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2011.06.26

■「スーパーエイト」、人を食った作品です

「スーパーエイト」(J・J・エイブラムス監督・脚本)は、題名が8ミリカメラを示す通り、エンドロールに流れる8ミリで撮影されたゾンビ映画が本編です。その前の100分は、作品制作の背景を記録したメーキングビデオです。思春期の子どもたちが、どのようにして映画をつくったかが、分かります。恋愛もあります。

このメーキングビデオが、なかなか良くできています。1970年代後半の雰囲気が、よく出ています。「スタンド・バイ・ミー」的に始まり、「E.T.」「グーニーズ」「未知との遭遇」のネタが満載で、スピルバーグへのオマージュにあふれています。でも、エイブラムス監督の個性も出ています。異星人が人間を食べたりします。

そうした懐かしいストーリー、色調に、CGを生かしたド派手なシーンが盛り込まれます。列車の脱線シーンの凄まじさは、爆撃されたようでした。町に次々と異変が起こる中、異星人の姿を、なかなか見せないのもエイブラムス監督お得意の演出です。

エンドロールが始まると多くの人が帰り始めました。本編を観ないて帰るなんて、とても残念なことです。この映画評は、「スーパーエイト」に対する皮肉です。独断と偏見に基づくもので、事実に基づくものではありません。あしからず。

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■2011年6月の映画評

★「127時間」
 「127時間」は、ダニー・ボイル監督、脚本、製作による2010年の映画作品です。登山家のアーロン・ラルストンの自伝『奇跡の6日間』を原作に、ジェームズ・フランコがラルストンを演じています。共同脚本にサイモン・ボーファイ、共同製作者にクリスチャン・コルソンなど、『スラムドッグ$ミリオネア』のスタッフが再結集しています。『スラムドッグ$ミリオネア』のような派手な高揚感はありませんが、不思議な高揚感があります。ある意味、息詰るサスペンス・ドラマ。動けないアクション映画です。

 アーロンはユタ州の激しい谷へ一人でロッククライミングに行きます。 そして、落石事故で右腕を挟まれ身動きがとれなくなってしまいます。アーロンは携帯電話を持っておらず、誰にも行き先を伝えていませんでした。 アーロンは、生と死の間でビデオメッセージを撮影します。

 このビデオ映像が残っていたので、最初はドキュメンタリーとして企画されたようです。しかし、ドキュメンタリーではなく、さまざまな映像表現を駆使した新しいタイプの映画に仕上がりました。映像の躍動感がたまらない魅力です。映画が始まってすぐに、映像のマジックに溺れました。ジェームズ・フランコの熱演も見事です。
 挟まれている手を自分で切断する場面では、ショックで気を失う人もいたようですので、お気をつけください。

★「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉」
 「パイレーツ・オブ・カリビアン」は、新しいタイプの海賊映画として人気を集めました。今回は「呪われた海賊たち」(2003年)、「デッドマンズ・チェスト」(2006年)、「ワールド・エンド」(2007年)に続く第4作。前回の3部作で一区切りし、新シリーズの始まりです。オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイが抜けて、ペネロペ・クルスがジャックの元恋人として登場します。

 これまでのシリーズの面白さに比べると、4作目は、やや見劣りがします。 ストーリーが分かりやすくなったのは、良いのですが、アクションシーンのドキドキ感が少ないです。お子様を意識し過ぎて、ペネロペ・クルスの魅力、人魚たちの襲来シーンの衝撃力を生かしきれませんでした。かなり、お行儀良くなっています。そういう意味では、1作目に近いかな。ディズニーは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズが、なぜあれほどヒットしたのか、分かっていなかったのですね。4作目を観て、そう思いました。ディズニー映画の枠を超えていたからこそ、人気を集めたのです。
今回は、ロブ・マーシャル監督。これまでのゴア・ヴァービンスキー監督と比べ、はっきり言ってアクションシーンの手際が悪いです。娯楽活劇は苦手だと思います。ミュージカル仕立ての「パイレーツ・オブ・カリビアン」なら、面白かったかもしれません。

★「富江 アンリミテッド」

井口昇(いぐち・のぼる)監督の「富江 アンリミテッド 」。スプラッターですが、そんなに怖くありません。今回、原作とは違い、富江を主人公・月子の姉という設定にすることで、得体の知れない恐怖だけではなく、姉妹の屈折した関係を描くことができました。井口監督が得意とする劣等感や孤独感がきわ立ちました。

原作のコミック「富江」は、伊藤潤二のデビュー作です。さまざまに舞台や設定を変えつつ、富江さながらに形を変えて増え続けています。今回の映画化は8回目ですが、初期の富江に、かなり忠実な表現を追求しています。さまざまなおどろおどろしい表現が、詰め込まれています。とくに富江キャラ弁は、笑えます。

