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2008.05.18

■「プルミエール 私たちの出産」現在医療の在り方を問う美しい映像

 フランス映画。監督は男性のジル・ド・メストル。
 2006年3月29日、太陽が月に覆われた皆既日食の日。アメリカ、ロシア、フランス、ブラジル、インド、メキシコ、日本などに暮らす10人の女性が、出産する。医療機関に頼らない自然分娩を選んだアメリカのヴァネッサ、1日120人以上の命を産み出す世界最大の産院での医療出産を選んだベトナムの女性、イルカと一緒の水中出産を選んだメキシコのガビー&ピラール、極貧生活の中での命がけの出産に挑むインドのスニータ、出産直前までステージに立ち続けたフランスのダンサー・サンディ。文化も人種も社会的、経済的立場も異なる女性たちが、さまざまな形で出産する。その共通性と多様性。美しい自然風景も取り入れながら、10人の姿がパッチワークのように編まれていく。冒頭のイルカに祝福されながらの水中出産は、近年まれに見る衝撃的なシーンだった。

 水中出産や自然分娩を美化しすぎているという批判はあるだろう。衛生面や治療面で、病院での出産は、より安全であることは否定できない。しかし、自然にまかせず、陣痛促進剤を多用する出産医療は「真っ当な医療」とは言えないだろう。この作品は、出産医療を直接的に批判している訳ではないが、女性たちの生き様と美しい映像で、現在医療の在り方を静かに告発していると思う。

 この映画を見て、「DOG STAR MAN」で有名なスタン・ブラッケージ監督の「窓のしずくと動く赤ん坊(WINDOW WATER BABY MOVING)」を思い出した。自宅での奥さんの出産前後を中心に記録した作品。きらきらと光が揺れ、水が揺れる。生命の誕生を祝福して、すべてが揺れている。若きブラッケージ夫妻の幸福感が伝わってくる。タブーのない、正面から出産の喜びを表現したみずみずしい映像だった。しかし、この作品の上映会場ではブラッケージが観客に殴られたり、上映後の映写室が放火されたり、物議をかもした。1969年には上映後に観客からショットガンで撃たれた。幸い弾は命中しなかった。Premier2008

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