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2004.03.31

■森繁久彌さんの渋い演技

 晩年、渋い演技をみせてくれたいかりや長介さんの訃報を聞き、俳優としての存在感と、これからの可能性について、しみじみと考える日々が続いた。そして、90歳を迎えた森繁久彌さんのかけがえのなさをあらためて実感した。3年ぶりの映画出演となる犬童一心監督の「死に花」が、5月に公開される。老人ホームで白寿(99歳)を迎える青木六三郎を独特の渋さで演じる。
 「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」と柔らかく叙情的な青春映画の傑作をとり続けている43歳の犬童監督。森繁久彌、山崎努、宇津井健、青島幸男ら大ベテランの俳優たちと新しい世界に挑戦した。犬童監督が切り取る森繁久彌さんの映像を楽しみにしている。

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■大沢たかおハリウッドへ

 ことし2004年は、日本映画のハリウッド進出にとって、記念すべき年になるのではないか。アカデミー賞で、盛り上がった後に、日本アニメの公開が相次いで決まり、そして「天使の牙」「スカイハイ」「荒神」「花」「解夏」「世界の中心で、愛をさけぶ」と、立て続けに出演し、今もっとも勢いのある俳優・大沢たかおが、主演級でハリウッドデビューを果たす。ミンク監督のサスペンスアクション映画「INTO THE SUN」は、すでにクランクインしている。大沢たかおは、暗黒社会のヤクザ役として元FBI捜査官役のスティーブン・セガールと対決する。製作費は25億円。
 さまざまな分野で国という壁を超えた動きが活発になっている。大沢たかおの世界進出も、その大きな一歩である。

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2004.03.30

■『七人の侍』がアニメに!

 黒沢明監督の『七人の侍』が、全26話のシリーズもののロボットアニメとしてリメイクされる。タイトルは、『AkiraKrosawa's SAMURAI7』。『七人の侍』劇場公開50周年を記念して製作される。「東京国際アニメフェア」内で行なわれた発表会では、3分ほどのダイジェストフィルムが上映された。
 制作スタジオは『青の6号』『LASTEXILE』『戦闘妖精雪風』『PEACEMAKER 鐵』などの作品を手掛けてきたGONZO。笠間寿高プロデューサーは「従来の人対人のチャンバラ活劇ではないもの、ロボット同士や、巨大ロボットと生井身の侍といったチャンバラ」と説明する。黒沢明監督は、怒っていると思うが、こういうアプローチは悪くない。

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2004.03.29

■てるてる家族・朝ドラ最低

 私の周りにはかなりのファンがいたのだけれど-。NHK朝の連続テレビ小説「てるてる家族」の関東地区の平均視聴率と最高視聴率が歴代最低だったことが29日、ビデオリサーチ社の調べで分かった。昨年9月29日-今月27日の平均視聴率は18.9%にとどまった。現在と同じ調査方法が始まった1964年以来で最低の「走らんか!」(1995年)と「オードリー」(2000年)の20.5%を下回り、最高視聴率も22.0%と「まんてん」(2002年、23.6%)を下回った。

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■ルーヴル美術館の秘密

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 ニコラ・フィリベール監督の「パリ・ルーヴル美術館の秘密」を観た。今何故にこの作品が劇場公開されたのか、腑に落ちなかった。
 世界最大の美術館ルーブル。所蔵美術品は、約35万点。地下通路は15キロに及ぶ。そこで働く人々は、学芸員、金メッキ師、大理石職人、清掃員、警備員、案内係、資料係、写真家、庭師、音響学者、物理・科学者、調理人、管理人、消防士ら約1200人。彼らが働くルーブルの舞台裏を、初めてとらえた。職員たちは、細心の注意を払いながらも、手作業中心の淡々とした日々を送る。カメラは、説明のないまま日常業務を記録し続ける。作為のないドキュメンタリー作品だ。1990年の製作なので、現在はもっと機械化されているかもしれない。
 ルーヴル美術館に関心がない訳ではないが、あまりの単調さに幾度となく睡魔が襲った。確かに初めてカメラが記録した貴重な映像なのだろうが、めりはりがなければ、退屈してしまう。ラスト近くになって、ルーブル美術館の展示方法は、有名な作品を一堂に集めて観光客を喜ばせるのではなく、多様な作品に関心を持ってもらうように配慮していることが明らかにされる。急患への対応も興味深かった。散漫な印象の作品だったが、ダ・ビンチなどの名画の質感が分かったので、作品の水準は別にして個人的には収穫があった。
 ●ルーヴル美術館・公式日本語サイト

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■俳優ユスティノフ死去

 イギリスの俳優ピーター・ユスティノフが28日、スイスで死去した。82歳。映画「スパルタカス」「トプカピ」でアカデミー助演男優賞を受賞。アガサ・クリスティ原作の「名探偵ポワロ」シリーズでエルキュール・ポワロ役を演じた。脚本家、作家、映画監督としても活躍した。

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■マツ樹脂にがん防止効果

 東京大学の久恒辰博助教授らの研究で、松の樹皮の抽出物質に、脳の細胞を活性酸素から守る働きがあることが判明した。マウスに1週間、水のかわりに、この物質を含む市販の飲料を与えると、脳で活性酸素を発生させた時に受ける神経細胞の障害が約半分に減った。活性酸素は細胞を傷つけ、がんや老化などの原因になる。脳の細胞の保護は、痴ほう防止などにも役立つと期待される。

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■プレステ9は脳直結か

 サンノゼで開催された「 Game Developers Conference 」のプレゼンテーションで、ソニーのトップ研究者は、同社の10年、20年先の主要な技術革新について予言を行った。PlayStation 9が登場する頃には、ゲーム機とプレーヤーの脳を直接接続する技術が実現する可能性は十分にあると述べた。まるで、デヴィッド・クローネンバーグの「イグジステンズ」の世界だ。

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■地震で古い遺跡が露出

 イランで起こった地震で遺跡の下にあった古い遺跡が露出し世界遺産への登録を予定-。イラン南東部を襲った昨年末の大地震で壊滅的な被害を受けた著名遺跡「アルゲ・バム」から、ササン朝(227-651年)の時代のものとみられる日干しレンガが多数見つかった。古い遺構が眠っていることは知られながら、観光資源として活用してきたので、本格的な発掘調査が行われていなかった。イラン政府は、同遺跡の保存・修復の必要性を理由に、世界遺産への緊急登録を申請する予定だ。

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2004.03.28

■舞踏!「土方巽 夏の嵐」

 「土方巽 夏の嵐」が、東京の渋谷シアター・イメージフォーラムで上映されている。1973年6月に京都大学西部講堂で行われ、映像として残された土方巽最後の公演「夏の嵐 燔犠大踏鑑」の記録だ。芦川羊子、小林嵯峨、玉野幸市、和栗由紀夫ら弟子を従えた公演。「草摘みの少女」「盆の精霊」など全12景は、土方舞踏の集大成といえる。3台の8ミリフィルムカメラで収録していた映像を再編集した。予告編映像を見ると、当時のオーラが伝わってくる。
 「舞踏」の創始者である土方巽は、1986年に57歳で亡くなった後も、幅広いジャンルの芸術に影響を与え続けている。土方巽の舞踏を記録した映像は少ないが、出演した映画はかなりある。
「ちんなねえ」(1997)
「1000年刻みの日時計 牧野村物語」(1987)
「風の景色」(1976)
「陽物神譚」(1975)
「卑弥呼」(1974)
「温泉こんにゃく芸者」(1970)
「日本の悪霊」(1970)
「怪談昇り竜」(1970)
「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」(1969)
「臍閣下」(1969)
「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」(1969)
「残酷・異常・虐待物語 元禄女系図」(1969)
「日本暗殺秘録」(1969)
「紅閨夢」(1964)

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■世界の中心で、愛をさけぶ


 行定勲監督の「世界の中心で、愛をさけぶ」は、5月8日から全国ロードショーが始まる。原作になる片山恭一の小説は、最初は目立たなかったものの、柴咲コウの「泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました。」というコメントを小説の帯につけたことで、ブームに火がつき発行部数は171万部を突破している。恋愛小説としては、破格のヒットといえる。
 松本朔太郎を大沢たかおが、藤村律子を柴咲コウが、それぞれ演じる。このほか、なかなか面白い配役なので、以下に列記する。
大沢たかお(松本朔太郎)
柴咲コウ(藤村律子)
長澤まさみ(広瀬亜紀)
森山未來(サク・高校時代の朔太郎)
山崎努(重蔵)
宮藤官九郎(大木龍之介)
津田寛治(ジョニー)
高橋一生(高校時代の龍之介)
菅野莉央(少女時代の律子)
杉本哲太(亜紀の父)
古畑勝隆(高校時代のジョニー)
内野謙太(高校時代の同級生)
宮崎 将(高校時代の同級生)
マギー(カメラ屋の店員)
大森南朋(空港の係員)
松田一沙(中川悠子)
西原亜季(高校時代の同級生)
近藤芳正(蜷川先生)
市川しんぺー(写真館の客)
ダンディ坂野(英語教師)
天海祐希(朔太郎の上司)
木内みどり(朔太郎の母)
森田芳光(映画監督)
田中美里(少女・律子の母)

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■猟奇的な彼女・リメーク

 韓国のラブコメディー映画「猟奇的な彼女」が、「ベッカムに恋して」などのグリンダ・チャーダ監督によってリメークされることが正式に決まった。英語版の題名は「Sassy Girl」の予定。スティーブン・スピルバーグ監督のドリームワークスがリメーク権を買っていた。
 ドリームワークスがリメーク権を買うきっかけになったのは、「猟奇的な彼女」が夕張国際映画祭で招待作品として上映され、ヤング・ファンタスティック・グランプリ部門のヤン・ハーラン審査委員長が、高く評価したためだったことは、意外と知られていない。ヤン・ハーランはスタンリー・キューブリック監督の義弟。「アイズ・ワイド・シャット」「A.I.」の製作総指揮を務めている。

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2004.03.27

■FINALゴジラの配役

 「ゴジラ FINAL WARS」(北村龍平監督)のヒーロー&ヒロイン役が決まった。ヒーローは、映画初主演の松岡昌宏。ヒロインには菊川怜が選ばれた。松岡は、超人的な身体能力をもつ地球防衛軍兵士・尾崎真一役。菊川が演じるのは、国連から派遣された分子生物学者の音無美雪。2人は協力して未知の生物の謎に挑む。
 舞台は近未来の地球。戦争と核実験が繰り返されたため、地球には怪獣が増え、各国は手を結んで地球防衛軍を組織している。ある日、北海道沖で未知の怪獣のミイラが発見される。そして、10頭以上の人気怪獣やゴジラ最強の敵「モンスターX」が登場する。

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■イカにも右利き、左利き

 軟体動物のイカにも右利きと左利きがある-。高知大の山岡耕作教授らのグループが京都大の堀道雄教授(動物生態学)との共同研究でイカの個体ごとの左右差についてまとめた。4月1日から鹿児島市で開かれる日本水産学会で発表する。エビを横から捕まえる際に左右どちらから回り込むかを調べた結果、明らかな偏りがあった。甲の形と動きに因果関係ある。
 動物には、ほ乳類から魚、カニまで、みな右利きと左利きがある。私は、三葉虫の頃から左右差があったと思っている。左利きの三葉虫。

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■モニカ・ベルッチ妊娠

 以前は「アパートメント」(1995年)、「ドーベルマン」(1997年)など、フランスの新人監督の作品にしか出演しなかったモニカ・ベルッチ。今では、「マトリックス レボリューションズ」「パッション」など、ハリウッド映画に出まくっている。しかし、少しの間は、出演が控えられることだろう。5年前に結婚したバンサン・カッセルの子どもを妊娠していることが、明らかになったからだ。

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■松岡正剛と柄谷行人

 「松岡正剛の千夜千冊」955夜には、柄谷行人『日本精神分析』が、取り上げられている。松岡正剛と柄谷行人。私は、このふたりが対話していないことが不思議でならなかった。
 松岡正剛は、『日本精神分析』を要約したあと、「あえて解説を加えずに紹介したにとどめたのは、この文章が柄谷行人についてのぼく最初の一文だったため、なんだか遠慮がちになったせいである」と書き、こうまとめている。
 「念のため書いておくと、どうも世間の一部では松岡正剛は柄谷行人など意に介していないと思われているらしいのだが、これはまちがっている。
 柄谷がぼくを意に介していないだろうとしても、ぼくはしばしば柄谷の文章や発言に注目し(たくさんは読んでいないけれど、この数年、集中して読むようになった)、唸らされてきた者なのだ。
 しかし世間の風評というのはいつも邪魔くさいもの、おかげでこの先輩とはいまだ面識もないし、交歓できそうなきっかけもない。いつかはゆっくり情報通貨などの話をしてみたいけれど、さて、そういうことがおこるのかどうか」

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■1日10ドルあれば十分

 遅ればせながら「小さい会社こそ、大きなことができる」―Movable Type開発者に聞くを読んだ。なかなか、考えさせられる内容だった。
 現在人気のあるBlog作成ツールMovable Typeは、Blog同士をつなぐTrackBack機能やカテゴリー分け機能、エントリーへのコメント追加機能を備え、デザイン変更の柔軟性も大きい。
 Movable Typeは、夫婦であるMena TrottとBen Trottによって作り上げられた。Bloggerというシステムを使ってBlogを書いていたが、多機能のBlogシステムが欲しかったので、自分たちのためにBlogシステムを作った。システムの評判が口コミで広まったので、誰でも使えるようにシステムをリリースした。ユーザー・サポートの会社として、2002年7月に「Six Apart」を設立。Movable Typeの新しい機能の開発とインストールサービスを行っている。
 ふたりのインタビューは、とても示唆に富むものだ。とりわけ「自給自足が基本なので、投資家は必要ない」「2人で生活するには、1日10ドルくらいあれば十分」「もし自分たちにお金があっても、会社は小さいままにしておきたい。小さい会社こそ、大きなことができると思っている」という姿勢に共感した。インターネットに革命的な変化を起こす人たちは、不思議と欲のない人たちばかりだ。

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2004.03.26

■26日午後11時三角山放送

 26日午後11時からの零時まで私がパーソナリティーを務める、札幌地域FM三角山放送局の「トウキョウトラッシュ」は、先月に続いて夕張映画祭特集。長沼里奈監督らをゲストにお迎えし、映画祭に参加した感想をお聞きする。あわせて、長沼監督の近況や初公開の新作情報もお伝えする予定。
後半は、劇場公開している作品の映画評をお届けする。楽しく盛り上がりたい。
三角山放送局のホームページで、ライブ放送を聞くことができる。

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■PUFFYが映画挿入歌

 PUFFY(パフィー)がアメリカ映画「スクービー・ドゥー2 モンスターパニック」(ラジャ・ゴズネル監督)のエンディングテーマと劇中挿入歌を担当することが25日、発表された。2002年7月にPUFFYが初の北米ツアーを行った際、コンサートに足を運んだゴズネル監督がほれ込み、次回作の出演を依頼したが、大貫亜美が妊娠中だったため出演は実現せず、歌の参加となった。

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■「パッション」見て自首

 アメリカ・テキサス州で25日、キリストの最期を描いた映画「パッション」を見た殺人犯が、深く反省し、罪のつぐないを求めて警察当局に自首していた。フォートベンド郡保安官事務所の関係者によると、犯人の男(21歳)は今月9日に出頭、妊娠させた18歳の女性を殺害したことを自供した。女性は当初、自殺したものとみられていた。

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■釣りバカ日誌ロケ支援委

 あの江角マキ子さんがマドンナ役で出演する「釣りバカ日誌」新作を支える大規模なフイルムコミッションだ。秋田市、男鹿市、角館町、田沢湖町、西木村は26日、地元官民35団体が参加する「釣りバカ日誌15」秋田ロケ支援委員会(会長・佐竹敬久秋田市長)を設立した。支援委員会には地元の観光協会、商工会連合会、釣りの愛好者団体などが参画。ロケは5、6月に5市町村で実施の予定で、支援委員会はエキストラの募集やPR活動などで支援する。

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■長嶋茂雄さん極秘転院

 巨人の原沢敦広報部長は26日、脳梗塞で入院中の長嶋茂雄さんが同日、東京都新宿区の病院から都内の別の病院に転院したことを明らかにした。精密検査で異常がなかったことなどから転院が決まった。急性期の治療は終了したと判断し、今後は回復期のリハビリを本格化させる。 病院名は非公開。

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■古尾谷雅人さん一周忌

 2003年3月に都内の自宅で自殺した故古尾谷雅人さん(享年45)の一周忌法要が25日、埼玉県川口市の乗性寺で行われた。夫人で女優の鹿沼絵里、長男の俳優高藤疾土(たかとう・はやと)、長女の女優水野快令(みずの・れい)ら遺族約40人が参列。墓前には古尾谷さんが好きだったウイスキー、たばこが供えられ、親交のあった歌手長渕剛夫妻からの供花も飾られた。
 一周忌に合わせこの日、絵里夫人が本名の古尾谷登志江名で手記「最期のキス」(講談社)を発売。20年にわたる結婚生活を振り返り、家庭内暴力や1億4500万円の自宅マンションのローンの支払いが滞りがちだったことなどもつづっている。

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■日本海溝地震特措法成立

 太平洋側の日本海溝や千島海溝周辺で発生が予測されるマグニチュード7、8クラスの大地震に備える特別措置法が、26日の参院本会議で可決、成立した。主に北海道の根室・十勝沖から房総半島の東方沖までの地域のうち、著しい被害が想定される地域を、首相が「防災対策推進地域」に指定。国や対象自治体は、住民が津波から逃れるための避難地・路や消防施設の整備に緊急的に取り組む。

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■ダルビッシュ無安打無得点


 甲子園球場で行われた第76回選抜高校野球大会第4日(26日)の東北(宮城)―熊本工(熊本)戦で、東北のダルビッシュ有投手(3年)が、無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成した。第66回大会で中野投手(石川・金沢高)が江の川(島根)戦で記録して以来10年ぶり12人目の快挙。

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■呉智英氏の中止請求棄却

 評論家の呉智英さんが、毎日を行われている防災試験放送の中止を求めた請求が棄却された−。愛知県西枇杷島町の防災試験放送をめぐり、「静寂を破られ苦痛」として、同町の呉智英さんが町に対して放送の中止を求めた訴訟の判決が26日午後、名古屋地裁であった。筏津順子裁判長は「騒音は原告が社会生活を送る上で受忍すべき限度を超えていると認めることはできない」として請求を棄却した。

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■回転ドアに挟まれ死亡

 最近、この手の事故のニュースがなく、安全設計が確立していると思っていたが-。26日午前11時半ごろ、東京都港区六本木、六本木ヒルズ森タワーで、大阪府吹田市の小学1年の男児が回転ドアに体を挟まれた。男児は病院に運ばれたが、間もなく死亡した。男児は母親と一緒に六本木ヒルズを訪れ、森タワー2階の正面入り口の回転ドアからビル内に入ろうとして、ドアに体を挟まれた。

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■精神疾患は5人に1人

 厚生労働省の検討会は25日、「『こころのバリアフリー宣言』〜精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すために」と題する指針をまとめた。精神疾患や精神障害者への偏見・差別解消めざし、関係機関に配る。
 指針では、精神疾患は国民の5人に1人がかかるという調査結果が出ていると指摘。糖尿病や高血圧などの生活習慣病と同じ身近な病気だと分析している。早期の発見・治療で十分回復が可能で、「自分だけは大丈夫」と過信せず、ストレスを減らす生活を心がけることが必要と強調している。 

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■人権侵犯の手続き改定

 法務省は26日、全国にある法務局の調査手順などを定めた「人権侵犯事件調査処理規程」を、20年ぶりに全面改定することを明らかにした。重大な人権侵犯である「特別事件」として、インターネットによるプライバシー侵害や名誉棄損のほか、悪質なセクシュアルハラスメント(性的いやがらせ)、夫婦間などの家庭内暴力、児童虐待、高齢者虐待などを新たに加える。4月から実施される。
 手続きを簡素化するため、予備調査を廃止し、原則としてすべての申し立てを受理する。調査の途中段階でも、法務局職員らが当事者間の話し合いを仲介する「調整」や、被害者に法律上の助言をする「援助」などを行うことができるようになる。被害が深刻化する前に、迅速に救済措置を取るようにするのが狙い。

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■26日Nステ最終回放送

 日本のニュース番組に革命的な変化を生んだ報道番組「ニュースステーション」が、26日夜の放送で幕を閉じる。1985年10月の開始から18年半。久米宏キャスターは、何らかのコメントを発表するようだ。
 NHKの独壇場だった大型報道番組に挑戦。日航ジャンボ機墜落事故で注目され、1986年のフィリピン政変、ベルリンの壁崩壊などでNHKを上回る内容を報道した。また「中学生にも分かりやすく」の姿勢で、ニュースを身近なものにした功績も大きい。自民党とのあつれきは、報道番組として勲章だろう。

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■渡辺謙、記念パーティー

 「ラストサムライ」で世界的な俳優となった渡辺謙が25日、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など米国で7つの賞にノミネートされたことを記念して、東京の愛宕グリーンヒルズXEXでパーティーを開いた。津川雅彦、古手川祐子、高橋克典、南野陽子ら約200人が祝福に駆け付け、渡辺本人が出迎えた。
 現在、来年1月公開の日本映画「北の零年」(行定勲監督)の撮影中で、来夏公開の新作「バットマン」は待たせている。撮影現場のロンドンへは6月下旬に行く予定。

