よりも800年発展が遅れた惑星を調査するため、30人の学者たちが派遣されます。惑星では文明の発展を拒むように圧政や虐殺、知識人の抹殺が繰り返されています。地球の学者たちは傍観していましたが、ドン・ルマータは行動に出ます。

ゲルマン監督は、猥雑の限りを尽くすように映像を汚物で満たします。177分の映像を見ると、哲学者ウンベルト・エーコが「アレクセイ・ゲルマンに比べればタランティーノの映画は、ただのディズニー映画だ」と言った意味が分かります。
浅田彰は「たんに見るべき映画ではなく、全感覚で体験すべき映画なのだ。ラブレーやブリューゲルの世界に身体ごと放り込まれたかのように」と強調しています。

邦題の「神々のたそがれ」は、ワーグナーからの連想でしょうが、原題は「Hard to Be a God」と単数なので「神は疲れる」で良かったと思います。この地球にも宇宙人が来ていて、血なまぐさい現代に疲れているかもしれません。この映画を見終わると観客もかなり疲れます。

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