オープニングがとても良くできています。憧れの先輩を誘惑する姉・富江に激しい嫉妬を感じながらも、その美しさに酔い写真を撮り続ける月子。撮影中、ビルから落下してきた鉄骨に刺し抜かれ富江は絶命します。
衝撃的なシーンの後、バッハの「二つのヴァイオリンのための協奏曲」をバックに、月子が撮影した悲しげな富江のスナップとともに静かにタイトルが流れます。そして最後に、美しい富江の顔が醜く変形します。おっと思わせるクオリティーです。

ホラー作品の主役は、人間を殺しまくるのが通例ですが、富江は直接的には人を殺しません。男たちを誘惑し、夢中にさせて、自分が切り刻まれます。しかし死なずに、どんどん増殖し変形していきます。富江の存在とは何を意味するのか。底知れぬ不気味さが、富江の魅力です。

富江役の仲村みうを観たとき、驚きました。品があって、奇麗で、生意気で、可愛らしくて、妖艶で。仲村みうは、初期の富江の雰囲気です。左の下のホクロも富江と同じです。仲村みうは、グラビアアイドルを引退し、事務所の取締役をしつつ文筆業をしていますが、俳優としての代表作になりました。
月子役の荒井萌(あらい・もえ)も、揺れ動く少女を熱演していました。佳恵役のAKB48のメンバー多田愛佳(おおた・あいか)は、首をなくした後に熱演していました。月子の父役・大堀こういち、母役・川上麻衣子が怪演をみせます。川上麻衣子の老けぶりには、感動しました。

井口監督のスプラッター表現は、いつものB級テースト。意図的に安っぽくしています。この辺、評価が分かれます。ただ、流れ出した血が集まり富江に変わる印象的なシーンでは、「スペースバンパイア」で吹き出した内臓が人の顔に変わる場面を思い出しました。
公式ページが怖いです。「富江」の文字に髪の毛が付いていて不気味。

★「マイ・バック・ページ」
山下敦弘(やました・のぶひろ)監督。妻夫木聡(つまぶき・さとし)と松山ケンイチがダブル主演しています。細かな道具立てで、1970年初頭の雰囲気をかなり再現していると思いました。ただ、ベトナム戦争に日本が加担しているという重苦しさ、なんとか時代を変えたいという若者たちの思いを、伝えることはなかなか難しいと思いました。
 全共闘運動を描いたものではありません。東大安田講堂事件を機に全共闘運動が失速していく時期に起きた1971年の朝霞(あさか)自衛官殺害事件を描いた作品です。朝日ジャーナルの記者と週刊プレイボーイの記者が犯人を手助けして話題になりました。殺害事件を計画した梅山は、世の中から認められたかった、目立ちたかったのでしょう。その彼の言動を信じたのが、東大の安田講堂事件で何もできなかったことに後ろめたい気持ちを持つ沢田です。この沢田を妻夫木聡が熱演しています。松山ケンイチも、いかがわしさいっぱいに演じています。
 しかし、一番印象に残ったのは、週刊誌の表紙モデル役を演じた忽那汐里(くつな・しおり)です。時代を超越したような不思議な存在感を持ち、男たちの生き方を距離を置いて見つめています。『ファイブ・イージー・ピーセス』を観た後、ジャック・ニコルソンが泣くところが良かったと話し「私はちゃんと泣ける男の人が好き」と言います。梅山も『真夜中のカウボーイ』でダスティン・ホフマンが泣くシーンに共感します。そして、沢田が号泣するラストシーンにつながって行きます。うまいですね。

★「Paradise Kiss」
コミック『Paradise Kiss』(パラダイス・キス)は、矢沢あいの漫画作品。ファッション誌『Zipper』(祥伝社)の1999年5月号から2003年5月号に連載されていました。

早坂紫(ユカリ)は、進学校に通う優等生。学校と塾と家を往復する人生に疑問を感じながらも日々を送っていました。
「ねえ! ちょっと!!」そんなある日、街で永瀬嵐に声をかけられます。彼は矢沢芸術学院の生徒で、学園祭のショーモデルを探していました。そして出会ったデザイナーたち。小泉譲二(ジョージ)、櫻田実和子、山本大助(イザベラ)、永瀬嵐(アラシ)。全く異なる世界の彼らに対し偏見を抱いていた紫(ユカリ)でしたが、一緒に行動するうちに、彼らの真剣に人生に向き合う思いやひたむきに夢を目指す姿勢に惹かれていきます。