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■銀河・映画対談2003.12

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■銀河・映画対談2003.12

『飛ぶ教室』

 2003年作品。ドイツ映画。114分。配給=メディア・スーツ。監督=トミー・ヴィガント。脚本=ヘンリエッテ・ピーパー、フランツィスカ・ブッフ、ウッシー・ライヒ。プロデューサー=ウッシー・ライヒ、ペーター・ツェンク。原作=エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』。撮影監督=ペーター・フォン・ハラー。美術=インクリット・ヘン。衣装=ブリギット・サミール。編集=クリスチャン・ナウハイマー。音楽=ニキ・ライザー、ビーバー・ギュラッツ、モーリッツ・フライゼ。ヨーハン・ベク“正義”先生=ウルリヒ・ノエテン、ボブ・ウトホフト“禁煙”=セバスチャン・コッホクロイツカム校長=ピート・クロッケ、カトリン=アーニャ・クリング、ヨナタン・トロッツ=ハウケ・ディーガンフ、モナ・エーガーラント=テレザ・ウィルスマイヤー、マルティン・ターラー=フィリップ・ペータース=アーノルズ、ウリー・フォン・ジンメルン=ハンス・プロイヒ・ヴトケ、ゼバスティアン・クロイツカム=フランソワ・ゴシュケ、マッツ・ゼルプマン=フレデリック・ラウ

 「軽快でユーモアに満ち、最後は大きな感動に包まれた。舞台は、旧東ドイツのライプツィヒ。70年前に書かれた原作を現代に置き換えて、場所に大きな意味を持たせた。主人公たちが合唱団のメンバーという設定も、ラストのミュージカル劇へとスムーズに結びついている」「大人と子供の信頼関係、友情といったテーマを生かしながら、なんと巧みな改変だろうか」

 「子ども向けの作品なのだろうが、大人も引き込まれるきめ細やかな仕上がり。登場する大人も子どもたちも、みな個性的で好感が持てる。友情の大切さというメッセージは、ストレートに届いた」「子どもたちの友情、大人たちの友情、大人と子どもの友情。理想論だという意見もあるだろうが、私はさわやかな希望を受け取った」「そしてクライマックスのクリスマス劇では、魅力的な魔術にも出会えた」

『女はみんな生きている』

 2001年作品。フランス映画。112分。配給=アスミック・エース。製作=アラン・サルド。製作総指揮=クリスティーヌ・ゴズラン。監督=コリーヌ・セロー。脚本=コリーヌ・セロ一。撮影=ジャン=フランソワ・ロバン。美術=ミシェル・アベ。編集=カトリーヌ・ルノー。録音=ピエール・ロラン、ミュリエル・モロー、ジョエル・ランゴン。衣装=カレン・セロー。音楽=リュドヴィク・ナヴァール。製作主任=アラン・サントンズ。ポール=ヴァンサン・ランドン、エレーヌ=カトリーヌ・フロ、ノエミ/マリカ=ラシダ・ブラクニ、マミー=リーヌ・ルノー、ファブリス=オレリアン・ヴィイク、トゥキ=イヴァン・フラネク、マルザ=ミシェル・ラゲリ、パリ=ヴォイテク・ブショニャク

 「偶然に出会った主婦と娼婦が協力し、男たちへの復讐を果たす。こう書いてしまうと面白くも何ともない。しかし作品は、とても笑える」「女性監督コリーヌ・セローが、フランスの差別的な現実に切り込みながら、お得意のウイットでまとめあげた佳作。女性は強く魅力的、男性は弱く身勝手。誇張して描かれているものの、妙に生々しく感じるのは、細部を丁寧に積み上げているからだろう」

 「とにかく展開が早い。特に後半の波乱万丈ぶりはハリウッドも真っ青だ。そして女性差別のほか夫婦関係、親子関係、売春組織、貧困問題などなど、多面的なテーマを盛り込みながら、すっきりとまとめあげてしまう。その手さばきにも感心した」「派手な展開の後に訪れるラストシーンの穏やかな美しさは絶品だ」

『ラスト・サムライ』

 2003年作品。アメリカ映画154分。配給=ワーナーブラザーズ映画。監督=エドワード・ズウィック。製作=トム・クルーズ、トム・エンゲルマンスコット・クルーフ、ポーラ・ワグナー、エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコヴィッツ。製作総指揮=テッド・フィールド、チャールズ・マルヴェヒル、リチャード・ソロモン、ヴィンセント・ウォード。脚本=ジョン・ローガン、エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコヴィッツ。撮影=ジョン・トール。編集=スティーヴン・ローゼンブラム。音楽=ハンス・ジマー。ネイサン・オールグレン大尉=トム・クルーズ、勝元盛次=渡辺謙、サイモン・グラハム=ティモシー・スポール、ゼブラ・ギャント軍曹=ビリー・コネリー、ベンジャミン・バグリー大佐=トニー・ゴールドウィン、氏尾=真田広之、たか=小雪、明治天皇=中村七之助、中尾=菅田俊、大村=原田眞人

 「『ラスト・サムライ』を観て、複雑な気持ちになった。優れているからこそ、そこに潜む危うさにも目を向けなければならない。思わぬ毒が隠されている」

 「ほぼ全編にわたって映像が緊張を保ち、カメラワークも高い水準にある。日本の近代化の中で滅びていく武士的な倫理、生き方を正面から描いている。多少の単純化、誇張はあるが、武士道については研究した跡がうかがえる。さらに、ネイティブ・アメリカン虐殺の歴史も描かれ、近代化の野蛮性が示される」「。アメリカや近代化を相対化する視点は、極めて現代的な批評になっている。ただ、勝元が戦死した後の展開は、いかにもハリウッド映画。凛とした空気が湿ってしまった」

 「この作品の質を支えている資金力だけでなく、妥協のない良く訓練された戦闘、殺陣シーン、人間的な明治天皇を登場させる試みなど、現在の日本映画では実現し得ないレベルにあることは、間違いない」「侍の生きざまに接して、政府側から反逆者の道を選んだトム・クルーズが演じるネイサンの戦士としての心情も、よく理解できる。だが、武士道は、主君への絶対的な服従が基本であり、戦のために心身を鍛えるという姿勢が根幹にある」「その潔癖さだけを評価し、武士道を美化するのは危険だ」

 「武士道を全否定するつもりはない。しかし歴史を踏まえながら、慎重にとらえ返さなければならない。『勝元はかっこいい』と舞い上がることなく、日本人は近代化とともに、武士道の限界性をもあらためて自覚すべきだろう」「その危険性は、けっして過去のものではないからね」

『ファインディング・ニモ(字幕版)』

 2003年作品。アメリカ映画。101分。配給=ブエナ ビスタ インターナショナル。監督=アンドリュー・スタントン。共同監督=リー・アンクリッチ。製作=グラハム・ウォルターズ。製作総指揮=ジョン・ラセター。脚本=アンドリュー・スタントン、ボブ・ピーターソン、デイヴィッド・レイノルズ。音楽=トーマス・ニューマン。編集=デイヴィッド・イアン・サルター。プロダクション・デザイナー=ラルフ・エッグルストン。撮影=シャロン・カラハン、ジェレミー・ラスキー。スーパーバイジング・アニメーター=ディラン・ブラウン。マーリン=アルバート・ブルックス、ドリー=エレン・デジェネレス、ニモ=アレクサンダー・グールド、ギル=ウィレム・デフォー、ブロート=ブラッド・ギャレット、ピーチ=アリソン・ジャネイ、ガーグル=オースティン・ペンドルトン、バブルス=ステファン・ルート

 「相変わらずピクサーは、面白い。今回も良くできていた。CGの美しさとともに、皆でアイデアを出し合って、楽しんでつくっている。海の生き物の特徴を生かした笑いの質は、驚くほど高度。差別的な笑いではない」「ストーリーの根幹は父親と子どもの成長と和解だが、周囲のサポートも重要。登場するキャラクターたちは、必ず一ひねりしてある。ニモは片方のひれが小さく上手く泳げないというハンディを持っている。病的な健忘症のドリーが、前向きにマーリンを励まし、サメたちとも仲が良いという設定も考えさせられる」

 「単純なストーリーに見えて、憎悪をかき立てない配慮、友愛に満ちた展開に心が温まる。毒がなさ過ぎると思うかもしれないが、現代への批評もさり気なく行っている。エンドクレジットでは、これまでのように爆笑NG集はない。しかし、さまざまなキャラクターが心憎いかたちで再登場する。最後の最後まで席を立たないように」

『アララトの聖母』

 2002年作品。カナダ映画。115分。配給=ギャガGシネマ。監督・脚本・製作=アトム・エゴヤン。音楽=マイケル・ダナ。製作=ロバート・ラントス。撮影=ポール・サロッシー。編集=スーザン・シップトン。プロダクション・デザイン=フィリップ・ベイカー。衣装=ベス・ペスターナク。ラフィ=デヴィッド・アルペイ、エドワード・サロヤン=シャルル・アズナブール、アニ=アーシニー・カンジャン、シリア=マリ・ジョゼ・クローズ、アリ=イライアス・コティーズ

 「アトム・エゴヤン監督の新作『アララトの聖母』は、トルコ政府が1915年に行ったアルメニア人大虐殺を主題にしている。犠牲者は150万人と言われている。ヒトラーがユダヤ人虐殺の参考にしたらしい。これほどの大虐殺だが、ユダヤ人虐殺のように世界にはあまり知られていない。そのことに、胸が締め付けられる」「劇中劇で再現された虐殺シーンは、当時のアメリカ人宣教師クラレンス・アッシャーの著作に基づいている。日本の三光作戦を連想させるようなひどい殺し方をしている」

 「映画は、この事実を告発するだけではなく、母と子のきずなや映画を制作する監督自身の姿勢を問うような複雑な構造になっている。この点は『マグダレンの祈り』と、かなり違うアプローチだ。そのことで、虐殺の史実を強く訴えるという側面が、やや弱くなっていることは否定できない」「しかし監督が亡命画家ゴーキー、映画監督サロヤンに託した思いは、理解できる」
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『東京ゴッドファーザーズ』

 2003年作品。日本映画。90分。配給=ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。企画=丸山正雄。監督・原作・脚本・キャラクターデザイン=今敏。脚本=信本敬子。音楽=鈴木慶一。演出=古屋勝悟。キャラクターデザイン・作画監督=小西賢一。美術監督=池信孝。撮影監督=須貝克俊。撮影=スタジオイプセ。音響監督=三間雅文。制作プロデューサー=豊田智紀。アニメーション製作=マッドハウス。ギンちゃん=江守徹、ハナちゃん=梅垣義明、ミユキ=岡本綾

 「今敏監督の『東京ゴッドファーザーズ』は、文句なく楽しめるアニメーション作品。ホームレスという低い視点から東京が描かれていく。宮崎駿作品のようなスケール感、スピード感はないが、物語を気持ち良く転がしていくセンスは、今監督の方が一枚上だろう」「そんなに都合良く運ぶわけないよなあ、という思いが、次々とはまっていく快感に変わる。ちりばめられたピースが、最後にすべてはまったジグソーパズルのようだ」

 「主人公は、ホームレスの3人。交わされる会話が、とても面白い。それぞれに複雑な過去を持っているが、それを説明的にではなく、物語の展開に合わせて明らかにしていく手さばきが鮮やか。江守徹、梅垣義明の話術の巧みさは良く知られているが、声優初挑戦の岡本綾が信じられないほどに上手い」「この3人のどたばたコンビは、捨てられた赤ちゃんを助けたことで、幸せな奇跡を体験する」「アニメは次第に3D主流になりつつあるが、従来のアニメ手法でも、こんなに素晴らしい感動を運んでくれる。あらためてアニメの多様な可能性を痛感した」

『アンダーワールド』

 2003年作品。アメリカ映画。121分。配給=ギャガ・ヒューマックス。監督=レン・ワイズマン(Len Wiseman)。製作=ゲイリー・ルチェッシ、トム・ローゼンバーグ、リチャード・S・ライト。製作総指揮=スキップ・ウイリアムソン。共同製作=ケヴィン・グレボワ。脚本=ダニー・マクブライド。原案=ケヴィン・グレボワ、ダニー・マクブライド、レン・ワイズマン。撮影=トニー・ピアース=ロバーツ。編集=マーティン・ハンター。美術=サバ・ストーク。特殊効果スーパーバイザー=ニック・アルダー。クリーチャーショップスーパーバイザー&パペッター=ガイ・ヒンバー。クリーチャーデザイナー=パトリック・タトポロス。セリーン=ケイト・ベッキンセール(Kate Beckinsale)、マイケル医師=スコット・スピードマン、クレイヴン=シェーン・ブローリー、ライカン=マイケル・シーン、ヴィクター=ビル・ナイ、シング=アーウィン・レダー、エリカ=ソフィア・マイルズ、ピアース=リチャード・セトロネ、レイズ=ケビン・グレボア

 「吸血鬼(ヴァンパイア)と狼男族(ライカン)の死闘を描くサイバー・アクション映画。ヴァンパイアとライカンが何故に戦うようになったのかだが、次第に明らかになっていく動機は、興味深くはあるものの、説得力は乏しい」「冒頭から、銃撃戦を展開するのは、新しいといえば新しいが、このタイプの作品としては月並みなアクション映画になってしまう」「ラストの剣のシーンが決まっていたように、殺陣の方が雰囲気に合うのではないか」

 「レン・ワイズマンの美意識で統一されたダークな雰囲気はあるが、ゴシックさは強くない」「この作品を魅力的にしているのが、終始クールな表情を崩さないケイト・ベッキンセール。これまでのイメージを一新し、新しいタイプのアクション・ヒロインを目指した。しかし、美しくはあるが全体に線が細く、眼の力が弱い。汚れ役に挑戦し、もっと力強く、もっとセクシーになれば、より魅力的になれる」「次作に期待しよう」

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■銀河・映画対談2003.11

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■銀河・映画対談2003.11

『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』

 2002年作品。ドイツ映画。45分。配給=東京テアトル、エスピーオー。製作・監督・編集=レニ・リーフェンシュタール(Leni Riefenstahl)。撮影=レニ・リーフェンシュタール、ホルスト・ケットナー(Horst Kettnerl)。音楽=ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)。

 「48年ぶりの新作は、遺作となった(2003年9月8日、101歳で死去)。レニは、70歳を越えてからダイビングのライセンスを取得し、自ら海に潜って撮影した。海中の美しさは、彼女を魅了した。作品の冒頭で、レニは『サンゴ礁の破壊をくい止めなければ、私たちの次の世代はサンゴ礁を失ってしまう。国立公園に指定して守ろう』と訴える」「この作品は、サンゴ礁の海と生き物たちの美しさを理解させるための宣伝映画なのだ。天真爛漫な映像世界が広がる」

 「海の生き物たちは、多彩で鮮やかで、美しい形と動きをみせる。食物連鎖は描かれず、共生関係がさりげなく示される。きれいごとの世界、あえていえば表面的な美の世界だ。だから深い感動はない」「ただ、サンゴ礁を保護しなければという彼女の主張には共感できる。しかし、かつて彼女が美しいと感じ撮影したナチスの理想もヌバ族の文化も、ともに失われてしまった。サンゴ礁は、生き残るだろうか」

 「同時上映された『アフリカへの想い』(2000年/ドイツ/60分、レイ・ミュラー監督)は、30年ぶりにヌバに再会するためスーダンに向かったレニを追ったドキュメンタリー。レイ・ミュラー監督は、3時間におよぶドキュメンタリー『レニ』を1993年に発表している」「内戦の危険な状況の中で、彼女はヌバ族と再会するが、多くの人が虐殺され、残ったヌバたちも部族としての文化を失っていた。それでも、わがままなほど前向きな姿勢を崩さないレニ」「監督が彼女に向ける質問は、なかなか辛らつだ」


『昭和歌謡大全集』

 2002年作品。日本映画。112分。配給=シネカノン。監督=篠原哲雄。脚本=大森寿美男。原作=村上龍『昭和歌謡大全集』。企画・製作=鈴木光。プロデューサー=藤田義則、原田文宏、渡辺正子。撮影=高瀬比呂志。照明=赤津淳一。美術=小澤秀高。録音=田中靖志。装飾=松本良二。視覚効果=橋本満明。編集深野俊英。スクリプター=皆川悦子。キャスティング=名須川伸吾。音楽=池頼広。音楽プロデューサー=裕木陽。イシハラ=松田龍平、ノブエ=池内博之、ヤノ=斉藤陽一郎、スギヤマ=村田充、カトウ=近藤公園、スギオカ=安藤政信、スズキミドリ=樋口可奈子、ヘンミミドリ=岸本加世子、タケウチミドリ=森尾由美、トミヤマミドリ=細川ふみえ、イワタミドリ=鈴木砂羽、ヤナギモトミドリ=内田春菊、金物屋の店主=原田芳雄、スガコ=市川美和子、サカグチ=古田新太、ヘリコプター操縦士=津田寛治

 「少年グループとおばさんグループの殺しあいがエスカレートしていく暴力的なコメディ。怠惰に生きてきた両グループは、戦いに備えることで、生き生きとした感性をよみがえらせる」「昭和に流行した有名な歌謡曲に乗せて殺人が行われ、復讐の後にギャグ満載の会話が弾む。冒頭の『恋の季節』のポップなシーンから、物語は一気に滑り出していく」「そして、最後は調布が火の海になる。原作の過激さから逃げていない。怪獣映画を除けば『太陽を盗んだ男』以来の都市大破壊である」

 「少年グループもおばさんグループも、抜群の配役だった。こんなに個性的な俳優がそろうとは。樋口可南子、岸本加世子、森尾由美、細川ふみえ、鈴木砂羽、内田春菊というおばさんたちは、すごいパワーをみせつける」「とりわけ、岸本加世子のおばさんぶりが見事だった。松田龍平、池内博之、斉藤陽一郎、村田充、近藤公園、安藤政信という少年たちも若さを爆発させている」「原田芳雄と市川美和子が、美味しい役を個性的にこなしていた」

『ブルース・オールマイティ』

 2003年作品。アメリカ映画。101分。配給=UIP。監督=トム・シャドヤック。製作総指揮=ゲイリー・バーバー、ロジャー・バーンバウム、スティーブ・オーデカーク。原作・脚本=スティーブ・コーレン、マーク・オキーフ。撮影=ディーン・セムラー。編集=スコット・ヒル。音楽=ジョン・デブニー。プロダクション・デザイン=リンダ・デシーナ。衣装デザイン=ジュディ・ラスキン・ハウエル。特殊効果=デヴィッド・ケルシー。ブルース・ノーラン=ジム・キャリー(Jim Carrey)、God=モーガン・フリーマン(Morgan Freeman)、グレース=ジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)、ジャック・ケラー=フィリップ・ベイカー・ホール、デビー=リサ・アン・ウォルター

 「ニューヨーク州のテレビ局に勤めるブルースは、街角で話題をひろうレポーターを続けているが、その仕事に飽き足らずニュースのメイン・キャスターを目指し、チャンスを狙っている。しかしライバルにキャスターの座を奪われ生放送で禁止用語を連発しクビになる」「彼が神に悪態をつくと、神が現れて神と同じパワーを与えるから、自分の代わりに仕事をしろという。全能のパワーを得たブルースは、メイン・キャスターの座を手に入れ思い通りに生きていくが、恋人のグレースは離れていってしまう。神にも人間の心を変える力はない。最後は心を入れ替え、自分の適性を理解し、恋人と結ばれるハッピーエンド」

 「全然楽しめなかった」「楽しむどころか不快だった」「メイン・キャスターになれなかったくらいで神に悪態をつくごう慢さも気にくわないが、そんな人間にパワーを与える神のいいかげんさも気にくわない。パワーを乱用して地球環境が悪化し、暴動が起こるが、ラブストーリーのお膳立てに過ぎない。改心して善人になるというラストも気に入らない」「自己中心的なのは、ブルースではなく、アメリカそのものだということが、ずっと頭から離れなかった」

『北海道映像の新世代・シンポジウム』

 「『北海道映像の新世代』シンポジウムが、11月15日にEDiTで行われた。パネラーは島田英二、アラキマサヒト、長沼里奈、菊池玄摩、柏尾和直、村田雄一、河原大の7監督。まず島田英二、アラキマサヒトの両監督が、MAX CORE ROOM PROJECTなどでの豊富な製作経験を話した。長沼里奈監督は最小限の人数で制作していた世界から『丹青な庭』で大勢での制作を体験し、両者を比較して『両極端だった。友人と二人で撮っていたので、それまでは脚本もなかった。『丹青な庭』では絵コンテを書き、ちゃんと説明しなければならなかった。ギャップがあった』と感想を話した」

 「菊池玄摩、柏尾和直両監督は、ともに学生。美術の分野で映像表現をしている。菊池玄摩監督は『音楽と映像が対等の空間をつくる。フイルムの映像の歴史を継承しながら、デジタルの新しい可能性を開きたい。今までに見たことのない音と映像、より美しいものに関心がある。まだ未開拓の分野がある』と挑戦的に説明」「一方、柏尾和直監督は『技術的なすごさではなく、コンセプト、テーマをどう伝えていくかが重要』と、順当な解説だったな」

 「村田雄一監督は友人のドキュメンタリーを撮影した感想を、河原大監督は個人でアニメーションを制作できるようになった環境の変化を説明した」「パネラーは、一様に今回の企画、北海道にゆかりのある49人の新進作家と15人のベテラン作家の作品の連続上映を評価。来年以降も継続することを求めていた」「今回は、横断的な連携による企画の斬新さから、プログラムによっては入れない人が出るほど多くの人が集まった」「しかし、各プログラムがあまりにもふぞろいで、一部の進行がもたつき、今後に課題を残した」

