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2011.12.30

2011年12月の映画評・シネマキックス版

■「ミッション: インポッシブル/ゴースト・プロトコル」
面白かったです。ブラッド・バード監督の初実写映画。これまで「アイアン・ジャイアント」「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」と、名作アニメを監督してきました。
荒唐無稽で、突っ込みどころ満載ですが、ハラハラし通しの1級の娯楽作です。ちょっとひねった多くのユニークなアイデアに感心しました。なんといっても、絶妙に始まるオープニング・タイトルの出来は最高です。一番目立っていたのは、トム・クルーズではなく、大活躍のiPadとiPhoneでした。
 作品は、なかなかスケール感があります。ドバイ、プラハ、モスクワ、ムンバイ、バンクーバーでロケをしていますが、それぞれの雰囲気をうまく生かしています。ストーリーは流れるようにつながっていて、心地よい高揚感がありました。なによりも、往年の「スパイ大作戦」的なチームプレイによる「だまし」作戦が嬉しかったです。ただ、最後はどういう訳か肉弾戦になってしまいます。

■「マネーボール」
監督は「カポーティ」でアカデミー監督賞にノミネートされたベネット・ミラー。メジャーリーグの選手から球団アスレチックスの経営者になった実在の人物ビリー・ビーンの生き方を描いた作品です。2002年「マネーボール理論」を導入してチームの変革を行い、公式戦20連勝を記録しました。短気だけれど自らの信念を貫き通すビリー・ビーンを、ブラッド・ピットが演じています。元野球選手たちが選手役で出演し、リアル感があります。
 ビリー・ビーンは、データ分析が得意なピーター・ブランドと出会い、これまでの常識にとらわれず低予算で強いチームを作る方法を考え出します。野球界の伝統を重んじるスカウトマンは、猛反発しますが、チームはやがて連勝し、注目されます。そして、レッドソックスのオーナーから史上最高額でのGM就任のオファーを受けます。
 個人の「出塁率を最も重視する」方針が、野球というチームプレーで絶対とは言えませんが、低予算で埋もれた戦力を得るという先駆的なデータ野球だと思います。ただ、その理論が注目されると、結局はデータ分析に基づく判断が一般化し、裕福な球団が優秀な選手を獲得することになります。ビーンはレッドソックスに行きませんでしたが、レッドソックスはビーンの理論を使ってワールドシリーズを制覇し、理論の正しさを証明しました。ハリウッド映画らしくないほろ苦い結末ですが、お金に左右されない生き方を選んだビリー・ビーンに共感します。
 ビリー・ビーンは、その後「マネーボール理論」を医療制度やサッカーに導入します。個人的には、そこまで描いてほしかったなと思いました。

■「カウボーイ&エイリアン」
「エイリアンが西部劇の時代に現れたら」というトンデモな発想の作品ですが、本格的な西部劇の雰囲気に驚きます。冒頭の展開に痺れました。ダニエル・クレイグが演じるガンマン、ハリソン・フォードが演じる悪役が、さすがの存在感を見せますが、ストーリー的なひねりは少ないです。エイリアンの魅力はゼロ。知的なはずなのですが、醜悪で凶暴なだけの異星人は最近の流行りです。このごろのハリウッド映画の異星人像は、「エイリアン」や「プレディダー」のころよりも後退しています。異質な存在に対する人間の謙虚さが、微塵も感じられません。


■「ヒマラヤ・運命の山」
ドイツの山岳映画です。監督は、ヨゼフ・フィルス・マイアー。実際にナンガ・パルバートでロケをした映像は、すごい迫力です。
1970年6月。ラインホルト・メスナーは弟のギュンターとともに、難しいルートであるナンガ・パルバート・ルパール壁(へき)からの初登頂に成功します。しかし、下山途中に弟ギュンターが死亡します。さらに初登頂成功は、フェリックス・クーエンのチームとされ、弟のギュンターの死はメスナーの責任にされます。そして隊長のヘルリヒ・コッファーとの間で裁判に発展します。
登山家たちの不信感やライバル意識、自己過信などが絡み合って、物語はサスペンスをはらんでいきます。メスナーの著書「裸の山 ナンガ・パルバート」の映画化なので、メスナーの視点から描かれています。
映画を観て驚いたのは、メスナーとギュンターがすごい軽装備だった点です。あまりにも無謀です。ヒマラヤ登山は、装備や食糧・燃料など膨大な物資を高所キャンプに運ぶ必要があり、大人数のチームワークが不可欠だと思っていました。しかし、ほとんど単独での軽装備登山が可能であるということが分かりました。

■「さすらいの女神(デイーバ)たち」
第63回カンヌ国際映画祭・最優秀監督賞を受賞しました。チュー・アマルリック監督・主演です。
ユーモラスでセクシーな舞台を見せるニュー•バーレスクのツアーを描いた作品。落ちぶれたテレビプロデューサーが、再起を目指し巡業する姿を切なく切り取っています。舞台では生き生きと輝きながらも、深い孤独を抱える女性たちの姿も印象的です。全員現役のダンサーが出演し、ドキュメンタリーのような味わいでした。クリスティーナ・アギレラが映画初出演した洗練され、豪華絢爛な「バーレスク」と違い、派手さの裏に寂しさが漂います。

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