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2013.03.20

■「シュガーマン 奇跡に愛された男」

「シュガーマン 奇跡に愛された男」。2012年のスウェーデン・イギリスのドキュメンタリー映画です。マリク・ベンジェルール監督はスウェーデンの国営テレビの仕事を辞めた後、題材探しのため自費で16カ国を旅し、訪れた南アフリカでこの驚くべき事実に偶然出会います。

監督は、それからずっと制作を続けましたが、出資協力をしてもらえる人が見つからず、撮影はすべて自己負担で行ったと言います。資金が尽き、残りの撮影をiPhoneアプリで乗りきり作品を完成させました。そして、第85回アカデミー最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞しました。

1970年、ロドリゲスはアルバム「Cold Fact」でアメリカ・デビューしますが全く売れずに引退します。しかし、70年代にアルバムは南アフリカにわたり、体制を変えようとする若者たちに熱烈に支持されて革命のシンボルとなります。しかしそのことはロドリゲスには知らされませんでした。

南アフリカでは、20年に渡って幅広い世代に支持され続け100万枚が売れたと言います。ローリング・ストーンズやボブ・ディランより有名です。しかしロドリゲスの行方は不明で、ステージで自殺した、刑務所で死んだなどの伝説が流れていました。

南アフリカの熱狂的ファンがロドリゲスの運命を探る調査を始め、インターネットでロドリゲスの情報提供を呼びかけました。すると、ロドリゲスの娘から書き込みがあり、彼が健在であることが分かります。そして、ロドリゲスの南アフリカ・ライブコンサートが実現します。

ロドリゲスは、建築作業員として収入を得ながら、社会活動を続け質素に生活していました。娘さんたちのしっかりした話し振りを聞くと、子供の教育にも熱心だったことが分かります。社会的なメッセージを込めて歌っていた姿勢が、そのまま貫かれていたことに驚きます。

南アフリカ・ライブコンサートの様子を伝えるために、ロドリゲスの友人や娘の撮影した映像が使われています。当時の熱狂的な雰囲気が伝わってきます。その中で、冷静に穏やかに振る舞うロドリゲスの姿が感動的です。かれは、今も質素に堅実に生活しています。

驚くべき事実に圧倒されました。ドキュメンタリーでは印税の行方も追究されますが、お金に執着しないロドリゲスの生き様を見ていると、その問題も小さく見えます。これは奇跡の復活のドラマではなく、アーティストの生き方を示した奇跡のドキュメンタリーです。

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