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2012.07.24

■「ヘルタースケルター」は監督の作家性と女優の話題性が出会ったタイムリーな作品

映画「ヘルタースケルター」は監督の作家性と女優の話題性が出会ったタイムリーな作品でした。主人公の壊れ具合と共振しながら壊れていく映像。消費される側の哀しみ、消費する側の無責任さ。シリアスさとともに、娯楽性もたっぷり盛り込まれた佳作です。

岡崎京子の原作コミック『ヘルタースケルター』は、全身整形の美女りりこが、芸能界の欲望の渦の中でトップスターになっていく物語です。1996年連載終了直後、岡崎は交通事故に遭い重体となり、その後は作品を発表していません。第8回手塚治虫文化賞マンガ大賞に輝いています。

蜷川実花(にながわ・みか)監督は、原作権の関係で7年間待ったといいます。「しかし『ヘルタースケルター』以外にやりたい作品はありませんでした。女の私が撮ることで、りりこを通じて女性の感覚を代弁できるかもしれない。7年待ったことで逆にベストのタイミングになった気がします」と監督は話しています。

りりこ役の沢尻エリカ。熱演というレベルを超えて、りりこと同化しています。心身ともに崩れていくリアリティに、ぞくぞくします。話題性というだけでなく、この作品にとって、またとない女優を得たといえます。まさに、ベストのタイミングでした。こういう奇跡は、なかなか起こりません。

蜷川監督は、写真家としてのキャリアを最大限に発揮した映画づくりをしています。りりこが表紙を飾る多数の雑誌が登場しますが、実際に売っている雑誌ばかりで、表紙の写真は蜷川監督が撮影したものです。映画の中で撮影されたパルコのCMが、テレビ放映されています。

特筆すべきは、りりこの部屋の見事さです。色彩も装飾も派手で、シュールな世界ですが、とても現実感があります。まさに、りりこの部屋。家具や小物の半分以上が蜷川実花監督自身のものであると、後で知りました。そして、美意識の統一感に激しく共感しました。


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