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2015.04.29

■「ジュピター」


アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー監督によるオリジナルのSF大作です。

超高度な文明を誇り、宇宙を支配する巨大王朝の2人の兄と1人の妹。3人はシカゴで家政婦として働くヒロインのジュピターを狙っています。貧しい娘が、実は!というおきまりの展開です。ケインの反重力ブーツでのアクションシーンの見事さは認めますが、壮大な宇宙での戦いは安直さが目立ちます。役所たらい回しのシーンの場違い感もすごいです。

地球を支配するバレム役のエディ・レッドメインは、「博士と彼女のセオリー」のホーキング役とは別の演技力を感じました。一方、主人公ジュピター役のミラ・クニスには、今ひとつときめきませんでした。

「マトリックス」も、斬新な映像はともかく、物語としては疑問が残りましたが、「ジュピター」は古くさい設定のB級SFを大金をかけて制作した感が濃厚です。アイデアは多彩ですが、ばらばらです。懐かしきスペースオペラを、最新の映像で見せようとしたのでしょう。「この底の浅さは、わざとだよなあ」と、納得しようと試みましたが「とほほ」感はぬぐえませんでした。ブルース・ウィリス主演の「フィフス・エレメント」を見終わった後の感覚に似ています。

前作「クラウド・アトラス」は、過去、現在、未来、500年の時を自由に横断する3時間を超える壮大な大作でした。主な俳優たちが、皆たくさんの役をこなしていた点が驚きでした。複数の役を演じているだけではありません。特殊メイクによって、年齢、人種、性別さえ超えて演じているのです。

時代が交錯するので最初は少し戸惑いますが、場面転換が巧みで、やがて苦にならなくなります。分かりやすい映画的な感動を与えるタイプの作品ではありませんが、すごい作品を体験したという感慨に浸ることができました。あらゆる映画的なジャンルを横断する不思議な作品に仕上がっていました。

今回の「ジュピター」は、お金をつぎ込んだ、お遊び感が濃厚です。「新映像革命」と宣伝されていますが、それほどでもないです。現在の映像革命は、じつは別な形で進んでいると思います。

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■「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」


2014年作品。アメリカ映画。 第87回アカデミー賞・作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞を受賞しました。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。全編を、ほぼワンカットで撮影した意欲的な作品です。臨場感が醸し出されます。

かつて「バードマン」でスターとなったものの、今は落ち目の俳優リーガンが、ブロードウェイの舞台での復活をかけ奮闘します。その姿を意地悪く描くブラックコメディです。ハリウッドの裏側を、ちくりと刺す場面も楽しめます。

リーガンを演じるマイケル・キートンは、コメディアンとしてスタートし、ティム・バートン監督の「バットマン」「バットマン・リターンズ」のブルース・ウェイン役で演技を認められました。つぼにはまったキャスティングです。ライバル役のエドワード・ノートンの演技も見物です。

落ち目の俳優のあがきを、面白おかしく見せていますが、基本的に観客の思いは重視していません。
「バベル」のときもそうでしたが、どうも個人的に好きになれません。これは、相性の問題です。なかなかの問題作であることは認めます。

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■「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

■「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
2014年作品。米・仏合作。ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン監督が、ロンドンのトラファルガー広場にある世界最高峰の美術館ナショナル・ギャラリーの秘密に迫ったドキュメンタリー作品。

ダ・ビンチ、モネ、ゴッホ、ミケランジェロなどの名作に出会えるだけでも幸せですが、額縁の制作風景、高度な修復技術なども明らかにされます。レンブラントの絵画の下から別の作品が浮かび上がるというわくわくするような場面もあります。

運営を巡るスタッフたちの熱い議論に感心しました。専門家たちによるギャラリートークも魅力的でした。長い作品は、英国ロイヤルバレエ団と絵画のコラボレーションによって贅沢に幕を下ろします。

85歳になったワイズマン監督が長年にわたって撮影を切望していた美術館。やっと願いがかないました。「美術館を撮るのに30年もかかってしまった」と話しています。すべてを観客に委ねる作風が特徴的です。「私は、映画に多くの情報を詰め込みますが、物事を説明したり、映画を通じて世界を変えたいというようなメッセージ性を込めることには一切興味がありません」と哲学を語っています。

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■「おみおくりの作法」

2013年。イギリス・イタリア合作。ウベルト・パゾリーニが監督・脚本・製作を務めています。
ロンドンで民生委員をしている主人公ジョン・メイを、エディ・マーサンが見事に演じています。たたずまいが素晴らしい。

ジョン・メイの仕事は、孤独死した人の、身寄りを探し、葬儀の手配をし、埋葬まで見届けること。実直に仕事を進めています。繊細な配慮もみせます。彼自身も独身で孤独な人生を送っています。そして自分が担当した身寄りが見つからなかった人たちのアルバムを作り続けています。孤独死した人たちのアルバムを眺めるシーンが印象的です。