『死ぬまでにしたい10のこと』

 2002年作品。スペイン・カナダ合作。106分。配給=松竹。監督・脚本=イザベル・コヘット。原案=“Pretending the Bed is a Raft”(Nanci Kincaid 著)。エグゼクティブ・プロデューサー=ペドロ・アルモドバル、アウグスティン・アルモドバル、オグデン・ガヴァンスキ。プロデューサー=エステル・ガルシア、ゴードン・マクレナン。U.S.キャスティング=ハイディ・レヴィット、モニカ・ミッケルセン。撮影=ジャン・クロード・ラリュー。編集=リサ・ジェーン・ロビンソン。音楽=アルフォンソ・デ・ヴィラロンガ。美術=キャロル・ラヴァレー。衣裳デザイン=カティア・スタノ。アン=サラ・ポーリー、リー=マーク・ラファロ、ドン=スコット・スピードマン、隣のアン=レオノール・ワトリング、アンの母=デボラ・ハリー、ローリー=アマンダ・プラマー、美容師=マリア・デ・メディロス、アンの父=アルフレッド・モリーナ、トンプソン医師=ジュリアン・リチングズ、ペニー=ジェシカ・アムリー、パッツィー=ケーニャ・ジョー・ケネディ

 「医師からあと2か月の命と宣告された23才のアンは、『死ぬまでにやりたいこと』のリストを作る。作品は派手な振る舞いをしない。しかし、極めてデリケートなシーンが続く。足元から全身に感動が広がっていった。アン役のサラ・ポーリーの静かな熱演に打ちのめされた」

 「死ぬまでにしたい10のリストの内容が、なかなか考えさせる。
夫以外の男の人とつきあってみる、誰かが私と恋に落ちるよう誘惑する、好きなだけお酒とタバコを楽しむといった刹那主義的な自己中心的な欲望のほか、父親や娘や夫に対する配慮もある。女であり、母であり妻であり、子である多面的な感情がにじみ出ている」

 「主人公は、自分が末期の病気であることを悟られることなく、一つひとつを淡々と実行していく。そして、目的は確実に達成され、周りの人たちに思い出を残す。アンの一生は見事に締めくくられる。なかなか、こう上手くはいかないだろう。その意味では、人生の最後の理想を描いたファンタジーだといえる」「『My Life Without Me』。 アンが死の恐怖に泣き叫ぶシーンやアンの死を悲しむ家族や恋人のシーンがないのは、そのせいなのだろう」

『マトリックス レボリューションズ』

 2003年作品。アメリカ映画。129分。配給=ワーナー・ブラザーズ映画。製作=ジョエル・シルバー 。脚本・監督・製作総指揮=ウォシャウスキー兄弟 (Andy Wachowski&Larry Wachowski)。製作総指揮=グラント・ヒル、ブルース・バーマン 。撮影=ビル・ポープ, A.S.C. 。美術=オーウィン・パタソン 。編集=ザック・ステインバーグ, A.C.E. 。音楽・指揮=ドン・デイビス 。視覚効果監修=ジョン・ゲイター 。衣装=キム・バリット 。ファイト・コレオグラファー=ユアン・ウーピン 。音響・サウンド・エディター監修=デーン・A・デイビス, MPSE。ネオ=キアヌ・リーブス(Keanu Reeves) 、モーフィアス=ローレンス・フィッシュバーン 、トリニティー=キャリー=アン・モス(Carrie-Anne Moss) 、エージェント・スミス=ヒューゴ・ウィービング 、ナイオビ=ジャダ・ピンケット・スミス 、パーセフォニー=モニカ・ベルッチ (Monica Bellucci)、セラフ=コリン・チャウ 、ジー=ノーナ・ゲイ 、ロック司令官=ハリー・レニックス 、リンク=ハロルド・ペリノー 、メロビンジアン=ランバート・ウィルソン 、ゴースト=アンソニー・ウォン 、ラマ=バーナード・ホワイト 、ベイン=イアン・ブリス 、サティー=タンビーア・アトウォル 、トレインマン=ブルース・スペンス 、予言者(オラクル)=メアリー・アリス 、ミフネ=ナサニエル・リーズ 、キッド=クレイトン・ワトソン

 「こんな結末で、ファンは納得したのだろうか。やたらと長くアイデアに乏しい現実世界の戦闘シーンを、すごい迫力だったと評価するのだろうか。私は、世界同時公開で、世界同時にファンの暴動にならなかったのが不思議だ」「『マトリックス』は、最初からいかがわしかったが、アクション場面だけは、『マトリックス』、『マトリックス リローデッド』ともに見せ場を用意していた。『マトリックス レボリューションズ』には、斬新な見せ場がない」「取ってつけたような和解など、偽善に過ぎない」

 「3部作のうちで、最も制作費を注ぎ込んだと思うが、最も魅力に乏しい出来だった」「『始まりが あるものには すべて 終わりがある』という宣伝文句が、やけにうつろに響く。複雑に絡まった謎は、何も明かされていない。龍頭蛇尾という言葉は、このシリーズのためにある言葉だ」「すべての謎は、今後発売されるゲームへと持ち越されるのだろうか」

『“アイデンティティー”』

 2003年作品。アメリカ映画。90分。配給=ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。監督=ジェームズ・マンゴールド。製作=キャシー・コンラッド。製作総指揮=スチュアート・ベッサー。撮影監督=フェドン・パラマイケルASC。映像編集=デビッド・ブレナーA.C.E.。衣装デザイナー=エイリアン・フィリップス。作曲家=アラン・シルヴェストリ。脚本家=マイケル・クーニー。美術監督=マーク・フリードバーグ。エド=ジョン・キューザック、ローズ=レイ・リオッタ、キャロライン・スザンヌ=レベッカ・デモーネ、パリス=アマンダ・ビート、ラリー=ジョン・ホークス、医師=アルフレッド・モリーナ、ジニー=クレア・デュヴァル、ルー=ウィリアム・スコット、マルコム・リバース=プルイット・テイラー・ヴィンス、ジョージ=ジョン・マッギンリー、ロバート=ジェイク・ビュシー

 「冒頭、精神科医が診察時に録音したテープを聴いている。『お母さんの話をしてくれ』『俺の母親か。売春婦だった』『アパートの住人6人を、98年5月10日に殺したのは君か?』『俺の誕生日だ』。ここで場面は、土砂降りのため事故にあい、洪水でモーテルに泊まらざるをえなくなった人々に移る。そして奇妙な惨劇が繰り返される」「最初にヒントは示していると言えるが、どんでん返しを予測できる人は少ないだろう。とくに最後のどんでん返しは。反則技を使っているが、あまりにも鮮やかなので、許してしまう」

 「次々に緊張を強いる展開。片時も気が抜けない。終始重苦しい。やがて現実の出来事にしてはおかしな点が目立ち始める。しかし緊張の糸は切れない」「ラストに明るさが見えた時が、注意。悪意のある結末が届けられる。意図的にヒントを散りばめ、細部の種明かしをするかに見せて、大きな謎を隠す見事な技だ」

『マグダレンの祈り』

 2002年作品。イギリス・アイルランド合作。118分。配給=アミューズピクチャーズ。監督・脚本=ピーター・ミュラン。製作=フランシス・ヒグソン。共同プロデューサー=アラン・J・ウィリー・ワンズ。エグゼクティブ・プロデューサー=エド・ギニー、ポール・トリビッツ。撮影=ナイジェル・ウィロウビー。美術=マーク・リーズ。編集=コリン・モニー。音楽(作曲・指揮・編曲)=クレイグ・アームストロング。衣装=トリシャ・ビガー。キャスティング・ディレクター=レニー・ミュラン。バーナデット=ノーラ=ジェーン・ヌーン、マーガレット=アンヌ=マリー・ダフ、ローズ(パトリシア)=ドロシー・ダフィ、シスター・ブリジット=ジェラルディン・マクイーワン、クリスピーナ=アイリーン・ウォルシュ、シスター・ジュード=フランシス・ヒーリー、シスター・クレメンタイン=エイシン・マクギネス、シスター・オーガスタ=フィリス・マクマホン、ウーナ=メアリー・ミューレイ、ケーティ=ブリッタ・スミス、イーモン=イーモン・オーウェンズ、子ども時代のイーモン=カラン・オーウェンズ、ブレンダン=クリス・シンプソン、フィッツロイ神父=ダニエル・コステロ、ケヴィン=ショーン・マクドナー

 「アイルランドでは、『堕落』した女性を更正するためのマグダレン修道院では、修道女による折檻や虐待が常時行われていた。収容された女性は3万人にも上る。物語の舞台になっているのは、なんと1964年からの数年間。このような施設がすべて閉鎖されたには、1996年まで待たなければならなかった」「超保守的な世界が、干渉しにくい修道院の中に残っていた。19世紀のドラマだと思って見始めた自分の無知に気づかされた。現在もなお、訴訟が続いていると言う」「2002年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した」

 「レイプの被害者や未婚の母が、堕落したとしてマグダレン修道院に連れてこられた。その酷い実態を知らされていなかったとは言え、世間体ばかりを気にする家族の冷たさが何ともやりきれない」「物語は自分を見失わなかった3人の少女を中心に描かれる。半面クリスピーナは、神父にもてあそばれた末、精神病院に強制入院させられ、拒食症で死亡する。その悲惨な境遇を、アイリーン・ウォルシュが熱演している」「脱出に成功した少女たちに希望を見るとともに、多くの悲劇がクリスピーナの姿に象徴され、いたたまれない気持ちになった。加害者の修道女の内面を探っていれば、より見ごたえのある作品に仕上がっただろう」

『福耳−FUKUMIMI−』

2003年作品。日本映画。110分。配給=アルゴ・ピクチャーズ+シネマ・クロッキオ。プロデューサー=岡田裕(アルゴ・ピクチャーズ)、高橋洋(エックスヴィン)。監督=瀧川治水(たきがわ・ちすい)。脚本=冨川元文。撮影=栢野直樹。照明=矢部一男。録音=山田均。美術=山崎輝。編集=上野聡一。視覚効果=松本肇。音楽=大谷幸。里中高志=宮藤官九郎、藤原富士郎=田中邦衛、信長珪=高野志穂、神崎千鳥=司葉子、緑川貫太郎=坂上二郎、小林嘉孝=谷啓、大島良子=横山通乃、小林敦子=弓恵子、藤掛幸治=多々良純、赤津茜=千石規子、井上五郎=宝田明

 「青年の身体に、未練を残して死んだ高齢者が乗り移る。二人はひとつの身体を奪い合うが、やがて理解し合い、協力し合う。どたばたの末に『先が見えるとやる気がなくなり、見えないと不安』と悩む若者に、さまざまな経験を積んだ高齢者が『生きていくってことは見えないものを信じる勇気が必要』と、アドバイスする。笑いの後にしみじみとさせる人情劇だ」「宮藤官九郎の演技がむちゃくちゃ面白くって、何度も声を上げて笑った。ちゃらんぽらんに生きる青年が、こんなに似合う俳優はちょっといない」

 「シニア向け高級マンションに住む高齢者たちを描いているが、各人の設定は、かなり嘘くさい。しかし、司葉子、坂上二郎、谷啓、多々良純、千石規子、宝田明といった超ベテラン俳優が演じると、それが楽しさに転じるのには感心した」「悪人が一人も登場しない絵空事のコメディなのだが、観終わってすがすがしい気持ちになれる。それは、青年と高齢者の目指すべき関係を照れずに示しているからだと思う」「その願いには、切実なリアリティがある」

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■銀河・映画対談2003.10

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■銀河・映画対談2003.10


『DEAD END RUN』

 2003年作品。日本映画。59分。5.1chリニア、ドルビー・デジタル。配給=パイオニアLDC、東北新社。監督=石井聰互。製作=長澤佳也。脚本=浦辻純子。撮影=猪本雅三。照明=松隅信一。美術=須坂文昭。音楽=小野川浩幸。サウンド・ミキサー=大川正義。音響効果=小川高松。衣装=北村道子。振付=畠山慎一。タイトルデザイン=中島英樹。プロデューサー=長澤佳也。『LAST SONG』=伊勢谷友介、粟田麗『SHADOWS』=永瀬正敏、ロバート・ハリス『FLY』=浅野忠信、市川実日子、國村隼、田中要次、光石研

 「冒頭から音響の凄まじい迫力に圧倒される。非圧縮音源による5.1chリニアサラウンド。初期の石井聰互監督を思わせる暴れ回る映像と共振し、VJ的な映像が展開される。 このまま暴力的に突き進むのかと思っていると、静けさとともに不思議な世界に連れ込まれる」

 「3話構成で、走る男が登場するという共通性はあるものの、ストーリーはゆるくつながっているだけ。『LAST SONG』の思わぬ叙情に『SHADOWS』の無気味な笑いが続き、『FLY』のコメディタッチの軽さで締めくくる。『LAST SONG』の意外性、動と静の対比がもっとも印象的だった。2話、3話と後半に進むほど、緊張感がゆるんでくる」「『FLY』の結末は、蛇足だと思う」

 
『キル・ビルVol.1』

 2003年作品。アメリカ映画。113分。配給=ギャガ・コミュニケーションズ。製作・監督・脚本=クエンティン・タランティーノ。製作=ローレンス・ベンダー。アクション・コーディネーター=ユエン・ウーピン。美術=種田陽平。アニメーション=プロダクションIG(中沢一登監督)。撮影監督=ロバート・リチャードソン。ザ・ブライド=ユマ・サーマン、オーレン・イシイ=ルーシー・リュー、エル・ドライバー=ダリル・ハンナ、ビル=デヴィット・キャラダイン、服部半蔵=千葉真一、GOGO夕張=栗山千明

 「深作欣二監督に捧げられている。血潮以上に映画へのオマージュがあふれ、日本映画への敬愛が込められている。独創と模倣の奇跡的な融合、A級を笑い飛ばすB級テイスト、血に彩られた並外れたアクションの連続。過剰なまでの熱気をはらんだこの作品の誕生は、一つの事件だろう」「中沢一登監督が手掛けたオーレン・イシイの生い立ちを描いたアニメのテンションの高さに驚かされ、栗山千明演じるGOGO夕張(!!)とザ・ブライドのアイデアに満ちた対決シーンの魅力に心がわきたった」

 「復讐劇というのは、高水準の闘いをみせるための枠組みに過ぎない。タランティーノが観たいと思っているアクションシーンを私たちも楽しめば良い。ザ・ブライドが北野武の座頭市以上に強すぎるという点や、飛行機の座席にむき出しの日本刀を持ち込んでいる点など、突っ込みどころは多いが、それもタランティーノ流のお遊びだ。タランティーノ・ワールドで盛り上がればいいのだ」「Vol.2が半年も先というのも、続きを半年待ちわびた昔の冒険活劇のノリだろう」


『フレディVSジェイソン』

 2003年作品。アメリカ映画。98分。配給=日本ヘラルド映画。監督=ロニー・ユー(Ronny Yu)。製作=ショーン・S・カニンガム。製作総指揮=ロバート・シェイ。フレディ原案=ウェス・クレイヴン。ジェイソン原案=ヴィクター・ミラー。脚本=ダミアン・シャノン(Damian Shannon)、マーク・スウィフト(Mark Swift)。撮影=フレッド・マーフィ。音楽=グレアム・レヴェル(Graeme Revell)。特殊メイク=ビル・テレザキス。プロダクション・デザイン=ジョン・ウィレット。衣装=グレゴリ―・B・マー。フレディ・クルーガー(Freddy Krueger)=ロバート・イングランド(Robert Englund)、ジェイソン・ボーヒーズ(Jason Voorhees)=ケン・カージンガー(Ken Kirzinger)、ロリー=モニカ・キーナー(Monica Keena)、ウィル=ジェイソン・リッター、キア=ケリー・ローランド、ギブ=キャサリン・イサベル、マーク=ブレンダン・フレッチャー、リンダマン=クリス・マークエット、スタッブス代議員=ロックリン・マンロー

 「エルム街の大人たちは、子供たちに夢を抑制する薬を飲ませ、過去の事件を封印して、フレディの存在を忘れさせていた。危機感を覚えたフレディは、ジェイソンの夢を操り、ジェイソンを復活させ、エルム街の子供たちを殺させることで、人々に自分の存在を思い出させようとする。しかしジェイソンは次々に子供たちを襲い、フレディの獲物を殺しまくる。計画通りに運ばなくなったので、フレディはジェイソンの暴走を止めようとする。ジェイソンはフレディの策略に気づく。ふたりの壮絶な闘いが展開される」

 「いやあ。見ごたえがありましたね。夢の世界のフレディと現実世界のジェイソンを闘わせるアイデアが鮮やか。後半では、これでもかというくらい濃厚な二人の戦闘シーンが続く」「テンポが速すぎるきらいはあるものの、脚本は良くできていた。無機質な殺人マシーン化していたジェイソンの悲しい過去が明らかにされ、珍しくジェイソンに感情移入できる。そして少女の活躍によって、一応のラストを迎える。二人のスター(?)に圧されながらも、人間の怒りの底力を見せる当たり、映画のツボも心得ている。最初と最後のタイトルクレジットも切れが良い」「そしてパンフレットの内容も濃かった」


『リーグ・オブ・レジェンド』  

 2003年作品。アメリカ・ドイツ合作。110分。配給=20世紀フォックス。監督=スティーヴン・ノリントン(Stephen Norrington)。製作=ドン・マーフィ、トレバー・アルバート。製作総指揮=ショーン・コネリー、マーク・ゴードン。原作=アラン・ムーア、ケヴィン・オニール。脚本=ジェームズ・デイル・ロビンソン。撮影=ダン・ラウストセン。プロダクション・デザイナー=キャロル・スピア。編集=ポール・ルーベル。衣裳デザイン=ジャクリーン・ウエスト。音楽=トレバー・ジョーンズ。視覚効果スーパーバイザー=ジャネク・シルス。アラン・クォーターメイン(冒険家)=ショーン・コネリー(Sean Connery)、ドリアン・グレイ(不死身の男)=スチュアート・タウンゼント(Stuart Townsend)、ミナ・ハーカー(吸血鬼)=ペータ・ウィルソン(Peta Wilson)、トーマス・“トム”・ソーヤー=シェーン・ウエスト(Shane West)、ロドニー・スキナー(透明人間)=トニー・カラン(Tony Curran)、Dr.ヘンリー・ジキル/Mr.エドワード・ハイド=ジェイソン・フレミング(Jason Flemyng)、キャプテン・ネモ=ナサーラディン・シャー(Naseeruddin Shah)、M=リチャード・ロクスバーグ(Richard Roxburgh)、ダンテ=マックス・ライアン?サンダーソン・リード=トム・ゴールドマン=ヒル、ナイジェル=デイビッド・ヘミングス、イシュメイル=テリー・オニール


 「『ブレイド』のスティーヴン・ノリントン監督の待ちに待った新作。19世紀に生まれた架空の有名ヒーロー(?)7人が協力し、20世紀を象徴する悪と戦うという驚くべきファンタスティック・アクション・アドベンチャー。あまりの荒唐無稽さに笑い出したくなるような設定を生かし、畳み掛けるようなサービス満点の展開」「映像はアクションシーンに移ると動きが急になるので、動体視力が試される」

 「とにかく展開が早い。クライマックスの連続のような派手なシーンが続く。それでいて、時代の移り変わり、ヒーローたちの個性や苦悩をさりげなく描いている。車やノーチラス号の意匠も凝っていた。娯楽作ながら、文明論的な構図は、なかなか骨太」「19世紀をじっくり描き、ドリアン・グレイらの生きざまを盛り込んで150分くらいの長さにすれば、味わい深い作品に仕上がったかもしれない」「しかし、次から次へと繰り出される趣向を楽しむタイプの作品にしたので、物語が随分と軽くなった」

 「この作品、撮影方法で主演のショーン・コネリーとスティーブン・ノリントン監督が衝突。編集段階でも意見が対立し、エグゼクティブ・プロデューサーであるコネリーの意見が採用されたそう。二人の対立関係は、プレミア上映で監督が欠席するという事態になったそう。会見でショーン・コネリーは『この映画で一緒に仕事をした彼以外の人は、みんな素晴らしかった』とノリントン監督を批判したと伝えられている」「それでも、作品は面白い」

『マッチスティック・メン』   

 2003年作品。アメリカ映画。116分。配給=ワーナーブラザース。監督=リドリー・スコット。製作=ジャック・ラプキ、リドリー・スコット、スティーブ・スターキー、ショーン・ベイリー、テッド・グリフィン。脚本=ニコラス・グリフィン&テッド・グリフィン。原作=エリック・ガルシア。製作総指揮=ロバート・ゼメキス。撮影=ジョン・マシソン,B.S.C。美術=トム・フォーデン。編集=ドディー・ドーン,A.C.E。共同製作=チャールズ・J・D・シュリッセル、ジャニーナ・ファシオ。音楽=ハンス・ジマー。衣装=マイケル・カプラン。ロイ・ウォラー=ニコラス・ケイジ、フランク=サム・ロックウェル、アンジェラ=アリソン・ローマン、ドクター・クライン=ブルース・アルトマン、チャック・フレシェット=ブルース・マッギル、キャシー=シーラ・ケリー


 「リドリー・スコットが、コミカルタッチの詐欺映画に挑戦した。新しい分野というだけでなく、タッチもがらりと変わった。映像の質感が軽やかで、ニコラス・ケイジが演じる『超潔癖性の詐欺師』の悪戦苦闘ぶりを、肩の力を抜いたまま、楽しむことができる。そして、二転、三転するラストに、うなった」「絶妙の落とし所。うまい。よく練り上げられた素晴らしい脚本だ」

 「大どんでん返しがあるので、ネタばらしは避ける。最初から展開が分かってしまっていると、かなり白けるから。しかし、本当のどんでん返しは、悲劇に見えていた展開が、実はハッピーエンドであったという結末だ。この視点の転換は味わい深い」「14歳のアンジェラを演じたアリソン・ローマンは24歳。どうみても15歳前後の表情をしている。表面的な若作りではなく、雰囲気そのものがティーンなのだ。驚くべき演技派である」

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■27日に長さん追悼番組!

