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2013.03.16

■「クラウド・アトラス」は、あらゆる映画的なジャンルを横断する不思議な作品

「クラウド・アトラス」は、過去、現在、未来、500年の時を自由に横断する3時間を超える大作です。いかにも、現代的な題名ですが、原作者のデイヴィッド・ミッチェルは、作曲家・一柳慧(いちやなぎ・とし)のピアノ曲「雲の表情(Cloud Atlas)」(1985年)から小説の題名をつけました。意外ですね。

同じ作品で複数の役を演じるという点では、「ナッティ・プロフェッサー」で1人7役を演じたエディ・マーフィには及ばないものの、トム・ハンクスが6役を演じています。すごいのは、主な俳優たちが、皆たくさんの役をこなしている点です。驚きです。

ただ複数の役を演じているのではありません。特殊メイクによって、年齢、人種、性別さえ超えて演じているのです。エンドロールの最初に、オールスターが演じた役が画像とともに紹介されます。全く気がつかなかった役、続出です。「え!」と、びっくりしますよ。

主人公のトム・ハンクスが演じた6役は、役柄は多彩ながら、一目でトム・ハンクスと分かります。違う時代の違う人物を演じながらも、かすかに雰囲気を残しているあたりは、相変わらず、うまいです。さまざまな悪役を演じたヒュー・グラントも名演でした。

ヒューゴ・ウィービングの大胆な変身ぶりも、楽しめますが、中でも女看護師には笑いました。ハル・ベリーも、ジャーナリストなど、さまざまな役を演じましたが、エンドロールの種明かしで一番驚かされたのが彼女でした。全く意外な役を演じていました。

映画「クラウド・アトラス」は、6つの時代を描いています。ラナ・ウォシャウスキーとアンディ・ウォシャウスキーが1849年のユーイングの航海、2144年のソンミの反乱、24世紀のザックリーを、トム・ティクバ監督が残りの3つの時代を担当しました。面白い組み合わせです。

1936年、フロビシャーはエアズの採譜者を務めながら、名曲「クラウド アトラス六重奏」を作曲します。この曲は、トム・ティクバ監督が自ら作曲したものです。非常に美しい旋律が印象的ですが、控えめに使われています。もっと前面に押し出しても良かったと思う名曲です。

時代が交錯するので最初は少し戸惑いますが、場面転換が巧みで、やがて苦にならなくなります。複雑なストーリーながら、飽きさせません。分かりやすい映画的な感動を与えるタイプの作品ではありませんが、すごい作品を体験したという感慨に浸ることができます。

「マトリックス」後、ラリー・ウォシャウスキー監督は、性転換し女性のラナ・ウォシャウスキーになりました。「クラウド・アトラス」は、俳優たちも人種や性別を自在に超えて演じています。そして、あらゆる映画的なジャンルを横断する不思議な作品に仕上がっています。歴史に残る試みです。

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