ある日、自分の向かいのアパートで孤独死した男性が見つかります。部屋に残された遺品を手がかりに身寄りを探し始めます。
調査をしていると彼の上司から「君は仕事に時間をかけすぎる、他の部署と統廃合することになった。君はクビ」と通告されます。

苦労して身寄りを見つけた後、彼は交通事故で死にます。そして誰にも見送られずに埋葬されます。寂しすぎます。しかし、最後に心温まる場面が訪れ、号泣しました。セリフが少なく寡黙な映画です。それがラストの感動を最大限に盛り上げます。

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2015.04.17

あす18日午後2時から「没入型仮想現実・無料体験会」を開きます。

■「没入型仮想現実・無料体験会」
4/18、5/16、6/20 午後2時-3時
会場 さっぽろ自由学校「遊」(札幌市中央区南1条西5丁目 愛生舘ビル6F)
講師 俵屋 年彦
「別世界にいる」という、これまで経験したことのない驚くべき体験、それが没入型仮想現実です。没入型の仮想現実には、様々な分野、タイプがあります。面白さも、多様です。無料体験会では、その魅力を知っていただくため、実写オーロラ、3DCGキャラクターライブ、ジャンプ、ローラーコースターなどの体験ソフトを用意いたします。1回の体験は1-5分程度です。お気軽に参加してください。

■「インターネットの新段階・超センサー社会の明暗」
インターネット利用が新たな段階に入り始めています。モバイル機器やソーシャルメディアの普及を経て、ウエアラブル端末や膨大なセンサー機器が連携する社会がやってきます。情報革命が、現実革命に変化します。新しい機器が次々に誕生し、人とモノもインターネットにつながる時代について解説します。またウエアラブル端末などを実際に体験していただきます。基礎的な内容から、歴史を追いながら、毎回最新情報を盛り込み、超センサー社会の明暗について分かりやすく進めていきます。オキュラス・リフトなどで没入型仮想現実のさまざまな最新体験もできます。
4-9月 月1回 第3土曜日(8月は第5) 午後3時30分-5時30分 6回
4/18、5/16、6/20、7/18、8/29、9/19
会場 さっぽろ自由学校「遊」(札幌市中央区南1条西5丁目 愛生舘ビル6F)
講師 俵屋 年彦
 参加費は1回一般1500円。会員1000円。ユース(25歳以下)500円。6回通し一般6000円、会員4000円。ユース2500円。
4/18 第1回 インターネットの切り開いた地平
5/16 第2回 検索とソーシャルメディアの交錯
6/20  第3回 スマートフォンが意味するもの
7/18  第4回 ウエアラブル端末時代の始まり
8/29  第5回 超センサー社会と消える技術
9/19  第6回 情報革命から現実・生命拡張へ

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2015.04.09

■4月18日に「没入型仮想現実・無料体験会」を開きます

「没入型仮想現実・無料体験会」
4/18、5/16、6/20 午後2時-3時
会場 さっぽろ自由学校「遊」(札幌市中央区南1条西5丁目 愛生舘ビル6F)
講師 俵屋 年彦
「別世界にいる」という、これまで経験したことのない驚くべき体験、それが没入型仮想現実です。没入型の仮想現実には、様々な分野、タイプがあります。面白さも、多様です。無料体験会では、その魅力を知っていただくため、実写オーロラ、3DCGキャラクターライブ、ジャンプ、ローラーコースターなどの体験ソフトを用意いたします。1回の体験は1-5分程度です。お気軽に参加してください。

「インターネットの新段階・超センサー社会の明暗」
インターネット利用が新たな段階に入り始めています。モバイル機器やソーシャルメディアの普及を経て、ウエアラブル端末や膨大なセンサー機器が連携する社会がやってきます。情報革命が、現実革命に変化します。新しい機器が次々に誕生し、人とモノもインターネットにつながる時代について解説します。またウエアラブル端末などを実際に体験していただきます。基礎的な内容から、歴史を追いながら、毎回最新情報を盛り込み、超センサー社会の明暗について分かりやすく進めていきます。オキュラス・リフトなどで没入型仮想現実のさまざまな最新体験もできます。
4-9月 月1回 第3土曜日(8月は第5) 午後3時30分-5時30分 6回
4/18、5/16、6/20、7/18、8/29、9/19
会場 さっぽろ自由学校「遊」(札幌市中央区南1条西5丁目 愛生舘ビル6F)
講師 俵屋 年彦
 参加費は1回一般1500円。会員1000円。ユース(25歳以下)500円。6回通し一般6000円、会員4000円。ユース2500円。


4/18 第1回 インターネットの切り開いた地平

5/16 第2回 検索とソーシャルメディアの交錯

6/20 第3回 スマートフォンが意味するもの

7/18 第4回 ウエアラブル端末時代の始まり

8/29 第5回 超センサー社会と消える技術

9/19 第6回 情報革命から現実・生命拡張へ

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