 27日午後7時から、TBSで2時間のいかりや長介さん追悼の緊急特別番組「長さんだョ!全員集合」が放送される。「8時だョ!全員集合」から、いかりやさんの活躍シーンを紹介。仲本工事、加藤茶、高木ブー、志村けんのドリフターズのメンバー4人とともに、急逝したドリフターズのいかりや長介さんをしのぶ。また、葬儀の模様を伝える。

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2004.03.25

■銀河・映画対談2003.09

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■銀河・映画対談2003.09

 「既存の映画文法を乗り越えた作品をつくり続ける河瀬直美監督の新作『沙羅双樹』。物語に参加するようでいて、よそよそしくもあるカメラの動き。対象との独特な距離感を持った映像が、不思議な雰囲気を醸し出す」「『ならまち』を舞台に死と生が淡々と描かれる。そこには、かつての監督が持っていた粘着性は影をひそめ、静かな時間が流れる」

 「ひとつのクライマックスである『バサラ祭』も、強い熱気をはなつわけではない。 町内会のお祭りの雰囲気。観客との距離は近いが、感動するほどの盛り上がりはない。監督自らが演じた出産シーンも、日常の中にさり気なく埋め込まれている。人々の生死を風土の中に溶け込ませるという『悟り』の境地に達したかのように」「人々に寄り添っていた視線は、最後に空へと上がっていく。そのシーンを見つめながら、河瀬監督が、何か大切なものを失ったように思った」

 「『永遠のマリア・カラス』という題名は、波乱万丈の生涯を送ったマリア・カラスの伝記的な作品を予想させるが、この映画は、マリア・カラスを良く知るフランコ・ゼフィレッリ監督の作り上げたフィクション。晩年のマリア・カラスの苦悩と矜持を描いていくが、自らの映画という表現への問いかけすら含む屈折した物語=手法を用いている」

 「声の衰えた晩年のマリア・カラスを主役にオペラ映画『カルメン』を製作するが、その声は最盛期の時代の歌声を使うという企画に参加したカラス。充実した現場を楽しみながらも、『まやかし』ではないかと悩む。ファニー・アルダンがカラスを演じ、歌声のパートはカラスの声が使われる。この映画も、しょせんはまやかしではないかという問いが隠されている」

 「その『カルメン』が何とも素晴らしい。カラスの歌声だけでなく、映画的にも傑作となりうるテンションを備えている。まやかしでも、虚構でも、感動的であることに変わりはない。しかし、オペラという生の舞台に立ち続けたカラスのこだわりも理解できる」「ファニー・アルダンとジェレミー・アイアンズの熱演を見つめながら、アートについての思いを巡らせ、マリア・カラスの天才性をかみしめていた」「長く余韻の残る傑作だ」

 「『28日後...』。秘かにダニー・ボイル監督のぶっ飛んだホラーを期待していたが、望みはかなえられなかった。映像は魅力的だったものの、ストーリーははんぱに真面目で、半分いい加減なものだった。しかし静まり返った無人のロンドンは圧巻。狂暴化したウイルス感染者が、窓ガラスを突き破って襲ってきた時の凄まじい恐怖もハイテンション。感染した仲間を躊躇することなく切り殺すシーンが、実に寒々しい」「まあね、序盤は良かったが、ラストに向かって不自然さが目立ち始める」

 「不自然さの極みは、バイク・メッセンジャーだった主人公が、急に強くなって武器を使いこなし、軍人たちに単身で勝ってしまうクライマックスシーンだ」「最初ひよわに見えた主人公が、愛する人を救うために、超人的な活躍をするという展開は、ハリウッドのウイルスに感染したとしか思えない」「ラストは、かなりストレートなハッピーエンド」「HELL+OでHELLOって、笑えない駄洒落。じつは、エンドクレジットの後に、別なラストシーンが紹介された。期待してバカをみた。こんなつまらないラストなら、わざわざ公開しなくてもいい」

 「『ドラゴンヘッド』は、大味。ウズベキスタン・ロケによる広大な廃虚のセット、火山弾などの迫力あるCGは、及第点。日本映画で、ここまで頑張れば納得という人もいるだろうが、私は物語がまるでダメなので失望した。パニック・アクション映画としての基本である飢餓や葛藤がリアルに描かれていないので、緊張感が高まらない」

 「飯田譲治監督は、極限状態での人間を描きたかったのだろう。それなら、原作のエピソードを詰め込むのではなく、めりはりのある展開でじっくりと登場人物を掘り下げるべきだった。主人公の二人でさえ、人間関係の変化や苦悶が浮き上がってこない。だから、最後に『希望』を語られても、心に響かなかった」

 「『座頭市』(北野武監督)が、2003年ベネチア国際映画祭監督賞(銀獅子賞)を受賞した。『勝新・座頭市』のイメージを打ち破るとともに、既存の時代劇の枠組みも飛び越えた娯楽映画の傑作。早足なテンポが心地よい。そこに金髪の座頭市によるスピーディな殺陣、どたばたコントが投げ込まれる。湿っぽい情緒は存在しない」

 「タップを取り入れたラストの群舞がユニーク。『ゲロッパ!』でも、ラストに全員が集まったダンスシーンが登場するが、『座頭市』では座頭市や服部源之助が参加していない。それが、深い意味を持っている」「『たそがれ清兵衛』、『あずみ』と時代劇の地平が広がったが、『座頭市』も可能性を大きく広げたと言えるだろう。どの殺陣が良いかではなく、その多様性にこそ注目したい」

 「『ファム・ファタール』は、ブライアン・デ・パルマらしいエロティック・サスペンス。カメラのしなやかな動きも、遊びに満ちた細かな仕掛けも、ハイセンスでゴージャスなセットも、ひねりの効いたストーリーも、まさにデ・パルマ」「ラストに向かう意外な展開は、あざとくて禁じ手ぎりぎりなのだけれど、丁寧な伏線を生かすことで、それを快感に変えてしまう。その確信犯的な振る舞いもデ・パルマ。すべてがデ・パルマの美意識に貫かれている」「だから、とても楽しい」

 「キャストでは、何と言ってもロールとリリーの2役をこなしたレベッカ・ローミン=ステイモスを讃えたい。シャープで硬質な美しさは、悪女役にぴったりだが、女優としての多面的な魅力を楽しんだ。あれだけ美形だと官能も直球だ」「坂本龍一の音楽も、妖しい作風にばっちりマッチしていた」

 「北村龍平監督の『ALIVE』。死刑執行が中止され、生き残るために密室での実験を選択した八代天周は、三枝百合華にとりついた『異次物』と遭遇させられる。ここまでの展開は、密室の心理劇が大半を占め、派手なアクションシーンはない。しかし、実験の背後に国家の陰謀が見え始めてくると、物語が大きく動き始め、アクションのテンションも上がっていく」

 「決め台詞のカッコ良さ、場面転換のセンスの良さ、ラストの切れの良さは、認めるとしても、基本となる物語がばらばらのまま終わってしまう。重いはずのテーマも、アクションシーンのお膳立てに過ぎないような印象を受けた」「『VERSUS』や『あずみ』に比べ作品的密度が不足している」「ただ榊英雄のとがった存在感とともに、りょうの表情豊かな妖艶さは収穫。小田エリカが、ややおとなしすぎたのが残念だった」

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■銀河・映画対談2003.08

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■銀河・映画対談2003.08

 「井筒和幸監督の『のど自慢』の群像劇も楽しかったが、新作『ゲロッパ!』は笑いと涙の見事なドラマに仕上がっている」「あえて紋切り型の設定を選びながら、巧みな構成で胸のすくようなクライマックスに運んでくれる。人情劇の王道を示した、観た後に元気の出る作品だ」

 「最初は、西田敏行ら出演者たちの大袈裟な演技に閉口した。しかし、やがてコテコテの展開に溶け込んで気にならなくなった」「常磐貴子は、美しいだけでなく、爽快な演技をみせる。そして太田琴音がおませな少女を魅力的に演じた」「喜劇には、こういう子役が欠かせない」

 「信じられないほど過酷な境遇ながら、驚くほど自由で創造的な人生を送ったフリーダ・カーロを明るく動的に描いた傑作『フリーダ』。ジュリー・テイモア監督のさまざまな遊び心が、作品をさらに楽しくしている」「画家をテーマにした映画では、トップクラスの出来栄だろう」

 「鮮やかな色彩に包まれ、華麗な衣装をまとったサルマ・ハエックは、美しくはつらつとしている。プロデューサ−も務めたハエックは、8年間の歳月をかけ、妥協を排して完成にこぎつけた。その情熱が映像からも伝わってくる」「カーロとハエックの激しい情熱が作品を輝かせている」「周りの名優たちが、個性的な役を的確に演じ、ハエックを引き立たせているのはさすがだった」

 「宮沢賢治を取り上げた切なくもはかない壊れやすい砂糖菓子のような『アンモナイトのささやきを聞いた』から11年。山田勇男監督の長篇作『蒸発旅日記』が、公開された。今回は、寺山修司、つげ義春、そして鈴木清順の美意識が絶妙に溶け合い山田勇男ワールドを超えた佳作」「山田勇男ファンとしては、嬉しいような悲しいような不思議な感覚に襲われた」

 「フィルムとしての微妙な質感はデジタル化で、やや失われているものの、映像のクオリティーはすこぶる高い。整い過ぎていることが欠点に思えるほど、どの映像も美しい。個性がぶつかりあうのではなく、つげワールドの奥行きの中に、きらきらと輝きながら収まっている」「俳優たちも、皆好演している。新月の少年役・七海遥の鋭角的な美しさとともに、妹・踊り子役・藤野羽衣子の肉感的にして母性的な存在感が、鮮烈に脳裏に残った」

 「『HERO』(チャン・イーモウ監督)。秦王と無名の対話で、二転三転するストーリー展開に合わせ、色彩が激変する。全編が高い水準の様式美で統一された、壮大なスケール感のアクション大作。巨大スクリーンで見なければならない作品だ」「人間ドラマの面白さよりも、次から次と展開される映像美に圧倒される。すべてがクライマックスを思わせる力の入れようだ」「99分だが、大作を観終わったような感慨を覚えた」

 「『グリーン・デスティニー』のめくるめくようなアクションと広大な自然景観との映像的調和は、軽々と乗り越えられてしまった。そして、アクションシーンよりも衝撃的なのが、黒澤明監督の『蜘蛛の巣城』を1000倍派手にしたようなおびただしい矢の飛来シーン。おそらく空前絶後だろう」「前半とラストで、効果的に使われている。ここまで映像に迫力があると、個性的な俳優たちの熱演もかすみがちだが、秦王役のチェン・ダオミンの聡明な演技が印象的だった」

 「『グリーン・デスティニー』のアン・リー監督が、人気コミックをどう料理するか、興味深く公開を待っていた。しかし『ハルク』は失敗作。挑戦的ではあるが、バランスが悪く、映像もドラマも中途半端。ちくはぐさと重苦しさだけが残った」「ラズベリー賞候補か」「巷では、巨大化しても破れないパンツネタで盛り上がっている。やれやれ」

 「ブルース・バナーがハルクに変身するまでが、やたらと長く、物語の盛り上がりが乏しい。ハルクのバトルは、砂漠のシーンなどで輝きを見せるものの、キャラクター的な地味さを克服できていない」「ハルクのCG質感は、精巧な粘土細工のよう。これって、もしかしてクレイアニメへのオマージュか。そんなわけないか」「ジェニファー・コネリーは、悲しみの表情は美しいが、控えめなまま終わってしまった」

 「フェルナンド・メイレレス監督の『シティ・オブ・ゴッド』は、ことしのベストフイルム。100点満点を献上したい最高にクールな社会派作品。ドキュメンタリータッチの生々しさと軽快な音楽、切れの良い映像、絶妙なストーリー展開が、きっちりとかみ合って、屈指の傑作が生まれた」「この密度の濃さと映画的な魅力に、打ちのめされ、幸せな時間を楽しんだ」

 「作品の冒頭から、あまりのテンポの良さに引きずりこまれるだろう。さまざまな映像的な仕掛けが、押し付けがましくなく、作品を盛り上げていく」「ブラジルのスラム街の血塗られた現実に肉迫しつつ、距離を置いたスタンスが素晴らしい」「深作欣二監督に見せてあげたかった。観たら、きっと嫉妬しただろうな」

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■銀河・映画対談2003.07

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■銀河・映画対談2003.07

 「『ターミネーター2』から、じつに12年目。『1』からのファンが待ち焦がれていた『ターミネーター3』だ。しかし、『さんざん待たせて、こんな出来かよ!!』と、思わず声を荒げてしまう、中身の乏しい内容でした」「ターミネーター対ターミネーターの、滑稽なほどに派手な破壊シーンを大音響で楽しめますが、それだけです」「ジョナサン・モストウ監督のせいではないが、何も新しさがない」

 「アーノルド・シュワルツェネッガーは、55歳なのにすごい肉体美とか、女性ターミネーター役のクリスタナ・ローケンは無表情で良かったとか、トイレのバトルシーンがユニークだったとか、そういう点しかほめることができないのは悲しいことだ」

 「人物がまったく描けていないことは置くとしても、せっかくの女性ターミネーターというアイデアがほとんど生かされていないのが残念。激しいバトルでも、何故衣装が破れないのか。教育上好ましくないからだろうか。なら、ターミネーターに最初から服を着せて登場させたまえ。変幻自在なのだから」「唯一の見どころ、100トンのクレーンを使った派手なカーチェイスは、大掛かりではあるけれど、大味な印象をぬぐえない」

 「『オール・アバウト・マイ・マザー』から3年。ペドロ・アルモドバル監督の新作『トーク・トゥ・ハー』は、究極の愛ならぬ究極の甘美なストーカー行為が奇跡と悲劇を生み出す物語。コミュニケーションの難しさを表現するピナ・バウシュのダンス『カフェ・ミュラー』で幕を開ける。すべてを象徴するように」「物語の展開は、アルモドバル作品としては、一見静かに見える。しかし人間洞察は確実に深まっている。巧みな話術で、さまざまな愛と孤独が、対比的に描かれていく」

 「まさにピナ・バウシュとのコラボレーションのような仕上がりだ。効果的に挿入されるカエターノ・ヴェローゾの『ククルクク・パロマ』の歌声も、切なく胸をうつ。 そして看護士ベニグノを演じるハビエル・カラマの静かな狂気、ほとんど昏睡状態のアリシア役レオノール・ワトリングの官能美、女闘牛士リディア役ロサリオ・フローレスの意思の振幅、ライター・マルコ役のダリオ・グランディネッティの美しい涙。いずれもが、長く心に残るだろう」「ただ、最高傑作とは思わない。私にとってのアルモドバル映画とは、運命に逆らおうとパワーを発揮する個性的な人々への賛歌だ」

 「『田んぼdeミュージカル』(伊藤好一監督)は、高齢者を中心とした穂別町民による自主映画作品。企画から編集まで全て初めての体験。しろうとが撮影し、しろうとが演技しているので、確かに限界はある。しかし、後半に向かって尻上がりに良くなった。平均年令74歳」「さすがに昔の宴会シーンの盛り上がり方は、年期が入っている」

 「よくある故郷自慢映画ではない。なにせ、全編とぼけた味のミュージカル仕立てなのだ。まず、とんでもないアイデアを実現してしまったのがすごい」「そして、地域の映像を生かしながら描かれる穂別の歴史、米とメロン、世代間の対立と和解、戦争の傷跡と、思い出の曲によるラストの人生賛歌。なかなか、みごとな構成だ」「道内212市町村で、さまざまな自主映画作品が誕生したら、素晴らしい」

 「1993年に『青い凧』で第6回東京国際映画祭グランプリを受賞しているティエン・チュアンチュアン監督の10年ぶりの新作『春の惑い』。1948年のフェイ・ムー監督『小城之春』をリメイク。2002年ヴェネチア国際映画祭コントロコレンテ部門でグランプリ(サンマルコ賞)を受賞した」「流麗なカメラワークの美しさ、気品ある衣装と美術の見事さ。抑制的でありながら激しさを秘めた男女の濃厚な三角関係が、描かれていく。素晴らしい」「端正な傑作という表現がぴったりの作品だ」

 「ティエン監督は、『青い凧』が中国共産党批判だと受け取られ、ブラックリストに名前が載って、久しく映画を監督することができなかった。今回、表面的には政治的なテーマを避けているが、物語の背景には時代の激変というテーマが隠されている。しかし、小さな男女の愛憎劇を取り上げたのは、政治的な配慮があったのだろう。そのことが、悲しい」「映画制作の困難な実情を推測しつつも、職人芸の世界に閉じこもってしまわないことを願ってやまない」

 「超話題作『踊る大捜査線』から、もう5年が経過したのか。伝説になりかけていた時の続編映画化。『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の公開時期は、なかなか考えている」「とにかく面白い作品にするために、強引に物語を転がしていく手法は、今回も健在。さまざまな伏線も、効果的に生かされている。飽きずに楽しんだ。ただ、肝心の犯人たちの計画自体が弱すぎて、本当の面白さには手が届かない」「新しい犯罪組織の形態を考えて、従来の捜査方法が通用しない展開になれば、厚みが出た。もっとも『踊る大捜査線』に、そこまで期待するのは無理だろう」

 「今回は、室井役の柳葉敏郎と和久役のいかりや長介が輝いていた。少しカッコ良すぎるくらいに、存在感があった」「初の女性管理官・沖田役の真矢みきは、嫌われ役ながら、さっそうとした振る舞いが印象的。監視システムオペレーターとして登場した小泉孝太郎は、警察組織にではなく映画に『政治』を持ち込むという高度なギャグだろうか」

 「物議をかもした『バトル・ロワイアル』から3年。『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』は、酷評に見舞われるだろう。ストーリーが欠点だらけで安直で、訳が分からない駄作として葬り去られるかもしれない」「しかし将来、日本の政治が大きな節目を迎えた2003年に、世界の多様性を強調しアメリカの世界支配を明確に批判した作品として位置付けられることだろう」「荒唐無稽な設定も、すべてをゲーム感覚でとらえ、現実の危険さに気づかなかった当時の日本に対する強烈な皮肉であったと評価されるだろう」

 「テーマは大人VS子供ではない。画一化VS多様性だ。その訴えかけは愚直すぎるかもしれない。ラストは甘い希望かもしれない。しかし私には、とてもリアルな作品に思える」「60年というスパンで歴史を振り返り、アメリカに空爆された国として日本とアフガニスタンを一気に結んだ視点は見事。深作欣二の遺作でなければ、公開が実現しなかっただろう政治的なメッセージが込められている」「その意味では、命を賭した深作監督らしい内容だ」

 「主人公・七原秋也役の藤原竜也は、順調に成長していて安心して見ていることができる。女性陣では、キタノの娘 ・栞を演じた前田愛の熱演に拍手。『ガメラ3』も良かったけれど、今回はさらにうまい」「加藤夏希、真木ようこも、はつらつとした強靱な個性を存分に発揮している」「ベテランでは、老いたレジスタンスの活動家・三村真樹雄を千葉真一が演じ、強烈な印象を残す」

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■広島原爆資料館展示一新!

 広島の原爆資料館は、原爆投下理由のコーナーを一新、原爆開発から投下までの経緯を詳細に追うため展示部分を約3倍に拡大し、30日から一般公開する。
 投下の要因として「米国が膨大な経費を使った原爆が戦争終結につながったと国内向けに正当化する必要があった」ことを新たに盛り込む。また、広島が第1目標とされた理由を「唯一連合国軍の捕虜収容所がないと思われていたから」と説明している。

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■「セサミ」はテレ東で!

 テレビ東京の菅谷定彦社長は25日、NHKが約28年間にわたり放送してきた英語教育番組「セサミストリート」を、10月からテレビ東京で放送する交渉を米国のプロダクションと進めていることを明らかにした。
 放送は週末午前中の予定。番組の大半は英語オリジナル版だが、日本の視聴者向けに「日本バージョン」を新たに加える。NHK教育での「セサミストリート」放送は4月3日で終了する。

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■アッカでも顧客情報流出!

 ADSL大手のアッカ・ネットワークスは25日、顧客リストの一部が外部に流出していたと発表した。流出した人数は不明だが、30万人分を超える可能性もある。同社の顧客データには、派遣社員や委託業者も含め466人がアクセスでき、インターネット経由やフロッピーディスクなどで持ち出すことも可能だった。

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■太陽にほえろの長さんも!

  「太陽にほえろ!」の「長さん」こと野崎刑事役で活躍した下川辰平さんが、25日午前3時30分、敗血症のため福岡市南区の病院で死去した。73歳。福岡県出身。葬儀は26日午前11時から福岡市南区横手2の34の3のトヨタ葬祭で行う。。「黒部の太陽」「戦争と人間」などの映画に出演した。

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■アゴが弱り脳巨大化!

 アメリカのペンシルベニア大などの研究チームは脳大型化が可能になった原因を突き止めた。類人猿の強じんなアゴの筋肉を作る働きがあった遺伝子が、約240万年前に機能を喪失し、アゴの筋肉で縛りつけられていた頭の骨が自由になり、脳の大型化が可能になった。
 人類は、約250万―200万年前に猿人から原人へ進化し、脳は大きさが猿人の2倍程度になった。今回の遺伝子が機能を失ったのは約240万年前と一致する。

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■三ツ矢歌子さん死去!

 女優の三ツ矢歌子さんが24日午後11時ごろ、間質性肺炎のため入院先の都内の病院で亡くなった。67歳。TBS「愛の劇場」シリーズなど数多くの昼のドラマに出演し「昼メロの女王」と呼ばれた。
  1956年、映画「君ひとすじに」で女優デビュー。その後テレビへ活動の場を移した。昼メロのあとは、母親役などでドラマに登場。一時入院したが1992年にはテレビ朝日「独占 女の60分」の司会で仕事復帰した。

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■「オーッス!」で見送り!

