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2011.11.09

2011年10月映画評シネマキックス版

2011年10月映画評シネマキックス版
★「人生、ここにあり!」
ジュリオ・マンフレドニア監督。イタリアで観客動員40万人を超え、54週ロングランを記録し、イタリアのゴールデングローブ賞を受賞した作品です。イタリアでは精神病院廃絶法であるパザリア法(1978年制定)により、精神病院の患者たちが一般社会で暮らせるようにしようという試みが行われました。そのときの実話をもとにした映画です。病院を出た患者たちと労働組合員が一体となって仕事を見つけ。困難を乗り越えていきます。
精神障害というデリケートなテーマを扱いながら、ユーモアあふれる人間賛歌になっています。個性的な登場人物がぶつかり合い、励まし合う。患者たちが自分たちの力で自信を取り戻していきます。
けして美化するのではなく、奇麗ごとではない人間ドラマになっています。  
 最後には、患者を薬付けにしていた医者さえも、謙虚に反省していく点が素晴らしいです。本当の意味で前向きになれる、元気にさせられる映画です。映画を観ることの幸せを実感しました。

★「ミケランジェロの暗号」
ヴォルフガング・ムルンベルガー監督。ナチス・ドイツを扱った、お腹にズシリとくる重たいコメディです。この作品も過酷な状況を描きながら、ユーモアに満ちた作品です。
 第二次世界大戦のさなかにナチスと命賭けの駆け引きをするユダヤ人の物語です。受け身のユダヤ人ではなく、ナチスを手玉にとり、機転で困難を乗り越えていくユダヤ人を描いている点がユニークです。
ユダヤ人画商・カウフマン家は、国宝級のミケランジェロの絵を密かに所有していました。しかし、そのことをナチスに密告されます。一家は絵を奪われ収容所へと送られます。しかし、本物の絵は隠されていました。ナチスは絵を取引の材料にしてイタリアと優位な条約を結ぼうとしますが、絵がにせものと分かり窮地に陥ります。そこから、とてもスリリングなサスペンスが展開されていきます。そして、最後に爽快感が残ります。見事な結末です。
 ただ、邦題は、誤解を与えます。「ダビンチ・コード」のように絵に謎があるのではなく、隠し場所に謎があります。

★「カーズ2」
擬人化された自動車たちが活躍するピクサーのフルCGアニメ。天才レーサーのマックィーンとおんぼろレッカー車のメーターが、国際的な陰謀に巻き込まれます。矢継ぎ早のアクションシーン、小気味良いギャグと、今回も飽きさせません。日本が舞台になっているのも、感激です。メーターが、わさびをアイスクリームだと思って大量に食べるシーンは笑えます。町並みなどの風景のリアルさには、CGの進歩を感じます。
ただ結末は月並みで、前作のような深い感動を運んでくれは、しませんでした。
恒例の同時上映短編で、「トイストーリー3」のその後を描いた短編に出会えるとは思いませんでした。それは嬉しかったのですが、独立した短編作品に出会えたほうが、もっと嬉しかったです。いつも、感心する出来映えだったので。


★「アンフェア the answer」
最初から最後まで佐藤嗣麻子監督の映像美に酔いました。スピーディで、きれが良くて、細部までこだわりが感じられます。監督の熱意が伝わってきます。紋別が舞台なのも嬉しいです。誰が敵か分からない展開で、どんでん返しの連続も快感です。突っ込みどころ満載ですが、それ以上にパワフルなので気になりません。
篠原涼子(しのはら・りょうこ)は、俳優としても魅力的で存在感抜群です。佐藤監督は、彼女の凛とした美しい表情を切り取っています。
謎解きを含んだエンドロールの見せ方もかっこ良くてしびれます。
パンフレットを読むと、俳優たちが「佐藤監督が一番アンフェア、佐藤監督は変態」と親しみを込めて話しているのに笑いました。続編を期待しましょう。

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