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2013.04.17

■「コズモポリス」


 金融パニックや反格差社会デモを予見したと言われるドン・デリーロの小説「コズモポリス」を、デイヴィッド・クローネンバーグがわずか6日間で脚本化しました。いくら気に入ったからと言って6日間はあまりにも短すぎます。

リムジンの中での会話シーンが多過ぎ、ストーリーにも捻りが少なくて物足りません。ことしの睡眠薬映画大賞に躍り出そうなほど、単調な会話劇が延々と続きます。しかし最後は、ゆがんだ前立腺という、いかにもクローネンバーグらしい落としどころでした。

デモに荒れる外と、精密で衛生的な空間であるリムジンの中。その対比が十分に生きていません。ジュリエット・ビノシュ、ポール・ジアマッティ、マチュー・アマルリックなど実力派の俳優をそろえています。存在感抜群ですが、皆そそくさと退場してしまうので緊張が持続しません。

構成に問題がある作品ですが、特筆すべきは、サントラの良さです。そして、ジャクソン・ポロック風のオープニングとマーク・ロスコで終わるエンディング映像のセンスも抜群です。もう一捻りしていればと、残念に思います。

この春に劇場公開予定のデヴィッド・クローネンバーグ監督の息子、ブランドン・クローネンバーグの長編監督デビュー作「アンチヴァイラル」に注目しています。往年のデヴィッド・クローネンバーグの粘着質の世界を、やや漂白したような美意識で描くサイバーパンク・ミステリー。予告編を見ると、わくわくしてしまいます。

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» コズモポリス  監督/デヴィッド・クローネンバーグ [西京極 紫の館]
【出演】  ロバート・パティンソン  ジュリエット・ビノシュ  サラ・ガドン 【ストーリー】 28歳という若さで巨万の富を手に入れたニューヨークの投資家のエリック・パッカー。白いリムジンの中で金を動かし、天国と地獄が隣り合わせで一瞬先は闇という投資の世界に生...... [続きを読む]

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