 いかりや長介さんの葬儀が24日、東京都の青山葬儀所で営まれ、ドリフのメンバー4人をはじめ約800人が参列した。多彩な年令層の一般ファンの約1万人も最後の別れに訪れた。遺族の希望で、棺はいかりや長介さんの口調をまねたファンの「オーッス!」や「長さん、ありがとう」の声と拍手で見送られた。

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2004.03.24

■映画にもインターン制度!

 東宝は、6月から東京の東宝スタジオで始まる「ゴジラ FINAL WARS」の撮影から大学生を映画製作現場に受け入れて研修するインターン制度を導入することを決めた。将来に向けた人材育成を図る。日本大芸術学部や早稲田大などで募集し3、4人を選考する。3、4か月間、日程や予算管理を担当する製作部のスタッフとして現場で働く。
 映画の人材育成を目指すならば、むしろ演出や撮影部門でのインターンを急ぐべきではないか。以前の映画会社は専属スタッフを抱え、映画製作の技術やノウハウが受け継がれてきた。しかし現代では大部分が作品ごとのフリー契約なので、蓄積された技術の継承が難しい。

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■懐かしいドリフのコント!

 普段は長い時間テレビを見ないのだけれど、テレビ朝日の3時間の「ザ・ドリフターズ結成40周年記念爆笑!スペシャル」を見てしまった。やはり懐かしかった。
 コントが面白い。さすがにつくり込んでいて古びない。さまざまな女優さんとのコントも、本当に面白い。みんな若くて、いかりや長介さんも若くて。笑いながら、悲しみの感情も湧いてきた。

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■ソニーが読書用電子端末!

 ソニーは24日、読みやすい文字を表示する読書用の電子端末を開発したと発表した。4月24日に「リブリエ」の名称で発売する。画面サイズ6インチ(800×600ドット)。厚さ約13ミリ、重さは約190g。カバーと電池を含めて約300g。単4のアルカリ乾電池4本で約1万ページ読める。店頭価格は4万円前後の見通し。
 4月1日から、ベストセラーを含む書籍本文のダウンロード販売を開始。パソコンか読書用電子端末を使って読むことができる。パソコンにダウンロードした書籍本文のデータを読書端末に移し、文字を表示させる。MACには対応していない。本体内蔵のメモリー(約10MB)には、約20冊分(1冊あたり250ページの場合)の書籍が記録できる。音声付きの書籍データでは、音声再生にも対応。
 また、MACユーザーは、無視された。

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■DVDの利用率3割超!

 市場調査機関の中央調査社が24日発表した個人向け先端商品の利用状況調査によると、DVDプレーヤー、デジタルカメラの利用率が3割を超えた。携帯電話では、カメラ付きのシェアがカメラなしを上回った。
 調査は全国の20歳以上の男女2000人を対象に2月実施。1383人から有効回答を得た。DVDプレーヤーの利用率は前年調査比8.8ポイント増の34.5%に、デジタルカメラは7.9ポイント増の33.9%にそれぞれ上昇し、3割の大台を超えた。携帯電話の利用率は6.4ポイント増の67.9%。カメラ付きのシェアが利用者の5割超を占めた。

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■ブルース刑事の死!

 「太陽にほえろ!」のブルース刑事を覚えているだろうか。23日、ブルース刑事役で出演した又野誠治さんが、死亡した。東京都杉並区西荻南の飲食店「Aサイン」で、首に布を巻き付け倒れているのを妻が発見した。不自然な状況だが、警察では室内に争った跡がないことなどから事件に巻き込まれた可能性は少ないと見ているようだ。
 まだ、43歳。彼があこがれていた松田優作も病で夭折したが、又野誠治さんの死も、あまりにも早い。映画やVシネマで、もっともっとあくの強い役を演じてほしかった。

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■江角マキコ国会デビュー!

 民主党の菅代表は23日、国民年金の保険料納付を高飛車に呼び掛ける社会保険庁のポスターに起用された江角マキコが国民年金に未加入だったことに関し「大変重大な問題」とし、江角本人を国会に参考人招致するよう求めた。
 菅氏は、保険料未納率が4割に上る国民年金制度の実態を浮き彫りにする観点からも、「江角さんに(事情を)聴くことが、本当の意味での国民年金に対する注意喚起になる」と強調した。
 個人的には、江角マキコに田中真紀子が質問すると、「マキコ対真紀子の高飛車対決」になり、国民の関心はすごく高まると思う。

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2004.03.23

■この世の外へ クラブ進駐軍

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 「この世の外へ クラブ進駐軍」は、阪本順治監督が、9.11の同時多発テロに触発されて取り組んだ作品。太平洋戦争終結から2年後を舞台にジャズを通じて人々が出会い、信頼しあった歴史を描いている。さわやかな後味を残す佳作。見事なセットに支えられて敗戦後の混乱ぶりと人々のバイタリティが伝わってくる。さらに、米軍の兵士たちの苦悩も丹念に追っている。登場人物へのまなざしは、みな温かいが、社会運動をして警察に弾圧される人たちへのまなざしには温もりが感じられない。
 音楽を通じた友愛という希望を浮き彫りにしようとした狙いは理解できる。しかし、「武器を楽器に」という監督の思いとは裏腹に、「武器も楽器も」戦争にかり出されているのが現実だろう。一方、音楽が壁を超えるきっかけになることも事実だ。ただし、異質なものを理解しようとしなければ、共存や平和は訪れはしないだろう。

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■ギネス認定ヘビ使い噛死!

 本望なのか、無念なのか-。ヘビと同じ箱の中で暮らす最長記録保持者としてギネスブックに認定されていたタイのヘビ使い、ブーンリュンさん(34歳)が22日、見せ物の最中にコブラにかまれて死亡した。かまれた後、周囲がすぐに病院に運ばなかったことが死につながった。ブーンリュンさんは、1998年にガラスの箱の中で複数のヘビと7日間過ごしてギネスブックに掲載されていた。

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■通夜に3500人参列!

 いかりや長介さんの通夜が23日、東京都港区の青山葬儀所で営まれ、植木等さん、立川談志さんら関係者や一般ファンら約3500人が参列した。式場には、ベースを手におだやかな表情をしたいかりやさんの「遺影」が飾られた。
 「8時だヨ!全員集合」などザ・ドリフターズのテレビを見て育った世代を中心に、幅広い年代のファンが参列。通夜が終わる午後8時には、ファンから「全員集合!」の声が上がった。

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ホラー小説大賞・お見世出し!

 角川書店・フジテレビ主催の第11回日本ホラー小説大賞の選考会が23日に開かれ、短編賞に45歳の大和王子さん(大阪府)の作品「お見世出し」が選ばれた。大賞、長編賞の該当作はなく、長編賞佳作に早瀬乱さんの「レテの支流」が、短編賞佳作には福島サトルさんの「とくさ」が選ばれた。

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■笑らかしてくれた江角!

 「将来泣いてもいいわけ?」「国民年金がもらえなくなるかも、って言ったの、誰!?」と、高圧的な姿勢がむかついた江角マキコの国民年金保険料納付の義務をアピールする社会保険庁CM。何様のつもりだ、と思っていた。
 しかし、当の江角マキコが保険料未納だったことが判明。福田康夫官房長官をして「ちょっと間が抜けたような気がする」と言わしめたのには、笑わせてもらった。これほどの「おバカ」は、ちょっとない。

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■ダメ度判定する人工知能!

 インデックスは、人間の感性を取り入れられる人工知能エンジン「ヴァイスコープ」(Weiscope)を開発したと発表した。従来技術では判断が難しかった恋愛や性格診断などにも利用可能。Webサービスや玩具、情報家電など幅広い分野での商品化・サービスを検討する。まず男女の「ダメ度」が計れるグッズをタカラが5月に発売する。

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■女性初プリツカー建築賞!

 建築界のノーベル賞として知られるプリツカー建築賞の2004年度受賞者が22日発表された。イラク生まれの英国人女性建築家、ザハ・ハディドさん(53)が選ばれた。女性の受賞は初めてだ。 オハイオ州シンシナティの現代美術館などの設計が評価された。
 授賞式は5月31日にロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館で行われる。日本人では過去に安藤忠雄氏ら3人が同賞を受賞している。

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■人工ダイヤ5倍早く成長!

 産業技術総合研究所ダイヤモンド研究センターの単結晶基板開発チームは23日、人工ダイヤモンドの単結晶を国内の従来の方法より5倍以上早く成長させる技術を開発したと、発表した。
 大型の人工ダイヤを作るには、メタンと水素をプラズマ状態にして反応させ、約1000度に熱した基板の上に結晶を作る「気相合成法」が向いている。研究チームはメタンと水素のほか、微量の窒素を加えてマイクロ波でプラズマ状態を作る工夫。縦横4ミリ、厚さ0.5ミリの種結晶を約1200度で成長させたところ、55時間で縦横7ミリ、厚さ2.8ミリの結晶になり、従来より5倍以上早い成長速度を達成した。半導体への応用が期待される。

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■長介さん葬で全員集合!

 いかりや長介さんの通夜が23日、葬儀・告別式が明日24日に東京・青山葬儀所で営まれる。葬儀では加藤茶がメンバーを代表して弔辞を読み上げる。仲本工事、高木ブー、志村けんも横に並んで、リーダーに別れを告げる。
 通夜、葬儀でファンの記帳を受け付ける。青山葬儀所では、1989年6月の美空ひばりさんの葬儀に4万2000人、1987年7月の石原さんの葬儀は3万3500人が訪れている。

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■太古の細菌群を発見!

 日本の潜水調査船「しんかい6500」が、インド洋の深海底水深約2500メートルで、300度以上の熱水と共に水素が噴出する「熱水孔」から地球で誕生した原始生命に近い細菌群を発見した。水素と二酸化炭素を取り込みメタンを出す細菌2種類と、その死がいとメタンを食べる細菌1種類。どの細菌も、酸素に触れると死んでしまう。
 これまでも深海底などの極限環境で酸素を嫌う細菌が見つかっている。しかし、生存には、プランクトンなど有機物が必要だった。酸素も有機物も要しない微生物の発見は、初めて。約38億年前に原始地球に出現した微生物も、地球の表層を避け、地球内部から出る物質だけに依存して生きていた。太古の細菌群は、深海で相互に依存し合う生態系を築いていたはずだ。

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2004.03.22

■ハルウララ106敗目!

 ハルウララ初勝利ならず!106敗。武豊騎乗でも10着だった 。高知競馬場(高知市)で105連敗中の人気馬・ハルウララ(8歳牝馬)と、中央競馬の武豊騎手のコンビが、22日の第10レースに登場した。その活躍ぶりを一目見ようというファンが全国各地から次々に詰めかけた。

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■自動翻訳機能付き携帯!

 かつての夢がまたひとつ現実に-。2007年、日英の音声自動翻訳機能が付いた携帯電話が実用化される。もちろん世界初。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が24日、電子情報通信学会で発表する。日本語と中国語、韓国語との自動翻訳機能付き携帯電話も開発中。2008年開催の北京五輪に合わせて実用化する計画だ。
 携帯端末のマイクに日本語で話すと、10秒弱で翻訳され、通話相手の携帯のスピーカーから自然な話し言葉の英語が流れる。英語から日本語も同じように翻訳可能。今回の自動翻訳では、英語検定試験「TOEIC」で600点レベルの日常会話や簡単なビジネス会話ができる。

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■24日にドリフ特別番組!

 3月24日。いかりや長介さんの葬儀・告別式の日に、テレビ朝日で「ザ・ドリフターズ結成40周年記念 ドリフと光子の爆笑!スペシャル」が放送される。加藤と志村がゲストとともにザ・ドリフターズの過去のコントを振り返る。いかりや長介さん追悼のテロップを挿入する。いかりやさんが1人で話している映像も含まれるという。
 一方、TBSは、4月10日に「8時だヨ!全員集合 加トちゃんケンちゃんがとことん見せます!スペシャル」を放送する予定。収録が終了していないので、追悼コーナーなどを設ける方向で検討している。

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2004.03.21

■「ドッグヴィル」の傲慢!

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 ラース・フォン・トリアー監督の新作「ドッグヴィル」は、アメリカ批判というよりも、普遍的な人々の弱さと傲慢を描いている。スタジオ内に、1930 年代アメリカの小さな町を作り上げ、その中だけで撮影を行った。本物のようなセットを作成するのではなく、通りや家の間取りを白い線で引いただけの、舞台のような空間に最小限の小道具を配置した。集落の全員の生活が筒抜けだという設定なのかと考えたが、この野心的なアイデアが効果的に生かされたようには思えない。低次元の露悪趣味にすぎないのではないか。

 人々の変心がポイントになるが、面白みのない紋切り型のストーリーだ。グレースに対するいじめや暴行は、もっと苛烈でなければラストの重さが響かない。ニコール・キッドマンも逆境の中で輝かない。トリアー監督お得意の高度な悪意に昇華していない。むしろトリアー監督の傲慢を感じたと言ったら、言い過ぎだろうか。「ドッグヴィル」は、勧めない。ぜひ、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観てほしい。

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■銀河・映画対談2003.06

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■銀河・映画対談2003.06

 「ドキュメンタリー作品以外では10年ぶりのヴェルナー・ヘルツォーク監督の新作『神に選ばれし無敵の男』。ナチスが台頭してきた1932年を舞台に、千里眼として有名になったハヌッセンと並外れた力持ちのジシェという2人の実在の人物を取り上げる。しかし、かつてのヘルツォーク作品のような極限的な状況、主人公の過剰な情熱、壮絶な映像美を期待すると、肩透かしをくらう」「過酷な時代にほんろうされた人々を描きながらも、重厚な展開にならず、静かに淡々と終わる。かつてのヘルツォークなら、後半にもう30分を使って、さらにドラマを盛り上げたに違いないが」「ただ、ジシェの夢の中に出てくるおびただしい数の紅い蟹の群れだけは、まさにヘルツォーク的センスだった」

 「ジシェ役は、『世界一の力持ち』タイトル保持者のヨウコ・アホラ、ジシェが思いを寄せるピアニスト・マルタ役は世界的なピアニストのアンナ・ゴウラリ。重要なキャストに、演技経験が全くない二人を抜てきした」「ナチスを手玉に取ろうとするハヌッセンには、名優ティム・ロスを選んだ。ティム・ロスの妖しい魅力は、複雑な性格のハヌッセンにぴったりだった」「そして、特筆すべきはジシェの弟ベンジャミン役のヤコブ・ウェイン。ユダヤ人にとっての宗教心の深さを象徴する名演技を見せる」「個人的にはウド・キアーの登場で、にやりとした」

 「2002年ベネチア国際映画祭審査員特別大賞を受賞した塚本晋也監督の新作『六月の蛇』。ブルーグレイの映像が印象的。一人のストーカーの過酷な行為が、こわばった夫婦の関係を壊しつつ再構築するストーリー。いつもながら、激しく痛みをともなう展開だが、最後は夫婦の新たな関係というハッピーエンドで終わる」「いつものような突き抜けていく破壊力はない」「物足りないな」

 「黒沢あすかの官能性には、はっとさせられた。欲動のほとばしりが、凄まじい。彼女の捨て身の演技がなければ、とてもぬるい作品になっただろう」「潔癖性の夫役をコラムニストの神足裕司が演じているが、納まりが悪かった。確かに熱演しているのだが、役になりきっていない」

 「『ソラリス』(スティーヴン・ソダーバーグ監督)。予想はしていたが、これほどまでに無惨な出来とは」「ソダーバーグの新作は、スタニスワフ・レムの小説に込められた『未知の知的生命体との出会い』という刺激的な主題を避け、『愛はすべてに勝つ』というハリウッド的な凡庸きわまりない結末でお茶を濁した。理解不能な異質の知性体に対して困惑し、自分におののく人間たち。『ソラリス』を映画化するのなら、驚くべき宇宙体験によって、人間の内面の不可解さがあぶりだされる展開にならなければ、意味がない」

 「ソダーバーグの作品には、1972年のソビエト映画『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督)のような、思索を促す静ひつな映像の力がまるでない。ラブシーンがあり、あとはどたばたしているだけだ」「ソラリスの海は幻想的だが、うわべだけの美しさに感じられる」「ただ、リメイクした功績は大きい。タルコフスキーの『惑星ソラリス』が注目されるだろう。そして、スタニスワフ・レムの大傑作が広く読まれるきっかけになるだろう」

 「なつかしいフイルム・ノワールの味を持った血なまぐさい『L.A.コンフィデンシャル』で、多くの観客をうならせたカーティス・ハンソン監督は、デトロイト出身で世界的な人気の白人ラッパー・エミネムの自伝的な作品『8Mile』で、またも観客をうならせることだろう」「さびれた街デトロイトで、白人としてのハイディを背負いながら、ラップで自分を表現しようとするジミー。挫折を繰り返す中から、自分の困難な立場を突き放して笑い飛ばせる過激な言葉を生み出し、成功していく」「展開が、きれいすぎるようにも思えるが、エミネムのひたむきな姿勢によって、まっすぐな作品に仕上がっている」

 「エミネムは、俳優としても驚くほど魅力的だ。誰もが、悲哀と怒りと誇りがないまぜになった彼の鋭いまなざしに引き込まれるだろう」「クライマックスのラップ・バトルで、始める前に相手を見据え、無言で力を貯える瞳の輝きが、忘れられない。次の瞬間、露悪的で道化的な、ハイセンスのラップを叩き付ける。それは素晴らしくエキサイティングなシーンだった」「バトルで優勝した後、夜のプレス工場に働きに帰る場面は、並みのサクセスストーリーを超える静かな感動を運んでくれる」

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■銀河・映画対談2003.05

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■銀河・映画対談2003.05

 「『アメリ』のオドレイ・トトゥが主演している注目作『愛してる、愛してない...』。監督・脚本は、26歳の女性、レティシア・コロンバニ。最初の可愛らしい映像を見せられて、まんまと騙された」「『アメリ』を観てから制作したわけではないが、オドレイ・トトゥのチャーミングなイメージが広まっていたことで、この作品の切れが格段に良くなったと思う。観客動員効果も含めて、幸運な映画だ」

 「パンフレットを買うと、『観賞後にお読みください』という帯封がされていた。ネタバレを避けながら映画評を書くことが難しい。一輪の薔薇がとても重要なカギになっている。これくらいは明らかにしてもいいだろう」「『あなたがバラをくれたから、私は心にケガをした』という宣伝コピーは、とても上手い。中盤に驚くべき視点のどんでん返しがある。そして、映画の後半は、それを丁寧に解き明かしていく構成だ」「本当に懇切丁寧に辻褄を合わせていく。無気味に変化していくアンジェリクの美術作品は迫力満点。最後の薬アートは必見だ」

 「先々行レイトショーで、待望の『マトリックス リローデッド』(アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー監督)を観た。爆笑アクション映画だ。私は、前作『マトリックス』のいかがわしさを批判したが、あれから4年。世界は、『マトリックス』のようにいかがわしさを増している。 世界の『マトリックス』化は、確かに進んでいる。『リローデッド』は、荒唐無稽さを加速、それに居直る形で笑えるほど複雑化している。そう、笑って楽しむべきなのだ」「すべてを蹴散らして猛スピードで飛ぶネオのスーパーマンぶりには笑うしかない。ザイオンに住んでいる解放されたはずの人類に、あまり知性を感じないのも笑える」「『何が真実なのか』『本当の自由はあるのか』『システムの外に出ることは可能か』という問いも発せられている。たしかに根源的な問いだ。しかし、答えはいつも平凡に終わるもの。次回に期待してはいけない」

 「カーチェイス・シーンは、これまで観たことがないくらいに素晴らしい。CGが発達したからではない。実際に何キロものハイウエイを建設して撮影するという無謀な試みが、この迫力を生んでいる」「前作で話題になったアイデアは、ほとんど『ブレイド』(スティーブ・ノリントン監督)が先取りしていたが、とびきりめりはりの利いたカーチェイスは新しい地平を切り開いたと言える」「カンフーシーンは長過ぎるきらいがあるものの、アクションはかなり工夫している。キアヌ・リーブスもキャリー=アン・モスも優美で決まっている」「モニカ・ベルッチのパーセフォニーは、奇妙な役で、理解不能。ただ、美しさは人間離れしていた」「最後には、全員フィギュアに見えてくる。『マトリックス』万歳」

 「『めぐりあう時間たち』(スティーヴン・ダルドリー監督)。1923年のイギリス・ロンドン郊外で『ダロウェイ夫人』を執筆しているバージニア・ウルフ。1951年のロサンジェルスで『ダロウェイ夫人』を読んでいる妊娠中の主婦ローラ・ブラウン。そして2001年のニューヨークで長年の友人であるエイズの詩人から『ミセス・ダロウェイ』と呼ばれている編集者クラリッサ・ヴォーン。3つの時代、3人の女たちは、日々の生活に違和感を感じながら、生きている。3人の一日が並行して描かれ、かすかに出会い、そしてすれ違う」「分かりやすい作品ではないが、重苦しい雰囲気ではない。柔らかな色調の映像とともに進む物語に静かに浸りながら、さざ波のような内省が始まる。それは新鮮な心の動き」「豊かな時間とのめぐりあいだ」

 「ニコール・キッドマンは、顔を変え個性を消し去り、自死へと傾斜していくバージニア・ウルフの立ち振るまいに徹し、見事第75回アメリカアカデミー賞の主演女優賞に輝いた」「メリル・ストリープの激しく揺れ動く感情表現には、何時も引き込まれる。収穫だったのはジュリアン・ムーア。いつもはどこかよそよそしい演技が、今回の違和感を抱える主婦にぴったり。妊娠中に自殺しようと試みる難しい役どころをこなした」「そして、子役が印象的。子どもたちのまなざしは、大人たちの苦悩を見通しているように鋭く、しかし温かかった」

