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2012.09.23

■第7回札幌国際短編映画祭(SAPPOROショートフェスト2012)報告

第7回札幌国際短編映画祭(SAPPOROショートフェスト2012)は、9月12日-17日、札幌プラザ2・5をメーン会場に開かれました。
今年のコンペには世界93の国と地域から計2723作品が参加。「作品部門」71作品、「フィルムメーカー部門」4監督16作品が選ばれました。そして、グランプリを競いました。作品部門グランプリは「アルマゲドン」、フィルムメーカー部門はヨハネス・二ホーム監督が受賞しました。
SAPPOROショートフェストは、グランプリだけではなく、映像作品の多様性の配慮し、本当にたくさんの賞を用意している映画祭です。でも、まだまだ賞を上げたい作品がたくさんありました。
コンペ参加作品を紹介します。

■作品部門
■インターナショナルプログラム
★アニメを中心とした「ファミリー・チルドレン」プログラムは、毎年面白いですね。子供達もたくさん参加し、拍手していました。
「グラッファローのこども」は、2010年上映の「グラッファロー」の続編。そのほか、クレイアニメのクロマメ制作「バーチェとチェーチェともりのようせい」、まくまくんシリーズも楽しいです。

★IーAプログラム
ラストで種明かしされる「フィナーレ」の見事さ。ビデオを巧みに使い不思議な世界を作り上げた「親愛なるリサへ」。日本人の女性と、妻を亡くした男のワイナリーの交流を描いた「冬の蛙」も印象的でした。

★IーBプログラム。
最初のドイツ作品「フラミンゴ・プライド」は、ハイテンションのCGアニメ。一気に盛り上がります。オーストリアの「バスチケット」は、グランプリを争い、審査員特別賞に輝きました。フランスのゾンビ作品「私の愛しいゾンビ(血で染まったパリから)」もしゃれています。老夫婦が良い味を出している「アルマゲドン」は、作品部門のグランプリと、最優秀男優賞を受賞しました。

★IーCでは、ドバイでの列車の旅を描いた「渇き」の変化する映像を楽しみました。「オー!ウィリー」の不思議なフェルトアニメは、最優秀アニメーション賞に選ばれました。

★IーDプログラムでは、「グルコース」が独自の世界観をユニークで精緻なCGで表現。「群れ」の昆虫の繁茂アニメには圧倒されました。虫が苦手な人には危険です。トルコの作品「サイレント」は、最優秀脚本賞に輝きました。

★IーEプログラムでは、女の子の気持ちの変化を通じて、生きる希望を描いた「ソフィアの門限」が傑出していました。最優秀子役賞を受賞しました。ナチス親衛隊に志願したノルウェー人の遺骨採取を記録した「トランジット」は、もう少し深めるとドキュメンタリー賞になるテーマでしょう。

★IーF。「ウォンテッド・メロディー」は、大人のクスクスアニメ。セリフのない「イン・ザ・ニック・オブ・タイム」は心温まる結末でした。最優秀ノンダイアログ賞を受賞。出稼ぎを描いた「ストレンジャー」は最優秀女優賞を受賞しました。

■日本の作品の「ナショナルプログラム」
★ナショナルプログラムA。多彩で、どの作品もインパクトがありました。
「桜の温度」(Sakura no ondo)は、平尾 隆之(Takayuki HIRAO)監督のアニメですが、ufotableが制作しています。小さな大作。新しい息吹、可能性を感じます。

「Matou」は、さまざまに着替えながら若返っていく一人の女性を描きます。平林勇(ひらばやし・いさむ)監督ならではの、毒の利いた作品。最優秀コンテンポラリー/エクスぺリメンタルショート賞、ベストミニショート賞を受賞しました。
「救命士」(Paramedic)は、20分の本格ドラマです。救急隊員が現場に急行しますが若い妊婦と恋人らしき男が病院に受け入れを断られます。救急隊員たちの苦労が伝わってきます。完山京洪(Keihiro Kanyama)監督。
山川晃(Hikaru Yamakawa)監督の「How do you get in "Outside"?」。不条理とユーモアを含んだCGでの独創的な映像です。甲斐 さやか(Sayaka Kai)監督の「SIOSAI」は、映像詩、ポエムです。こういう作品が私は好きです。

「グレートラビット」(The Great Rabbit)相変わらず、不条理でユーモラスで毒のある和田淳(わだ・あつし)監督作品。シャープペンの魔術です。

「転校生」(Transferring)
金井純一(Junichi Kanai)監督。クラスで居場所のなくなった容子のもとに転校生がやってきます。揺れ動く心を見事にとらえています。最優秀監督賞、最優秀国内作品賞をダブル受賞。

★ナショナルプログラムBは、独創的なアニメに驚きます。
「この男子、宇宙人と戦えます。」は、いわゆる世界系のアニメ作品。荒唐無稽の中にリアルが潜んでいます。「大きな樹」は、油絵風の新鮮な表現のアニメ。「干し柿」は、介護をテーマにした佳作。「リリタアル」は、精緻に書き込まれた独自の世界観に貫かれたハイレベルのアニメです。最優秀作曲賞を受賞。
爆笑短編「伝説の家族」(照屋年之監督、15分)は、笑いが止まりませんでした。たぶん伝説のショートとなるでしょう。

■北海道セレクション
「うごくえこよみ」は、横須賀令子さんが描く墨絵のアニメ。日本の豊かな四季を表現していました。最優秀北海道作品賞を受賞しました。危篤のおじいちゃんの下にに集まる「スノウリバーのシャロン」は、予想外にユーモラス作品。監督が友達と楽しんで制作した感じが伝わってきます。

■フイルムメーカー部門
一人の監督の複数の作品をまとめて上映するユニークなコンペです。
フイルムメーカー部門A。
ポルトガルのモハマドレジャ・ハジポ監督の作品は、社会的なテーマを扱った、ちょっとコミカルな映画。監督の私費で制作。11時間で撮影した「ベイビー」が面白かったです。

アメリカのドン・ハーツフェルト監督の作品は、単純な線画を駆使した毒のある内容。絵は可愛いですが、語られる物語はシュールで怖いです。奇妙な味わいがありました。

フイルムメーカー部門B。
オーバーチュアとヨハネス・二ホーム監督です。
オーバーチュアは、日本人とアメリカ人のユニット。手書きの良さを生かした浮遊感のあるシュールなミュージックビデオです。

スウェーデンのヨハネス・二ホームは、粘土細工のパペットボーイを駆使した、落ち着かないアニメが持ち味。最後の監督が登場するドキュメンタリーは、アニメの説明ではなく、アニメを組み込んだ巧みな作品になっていて、驚きました。そのアイデアに打ちのめされました。癖の強い作風ですが、そのインパクトで、フィルムメーカー部門グランプリを受賞しました。

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