« 2014年6月 | トップページ | 2014年8月 »

2014.07.26

■「マレフィセント」

「マレフィセント」は、「アバター」などのプロダクションデザインを手掛けたロバート・ストロンバーグの長編映画監督デビュー作です。ディズニー映画の傑作「眠れる森の美女」の別バージョン。「眠れる森の美女」ではオーロラ姫に呪いをかけた悪役だった妖精マレフィセントを主人公とするダークファンタジーです。

立場を変えることで別な新しい世界を開くという姿勢は、評価できます。それほど、練られた脚本ではありませんが、十分に楽しめます。妖精の国の生き物や風景が、実に魅力的です。

マレフィセントを演じているのはアンジェリーナ・ジョリー。小さなオーロラ姫を実の娘のビビアンちゃんが演じています。マレフィセントは「子供なんか嫌い」とつぶやきます。実子も養子も熱心に育てているアンジーを知っているので、ユーモアに満ちた場面です。にくい演出ですね。

最近のディズニー映画は、「アナと雪の女王」など従来のディズニー映画のセオリーを裏切る作品が目立ちます。「マレフィセント」は、「アナと雪の女王」との相乗効果も期待できるストーリー。頭脳的な企画でもあります

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.07.24

■「ノア 約束の舟」


ダーレン・アロノフスキー監督が脚本も手がけた「ノア 約束の舟」は、監督長年の構想が実現したものです。かなり独自な脚本です。洪水後に、重い人間ドラマが展開されます。動物たちをすべてCGで描いています。洪水の場面のCGは、いまいちでした。
アロノフスキー監督は、「ノアの方舟」という誰もが知っている聖書的な題材を利用しながら、キリスト教を相対化するという冒険を試みています。地球環境にとっての人間存在の是非についての考察は、その辛辣さ故に嫌われたかもしれません。イスラム教の国々では上映禁止になり、キリスト教関係者からは批判されています。神のことを、Godと言わずにCreatorと呼んでいた点も印象的でした。あまり面白くはありませんが、なかなかに挑戦的な作品です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.07.21

■「渇き。」

「下妻物語」に出会ってから10年。「下妻物語」という突然変異的に登場した素晴らしく面白い作品で中島哲也監督のファンになりました。
「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」とぶっ飛んだ癖の強い作品も、とても楽しめました。2010年の「告白」の、ひりひりするような物語の展開に心底しびれました。そして実写版の「進撃の巨人」を監督するというニュースが飛び込んできました。
「進撃の巨人」の映画化は中島監督自らオファーしたものです。中島監督は「巨人が理由もなく人を食べる。この絶望感が非常に面白い」と映画化に前向きで「これが最後の中島作品になるかも」とまでの決意を見せていました。だから、突然の監督降板は非常に残念でした。実写映画化のニュースは2011年12月に流れました。1年後の2012年12月、監督降板が報じられました。2013年のアニメの空前の大ヒットの前です。

それだけに新作「渇き。」の公開を心待ちにしていました。切れのある予告編で期待が高まりました。人間の理不尽な暴力性、訳の分からなさを描こうとする監督の意図は伝わってきました。しかし、映画的な面白さを感じることはできませんでした。暴力を気持ち悪く描こうとしながら、月並みな表現にとどまっていたからかもしれません。名優たちのひねった演技も、それぞれ単発に終わり、空回りして相乗効果を上げていません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.07.06

■映画「トランセンデンス」

映画「トランセンデンス」。人工知能学者のウィルがテロにより命を落とします。死ぬ前に意識の複製がコンピューターに「インストール」され、ネットワークを通じて情報を吸収して進化していきます。テーマは興味深いのですが、かなり脚本には難があります。雑すぎです。

人工知能が実現間近になり、賛否が起こります。ウィルは「未知のものを恐れている」と、反対意見を相手にしませんが、人間を遥かに超えた知能を持った存在と人間の関係についての考察は必要でしょう。この辺の意見の対立は、もっと丁寧に描いてほしかったです。テロに走る反対派も浅はかです。

物語は人工知能の問題から、意識のデジタル化へと移行します。ネットワークによって急速に知識を貯えた「電脳ウィル」は、次々と発明を繰り返し、ナノテクノロジーを活用した劇的な治療などを行います。しかし、政府は「電脳ウィル」の危険性に気づき、抹殺しようとします。

「電脳ウィル」を抹殺するために、アメリカ政府はウィルス感染を計画します。「インディペンデンスデイ」で敵の宇宙人の母艦にノートPCでウィルス感染させた場面は「傑作」でしたが、「トランセンデンス」も人間を遥かに超える知能を持つ「電脳ウィル」に原始的な方法で挑みます。

「電脳ウィル」の映像化のセンスが古くさく、20世紀のSFを見ているような感じを受けました。ウォーリー・フィスター監督が撮影出身なのですから、もっと挑戦的な映像を見せてもらいたかったですね。ストーリー展開も、ぎくしゃくして面白みがありません。作品的には、酷評されてても仕方のない出来です。

ただ、「電脳ウィル」のことですから、ウィルス感染で消滅した振りをして、人間に気づかれずにナノテクノロジーなどを使って地球環境や人間存在を変化させているのかもしれません。本当に知恵のある人工知能なら、人間と対立などせずに、密かにそうするでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年6月 | トップページ | 2014年8月 »