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2012.11.24

■映画「悪の教典」


「悪の教典」は、貴志祐介原作小説の映画化。三池崇史監督が、どう料理するか期待が集まっていました。初めて三池崇史映画を観た人には十分衝撃的だと思いますが、長年三池作品を見続けてきた私は、詰めが甘く、突き抜け感が少ないと感じます。

主演の伊藤英明は、2012年、「海猿」と「悪の教典」という真逆の役を熱演したことは評価します。「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」以来の三池作品。ただ、快活さに秘められた残酷さがサイコキラーにつながっていく不気味さまでは伝わってきません。

ストーリーに深みがない。サイコキラーとしての厚みが乏しいです。学園祭準備で夜も生徒が学校に集まっているという設定が、生かしきれていません。恐怖におびえる生徒達の閉塞感、じわじわ感が乏しいです。猟銃での生徒の殺し方も、単純過ぎます。

安っぽい猟銃のCGはマイナスの効果しかなかったです。原作の冒頭に出てくる2匹のカラスはとても印象的ですが、映画的なアイデアでの象徴的なカラスの使い方は、なかなか面白かったです。二階堂ふみの俳優としての存在感は、園子温監督の「ヒミズ」以上でした。

「悪の教典」で連想したのは三池作品の傑作「オーディション」(2000年)です。村上龍の同名小説を石橋凌主演。椎名英姫の美しさと怖さがすさまじいです。追いつめられていく息苦しさが強烈。地獄絵図という言葉がぴったりな作品です。

2000年の第29回ロッテルダム国際映画祭の上映では、記録的な人数の途中退出者を出し、映画を観た客が激怒して三池監督に「悪魔!」と詰め寄ったという逸話が伝えられています。多くの賞を獲得し、三池監督の名前を世界にとどろかせました。

伊藤英明が主演した「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」は、源平合戦と西部劇をミックスした全編英語の活劇。ストーリーはむちゃくちゃですが、マカロニウエスタンと日本の様式美へのオマージュに満ちています。クエンティン・タランティーノの演技がすごかった。北島三郎の主題歌というのも驚きでした。

このほか、2010年公開の「十三人の刺客」が強烈な印象を残しています。これ程堂々とした時代劇は久しぶりでした。骨太な大作の風格。武士たちの壮絶な死闘の連続。監督お得意の悪ふざけも少なく、最後まで緊張が続きます。 観た後、長く後をひく映画でした。

三池崇史監督は、年に数本劇場公開してしまうほど多作で、しかもジャンルやテイストが違うので、海外では複数の監督ではないかと疑われているほどです。これからも驚くような作品を数多く生み出してくれるでしょう。

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