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2014.06.28

★映画「私の男」

「私の男」は、2014年を代表する日本映画といえそうです。作品を象徴するような流氷がきしむ場面、荒れ狂う波の場面が印象的です。桜庭一樹の直木賞受賞小説を熊切和嘉が監督しました。

奥尻島を襲った北海道南西沖地震の惨状がリアルに描き出されます。家族を亡くした主人公の花は、親戚の腐野淳悟と紋別で一緒に暮らし始めます。心に深い傷を持つ二人は、禁断の関係を持ちます。

小説は、時間をさかのぼる構成ですが、映画は分かりやすく時系列に沿って進みます。時代にあったフィルム、デジタルの使い分けが効果的です。

腐野淳悟を演じた浅野忠信は、文芸作品に向いている俳優だと思います。大味のハリウッド大作の出演よりも何倍も魅力的です。

花を演じた二階堂ふみの演技は圧倒的です。まだ十代ですが、独自の存在感と巧みな演技が高く評価されてきました。今回は、これまでにも増して熱演しています。

しかし、子供時代の幼い花を演じた2004年生まれの山田望叶の演技力には、舌を巻きました。うまい子役はたくさんいますが、彼女の演技力はちょっと信じられないレベルです。これから、どんな俳優に育っていくのでしょうか。

久々に激しい情念の映画を見ました。熊切和嘉監督の今後の活躍も楽しみです。

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2014.06.26

★「グランド・ブダペスト・ホテル」

ウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」。ピンク色のホテルとお菓子ボックスなど、ゴージャスでキュートな映像美にあふれています。久しぶりに遊び心いっぱいの映像を堪能しました。

物語は、東ヨーロッパにある架空の国を舞台に、いかにも懐古的な回想形式で始まります。情緒あるホテルのオーナーから昔話を聞く1960年代と物語が展開する1930年代が交差します。

高級ホテルのグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴをレイフ・ファインズが、軽妙に演じています。

グスタヴは究極のおもてなしを信条に顧客たちをもてなし絶大の人気を誇っていました。しかし、ホテルの上客だった老マダムが殺され、遺産相続をめっぐって、なんとグスタヴに殺人容疑がかかります。

彼を慕う新人ベルボーイのゼロを巻き込みながら、スラップスティックでコミカルな冒険が始まります。はらはらするミステリアスな展開に引き込まれます。

最近は、こうゆうひねった味のある、美味しい映画が減っているので、久しぶりに映画の持つ不思議な魅力に浸ることができました。

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★「万能鑑定士Q-モナ・リザの瞳-」


佐藤信介監督の映画「万能鑑定士Q-モナ・リザの瞳-」。大好きなモナリザネタなので、期待していました。松岡圭祐の小説『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズ9巻を原作に映画化しました。いきなり9巻からなので、1巻から設定を取り込み脚色しています。

なんと、日本映画で初めてルーヴル美術館内本格ロケが行われた記念すべき作品です。同館内での外国映画のロケは『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)以来ということです。

劇場公開に先駆けて5月5日にはルーヴル美術館内でパリプレミア上映が行われ、好評を得たようです。『ダ・ヴィンチ・コード』以上の素晴らしい作品という意見もあったようです。嬉しいですね。

物語は、名画『モナ・リザ』が40年ぶりに日本にやってくるという設定で始まります。ルーヴルのアジア圏代理人兼調査員である朝比奈尚幸の信頼を得ていた万能鑑定士の凜田莉子は、臨時学芸員の採用試験に招かれます。

莉子に関心を持って密着取材する雑誌記者の小笠原悠斗がパリに同行。ふたりは、不可解な事件に巻き込まれていきます。スタッフ選考試験での学芸員の流泉寺美沙と莉子の緊張関係が良いです。


謎解きが楽しく、パリの風景の切り取り方もセンスがあります。なによりもルーヴル美術館のロケが十分に生かされています。装飾品の数々など、やはり本物は違います。本物と偽物というのはこの作品の重要なテーマでもあります。

ストーリーもテンポが良く、なかなか面白い展開でした。ただ後半が、やや安っぽくなってしまったのは残念。日本で一般公開された『モナ・リザ』は偽物という、人を食ったラストシーンには、クスリとしました。

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2014.06.12

アニメ「極黒のブリュンヒルデ」

4月から始まったアニメ「極黒のブリュンヒルデ」については、完結してから感想を書こうと思っていました。岡本倫の素晴らしいコミックが、どのようにアニメ化されるのか、毎回固唾をのんで見つめてきました。

ブリュンヒルデは、北欧神話に登場するワルキューレの一人、長女です。ワルキューレは「死者を天上に連れていく」存在です。「崖の上のポニョ」のポニョの本名がブリュンヒルデだったことは、意外に知られていません。

コミック「極黒のブリュンヒルデ」は、傑作「エルフェンリート」を連想させますが、ストーリーは遥かに練られています。登場人物は、みな的確なキャラ設定です。シリアスとギャグが瞬時に入れ替わるセンスは見事です。

アニメも、幾分かの改変はあるものの、コミックの良さをうまく引き出しています。珍しいインストルメンタルなオープニング曲と切れのある映像は絶大な支持を集めました。10話で曲が変わったときは、批判が起きました。

10話は、奈波編と呼べる感動的な物語です。生と死、記憶を巡る悲劇。これほど見事な展開はなかなかできません。これからは、絶大な力を持つ「ヴァルキュリア」藤崎真子との戦いが始まります。

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