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2014.03.21

「ハンナ・アーレント」

マルガレーテ・フォン・トロッタ監督の「ハンナ・アーレント」。時間がゆっくりと流れ、見ている一人一人がじっくりと考えることができる映画作品です。ドイツで生まれ第2次世界大戦中にナチスの収容所から逃れてアメリカに亡命した哲学者ハンナ・アーレント。彼女の強靭な思考と柔らかな人間関係をバランス良く描いた佳作です。

1960年、ナチス親衛隊でユダヤ人強制収容所移送の最高責任者だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエルの諜報機関によって逮捕されます。そしてイスラエルでアイヒマン裁判が開かれます。アーレントは裁判を傍聴し、アイヒマンが冷酷な怪物ではなく、命令を忠実に実行した平凡な役人にすぎないと「ザ・ニューヨーカー」誌に発表します。さらに、一部ユダヤ人指導層がナチスに協力したと指摘したために非難中傷され、大学を追われます。

アーレントが「悪の陳腐さ」と名付けた考え方は、あらゆる官僚組織を視野に入れています。自分たちとは異質な悪としてのナチスの戦犯ではなく、そこに共通した構造があるとした彼女の指摘は、鋭い主張ですが、猛反発を受けます。私たちが目を背けたいと思っていることだからです。

硬直化した官僚組織といかに対峙していくかは、現代の重要なテーマです。私が、組織ではなく、個人と個人が共感と信頼で直接つながるソーシャルメディアに大きな可能性を感じているのは、そのためです。

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2014.03.20

「新しき世界」

パク・フンジョン監督・脚本の「新しき世界」。久しぶりの韓国映画です。考え抜かれた見事な脚本と、個性的な熱演を見せる俳優たち。ヤクザの組織に潜入捜査している警察官の物語は珍しくありませんが、傑作です。異様な緊張感の連続と大どんでん返しの展開は、長く記憶に残ると思います。

とにかく怖い映画なので、覚悟してみなければなりませんが、映像的な面白さにも満ちています。冒頭の凄惨な拷問シーンの深い闇の演出、エレベーターの中でのバトル・シーンの映像の見せ方のうまさには、うなりました。

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「野のなななのか」

大林宣彦監督の最新作「野のなななのか」。171分の大作です。現在の芦別が舞台。「なななのか」は四十九日のことです。

古物商「星降る文化堂」を営む元病院長の鈴木光男が92歳で亡くなります。バラバラに暮らしている鈴木家の人たちが葬式のために芦別に戻ってきます。そして、常盤貴子が演じる謎の女・清水信子が、鈴木光男の過去を照らし出していきます。

1945年8月15日以降も戦争が続いていた樺太。ソ連軍の侵攻を体験した光男は、衝撃的な体験をします。生と死の境界線が曖昧な四十九日の期間、生者も死者が交流します。人と人のつながり、ふるさととのつながりがあぶり出されていきます。

大林監督自身が語っているような、この作品は、普通の映画とはスタイルをことにしています。肩すかしをくらいます。評論集のような雰囲気を漂わせています。散漫になりかねない作品を、清水信子役の常盤貴子の凛とした存在感がなんとかつなぎ止めていると感じました。

言葉による説明が多すぎると思いますが、その奥にある全体を包み込むような温かく切実な監督の思いは、伝わってきます。

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アニメ「アナと雪の女王」

「アナと雪の女王」は、ことしのアカデミー賞で「長編アニメーション賞」「主題歌賞」を受賞しました。
ディズニー史上初めての女性監督による作品です。アンデルセン童話の「雪の女王」を参考にしながらも、まったく違った色調の作品に仕上げています。
アニメでは難しい氷や雪の質感がみごとで、その美しさに見とれました。アナとエルサという二人の姉妹の仕草や表情の繊細な動きにも感動しました。
「プリンスがプリンセスにキスをすることで救われる」というディズニーアニメのお決まりを裏切る展開を見せます。驚きでした。
宮崎駿監督の「風立ちぬ」は、残念ながらアカデミー賞を受賞しませんでしたが、「アナと雪の女王」の完成度を考えると仕方ないと思います。観客の心をしっかりとつかむ作品です。

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2014.03.10

■3月15日の講座は2年間の総集編でもあります

さっぽろ自由学校「遊」の講座は、2012年4月の公開講座「ソーシャルメディアを市民の力に」が最初です。
個人と個人が信頼と共感でつながるソーシャルメディアは、市民活動の原点と共通するという観点で、その活用を呼びかけました。さまざまなソーシャルメディアの特徴と注意点を解説しました。その後、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の幅広い使い方を説明し、2013年度後半は表現力に力点を置いた「社会力講座」を続けてきました。15日は、新しい時代の幕開けであるユーザーインターフェイスの話しとともに、これまでの総まとめも行いたいと思います。
これまで参加していただいた方に、感謝の気持ちでいっぱいです。
http://www.sapporoyu.org/modules/sy_course/index.php?id_course=371

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2014.03.09

「ラッシュ/プライドと友情」

ロン・ハワード監督の「ラッシュ/プライドと友情」。F1レーサーのニキ・ラウダとジェームス・ハントが激しいタイトル争いを繰り広げた実話を映画化しました。直感型で陽気なジェームス・ハント、隙のない冷静沈着なニキ・ラウダと性格もドライビングスタイルも対照的です。

1976年、ランキング1位だったラウダはドイツ大会で大事故に遭い、大やけどし重傷を負います。しかし、わずか6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでのシリーズ最後のレースに臨みます。

二人をくっきりと浮かび上がらせる脚本もすばらしいですが、レースシーンの映像の迫力に打ちのめされます。あの音と映像の編集力は、高く評価されるべきです。

「アクションドラマであるのと同時に心理ドラマ」とロン・ハワード監督が話していましたが、まさに心理的な闘いとつながりが描かれています。ロン・ハワード監督は1970年代を「懐かしさと悲しさを感じさせる時代」と表現しています。私にとっては、うらやましくて、まぶしい時代です。

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