 「『あずみ』。チャンバラ映画は、こうでなければ!!。超ハイテンションアクション映画『VERSUS』の北村龍平監督が、時代劇の殺陣シーンの面白さを思い出させてくれた。『七人の侍』に匹敵する快挙だ」「カメラワークの素晴らしさは、どうだろう。編集の巧みさは唖然とするばかり。惚れ惚れと見とれた。刺客という過酷な物語を極上のエンターテインメントに仕上げている。多少の欠点は気にならない」

 「あずみを演じた上戸彩は、あどけない笑顔と怒りに満ちた意志的な表情を見事に使い分けた。刀さばきも決まっている」「殺人を愛する最上美女丸役のオダギリジョーが、むちゃくちゃかっこいい。真っ白の風に揺れる衣装に真紅の薔薇を持つという、時代考証を超越した絵づくりも支持したい」「二人の対決シーンの斬新なアイデアとスピード感がたまらない」

 「平山版『魔界転生』。『愛を乞うひと』、『OUT』の平山秀幸監督なので、1981年の深作版とは違った、ひねりを見せてくれるのではないかと期待していた。しかし、写実的な時代劇と控えめなホラーCGをつなぎ合わせただけの、退屈で盛り上がりに欠ける作品になった」「主題がはっきりせず、最後まで、ハラハラ、ドキドキ感がなかった」「深作欣二監督の『魔界転生』は、山田風太郎の忍法帖小説『魔界転生』に反権力、禍々しさ、官能性を見い出し、ケレン味たっぷりに演出、わくわくする面白さがあった」

 「ホリ・ヒロシの衣装には首を傾げた。とりわけ天草四郎の衣装は、勘違いではないか」「深作作品の辻村ジュサブローの耽美的なデザインに遠く及ばない。窪塚洋介が天草四郎を演じたのも疑問だ。彼の色気は、天草四郎の色気とは違う」「柳生十兵衛役の佐藤浩市も、センが細い。どうしても沢田研二、千葉真一と比べてしまう」「クララお品を演じた麻生久美子に、とろけるような妖艶さを期待するのは無理だろう」

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■銀河・映画対談2003.04

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■銀河・映画対談2003.04

 「『オー・ド・ヴィ』(篠原哲雄監督)は、『エロス』と『タナトス』に『酒』が絡む最近珍しいタイプの大人のメルヘン」「こういう作品が、函館オールロケで誕生したことが嬉しい。人間の屈折した欲動を乱暴にかき集めて蒸留したような味わい。お酒と同じく、好みが分かれるだろう」「女たちが微笑みを浮かべて死に、男たちが取り残されるというのが面白い。深い傷をかかえながら、ひょうひょうと生きる主人公・順三郎に人間的な魅力を感じるかどうかが、ポイントだ」

 「鰐淵晴子、朝加真由美、小山田サユリ。私の好みの女優が共演しているので、個人的には評価が高い。鰐淵晴子は『遙かな時代の階段を』(林海象監督)、朝加真由美は『純』(横山博人監督)、小山田サユリは『ボディドロ ップアスファルト』(和田淳子監督)。それぞれに代表作を持っているが、この作品も長く記憶に残ることになるだろう」「とりわけ鰐淵晴子の熱演には、近年のカトリーヌ・ドヌーブを彷佛とさせるものがある」
 「冨樫森監督が、『ごめん』に続いて、また忘れられない傑作を届けてくれた。『星に願いを。』。香港アカデミー賞3部門を受賞した『星願(セイガン)』のリメイク。『オー・ド・ヴィ』とともに、函館オールロケ。街のたたずまいを生かして、物語は進む。市電を生と死のはざまとして使うアイデアも『オー・ド・ヴィ』と似ている」「最近よくあるタイプのラブストーリーなのだが、冨樫監督らしい自然でさりげなく、しかし繊細な映像に、いつしか心を揺さぶられ、涙が止まらなくなった」

 「主人公の看護婦・青島奏役の竹内結子が、驚くほど上手い。『黄泉がえり』でも、つぼを心得た演技をしていたが、今回は悲しみと喜びがダイレクトに伝わる渾身の熱演。派手さはないが、久々の演技派といえるだろう」「姉役の牧瀬里穂は、脇役ながら個性的な存在感を見せていた。その成長ぶりが嬉しい」

 「『ボイス』(アン・ビョンギ監督)は、『ホラー・ムービーをなめとるのか!』と怒りたくなるような、過去の作品の継ぎはぎだらけの内容。大きな音を出せば良いというものではない」「恐怖の演出が刹那的で、恐ろしさが高まっていかない。ストーリーがおざなりで、散漫。2時間サスペンスドラマではないのだから、身近な人間関係だけで、物語をまとめないでほしい」

 「女優たちは、皆なかなかの美人で、そこそこ熱演している。しかしながら、ホラーに必要なアクの強さが欠けている」「ただ、子役のウン・ソウの痙攣的な名演技だけは、評価しなければならない。この派手さが必要。私は、『エクソシスト』のリンダ・ブレアを思い出していた」
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 「『ドリームキャッチャー』(ローレンス・カスダン監督) は、ハラハラどきどきして、観終わった後にストーリーを忘れてしまった方が良い娯楽作品。面白い物語をつくるために、都合良く設定された点が目立ち過ぎる」「登場人物が、個性を生かす前にストーリーがどんどん進んでいく。そして古典的な宇宙人侵略ものとしての結末が用意されている」

 「スティーブン・キングの作品だけに、面白い。しかしながら、その面白さのために犠牲になっているものも多い。前半の青春映画的な面白さが、唐突に後半のパニックSF的な面白さに切り替わる。面白いんだけれど、強引すぎる」「ハッピーエンドの後『どうやって感染したの』『隔離された人たちはどうなるの』などと、あれこれ考えない方がいい」

 「『マトリックス』から『マトリックス・リローデッド』への橋渡しに位置付けられているCG作品『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』が同時上映された。ウォシャウスキー兄弟が脚本を執筆し『ファイナルファンタジー』のアンディー・ジョーンズが監督している」「短編ながら見どころ満載で、『ドリームキャッチャー』の化け物エイリアンよりも、印象に残った」

 「1920年代の退廃的なシカゴを舞台にした、ボブ・フォッシーの傑作演劇『シカゴ』。1975年の初演の後、1996年にフォッシーの弟子アン・ラインキングによってリバイバルされている。今回の『シカゴ』(ロブ・マーシャル監督)はリバイバル版の映画化。2003年のアメリカアカデミー賞で作品賞を含む6部門を受賞した」「舞台の映画化の仕方とミュージカル映画の手法にとって、新しいアプローチを採用した。巧みというより、分かりやすい。ミュージカルの部分は、舞台か幻想シーンなのだから」「官能性と退廃感は乏しいが、娯楽性と開放感は十分だ」

 「最初から、迫力満点の舞台を見せてくれる。そしてすぐに事件へとなだれ込む。ストーリー展開は軽快そのもの。ミュージカルシーンはどれも魅力的」「特に腹話術とあやつり人形の場面は、ユーモアあふれるアイデアが生かせれていた。思いついても、なかなかできるものではない」「絞首刑の場面といい、辛らつな場面で笑いをとる姿勢は素晴らしい。それでいて、しっかりと時代を批判している」

 「俳優では、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの存在感に圧倒される。『トラフィック』の貫禄のまま、歌って踊るのだから。こういった姉御肌のセクシーさは、とても貴重だ」「リチャード・ギアの軽妙さは、予想以上だった。さすが。強い女たちの中で、持ち味を発揮している。そして、主人公役のレニー・ゼルウィガー。キャサリン・ゼタ=ジョーンズの迫力の前にはかすんでしまいそうだが、身体的なハンデを、演技力で辛うじてカバーしている」

 「パトリス・ルコント監督の優れた作品は、官能的でシャープで機知に富んでいる。しかし、この『歓楽通り』は、娼館が舞台であるにも関わらず官能性が乏しい」「物語のテンポは早いものの、展開にシャープさが感じられない。そして、冒頭のシーンの種明かしがラストにあると言う仕掛けは、ルコント的ではあるが、唸らせるような意外性はなかった」「大人のおとぎ話に徹するあまり、映像のねちっこさが薄れている。残念」

 「ヒロイン役のレティシア・カスタに魅力を感じる人は多いのだろうか。どこか退廃的な美しさは認めるとしても、俳優としての深みには欠ける」「主人公プチ=ルイを演じたパトリック・ティムシットは、無償の奉仕に生き甲斐を感じる男を、それなりに描いてみせるものの、イノセントさだけで葛藤がなく、やはり人間的な魅力に乏しい。『ペダル・ドゥース』(ガブリエル・アギヨン監督)の方が、ずっと生き生きしていた」

 「『青の炎』。蜷川幸雄が映画監督したのは、『魔性の夏』(1981年)以来なので、21年ぶりのこと。宣伝コピーは『こんなにも切ない殺人者が、かつていただろうか』 。本当に切なくなる悲劇的な青春映画だった」「二宮和也と松浦亜弥が共演しているが、ただのアイドル映画ではない。二人のみずみずしさを生かしながら、丁寧に小説の味わいを醸し出した」「『愛する家族を守るために』殺人を犯す17歳の少年の繊細で切実な物語。二人は、アイドルの枠を超えて、熱演している」

 「二宮和也は揺れ動く少年の心を何気ないしぐさで表現した。なかなかの感性だ。松浦亜弥は、とがったボーイッシュな役に挑戦。少年の幻想の中だけでアイドルのように微笑む。ラストの無念さをたたえて悔むまなざしが、忘れられない」「秋吉久美子の微妙な位置で苦しむ母親役も印象的。俳優デビューの山本寛斎は、怪演といえる」

 「デイヴィッド・クローネンバ−グ監督の『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』という邦題は苦しい。素直に『スパイダー』だけで、良かったと思う。映像は近年の雰囲気ではなく『デッドゾーン』(1983年)に近い」「過剰な想像力ではなく、研ぎすまされた映像美。湿って冷え冷えとした映像は、少年の深い孤独と悲しみを表現している。献身的な愛する母が粗暴な父に殺され、外見そっくりな娼婦が入れ代わって母になりすましている。少年は、その女を殺す」「母親の両面性、父との対立関係という少年期の切実な問題が根底にあるだけに、その妄想は説得力がある。封印していた記憶をむりやり引き出される戦慄を覚えた」

 「レイフ・ファインズは、相変わらずうまい。ほとんど独り芝居のようだが、少年期のトラウマを引きずっている統合失調症の男を体現していた。『レッドドラゴン』のフランシス・ダラハイドよりも、リアリティがあった」「ミランダ・リチャードソンは、母親と娼婦など複数の対極的な役を、的確にこなしていた」

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■イノセンスの情景・隠し映像!

 「イノセンスの情景」DVDのシークレットトラックのひとつを発見した。「DOG BOX」という犬のシーンの2分程度の映像。それほど、素晴らしいものではない。
 シークレットトラックというと、Chapterの中に隠されていることが多いので、いろいろ試みてみた。しかし、最初に見つけたのは、冒頭部分。「私的視聴に限りうんぬん...」という注意事項の後に、「I.G.」という大きなロゴが出る。ここで、「決定」を押すと、「DOG BOX」が始まる。そのままにしていると通常の壱「新世」が始まってしまう。

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■銀河・映画対談2003.03

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■銀河・映画対談2003.03

 「2003年3月21-23日に札幌市内のアトリエインディゴで『映蔵庫3』が行われた。フランス・リヨンのアジアンフイルム&カルチャーフェスティバル2002に正式出品された長沼里奈監督の最新作『丹青な庭』のほか、鄭有傑(チェン ヨウチェー)監督の『BABYFACE』と菊池 玄摩(きくち・はるま)監督の『tokyo missindustry』を観た」

 「長沼監督の作品は『砂』『威風堂々』を観ていたが、『丹青な庭』(37分)は、飛躍的な完成度の高さをみせる。つくり込みの入念さも半端ではない。何よりも、映像に風格がある。古典的なテーマ性といい、とても20歳の作品とは思えない。早熟で素晴らしい出来だ。Sleepyによるエンディングテーマも、見事にマッチしていた」

 「『BABYFACE』は、ゆったりとした映像の後に鮮やかなラストがやってくる。冒頭のシーンが、伏線であったことが分かって、思わずにやり。『tokyo missindustry』は、以前一度観ていたが、3月20日イラク戦争に突入した今見ると、また違ったリアリティを感じた」「ひりひり」

 「『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(スティーブン・スピルバーグ監督)は、最初の粋なクレジットタイトルから、1960年代の雰囲気を漂わせる。天才的な詐欺師の実話をもとにした、肩の力が抜けた娯楽作。両親の離婚を経験した多感な少年が家出し、生活のために小切手詐欺を思いつき、やがてパイロット、医師、弁護士になりすまし大金を手に入れる本格的な詐欺師へと成長していく」「特権的職業に対する先入観を利用する手口は巧み。とくにマイアミから海外へと脱出するための演出は、拍手喝采したくなるほど見事。つかまった後は、警察の詐欺捜査に協力して出獄し、詐欺防止小切手を考案し金融機関から多額のお金をもらっている」「最後まで、やるなあという感じ。後味が爽快だ」

 「レオナルド・ディカプリオは、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の熱演から一転して、茶めっけたっぷりの機知に長けた軽快な詐欺師を好演している。パイロット姿がかっこいい」「トム・ハンクスは、地味なFBI捜査官を演じているが、ラストにかけてディカプリオと並ぶ存在感を見せ始める。さすがだ」「主人公・フランクの父親役クリストファー・ウォーケンの貫禄ある演技も見物。この作品は、父と子の物語でもある」「その分、やや女性陣が精彩を欠く」

 「『夜を賭けて』(金守珍監督)は、1958年の日本。兵器工場跡に忍び込んで鉄くずを運び出し、それで生活するタフな集団が、警察につぶされるまでを描く」「エネルギーに満ちあふれた活劇。こんなに脂ぎった作品は、本当に久しぶり」「1970年代の日本映画の熱気を思い出した。在日韓国・朝鮮人問題が、正面から取り上げられている。今さら、この時代を描かなくても良いと言う人もいるだろうが、近年の日本の状況を見ていると、もう一度戦後に思いをめぐらせた方がよいと思う」「そういう意味では、極めて今日的な作品だ」

 「俳優たちは、共同生活をしながら撮影に取り組んだ。山本太郎のハイテンションぶりは痛快。李麗仙、六平直政、樹木希林、清虹子、唐十郎、風吹ジュン、奥田瑛二らのベテランが、作品に厚みを持たせる」「とりわけ、この作品が遺作となってしまった清川虹子の熱演が、心に残った」

 「『戦場のピアニスト』は、2002年度カンヌ国際映画祭パルムドール作品。母親を収容所で亡くし、幼いときクラクフのゲットーで過ごした経験を持つ68歳のポランスキー監督が、自らの実体験を下敷きにしながら、ポーランドの名ピアニスト・シュピルマンの回想録もとに、ナチスの支配、殺りくを生き延びたピアニストの奇跡の生存を描く」「無慈悲な虐殺が次々と繰り返されるが、カメラは人々の姿を静かに見つめ続ける。虐殺からも抵抗運動からも距離を置いた映像。その抑制が、多くのホロコースト映画とは違ったリアリティを生んでいる」

 「シュピルマンは、名ピアニストであったこともあり、多くの人たちに助けられ、最後にはドイツ人将校にまで救われる。しかし、シュピルマンは極めて例外的に幸運だったというだけだ。戦争の中でも変わらない音楽の力、特権性を浮かび上がらせていると理解するのは誤りだろう」「戦争と音楽の関係は、それほど単純なものではない。だから、ナチス将校にショパンを弾いてみせる場面やラストのコンサートシーンには、感動できない」

 「『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、最高に面白く、それでいてアメリカの現在を鋭く分析したドキュメンタリーの傑作。マイケル・ムーアのジャーナリストとしての本領発揮だ」「1999年4月20日にアメリカのコロラド州リトルトンのコロンバイン高校で、男子生徒二人が銃を乱射し多数の死傷者を出した事件を皮切りに、アメリカの銃による殺人事件が異常多い原因を探っていく」「これまでは漠然と『アメリカには銃がたくさんあるから』だと思っていたが、同じように銃がまんえんしているカナダで殺人事件が少ないという事実を明らかにし、別な要因探しが始まる。カナダ人が家にカギをかけないという事実には驚いた」

 「そして、管理主義教育の問題、マスコミの犯罪偏向報道などが取り上げられ、恐怖が日常化しているアメリカの雰囲気が意図的につくりあげられているという分析につながっていく。恐怖心を煽ることで消費を加速させ、国家としての統合を図る構造。それは経済政策であり、政治戦略だといえる」「全米ライフル協会会長のチャールトン・ヘストンをへこませたり、銃被害者がKマート本部と掛け合って弾丸の販売をやめさせたりする後半の痛快な展開よりも、この指摘は重要だ」「同時多発テロ以降のアメリカの冷静さを欠いた動向をも予測した卓見である」

 「『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(ピーター・ジャクソン監督)は、期待以上の出来栄だった。『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』をはるかに凌ぐ水準の高さに、震えが来た」「壮大な自然の中で繰り広げられるスリリングで緻密なストーリー。3時間があっという間に過ぎていった。明と暗、大と小のバランスが良い。目がくらむような俯瞰シーンから、小さな子供のおびえた表情まで、監督のまなざしは広く深い」「膨大なセットとエキストラを用意し最新のCG技術を駆使しているのに、ミニチュアを駆使した手作り感がある。血なまぐさい戦闘シーンに満ちているのに、透明な崇高感がある。不思議な魅力に満ちた作品だ」

 「登場人物も、さらに生き生きと個性を発揮している。フロド役のイライジャ・ウッドが、こんなに素晴らしい熱演を見せてくれるとは。指輪の邪悪な力に影響されながら、必死で踏み止まろうとする姿。前作での控えめな演技は、今回のための伏線だったのかもしれない」「アラゴルンを演じるヴィゴ・モーテンセンの精悍さには、ますます磨きがかかった。ガンダルフ役イアン・マッケランの神々しい演技にもみとれた」「CGで描かれたゴラムは、最初は場違いな印象を受けたが、次第に物語に溶け込み、名演技を見せる」

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■銀河・映画対談2003.02

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■銀河・映画対談2003.02

 「吉田秋生の漫画が映画化された。『ラヴァーズ・キス』(及川中監督)。鎌倉を舞台に6人の高校生の交錯した恋愛を描いた作品。高校生という微妙な時期のひりひりする一途な思いと心の揺らぎをすくいとっている」「同性愛や性的なトラウマという深刻なテーマが流れているものの、最後は晴れ晴れとした印象を残す。たおやかな青春映画だ」

 「難しい役を演じなければならなかった主役の平山綾、成宮寛貴には堅さが目立ち、やや荷が重すぎた。それでも、今後の成長に期待が持てる。温かな目で見ていよう」「宮崎あおいは、役を的確に把握する才能を発揮している。市川実日子の成長がめざましい。西田尚美も、余裕の演技をみせる」

 「『アカルイミライ』。幅広い映像的な試みを楽しめた点は評価するが、黒沢清監督の作品としては、どうにも分かりやすすぎる。いつも、人間の得体のしれなさを描き、その状況に置き去りにされるラストに衝撃を受けてきたが、今回は妙に明るく終わっている」「増殖するクラゲの暗喩も直接的だ。北村道子の衣装は独創的だったが、最後の高校生たちが着ているチェ・ゲバラのTシャツは、ぶち壊しだった。ゲバラを反抗のシンポルにしようという安易な選択。すっかり古い構図に作品を押し込めてしまった」

 「有田守が全共闘世代と思われる藤原夫妻を惨殺する展開は、いつもながらの黒沢作品。しかし、分かりやすいメッセージを残して有田守が自殺、父親が登場し、仁村雄二と親密になる物語の流れは、とても浮ついている」「特に監督の願いが託されているはずの父親に、リアリティがない。藤竜也には、もっと暴れまわってほしかった。世代間の憎悪は悲しいことだが、それが時代を変えるバネになるのも現実」「物わかりの良すぎる大人は、かえって気持ちが悪い」

 「繊細にして大胆な映像表現で、見る者の心をわしづかみにする塩田明彦監督のアイドル映画『黄泉がえり』。その過酷な条件の下で、見事に監督の持ち味を発揮している」「ストーリーを単純化せず、ラブストーリーと群集劇の中間を狙う野心的な試み。ひとつ一つの短い限られたシーンは良く考えられている」「主人公たちは最後まで手を握ることもせず、触れ合いは殴り合っただけというのもすごい」

 「意表をついた多彩なキャスティングがとても楽しい。山本圭壱のはまりには、だれしも驚く。草なぎ剛は、とても厚生労働省のエリートには見えないし演技も堅いが、屈折した性格の川田平太としては適役かも」「ボーカリストRUI役の柴咲コウは、全く話さないが、その歌声がすべてを表現している」「うまい。柴咲コウは俳優としてだけでなく歌手としての才能も十分ある」

 「『デュラス 愛の最終章』(ジョゼ・ダヤン監督)。ジャンヌ・モロー久々の主演作が、友人であったマルグリット・デュラスの晩年を描いた作品とは」「デュラスとモロー。確固たる意志に支えられた存在感のある二人。この作品は、私にとって特別な意味を持っている。デュラスは66歳、アンドレアは28歳。1980年に二人は出会い、16年間生活を共にする。しかし、映画は、16年間を一夏の思い出のようにさらりとみせる」「そしてデュラスは『一人で死なせて』とさらりと死んでいく」

 「長い一人暮らしが続き、アルコール依存症に苦しんでいたデュラスにとって、青年との暮らしは奇跡のようであり、それだけに破局を恐れて感情的になり取り乱したりする。しかしヤンはデュラスを支え、晩年の豊かな創作活動を可能にした」「モローが話すとデュラスの鋭利な言葉も人間的に響く。表情豊かな熟練のモローに対してエーメリック・ドゥマリニーは自然体で優しさを表現している。シャンソンの名曲が心地よい」

