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2014.02.23

「小さいおうち」

「小さいおうち」は、82歳の山田洋次監督の82作目の作品。中島京子が2010年に直木賞を受賞した小説の映画化です。さすがの巨匠です。小津作品へのオマージュを捧げながら、すべてのカットが手堅く自然に流れていきます。映画が、心地よく身体にしみ込んでくる感じです。


映画は、一人暮らしのタキが孤独死し、残された遺品の中から大学ノートに綴った自叙伝が見つかる場面から始まります。タキは、昭和初期、東京郊外に建つモダンな赤い屋根の家で、お手伝いさんとして働いていました。戦争へと日本が傾いていく中で、タキは妻の時子と夫の会社の後輩の青年との恋愛を知って苦しみます。山田洋次監督が性の問題、同性愛の問題にまで踏み込んでいく姿に驚かされます。

泥沼の戦争へとなだれ込んでいく日本を、日常生活の変化と、それに伴う意識の変化をきめ細かく描くことで、恐ろしいリアリティを生み出しています。原作の小説が生まれたとき、この作品が企画されたとき以上に、恐ろしいリアリティを感じます。東京オリンピックの開催が決まる場面には、ぞっとしました。この作品の秘密は、恋愛とともに、そこにもあるのかもしれません。


ことしのベルリン国際映画祭で、23歳の黒木華(くろき・はる)が最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞しました。2月16日のことです。2010年の寺島しのぶ以来4人目。寺島しのぶのアクの強い演技に比べ一見地味ですが、演技の幅と繊細さは群を抜いています。山田監督は「ぼくもびっくりするくらいの出来事。この子が国際的女優になれて、ホントにうれしいです」と絶賛しています。

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