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2014.05.24

「クレヨンしんちゃん 逆襲のロボとうちゃん」

「クレヨンしんちゃん」劇場版シリーズ第22作目の「クレヨンしんちゃん 逆襲のロボとうちゃん」を観ました。ロボットアニメです。「野原しんのすけの父親・ひろしがロボットにされてしまう」という奇想天外な事件から、ストーリーは始まります。シリーズ初のしんのすけの父・ひろしをメインにしたストーリーです。父と子とロボットをめぐる映画はたくさんありますが、父親が突然ロボットにされる映画は珍しいです。

「健全ロボ ダイミダラー」にはかないませんが、かなり危ないギャグも出てきます。高橋渉(たかはし・わたる)が当映画シリーズの初監督をつとめています。湯浅政明監督が作画だけでなく、絵コンテとしても参加しています。湯浅色がかなり出ています。

何と言っても中島かずきの脚本が出色です。中島かずきは、双葉社の社員として原作者の臼井儀人(うすい・よしと)の編集担当の経験を持っています。2007年から2010年まで「映画クレヨンしんちゃん」のチーフプロデューサーも務めていました。その彼が、満を持して放ったストーリー。中島かずき節全開の強引な展開に翻弄されます。

中島かずきの紡ぎだす物語は、「天元突破グレンラガン」「キルラキル」のファンなら周知のことですが、泣かせどころを心得た展開です。驚かせて、熱くさせ、泣かせるという技はピカイチです。今回も、その技が遺憾なく発揮されています。

ギャグに包み込まれるとはいえ、かなり重たいメッセージも込められています。強権的な頑固親父の復権を目指す流れに対して、自分のふがいなさや弱さを知っているひろしが立ち向かいます。


大人が、特にお父さんが、感情移入して激しく感動する内容です。2001年に公開された劇場版シリーズの9作目「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」、2002年公開のシリーズ第10作目『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』と並ぶ傑作と言えます。

「オトナ帝国」「戦国大合戦」と、アニメ史に刻まれる傑作が続き、これ以上の作品は困難と思われていましたが、22作目にして再び感動巨編が生まれました。中島かずきと「クレヨンしんちゃん」は、驚くほど相性が良かったです。

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2014.05.21

■「それでも夜は明ける」

「それでも夜は明ける」を観ました。スティーヴ・マックイーン監督。原作は1853年発表のソロモン・ノーサップによる「12年間、奴隷として」です。1841年にワシントンD.C.で誘拐され奴隷として売られたソロモンは、解放されるまでの12年間、ルイジアナ州のプランテーションで働いていました。

ソロモンは、自由な黒人として、ヴァイオリン奏者として生計を立てていましたが、ある日、彼は二人組の男たちにだまされ、奴隷を虐待する農園の支配人のエドウィン・エップスのもとに売られてしまいます。白人たちの非道な仕打ちに耐えながら、ソロモンは尊厳を守り続けます。

幾多の苦難を乗り越えて、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会い、あっさりと解放されます。この辺は、実話とはいえ、あまりにも唐突です。自由黒人という微妙な立場による葛藤も十分に伝わってきません。

映画は、解放されたソロモンが家族と再会したところで終わりますが、その後の奴隷制度廃止に向けたソロモンの活動も描いてもらいたかったと思いました。奴隷制という歴史の暗部を描きながら、現代の差別をあぶり出すというまでには、至っていません。第86回アカデミー賞の作品賞を受賞しましたが、作品的には「ゼロ・グラビティ」の圧倒的な突き抜け感には及びません。

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2014.05.20

「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」

矢口史靖監督の「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」。三浦しをんの小説の映画化。宮崎駿監督が「映画にしたくなったという作品」として有名です。「なあなあ」は神去村の方言で「のんびりいこう」という意味ですが、日常の挨拶にも使われます。矢口監督にとっては初めて手がける原作作品です。

まさに青春林業映画。何となく生きていた主人公が、林業という世界に出会い成長していく物語です。矢口監督らしいギャグに笑わされているうちに、雄大な自然と林業の魅力に引き込まれていきます。CGを使わないで撮影されました。小説とは、林業研修に参加する理由などは違いますが、軽いノリで始まって深みへと連れて行く流れは、小説と共通しています。

100年後に向けて日々の作業をしていく「林業」という仕事の特殊性や崇高性に打たれます。初めて主人公が木を伐採する場面から、映画は緊張感をはらみ、どんどん面白くなっていきます。伐採シーンの迫力は、これまで見てきた映画の中でもピカイチです。森の美しさとともに圧巻です。最後のオチもよくできていました。

三浦しをん原作の「舟を編む」も傑作でしたが、この作品もさわやかな後味を残す佳作です。1993年の「裸足のピクニック」で、その独創的な才能に出会って以来の矢口監督ファンですが、また新しい作品に出会えて幸せでした。

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