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2015.01.23

■「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」


「踊る大捜査線」の本広克行監督がアニメ作品の総監督を初めて務めたテレビシリーズ「PSYCHO-PASS サイコパス」の後日談です。主人公の常守朱と失踪していた狡噛慎也が再会します。近未来の人間ドラマが展開されます。

2116年、人の心を数値化して犯罪を未然に防ぐ「シビュラシステム」を世界に広げようと計画する日本政府は、内戦状態のシーアン=東南アジア連合の首都シャンバラフロートに実験的にシステムを輸出します。しかし、シーアンからテロリストが日本に密入国し、シビュラシステムの中枢に攻撃をしかけてきます。テロリストと対峙した常守朱は、事件の黒幕を追ってシャンバラフロートに入ります。

物語は単純ですが、戦闘シーンの迫力は劇場版ならではです。そして、作画も高い水準を保っていました。特に、オープニング映像のクオリティの高さは劇場版「踊る大捜査線」を思い出させました。人間の自由と安全という基本テーマを掘り下げ、重い問いを残します。

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2015.01.22

■「ベイマックス」


ディズニーのアニメ「ベイマックス」は、製作総指揮ジョン・ラセター、ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ監督です。予告編のような「ほのぼのさ」は最初だけで、アクションシーンが中心です。原作はマーベルコミックの『ビッグ・ヒーロー6』。アメコミのヒーローものを、日本の戦隊ものでアレンジしたような感じです。

サンフランシスコと東京を掛け合わせた街サンフランソウキョウが舞台。混ぜ方は微妙ですが、なかなか楽しいアイデアを盛り込んでいます。ケアロボット・ベイマックスの顔は、神社の鈴がモデルになっています。

大学の工学ラボのシーンから、楽しさが爆発します。実現可能と思わせる近未来テクノロジーのアイデアが次々と登場します。そして、背景画のクオリティが、超絶的に素晴らしいです。新しい光レンダリングソフトが、実写のような現実世界の乱反射を表現しています。驚異的な体験でした。さらに、作画は細かなところまで丹念に書き込みつつ、感動を何倍にもしてくれます。

日本的な感性を、さりげなくリスペクトしていて好感が持てます。「マジンガー・ゼット」など、日本の懐かしいロボットアニメではおなじみのロケットパンチが登場します。登場するだけでなく、その使い方の巧みさには感服しました。やられましたね。

脚本は詰め込みすぎな感じもありますが、よく練られていて、そのうまさにうなりました。ただ肝心の主人公ヒロが、あまりにも天才過ぎて感情移入できない点が、やや残念でした。

同時上映の短編『愛犬とごちそう』は、レトロな作画ですが、カラフルでスピーディな展開が楽しい、愛すべき作品です。

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2015.01.21

■「オオカミは嘘をつく」


イスラエル映画「オオカミは嘘をつく」。アハロン・ケシャレス、ナボット・パプシャド監督です。観終わってもしばらく気分の悪さが抜けません。「後味の悪い」という表現を超える映画です。

首がない惨殺死体が見つかる猟奇的な少女殺人事件を背景にしています。気の弱そうな容疑者の教師、手段を選ばない暴力刑事、楽しげに復讐する被害者の父親の3人が、ときにブラックなユーモアを漂わせながら、眼を背けたくなるような物語を進めていきます。

原題は「BIG BAD WOLVES」。複数形なんですね。だから、邦題も「オオカミたちは嘘をつく」の方が良かったかもしれません。オオカミという表現は、犠牲になった赤いワンピースの少女を「赤ずきん」に見立てているからです。

第46回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭監督賞を受賞しました。クエンティン・タランティーノ監督が2013年のプサン国際映画祭で、「今年のナンバーワンの作品だ!」と大絶賛して関心を集めました。

攻撃と報復を繰り返すイスラエル社会の病巣を、極めて意地の悪い手法で批判する作品だと思います。政治的な映画には見えませんが、ある意味でとても政治的な映画です。

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2015.01.20

■映画「天才スピヴェット」

「天才スピヴェット」
「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督の新作。ライフ・ラーセンの小説「T・S・スピヴェット君 傑作集」を実写化しました。発明家を対象とした権威あるベアード賞に輝いた10歳の天才少年が、スミソニアン学術協会の授賞式に出席するため、モンタナからワシントンへと向かう冒険物語です。

次から次と現れる場面が、いかにもジュネ監督らしいです。少年の豊かな発想や街の風景まで、観ているだけで楽しい映像。カラフルな立体絵本です。内容は違いますが、テイスト的には少年版の「アメリ」と呼べないこともありません。風変わりな人への監督の温かな眼差しが感じられます。

主人公スピヴェットは、モンタナ州の牧場で家族と暮らしながら、さまざまな創造を行っています。家族ひとりひとりが、個性的です。カウボーイの生き方を貫く父親、昆虫の実証研究を続ける母親、アイドルを目指す姉、そして事故で死んでしまった活動的な弟。ちぐはぐなように見えて固い絆で結ばれた家族愛が描かれます。ここがポイントです。

スピヴェットを演じたカイル・キャトレットが、とにかく聡明で可愛いです。弟の死が深いトラウマになっている彼の繊細で柔らかな表情が、心に残ります。母親役のヘレナ・ボナム=カーターは、ティム・バートン監督作品に多く出演しているが、ジュネ監督の作品との相性も意外に良いと思います。

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