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2012.11.23

■「危険なメソッド」端正で気品のある映像美につつまれながら、心の奥底の闇へ

デヴィッド・クローネンバーグ監督の作品は、1969年の「ステレオ」以降、ほとんど観ています。特に「ザ・フライ」の表現力には打ちのめされました。身体の変容や特殊能力を描く作品から、人間の心の奥底を覗き込むような内容に変わっていきました。しかし、めまいを起こしそうな危うい作風は、変わっていません。

新作「危険なメソッド」は、ユングとフロイト、患者ザビーナの3人を中心とした人間ドラマです。ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、ヴァンサン・カッセルが、それぞれフロイト、ユング、グロスと3人の精神科医を演じます。さすがに渋くて、貫禄あります。

しかし、ザビーナ役のキーラ・ナイトレイの迫力ある演技に目を見張りました。目をむき下あごを突き出し、顔の筋肉を震わせて恐怖、怒り、不安と激しく変化する感情を表現していました。熱演という表現すら、なまぬるいような壮絶な演技でした。

ザビーナは自分の欲望を相対化して、自らも精神科医を目指します。ユングは、やがて神経衰弱となります。精神を病んだ者が精神科医となり、精神科医が精神を病んで行きます。端正で気品のある映像美につつまれながら、心の奥底の闇へと連れて行かれます。

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