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2011.07.10

■「戦火のナージャ」戦争の複雑な実相が描かれています

 アカデミー賞外国語映画賞とカンヌ国際映画祭グランプリに輝いたニキータ・ミハルコフ監督の「太陽に灼かれて」の続編「戦火のナージャ」が、16年の月日をかけて完成しました。ロシア映画史上最大の製作費を投入した戦争大作。スターリン粛清の下、第2次大戦下での父と娘の生き様が描かれます。

「戦火のナージャ」を観て、感想を書こうとしましたが、さまざまな思いが交錯して、なかなか筆が進みませんでした。圧倒的な迫力に打ちのめされつつも、宗教的な描写には違和感が残りました。ただ、戦争の残酷さを正面から描きながら、その頂点に現れる不思議な滑稽さの表現に、震えるようなリアルさを感じました。

 目を背けたくなるような残酷さと、それを生み出す原因の愚かさ。そして、人間の醜さと滑稽さ。突き放したようでいて、いとおしくもあるカメラワークによって、ハリウッド映画では表現できない、戦争の複雑な実相が描かれていると思います。ロシア文学につながる質感を味わいました。

 父コトフをニキータ・ミハルコフ監督自身が演じ、娘ナージャを監督の実の娘ナージャ・ミハルコフが演じています。水辺で遊ぶシーンが印象的な「太陽に灼かれて」の可愛らしい女の子は、16年の月日で、たくましい女性になりました。3部作を締めくくる「要塞」の完成を待ちましょう。

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