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2013.05.05

■「リンカーン」憲法改正の意味するもの

スティーヴン・スピルバーグ監督の「リンカーン」は、通常の伝記ではなく、奴隷制廃止の憲法改正をめぐる2か月を中心に描いています。リンカーンが行った奇麗事ではない生々しい多数派工作が克明に浮かび上がります。憲法改正には、議会の3分の2、全州の4分の3の賛成が必要です。

奴隷制廃止という理想に燃えながらも、議会の3分の2の賛成を獲得することは極めて困難でした。障害にぶつかりながら、死にものぐるいで懐柔し説得していきます。しかし、過半数の賛成で憲法改正できるようにしようとはしませんでした。3分の2は、憲法を変えるという重大さを意味しています。

日本国憲法96条は憲法の改正を定めたものですから、ある意味では9条以上に重要な条文です。単なる手続き論ではなく、憲法の基本的な存立に関わります。「総議員の過半数」なら、政権交代毎に憲法の基本が変わることにもなりかねません。

憲法の改正は「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」と議員については総数としていますが、「国民投票による過半数の賛成」は、「有効投票数の過半数」と、極めてゆるい設定です。投票率40%なら、5人に1人の賛成で成立します。

世論調査などで「憲法改正」とひとくくりにして賛否を問うのは間違いです。憲法の基本理念「国民主権」「戦争放棄」「基本的人権の尊重」を、より明確にしていくための改正と、基本理念を否定する「改正」は、全く方向が違います。リンカーンの奴隷制廃止は、憲法の精神を明確にしたものです。

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