2005年10月から12月までアニメ版がフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されてました。トップモデルである山田優が早坂紫(ユカリ)役の声優を務めたことでも話題になりました。
実写版は、ミュージックビデオ風のおしゃれなオープニングで期待が高まりました。
ただ、状況を、あまりにも言葉で説明し過ぎているように思いました。原作の高いファッションセンス性に迫ろうとしてはいますが、やはり実写という限界を感じます。
あの、しゃれた、ふわふわした、壊れやすい感覚は実写では難しいですね。
北川景子(きたがわ けいこ)は、これまで観た映画の中では、一番魅力的だったと思います。向井理(むかい おさむ)も、なかなか、かっこ良かったです。
でも、私にとっての「パラキス」は、やはりアニメです。

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2011.06.21

「127時間」は息詰るサスペンス・ドラマ、動けないアクション映画

 「127時間」は、ダニー・ボイル監督、脚本、製作による2010年の映画作品です。登山家のアーロン・ラルストンの自伝『奇跡の6日間』を原作に、ジェームズ・フランコがラルストンを演じています。共同脚本にサイモン・ボーファイ、共同製作者にクリスチャン・コルソンなど、『スラムドッグ$ミリオネア』のスタッフが再結集しています。『スラムドッグ$ミリオネア』のような派手な高揚感はありませんが、不思議な高揚感があります。ある意味、息詰るサスペンス・ドラマ。動けないアクション映画です。
 アーロンはユタ州の激しい谷へ一人でロッククライミングに行きます。 そして、落石事故で右腕を挟まれ身動きがとれなくなってしまいます。アーロンは携帯電話を持っておらず、誰にも行き先を伝えていませんでした。 アーロンは、生と死の間でビデオメッセージを撮影します。
 このビデオ映像が残っていたので、最初はドキュメンタリーとして企画されたようです。しかし、さまざまな映像表現を駆使した新しいタイプの映画に仕上がりました。映像の躍動感がたまらない魅力です。映画が始まってすぐに、映像のマジックに溺れました。ジェームズ・フランコの熱演も見事です。
 挟まれている手を自分で切断する場面では、ショックで気を失う人もいたようですので、お気をつけください。

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2011.06.12

■facebookページ「ソーシャルパワーSAPPORO」

facebookページ「ソーシャルパワーSAPPORO」は、ソーシャルメディアの可能性を実感し活動している人たちのつながりの広場です。参加者の居住地は問いません。 「いいね!」をよろしくお願いします。 http://on.fb.me/kxWq02

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「富江 アンリミテッド」、富江役仲村みうにやられました

 井口昇監督の「富江 アンリミテッド 」。スプラッターしていますが、そんなに怖くありません。今回、原作とは違い、富江を主人公・月子の姉という設定にすることで、得体の知れない恐怖だけではなく、姉妹の屈折した関係を描くことができました。井口監督が得意とする劣等感や孤独感が際立ちました。
 原作のコミック「富江」は、伊藤潤二のデビュー作です。さまざまに舞台や設定を変えつつ、富江さながらに形を変えて増え続けています。今回の映画化は8回目ですが、初期の富江に忠実な表現を追求しています。さまざまなおどろおどろしい表現が、詰め込まれています。富江キャラ弁は、笑えます。
 オープニングがとても良くできています。憧れの先輩を誘惑する姉・富江に激しい嫉妬を感じながらも、その美しさに酔い写真を撮り続ける月子。撮影中、ビルから落下してきた鉄骨に刺し抜かれ富江は絶命します。
 衝撃的なシーンの後、バッハの「二つのヴァイオリンのための協奏曲」をバックに、月子が撮影した悲しげな富江のスナップとともに静かにタイトルが流れます。そして最後に、美しい富江の顔が醜く変形します。おっと思わせるクオリティーです。
 ホラー作品の主役は、人間を殺しまくるのが通例ですが、富江は直接的には人を殺しません。男たちを誘惑し、夢中にさせて、自分が切り刻まれます。しかし死なずに、どんどん増殖し変形していきます。富江の存在とは何を意味するのか。底知れぬ不気味さが、富江の魅力です。
 富江役の仲村みうを観たとき、驚きました。品があって、奇麗で、生意気で、可愛らしくて、妖艶で。仲村みうは、初期の富江の雰囲気です。左の下のホクロも富江と同じです。仲村みうは、グラビアアイドルを引退し、事務所の取締役をしつつ文筆業をしていますが、俳優としての代表作になりました。
 月子役の荒井萌も、揺れ動く少女を熱演していました。佳恵役のAKB48のメンバー多田愛佳は、首をなくした後に熱演していました。月子の父役・大堀こういち、母役・川上麻衣子が怪演をみせます。川上麻衣子の老けぶりには、感動しました。
 井口監督のスプラッター表現は、いつものB級テースト。意図的に安っぽくしています。この辺、評価が分かれます。ただ、流れ出した血が集まり富江に変わる印象的なシーンでは、「スペースバンパイア」で吹き出した内臓が人の顔に変わる場面を思い出しました。
公式ページが怖いです。「富江」の文字に髪の毛が付いていて不気味。
http://www.tomie-unlimited.com/

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