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2011.08.16

■「バビロンの陽光」貴重なイラク映画

「バビロンの陽光」は、バクダット出身のモハメド・アルダラジー監督によるイラク映画。イラクには映画館がなく、2003年以降3本しか映画が製作されていません。イランとは、大違いです。
 2003年、フセイン政権の崩壊から3週間後のイラク北部クルド人地区が舞台。戦地から戻らない父親を探して旅をする12歳の少年と祖母の姿を描きます。ふたりは、ヒッチハイクをしながらバスを乗り継ぎ、空中庭園で知られる古都バビロンを目指します。クルド語しか話せない祖母を、孫のアーメッドが片言のアラビア語で助けます。気のいいトラックの運転手、路上生活の少年、クルド人殺戮に加担して心に傷を負う元兵士らとの出会いがあり、辛い現実に直面します。
 イラクでは、過去40年間で行方不明者が150万人を超え、300もの集団墓地から数十万もの身元不明の遺体が見つかっています。祖母は疲労と絶望で死を迎え孫が一人残されます。ラストシーンでは、バビロンの「イシュタル門」が陽光に輝きます。
 映画産業がないので、出演している祖母や孫のアーメッドは、一般人です。恐ろしくリアルな演技をしています。悲惨なイラクの現状、クルド問題の難しさなどを描きつつ、ときにユーモアを交えながら巧みにまとめあげています。バビロンのシーンも、古代のシュメール文明を思い出そうというメッセージなのでしょう。

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