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2012.05.12

■「汽車はふたたび故郷へ」は、自伝であり、オマージュでもあります

「汽車はふたたび故郷へ」は、オタール・イオセリアーニ監督が、グルジアに生まれながらも、1979年からパリを拠点に活動してきた実体験をもとにした半自伝的映画です。グルジアでの検閲や思想統制を逃れて、フランスに旅立ちますが、そこでは商業主義が立ちはだかります。

映画の最初で、幼なじみ3人だけの上映で、咲き乱れる花をトラクターが掘り返した上にローラーで踏み固める映像が映し出されます。検閲の象徴です。しかし、パリでも作品はプロデューサーの編集でズタズタになり、劇場公開しても観客にそっぽを向かれます。

不自由であっても、グルジアという故郷から離れてしまうことで、監督は、大きなものを失います。再びグルジアに戻った監督は、屈折した思いを抱えます。故郷を離れざるを得なかった、多くの監督たちへのオマージュが込められています。

思うように進まない映画製作の苦悩を、ゆったりとしたリズムで、さらりと描き、最後は幻覚の中に消え去ってしまいます。過酷な現実を描きながらも、ユーモアをただよわせる不思議な味わいの作品です。かすかにタルコフスキーの香りもします。

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