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2012.08.21

■「おおかみこどもの雨と雪」は、評価が分かれる作品でしょう

細田守監督の新作アニメ「おおかみこどもの雨と雪」。初めて自ら脚本も手がけています。2006年の「時をかける少女」、2009年の「サマーウォーズ」と、3年ごとに作品を公開しています。今回も、新しい表現に驚かされました。ただ、ストーリーは物足りなかったです。

一見、ジブリアニメを連想させますが、やはり微妙に違います。実写に近い緻密な自然描写と2次元のアニメ的な線画が出会い、新しい質感の表現が生まれています。躍動感のある映像も、宮崎駿アニメとは違う間合いを持っています。

19歳の大学生・花が、おおかみおとこと恋に落ち、雪と雨というおおかみこどもの姉弟を生み、父親の急死にもめげずに2人を育てていきます。花は、子育てにすべてを捧げていきますが、母性ばかりが強調され、葛藤の表現が少な過ぎます。頼る人が皆無というのもなんか腑に落ちません。

すごく深く感動する人と、私のように違和感を抱いたまま見終わる人に分かれる作品だと思います。アニメの表現は素晴らしいと思います。

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■「プロメテウス」は、3D映像の素晴らしさに満ちています

リドリー・スコット監督の「プロメテウス」は、3Dで観るべき作品です。映像の素晴らしさが大半の魅力だからです。冒頭の太古の自然のシーンから、そのスケール感、美しさに引き込まれます。さすが、リドリー・スコットと評価できる3D映画です。ストーリーはともかく...。

古代の複数の遺跡から共通の謎の星が見つかります。調査チームがつくられ、宇宙船プロメテウス号に乗って問題の星を目指します。そして、惑星LV-223に降り立ちます。人類発生の驚くべき起源が明らかになります。ある意味、反進化論のトンデモ映画です。

ネタばらしになるかもしれませんが、この専門家による調査チームは、惑星での調査を始めますが、信じられないような危険な振る舞いをします。あまりの無防備さ、無鉄砲さに、ただ、ただ驚かされました。面白くするためとはいえ、非現実的で酷過ぎます。

惑星にある遺跡らしき建造物内は、あのH・R・ギーガーのデザインにあふれています。私は「エイリアン」でギーガーを知り、その作品集を買いあさりました。「プロメテウス」のデザインからは、ギーガー的なエロティシズムは感じられませんでした。

「ミレニアム」3部作で有名になったノオミ・ラパスは、人間とは思えないタフさです。シガニー・ウィーバーを超えています。アンドロイドのデヴィッド役のマイケル・ファスベンダーは、とても重要な役回りです。アンドロイドと見間違うクールな演技を見せるシャーリーズ・セロンも魅力的です。

「プロメテウス」は、2084年から2093年が舞台です。1979年公開の「エイリアン」は、2122年の設定でした。「プロメテウス」は、間違いなく、「エイリアン」につながっていきますが、その間に、何編かの続編がつくられることになりそうです。

リドリー・スコット監督は、すでに「プロメテウス」続編の準備を進めています。題名は「パラダイス」になりそう。たぶん2015年の公開でしょう。74歳になっても、リドリー・スコット監督の映画への情熱、その気迫は、いささかも衰えていません。強くなっているかもしれません。

リドリー・スコット監督には、あと10年、20年と映画をつくり続けてもらいたいです。と、思っていたら、弟のトニー・スコット監督が自殺してしまいました。大きなショックを受け、リドリー・スコット監督は撮影中の「ザ・カウンセラー」の製作を中断しました。

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■「遊星からの物体X ファーストコンタクト」前作への深い愛を感じます

「遊星からの物体X ファーストコンタクト」。ハワード・ホークス製作の「遊星よりの物体X」(1951年)、ジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」(1982年)と、2度映画化されたジョン・W・キャンベル・Jr.の短編小説「影が行く」の3度目の映画化です。どういうわけか、制作は30年ごとです。

ジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」は、非常にユニークな宇宙人像、疑心暗鬼になる人間ドラマが、忘れがたい印象を残します。ラストの冷え冷えとして感触も見事でした。今回は、その前日談の位置づけです。そこに、前作への深い愛を感じます。

前作を連想させるシーンが、たくさん登場します。ただ、前作では、血液を採取して、誰が宇宙人に乗り移られたかを調べるシーンの緊迫感が見せ場の一つでしたが、今回は、なるほどと納得できる別な判別方法が登場します。

宇宙人の姿は、前作以上にグロテスクです。もう何がなんだか分からないレベル。しかし、登場する宇宙船はとてもスタイリッシュです。精緻なデザインの宇宙船と、粗暴な宇宙人が、とてもミスマッチでした。ラストシーンは、完璧に前作への導入になっています。

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2012.08.19

■「トータル・リコール」は、リコールされるレベル

1990年公開の「トータル・リコール」は、ポール・バーホーベン監督のB級映画的な、作りもの感、際もの感たっぷりで、印象に残るシーンがてんこ盛りでした。アーノルド・シュワルツェネッガーも熱演していました。あの「傑作」をリメークしたのが、本作です。

今回のリメークには愛が感じられません。「トータル・リコール」という名前が欲しかっただけなのかもしれません。映像的にも、過去のSF作品のアイデアをつなぎあわせたちぐはぐな印象です。特に「ブレードランナー」の下手な真似は腹立たしいです。

フィリップ・K・ディックの原作『追憶売ります』そして1990年版「トータル・リコール」は、火星が舞台でしたが、今回は、どういうわけか地球が舞台です。富裕層はヨーロッパに住み、貧困層はオーストラリアすんでいます。移動には巨大なエレベーターを使います。

映画の冒頭のとんでもない説明で、気がつくべきでした。地球の核を貫通して移動するエレベーター。しかも、1基しかないのです。こんな荒唐無稽な設定からして、現実的ではないのです。夢の中の作りごと、妄想だったのです。

今回は、「リコール社が提供した夢」という1990年版の「夢オチ」ではなく、映画全体が夢の寄せ集めだったのです。目くじらを立てても始まりませんね。アクションシーンが冴えたケイト・ベッキンセイルだけは、良かったです。

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■「ダークナイトライジング」面白いのですが、いろいろ気に障りました

 「ダークナイトライジング」。クリストファー・ノーラン監督の新生バットマンシリーズ完結編です。ノーラン監督は、観客の楽しませ方を知っています。今回も観たことがないような奇抜なシーンが多く、スリリングな映像に、ハラハラドキドキしました。
 ゴードン役のゲイリー・オールドマンは、渋いです。アン・ハサウェイのキャットウーマンは、とてもキュートで、はまり役でした。ネコ耳も可愛いかったです。テイト役のマリオン・コティヤールは、美しいのですが、「インセプション」ほど輝いていませんでした。
2時間40分が短く感じられる面白さでしたが、いろいろと気になるところもありました。バットマンのウェインは、足が不自由だったはずですが、絶壁を登ってしまいます。何なんでしょう。不自然な展開と、誰も気づかないのでしょうか。
 今回の悪役、ベインはやっていることは派手に見えますが、ジョーカーの身震いするような魅力はありません。最後の水爆のシーンは、不自然過ぎます。あの距離でゴッサムシティに被害がないなんてあり得ません。核に対する認識が、ハリウッドは相変わらず駄目です。
 一番不快だったのは、市民の描き方です。犯罪防止のためのデント法も、市民をだましてつくられたものですが、警察の支配が及ばなくなったゴッサムシティでは、市民が恐怖政治を行っています。すごく古い価値観だと思います。さらば、バットマン。

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