■「13/ザメッティ」格差社会の隠喩
13人による集団ロシアンルーレット賭博というアイデアだけに頼った、モノクロの低予算フランス映画のようにも見えるが、白黒映画の持つ濃厚な緊張感を、うまく醸し出していると思う。登場人物の背景は、説明されないが、顔つきや仕草で、おおよその察しはつく。屋根の修理で得るわずかな収入で家族を養っていた移民のセバスチャンは、偶然に金持ちたちの危険なゲームに巻き込まれる。いや、自ら飛び込んでいく。そこで行われる集団ロシアンルーレット。それは、格差社会の隠喩である。主演のギオルギ・バブルアニと監督ゲラ・バブルアニは、グルジア出身の兄弟。グルジア語で13の意味を持つ「ザメッティ」という題名に、込められた意味は明らかだ。
ハリウッドがリメイク権を獲得。ブラッド・ピットやディカプリオなど、トップスタ
ーが出演と予定だ。単純なストーリーは、ひねりの利いたものに替えられ、娯楽サスペンス映画になるかもしれない。しかし、この作品の絶望的で、切なく、やるせない質感は、きっと失われるだろう。
| 固定リンク
コメント