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2013.06.16

■映画「インポッシブル」

実話を基にした「インポッシブル」(フアン・アントニオ・バヨナ監督、2012年)が劇場公開されました。2004年12月26日、スマトラ島沖地震で発生した大津波を描いているので、一時日本での公開が危ぶまれていました。私の中にも観ることをためらう気持ちがありました。

気持ちが揺れ動く日が続きましたが、やはり「インポッシブル」を観ることにしました。自分が、どのような反応をするのかを確かめたいと思いました。そして、映画という表現についても、あらためて考えたいと思いました。見終わった後、私の気持ちはさらに激しく揺れました。

東日本大震災の後、津波シーンが冒頭にある「ヒア・アフター」の上映が中止になり、しばらくの間、映画の津波シーンはタブーになりました。しかしテレビでは生々しい津波シーンが放映され続けました。「インポッシブル」が劇場公開されたことは間違っていなかったと思います。

「インポッシブル」の津波シーンの凄まじさは想像を超えていました。人間がぼろぼろになっていきます。その中で生き延びよう、助け合おうとする人間の感情、行動の生々しい迫力に打たれました。真実に迫ろうとする監督の思いの強さを、まざまざと感じました。

マリアとヘンリーの夫婦は3人の息子を連れてタイのリゾート地にバカンスにやってきて、大津波に飲まれ離ればなれになります。マリア役ナオミ・ワッツの熱演は、第85回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされました。しかし、子役たちの演技の方が心に残りました。

大津波により、22万人を超える人が犠牲となりました。この作品は、観光に来た5人の家族の奇跡の再会にスポットを当てています。多くの地元に悲劇ではなく、旅行者を中心に描いたことへの批判がなされています。しかし、監督はそのことに自覚的な描写をしています。

この映画が、富裕な観光客の幸運を描いているということを観客にあえて気づかせるようにしています。観客は、違和感を抱えながら、距離感をもって映画に向き合います。あざとく見える映画が、誠実なまなざしに支えられていることを、ひしひしと感じました。

5人は幸運にも無事で再会し、保険会社が用意した専用の飛行機でシンガポールに脱出します。津波で破壊された土地が映し出されます。実話であるために、ここまで描いたのでしょうが、この作品が保険会社の壮大なコマーシャルに見えてしまいかねません。

チャーリー・チャップリンの娘、女優のジェラルディン・チャップリンが印象的に登場します。彼女が星を見ながら子供に向かって語りかけた言葉が、映画の題名「インポッシブル」です。この場面だけは、不思議な雰囲気で異質です。

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