 「『アレックス』は、復讐殺人、強姦、パーティ、ラブシーンと、時間が逆回転する展開。『メメント』ほど複雑ではないが、観終わると心にしみる巧みな構成であることが実感できる。始まりの物々しさは、ギャスパー・ノエ監督らしい」「人違いの復讐殺人で顔をぐちゃぐちゃになるまで消火器で殴るシーンは、すさまじい強姦後でアレックスの顔がぐちゃぐちゃにされたことと対応していることが分かる。後半に移るとモニカ・ベルッチの美しさが強調される。そのため、ノエお得意のむせ返るような生々しい映像は、控えめになる」

 「モニカ・ベルッチの美貌とセクシーな肢体なしには、成立しない作品。恋人と愛し合い、幸せに浸るモニカ・ベルッチの表情が、この物語に切ない余韻を持たせている。それにしても、前作『マレーネ』に続いて容赦なく暴行されるシーンを見せつけられると、役者魂と言うよりも、そういう役を意図的に選んでしまっているようにさえ見えてしまう」「こういう役が、見事なインパクトを与えるほどに素晴らしく美しいということなのだろう」

 「『レッドドラゴン』(ブレット・ラトナー監督)は、最初に捜査官ウィル・グレアムとハンニバル・レクターとの対決を持ってきて、大きな山場をみせる。それからの展開は、適度の緊張をはらみながらよどみなく進む」「猟奇的な事件とその捜査だが、映像に品があり、キワモノ的なシーンは排除されている。フランシス・ダラハイドは、少年期の虐待によるトラウマがもとで殺人を犯していく」「しかし、トラウマと儀式的な連続殺人の間の関係は見えにくい。観客が何となく分かったような気になるだけだ」「『羊たちの沈黙』につながるラストシーンは粋だね」

 「エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン、ハーヴェイ・カイテル、アンソニー・ホプキンスと、個性派の名優たちが顔をそろえる。ドラマに厚みが出るのは当然だろう」「レクターから自分と似たところがあると言われる捜査官グレアムを演じたエドワード・ノートンに、もう少し自分と向き合う怯えがほしかった」

 「『裸足の1500マイル』は、『今そこにある危機』『ボーン・コレクター』というハリウッドのヒット作品を手掛けたフィリップ・ノイス監督が、生まれ故郷のオーストラリアに帰り、先住民アボリジニの同化政策という歴史に向き合った作品」「強制的に隔離された寄宿舎から母のもとに歩いて戻る少女たちの2400キロの旅。なんと稚内から那覇までの距離だ」

 「感動作にありがちな派手な演出を避け、アボリジニの少女3人が故郷へ向かう姿を、淡々と追う。大きな出来事はないが、実話をもとにしているだけに、説得力がある」「ただ食べ物を得る苦労があまり描かれないので、90日間、どうやって生き抜いたのかという点でのリアリティがやや弱い。日々の暮らしで得た知恵が生かされたのだと思うが」

 「アボリジニの血を引く少女3人の表情の素晴らしさが、この作品全体に希望を与えている。とりわけモリー役のエヴァーリン・サンピの意志的な瞳が印象的」「大地とともに生きる人間の尊厳をうたいあげたピーター・ガブリエルの曲が見事だ。電子メールに添付したMP3のファイルを何度も監督と交換しながら生まれたというのも感慨深い」

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■銀河・映画対談2003.01

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■銀河・映画対談2003.01
 「『草ぶきの学校』(シュイ・コン監督)は、1962年の中国の農村にあるヨウマーティ小学校が舞台。この学校の校長を務める父を持つ少年サンサンが主人公。少年の目線で、さまざまな出来事、事件が描かれていく」「それぞれのエピソードが、とても面白い。文化大革命という激しい動乱以前の、のどかさに満ちた時間の流れが、甘い郷愁を誘う。最後に病に倒れる物語だけは、やや唐突だった」「しかし、それによって父との絆が深まる」「1960年前半を懐かしく思い出すのは、中国も日本も同じということか」

 「全員が地元で選ばれた演技経験のない小学生だということだが、のびのびとした演技が自然で、小学校時代の雰囲気を良く醸し出していた。サンサン役のツァオ・タンは、愛おしくなるほど可愛い」「はげ頭の少年ルー・ホーを演じたシュイ・イェンチンは、屈折した少年期の思いを表現していて、共感した」

 「『壬生義士伝』は、これまで、あまり注目されなかった新選組の隊士・吉村貫一郎を主人公にした時代劇。最初は、尊皇攘夷という義のためというよりも家族のためにお金をためる姿が、新鮮に思えたが、次第に『感動』を押し付けてきて、しらけはじめる」「泣かせよう、泣かせようという演出がみえみえで、へきえきする」

 「吉村貫一郎をはじめ、みんな良い人ばかり。良い人すぎる。もっと、どろどろした世界のはずが、生ぬるいのだ。だいたい、吉村貫一郎が討ち死にせずに、大野次郎右衛門のところまでやってきて、長々と独白して死んでいくシーンの志の低さは、信じがたいほどだ」「滝田洋二郎監督は、いつから、こんなにウェットな監督になってしまったのか」

 「上海の郊外に第二次大戦前の上海市街を再現した大規模なセットがあり、それを利用した作品『T.R.Y.』(大森一樹監督)。一見、大作に見えるが、スケール感に乏しい。時代のリアリティ、広がりが一向に感じられない」「細部を描くというきめ細やかさに欠けるからだろう。最初は良かったが、だんだん日本語ばかり話しはじめるのも、いただけない」

 「物語は、中盤までもたつき気味だが、ラストに向かって加速し、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、楽しませてくれる」「しかし、どの登場人物も中途半端で人間が描けていないので物足りない。織田裕二に、詐欺師の柔軟さを演じさせるのは、無理。役を選ばないと」

 「『火山高』(キム・テギュン監督)は、学園ドラマ・コミックの世界。生徒たちと教師たちとのワイヤーアクションとデジタル画像処理を駆使したスーパー・バトル。過去でも未来でもない異様な雰囲気が良い」「問答無用のコテコテの設定に呆れるか、盛り上がるかで、この作品の評価は大きく分かれるだろう。私は、古典的な構図で進んでいく展開を楽しんだ」「つっこみ所満載だね」

 「韓国映画には珍しく、字幕版と日本語吹き替え版がある。どちらも楽しめると思いが、字数制限のない日本語吹き替え版がオススメかな」「聞くところによると、作品自体を日本公開に合わせて手直ししたとか。韓国映画なのに、日本の懐かしい青春映画の香りも漂う」

 「『ゴーストシップ』(スティーブ・ベック監督)は、ホラー、スプラッター、パニック、ミステリー映画の美味しいところを盛り込んだ、サービス精神満点の作品。ストーリー展開に、やや首を傾げたくなる点はあるものの、さまざまな映像的な面白さを堪能できるので大目にみたくなる」「怖くはないけれど、この種の映画としては、高得点の出来だ」「でも怖くないとダメだよね」

 「豪華客船のまったりとしたダンスホールのシーンから始まる。そして、壮絶な惨劇。最初にすさまじい血まみれシーンを見せて、観客の眼を釘付けにする」「程よい緊張をはらんで、派手な爆発シーン、うじ虫ゲロゲロシーン、美しい幻想シーン、お色気シーンが矢継ぎ早に登場する。とにかく飽きさせない」「カギを握る少女も、印象的だった」

 「『ごめん』は、小学6年生の性と恋の目覚め、そして葛藤を描いた、これまでにありそうでなかった物語。巧みな構成が、ラストの疾走へと爽やかにつながる。観終わって、これほど嬉しくなった作品も珍しい」「まさに快挙といえる傑作の誕生」「冨樫森監督の映像は、気取っていない。しかし、的確に鋭く感情をすくい取る。静かによどみなく物語を盛り上げる。素朴でありながら、美しさと緊張を保っている。簡単にできることではない」「この作品は、冨樫監督があこがれ、かつて助監督を務めた故・相米慎二監督にささげられている。相米監督も、満足していることだろう」

 「主人公セイ役の久野雅弘は、掛け値無しの逸材。並みの『天才子役』ではない。最初は、とぼけたしょうもない小学6年生なのだが、ラストの格好の良さはまぶしいほど。やられたなあ。上手な演技が鼻につかないほど、天才的にうまい」「ナオコ役櫻谷由貴花も、初出演とは思えない熱演ぶり」「セイの父を演じた國村隼が、魅力的なことに驚く。ナオコの父を演じた斎藤歩は、確実にうまくなっている」

 「花輪和一のマンガの映画化『刑務所の中』(崔洋一監督)は、鉄砲刀剣類等不法所持、火薬類取締法違反による実刑判決で、3年間の刑務所生活を描いているが、暴力シーンがない。管理されながらも、ある意味で快適な日々が過ぎていく」「全体に力の抜けた、ほのぼのとした笑いに満ちたストーリー。これまでの刑務所描写の常識を覆す一方、刑務所生活を『体験リゾート』したくなる誘惑に満ちている」「これまでの崔洋一作品からはかけ離れた、新たな崔洋一作品。順番は違うものの、原作の内容と雰囲気にそった展開。あっけらかんとしすぎた描写が、少しひっかかるが、まあ素直に楽しんでしまおう」

 「それにしても、山崎努はすごい。自在に役になりきりながら、独特な個性を醸し出す。『天国と地獄』から、こんなにも遠くに来たものだ」「香川照之、田ロトモロヲ、松重豊、村松利史も、いい味出している。何気ない会話から美味しそうに食べる食事まで、うまいなあ」「椎名桔平の意外な軽さを見て、得した気分になった」

 「工場をリストラされたチャオは結婚に憧れる冴えない中年男性。見合い相手に旅館の社長だと嘘をつき、前夫の連れ子である目の不自由なウー・インの仕事を世話するはめに陥る。そこから、工場仲間を巻き込んだ悲喜劇が始まる。『至福のとき』。チャン・イーモウの作品としては、小品といえるだろう。しかしながら、新しい映像に踏み込んだようにも感じる」「一見『至福のとき』という題名に似つかわしくない結末も、至福の時間のはかなさを際立たせている。希望がないわけではないが、辛いラストだ」

 「優柔不断な中年男性をチャオ・ベンシャンが軽妙に演じている。ダメさ加減に呆れながらも、次第に憎めなくなっていく。そして何時の間にか好きになってしまう。うまいなあ。お人好しな工場の仲間も微笑ましい」「何といっても映画初出演で盲目の少女を演じたドン・ジエの才能と役者魂に拍手を贈ろう。痩せ細り、凍り付いたような表情の彼女が、人の温かさに触れ、こぼれるような笑顔を見せたとき、強烈なオーラを放った」「チャン・イーモウは、女優を育てるのが上手い。いや、女優の個性にあった作品づくりがうまい」

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■恋人はスナイパーが遺作!

 いかりや長介さん訃報の続報。1週間前の検査で、担当医から「がんの転移が見つかった」と知らされ、15日に再入院したばかりだった。
 「これからはわが身を顧みず頑張るつもり」。「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の初日舞台での軽妙にして、役者魂に満ちたあいさつが忘れられない。4月17日公開の「恋人はスナイパー」が遺作となった。

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■いかりや長介さん死去!

 元気にあいさつしていたじゃないか! 嘘だろう、そんなこと。いかりや長介さんが20日午後3時ごろ亡くなった。本名・碇矢長一(いかりや・ちょういち)。すごく悲しい。
 2003年5月に頸部リンパ節がんと診断され、放射線治療のため入院。7月からのTBS系連続ドラマ「高原へいらっしゃい」を降板していた。

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■ココログプラスの4日間!

 他の多くのユーザーのようにカスタマイズにのめり込むことなく、ひたすらアクセス解析に注目し続けている。20日は土曜日なので、金曜日とは違うアクセス状況かと思ったが、朝の立ち上がりが遅い以外は、あまり変わらなかった。1時間で100を超えた時間帯はなく、平均的なアクセスが続いている。アクセス記事の内容も、最新記事以外は昨日と変わらない。

★銀河ブログのアクセス解析
対象日:2004年03月20日(土)
合計数:1121
時間台 アクセス数
00 AM 79
01 AM 61
02 AM 18
03 AM 24
04 AM 18
05 AM 8
06 AM 11
07 AM 7
08 AM 27
09 AM 40
10 AM 30
11 AM 58
12 PM 51
01 PM 63
02 PM 42
03 PM 63
04 PM 66
05 PM 57
06 PM 46
07 PM 48
08 PM 71
09 PM 72
10 PM 86
11 PM 75

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2004.03.20

■うすね正俊「EATER」!

 うすね正俊のSFコミック「EATER」を読み始めている。人間に寄生する宇宙人もの。今回購入したのは復刻版。1991年から1995年まで「スーパージャンプ」に連載され、集英社から単行本が出ていたらしい。岩明均の「寄生獣」と同じころだ。恥ずかしながら、知らなかった。
 一見「寄生獣」と似たようなストーリーに思えるが、全く違ったテイストで読ませる。エイリアンの造形が素晴らしい。映画「エイリアン」の影響は明白だが、さらに発展させて自分のものにしている。アクションシーンの画力もある。独特のギャグと過酷な現実描写が絶妙なバランスを保っている。

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■イノセンスの情景・酩酊!

 通販で購入した「イノセンスの情景」DVDが届いた。さっそく圧倒的な映像美に浸った。繊細な美意識によって細部までつくり込まれた映像に酔った。登場人物がカットされているため、別な作品を見ているような感じがする。映画は重苦しい雰囲気だが、こちらのDVDは、音楽と映像が共振し、心地よい世界が広がる。
 オープニング映像を見て、あらためて「イノセンス」がハンス・ベルメールの人形に触発されていることが分かる。解体された球体関節人形の痙攣的な美とエロティシズム。日本は、世界で最も球体関節人形作家が多い国だという。夭折した天野可淡らの作品が見直されているが、電脳世界を描く「イノセンス」はその流れともクロスしている。

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■3.20ピースウオーク!

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 米英のイラク攻撃から1年目にあたる3月20日。3.20さっぽろピースウオークが行われ、集会会場となった大通公園6丁目広場には、5000人を超える参加者が集まった。参加者は、6丁目広場に入りきらず、7丁目、5丁目にも分かれてデモ行進に備えた。
 「イラク占領NO!」「呼び戻せ自衛隊!」「私たちは戦争を認めない!」という思いを胸に参加した人たちは、世界の人たちとともに「国際反戦デー」で戦争反対を訴えた。
 札幌では、開戦直前の昨年3月に1300人もの人が集まってピースウオークが行われたが、ことしは4倍の参加者を記録した。反戦デモとしては、近年にない規模となった。

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■利用ディスク容量減った!

 投稿を削除した訳ではないのに、「ご利用中のディスク容量」が、減っている。
 昨日は、14.632MBだったが、今日見たら13.288MBになっていた。ラッキーなことなのだろうが、理由が分からないので、落ち着かない。どこかに、ファイル保存法の変更や容量計算の変更について、説明が書かれているのだろうか。知っている方がいましたら、教えていただけませんか。

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■美しい夏キリシマの意味!

 映画を観た後、なかなか感想が書けない作品がある。黒木和雄監督の「美しい夏キリシマ」もそうだ。シアターキノで、監督自らの思いを聞いたということも、影響している。57年間、深いトゲとなって監督の胸に刺さっていた少年時代の体験。爆撃で級友が命を落とした衝撃。いや、級友に助けを求められながら、怖くて逃げたという負い目が、監督を苦しめ続けてきた。そして、監督の贖罪の思いは、長い時間によってユーモアと残酷、幻想と現実が溶け合った清明な映画作品へと結実している。
 映画には、戦闘シーンが登場しない。しかし、間違いなく戦時下の1945年の夏が描かれる。多くの級友を失った爆撃を生き延びた15歳の少年と周囲の人々の物語。主人公を演じるのは、柄本明の息子・柄本佑。これがデビュー作となる。思いつめているのか、あっけらかんとしているのか、にわかに判別できない15歳の少年が無気味なほどリアルだ。時代にほんろうされながらも、かけがえのない人生を生きる一人ひとりを丹念に描くことで、戦争の恐ろしさが深く刻み込まれていく。寡黙な監督の寡黙な作品は、雄弁に戦争を告発している。

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■3月20日国際反戦デー!

 国際反戦デーといえば、10月21日。総評加盟54単産労組がアメリカ軍の北爆に抗議してベトナム反戦統一ストを実行し、以来この日は「国際反戦デー」と呼ばれてきた。 そして今、イラク開戦の3月20日は、新たな国際反戦デーになる。
 3月20日。反戦の波が地球を一周する。全世界で60か国以上、日本国内では160か所以上で、集会、デモ行進が企画されている。札幌でも、『3.20さっぽろピースウオーク』を中心に集会、ピースウオークが行われる。正午に大通西6丁目で集会を開催、午後零時半からピースウオークに移る。連絡窓口は3.20事務局。電話 011-615-5906 、 FAX 011-642-2460。

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■ココログプラス3日目!

 やはり18日は、★銀河ブログのアクセスカウントが、正しくされていなかったようだ。記録の分布が全然違う。唯一、午後10時台がピークとなっているという点以外は。
 アクセスしていただいた投稿内容は、古いものが多い。意外な感じだ。検索からアクセスするケースが多いのだろう。アクセス時間の分布も、予想以上に平準化している。

●アクセスの多かった投稿
2004.03.10「イノセンスの情景DVD」
2003.12.16「平原綾香Jupiter」
2004.01.23「ギャル文字より顔文字」
2004.02.05「MONSTER初アニメ化」
2004.03.19「不可解、不安定ココログ」

★銀河ブログのアクセス解析
対象日:2004年03月19日(金)
合計数:1187
時間台 アクセス数
00 AM 59
01 AM 41
02 AM 28
03 AM 19
04 AM 15
05 AM 8
06 AM 10
07 AM 6
08 AM 13
09 AM 43
10 AM 47
11 AM 46
12 PM 71
01 PM 73
02 PM 64
03 PM 57
04 PM 74
05 PM 55
06 PM 52
07 PM 59
08 PM 58
09 PM 83
10 PM 110
11 PM 96

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2004.03.19

■漫画家・華倫変1周忌!

 2003年3月19日、1人の若き漫画家が死んだ。華倫変。28歳。自殺ではない。家族が誰もいない時間に心不全を起こした。その才能は、十分に花開くことなく終わってしまった。
 ひきこもり、多重人格、カルト集団。登場する少女たちは、ぎりぎりのところに追い詰められながら、不思議に淡い輝きを感じさせる。過酷な現実と浄化。その質感は、独特のものだ。短編集「高速回線は光うさぎの夢を見るか? 」(太田出版)の帯で、高橋源一郎は「似たものはたくさんある。けれど、こんなものはほんとは他に一つもない」と絶賛していた。
 「忘れる」という掌編の最後で、華倫変はこう書いている。「どんなに いろんなことをわすれてしまっても いくら すべて 消えてしまっても せつないと思う気持ちだけは 忘れないのだと思うと 涙が出た」。そう、華倫変の作品には、生きていくせつなさへの真摯なまなざしがある。

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■不可解、不安定ココログ!

 12月2日からココログを使い続け、ほぼ毎日更新してきた。投稿数も500を超えている。登録が爆発的に増え、さらに投稿数が爆裂的に多くなっているので、同情もするが、いつも不安定な印象を与える。今日19日も、たくさんの不具合が報告されていた。重たい感じはなくなったが、安定感は今一つのままだ。
 そして、不可解なことがある。以前、利用中のディスク容量が多すぎるというブログを書いた。これには、ひとつの投稿に対して、カテゴリーなどのたくさんのファイルをつくるためだとコメントで教えられた。そんなものかと納得。しかし、最近、利用中のディスク容量が増えなくなった。このところの40投稿で、容量はまったく増えていない。どういう訳なのだろうか。ファイルの保存法が変わったとしても、まったく増えないのはおかしい。

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■小沢、横路氏が安保合意!

 民主党の安全保障政策が新展開。ただし意見集約が図られるかどうかは流動的だ。小沢一郎代表代行と横路孝弘副代表は19日、安全保障政策で基本的に合意し、文書を発表した。自衛隊と別組織の国連待機部隊を創設する構想に関し、国連安全保障理事会などの決議を前提に、同部隊が強制措置(武力行使)を伴う多国籍軍に参加することを認めた。 
 合意書によると、国連待機部隊の要員は、自衛隊のほか警察、消防、医療機関から確保。多国籍軍に対して、政府が主体的に参加の是非、形態、規模を判断する。一方、自衛隊は憲法9条に基づき専守防衛に徹する。 小沢氏は会談後、「憲法9条の理想をきちっと守っていく」と憲法9条改正に否定的な考えを示した。

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■電波法を問う試みか!?

 インターネットTVが可能な時代に、あえて電波法を問う試みか、あるいは単なるマニアの愉快犯か-。札幌西署は19日、電波法違反の疑いで、札幌市手稲区の男性を逮捕した。自宅マンションで違法に製造した電波発信器を使って、テレビの空きチャンネルに自作の番組を流していたらしい。テレビに画像を流したとして同法違反での逮捕者が出るのは、全国で初めて。
 男性の自宅には、電波発信器20台以上、テレビ受像機5、6台、テロップ制作機、電波を増幅するブースターなどがあった。市販の発信器に改良を加えて出力を大きくしたものとみられる。マンション周辺の半径300メートルの地域、約1000世帯が受信可能だった。

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■BR2が日本映画初CM!

 韓国の地上波テレビでCMを流す初の日本映画は、なんと『バトル・ロワイアル2 鎮魂歌』。来月2日の劇場公開にあわせ22日から流す。
 配給会社の東亜(トンア)輸出公司は「最近、この映画の地上波テレビ用CMが韓国広告自律審議機構の審議を通過した。テレビ用CMは名前や悲鳴などの効果音を除いては台詞を削除し、代わりに映画の背景音楽を挿入して別途編集した」と明らかにした。 放送広告審議規定により、日本語や日本色・暴力性の強い画面は使用できない。

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■魚介類の干物が再評価!

 BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザの発生で肉類が敬遠されている一方、魚介類の干物が見直されている。長い年月の中で培われた干物文化が再評価されるきっかけになるのだろうか。
 総務庁の家計調査によると、2002年の干物など水産塩干品の購入額は、1家庭平均で年間15000円あまり。10年前に比べほぼ半減少していた。だいたい、家庭で魚を焼いて食べる文化が衰退している。

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■MT3は日本語版も!

 ブログ・ツール「Movable Type」を開発するシックス・アパートは18日、100%出資の日本法人「シックス・アパート」(会長・伊藤穣一ネオテニー社長)を設立したと発表した。4月にも最新版「3.0」で日本語版を提供する予定だ。国内パートナー企業との提携強化もおこなう。
 Movable Typeは日本でも多くのユーザーが利用、ASP版の「Type Pad」もニフティのブログサイト「ココログ」と、NTTコミュニケーションズのブログサイト「ブログ人」で採用されている。日本法人は今後国内でソフトとサービスの商品化やライセンス販売を展開。これに伴いMovable Typeの公式日本語版開発・サポートも行う。

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■小惑星、地球に最接近!

 知って冷や汗!。もっと早く知らせてほしい。 NASAは、日本時間19日朝に、直径30メートルの小惑星が約4万3000キロまで接近、南大西洋の上空を通過したことを明らかにした。小惑星の観測史上、最も地球に接近した。地球の直径の3・4倍に相当する近距離。
  この小惑星は「2004FH」と呼ばれ、今月15日にニューメキシコの望遠鏡の観測で発見されていた。天文学者の観測で、2年周期で地球に接近する同サイズの小惑星が存在する可能性が指摘されていたが、これまではその姿をとらえることができなかった。NASAは「将来的には地球に衝突する可能性もあるが、大気圏内で崩壊するだろう」と話している。ほんとうか!?

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■「千夜千冊」950夜!

 「松岡正剛の千夜千冊」の記念すべき950夜には、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』が選ばれた。900夜に宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が選ばれたように、人類にとっての基本的な問いが差し出される。私もかつて触れ、今は忘れたふりをしていた問いが。
 今回も、異様に長い。そして、自己の青春を語り、夭折した友人への回答というスタイルをとっている点が、緊張を生んでいる。少しだけ、引用する。
 「ドストエフスキーは、決して再生演奏が不可能ではない極限コード進行のポリフォニー楽譜として、傑出した精神のあれこれに巣食ってきたというべきなのだ」
 「いま、大審問官の問題にコメントするにふさわしいと思われる忌まわしい一つの符牒があるようにも思われる。それは今日の日本で、幼児虐待が頻繁におこっているということだ。こういう日本のどこかで、いったい誰がいま、イヴァン・カラマーゾフが雄弁に語った幼児虐待の話を思い出しているだろうか」
 「ドストエフスキーは神の存在を唯一の絶対的存在から解き放ったのだ。ローマ・カトリックの絶対神の呪縛から、ロシア正教の痩せこけた老人にその担い手を移すことによって、キリストを拡散させたのだ」

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2004.03.18

■ポールがフロド役に?!

 30年以上前、ビートルズは映画「ロード・オブ・ザ・リング」を企画していたらしい。映画に伴う新曲の制作とレコーディングも検討していたという。プロデューサーのデニス・オディールがロンドンの「The Times」に語っている。監督として白羽の矢が立ったデイヴィッド・リーンは「ライアンの娘」を製作中。スタンリー・キューブリックは、映画化は不可能と答えたようだ。
 ポール・マッカートニーがフロド役、ジョン・レノンがガンダフル役という企画だったそうだが、リンゴ・スターとジョージ・ハリスンについては明らかにしていない。リンゴ・スターはドワーフ、ジョージ・ハリスンはレゴラスかな。そうすると、アラゴルンがいない。

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■ココログプラス2日目!

 ココログプラスを使い始めて2日目。ほかのユーザーたちのようなカスタマイズには走らずに、アクセス解析の分析を進めようと考えていたが、今日になって、こんなお知らせが掲示された。

アクセス解析について
ココログベーシックから、ココログプラス/ココログプロに変更した方へ
プラス/プロでアクセス解析機能をご利用になるには、全てのページを再構築する必要があります。以下の手順で、ページの再構築を行ってください。

1. ココログにログインし、【ウェブログ】タブをクリックします。
2. 【デザイン】の小タブをクリックし、デザイン変更画面を表示します。
3. ページ左側の「現在選択されているテンプレートセット」の枠の中の「反映」ボタンをクリックします。
4. 小ウィンドウが立ち上がるので、反映したいファイルを「すべてのファイル」にしたまま「反映」ボタンをクリックします。
5. アクセス解析を組み入れたページが作り直され、アクセス数のカウントが始まります。

 さっそく、「すべてのファイル」を反映させた。正式なアクセス分析は、19日からにした方が良さそうだ。

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■赤目四十八瀧心中未遂!

 車谷長吉原作、荒戸源次郎監督の「赤目四十八瀧心中未遂」が、海外13か国で上映されることになりそうだ。今年2月開催の第54回ベルリン国際映画祭で上映され「アカメ、アカメ」と話題になった。正式オファーが立て続けに届いている。これまでに、カナダ、フランス、ドイツ、スイス、オーストラリア、ポーランド、チェコ、スロバキア、クロアチア、ベトナム、台湾、韓国、香港からオファーが来た。これからも、増えそうだ。海外公開バージョンは「AKAME 48WATERFALLS SINJYU」という題になる。
 海外上映も大切だが、国内上映にも力を入れてほしい。札幌では、シアターキノ12周年記念特別上映会として、4月18日(日)にアーバンホール(札幌市中央区南3西4)で3回上映が行われる。
 ●公式ホームページ(http://www.akameworks.com/)

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■ブログとHP開設8周年!

ホームページ連携
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 1996年3月18日夜。現在の原形となる私のホームページを公開した。当時は、まだ日本国内でのホームページの公開は少なく、新規開設は一日100くらいだったと思う。友人たちにメールで知らせ、NTTディレクトリーというところに登録して、ホームページの開設を伝えた。更新は、FTPではなく、なんとパソコン通信経由で行っていた。その後、Yahooをはじめとする自己申告型の検索サイトが誕生し、やがてgooなどの自動機械検索が主流となっていった。
 開設当初は、世界からの「アクセス可能性」に心を踊らせていたが、その期待はアクセスのあまりの少なさによって、空しさに変わった。それでも、日々地道に更新し続けるうちに、アクセスも増え始め、リピーターが増え、メールや掲示版を通じた交流も深まった。今は、一日平均600くらいのアクセス数だが、一日100を超えるまでに、1年近くかかったと思う。 
 今なら、映画中心のブログを始めれば、同じようなブログを続けている人たちと、すぐに知り合うことができる。ブログは、ホームページよりも、人を結び付ける工夫が進んでいる。ぜひ、多くの人たちがブログに参加してほしい。ホームページ開設当時を懐かしく思い返しながら、あらためてインターネットは、人々をつなぐ夢の道具だと感じている。

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■鶴田町「朝ごはん条例」!

 これこそ、文化継承の基本かもしれない-。青森県鶴田町議会は17日、「朝ごはん条例」を可決した。条例は、コメ文化の継承、地産地消や早寝早起きの推進を基本方針として明記。町民、町、関係機関が一体となって取り組むとしている。
 朝食をとらない子どもの食生活の改善を狙って「父母等の保護者は、積極的に子どもの朝ごはん運動の活動に取り組む」など、保護者や町民の責務を条例で定めた。

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■ 新機能「MyClip」!

  Myblogが、ブログの新機能「MyClip」(http://clip.myblog.jp/)を始めた。気になるニュースやブログ記事を自分のブログに「Clip」し、ブログのサイドバーに記事へのリンクや簡単なコメントなどを表示できる機能。日常的に引用する場合は、少しでも手軽であることが必要なので、良いアイデアだと思う。
 大手のプロバイターが、会員の囲い込みのために、相次いでブログサービスを始めている。その中でMyblogは、ユーザーの立場に立って、より使いやすい機能を検討してきている。その姿勢を高く評価したい。

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2004.03.17

■ココログプラスの一日!

 「ココログプラス」に変更して一日が経った。注目の新機能「アクセス解析」は、なかなか興味深い。「時間別アクセス数」を見ると、アクセスが多いのは、昼休みの時間ではなく、午後4時台、午後1時台、午前10時台という時間帯だった。記事の内容では、映画、音楽関係へのアクセスが目立つ。
 「アクセス解析」に「リンク元ランキング」がある。当ブログにアクセスする直前のアドレスなので、どこからアクセスしたのかが把握できる。「ココログ」の表紙からのアクセスが多いのは予想通りだったが、YahooやGoogleからのアクセスもかなりの割合を占めている。ブログ専用のアクセスランキングのページからのアクセスも数%あった。

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■ヤン・レツル原爆ドーム!

 ヤン・レツルの原爆ドームを取り上げる。いや、正確には、ヤン・レツルが設計した「広島物産陳列館」と原子爆弾によって、つくられ、1996年12月ユネスコ世界遺産に登録された原爆ドーム。
 1880年チェコで生まれたヤン・レツルは、1907年に来日。横浜のデ・ラランデ建築事務所に勤め、2年後に独立して本格的に建築活動を始めた。広島物産陳列館は、1915年に完成。中央にバロック風のドームを設置しスッキリとした建物で、周りにはギリシャ神話に登場する神々をモチーフにした彫刻の噴水が2つ設置されていた。珍しい欧風建築物として広島の名所のひとつとなった。
 1945年8月6日午前8時15分。アメリカ軍爆撃機B-29が重量4トンの原子爆弾(リトルボーイ)を投下。4000度の光熱が広島の町を襲い、一般市民を大量殺りくした。爆心地の建物は、原爆投下の真下にあった広島産業奨励館を除いて倒壊した。
 広島産業奨励館は、何故倒壊しなかったのか。建物は鉄骨で枠組みをつくり、レンガをはめ込んだ。そしてモルタルでレンガの隙間を埋める手法をとった。原爆が爆発したとき、高熱がモルタルを溶かしレンガが一気に崩落。真上からの爆風は鉄骨だけになったドームを吹きぬけていった。そのために、あの印象的なドームが残ったのだ。
 ヤン・レツルは、チェコに帰国し1925年に亡くなっている。もちろん、原爆ドームの存在は知らない。

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■さようなら、屋台劇場!

 1999年4月の開館以来、札幌市南区澄川で「自主上映映画のパラダイス」と親しまれてきた屋台劇場・まるバ会館が、近く閉館する。今後は常設館を持たない「放浪劇場」として、定期上映を続けていく。「北海道銀のシャケ映画祭」「北海道映像の新世代」などの企画との融合も検討している。
 3月19日、20日には、屋台劇場最終上映会「Sapporo映像短信」を行う。吉雄孝紀、伊藤隆介両氏の共同作品(DV、72分、2003年)。上映開始は、両日とも午後1時、午後7時。19日には上映後に作品トークを予定している。料金1000円。

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■モンシロの花嫁衣装!

 小原嘉明東京農工大教授(行動生物学)の調査で、日本のモンシロチョウの雄は、雌の羽の「紫外色」を見て交尾相手を探すが、欧州などのモンシロチョウにはこの色がないことが、判明した。日本のモンシロチョウの雌は、人間に見える「可視光色」と、見えない「紫外色」が混ざった羽の色をしている。
 同教授は「モンシロチョウは西から東に生息域を広げる途中、現在の中国で花嫁衣装ともいえる紫外色を進化させた」とみている。

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■「蹴りたい背中」100万部!

 予想通りの大ヒット-。史上最年少で芥川賞を受賞した綿矢りさの「蹴りたい背中」(河出書房新社)の発行部数が17日、はやくも100万部に達した。
 同賞受賞の単行本が100万部を記録したのは、1976年に受賞した村上龍の「限りなく透明に近いブルー」(講談社、132万部)以来、28年ぶり。 綿矢と同時受賞した金原ひとみの「蛇にピアス」(集英社)も、50万部に達している。

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■黒木瞳主演「東京タワー」!

 黒木瞳が映画「東京タワー」」(源孝志監督)に主演する。1998年「SADA」(大林宣彦監督)以来、6年ぶりの恋愛映画になる。「東京タワー」は、江國香織の恋愛小説の映画化。ハードなラブシーンはない。
 小説は、高校時代からの親友で対照的な性格の大学生2人が、ともに既婚の年上女性と交際する姿を描く。黒木は、美しい人妻、詩史(しふみ)の役。都内で家具や服、食器などを売る店を経営しながら結婚生活を送っている。恋の相手は、友人の息子だ。


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2004.03.16

■ココログプラスに変更!

 さっそく、「ココログプラス」に変更してみた。一気に「ココログプロ」に変更しないところが、私らしい。
 さて、アクセス解析は、変えたばかりなので、まだゼロ。1週間様子を見てみよう。写真を専門に投稿する「マイフォト」は、新規更新が分かる新コーナーができるらしい。
 こうして、いろいろ試してみて、魅力が月500円に達しなければ、ダウングレードして「ココログベーシック」に戻ってくるつもり。さて、「ココログプラス」は私の心をつかむことができるだろうか。

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■ダウングレード注意点!

 6月まで無料ならば、ココログプラスやココログプロの機能を試してみたいと、皆が思うはず。そこで、心配なのが、ココログベーシックにスムーズに戻れるかどうか。ダウングレードの注意点を読む限りは、大丈夫そう。ただし、いざ使い込んでいくと、なかなか後戻りは難しくなる。

●プラン変更ページに書かれていたダウングレードの注意点。
 ココログプロ→ココログプラスまたはココログベーシック、ココログプラス→ココログベーシックへプラン変更をする場合は下のダウングレードにあたっての注意をお読みください。

ダウングレードにあたっての注意:
※ 現在お使いの総容量が、変更後のプランの容量を超えている場合は、プラン変更はできません。 変更後のプラン   の容量を超える分のファイルを削除してからプラン変更を行ってください。
※ 現在開設しているウェブログ数が、変更後のプランで開設できるウェブログ数を超えている場合は、プラン変更ができません。 変更後のプランで開設できるウェブログ数を超える分を削除してから、プラン変更を行ってください。
※ ベーシックに変更された場合は、アクセス解析の機能はご利用できなくなります。
※ マイフォトをご利用の場合は、マイフォトを削除するまでプラン変更はできません。
※ テンプレートは、自動的に標準のテンプレートに変更されます。
※ ゲストライターを招待している場合は、ゲストライターを削除しないとプラン変更ができません(現在プロをご利用の方)。
※ 上級者用テンプレート(ご自分で編集したCSSファイルなど)をご利用の場合は、上級者用テンプレートを削除するまでプラン変更ができません(現在プロをご利用の方)。

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■ココログ高機能版始まる!

 ココログの高機能版「ココログプラス」(50MB)と「ココログプロ」(150MB)が追加された。従来ののココログは「ココログベーシック」と改名させた。ベーシックの機能も強化した上で、ココログプラスは450円/月(税込463円)、ココログプロは950円/月(税込998円)のコースを用意している。6月いっぱいまでは、プラス、プロとも無料期間として、コース変更を促している。
 1番希望が多かったアクセス解析を、プラス、プロに限定した点が、あざといといえばあざとい。料金も、私はやや高く感じる。300円、600円くらいが妥当だと思う。ただし、複数の仲間で使うなら、安い。個人的には、ベーシックで100MBのコースがほしい。

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■セドナは太陽に近づく!

◎続報◎
NASAは15日、冥王星のさらに外側を公転周期1万500年で周回する惑星を、カリフォルニア工科大学の研究チームが発見したと発表した。1930年の冥王星以来の重要な発見。「セドナ」と命名された。岩と氷でできている。赤い色の星。直径は1700キロ以下で、冥王星よりやや小さい。直径は月の半分ほど。
 発見された時点の太陽からの距離は130億キロで、地球と太陽の距離の87倍。しかし、最も遠い地点では、太陽から実に1300億キロも離れる。表面温度はセ氏でマイナス240度以上にならない。セドナは今後72年間、太陽に近づいてくる。

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■銀河・映画対談2002.12

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■銀河・映画対談2002.12
 「『トリック劇場版』(堤幸彦監督)は、人気TV番組の、まさに劇場版。TVをあまり良く観ていない私としては、十分に楽しめなかったのかもしれない」「ギャグもストーリーもおざなりで、寒い。こういうのを最近は、小ネタの効いたゆるい作品というらしいが、『盛り上がりに欠けてつまらない』と表現した方がぴったりくるのではないか」「登場人物のカリカチュアぶりも、とほほなレベルだ」

 「風変わりな映像は、独創的でも美的でもなく、単に構成力、編集力が欠けているのではないか。センスのなさに、観ていてイライラする。わざとダサダサにしているようには、どうしても思えない」「仲間由紀恵が芸域を広げたという点だけが救い。『お前らのやっていることは、全部すべてまるッとどこまでも、お見通しだっ!』のセリフは、一番の収穫だ。ただ、こんなレベルに安住しないでほしい」

 「『シャーロット・グレイ』(ジリアン・アームストロング監督)は、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のフランスでレジスタンス運動に身を投じた女性を描いた作品。シャーロット・グレイは、諜報活動の過酷な現実を通じて、新たな愛に目覚めていく。しかし、恋人がフランスで行方不明になっているので、フランスにわたり危険な任務につくという展開に説得力がない」「それほどに愛しているという情熱が伝わってこないばかりか、任務中の恋人探しはほかの諜報員に危険が及びかねない。戦争の悲劇ではなく、女性の自立を描くのなら、なおさらそこが肝心ではないか」

 「最初の任務で会った諜報員がつかまって殺される。その場では難を逃れたものの、敵に顔を知られてしまう。この時点で、諜報員としては失格だろう。何故、その後も活動を続けられるのかが不思議。レジスタンス運動に参加している仲間たちも、信じられないほど無防備で慎重さに欠けている」「隠れていたユダヤ人の子供たちをすばやく見つける優秀なドイツ軍やその協力者たちが、何故彼等を捕まえられないのか不思議でしょうがなかった」

 「『アイリス』(リチャード・エア監督)は、『哲学者であり、26冊の本を書いた文学者』であり『イギリスで最も素晴らしい女性』と評されているアイリス・マードックと、その夫で作家、文芸評論家・ジョン・ベイリーとの40年間のラブストーリー。手堅いつくりで、ジュディ・デンチの演技も超一流。ケイト・ウィンスレットも奔放な若きアイリスをすがすがしく演じている」「水準以上の作品であることは分かる。しかし、彼女の文学者としての魅力が伝わってこない。アイリス・マードックの著作に暗い私には、彼女の仕事の素晴らしさが分からない。文学者同士の夫婦の会話も、あまり機知に富んでいるとは感じられない」

  「冒頭、スピーチでアイリスが『精神の自由こそ何よりも大切な宝物』と語り、アイルランド民謡の『ラーク・イン・ザ・クリア・エア』を歌うシーンは、わくわくする場面だった。ただ、その後が続かない」「若い日々と現在を交差して描いているのは分かるが、肝心の文学者としての苦労が描かれないので、アルツハイマーで言葉を失う悲痛さが際立たない。施設に入ると、すぐに死んでしまう。二人の変わらない愛がテーマなのだが、少しきれいごと過ぎないだろうか。納得できなかった」

 「記念碑的な青春映画『がんばっていきまっしょい』の磯村一路監督の新作『群青の夜の羽毛布』と聞けば、期待が高まる。母親と娘の葛藤を描いた『群青の夜の羽毛布』という不思議な題名も素敵だ」「本上まなみの初主演にも興味津々。出だしは、ややだるい。アイドル・本上まなみのプロモーションビデオのような力のないシーンが続く。少女の不安でムンクというのも、直接的すぎる。鉄男役の玉木宏も健康的だけがとりえのような青年で面白みに欠ける」

 「しかし、鉄男が家に泊まる場面から、映画は盛り上がりを見せ始め、驚くべきテンションで泥沼のような愛憎劇が展開する」「秘密も一つひとつ明らかにされ、それが新たな謎を呼ぶ。本上まなみが『くそばばあ!』と叫ぶクライマックスシーンが鮮烈。前半の静かなシーンは、ここでの効果を計算していたのかと納得した」「道徳的なようで計算高い母を藤真理子が熱演。相変わらず怖いくらいの存在感がある」「そして、妹役・野波麻帆の俳優としてのセンスの良さにも感心した」「アイドル映画ではない苛烈な傑作」

 「ことしの夕張映画祭で南俊子賞を受賞している『ピーピー兄弟』(藤田芳康監督)を年末に観ることができた。予想以上の深い内容に感激。『ほんま、ええ話しやなあ』と感じる温かな物語。2002年のうちに観て良かった。何といっても脚本がいい」「葬儀屋と漫才師という組み合わせが絶妙。ストーリーも人物造形も良く練られている。前半のテレビ批判から後半の人情話に移っていく切り替えがややもたついていたものの、全体としては高い水準にある」「放送禁止用語だらけで、現状のテレビでは、まず放映できないというのが楽しいね」

 「そして、俳優たちが素晴らしい。みな味わい深い。田中裕子、岸部一徳、香川照之の上手さに、あらためて感心。ヒロイン文江役のみれいゆは、最後は主人公になってしまうほど魅力的」「そしてスティーブン・セガールの息子、剣太郎セガールが大阪弁を駆使して巨根ネタの下品なお笑いに挑戦したという点も注目していい。なかなかの存在感だ。イクオ役のぜんじろうも、頑固さと弱さを合わせ持つ兄貴像をリアルにみせている」

 「『ギャング・オブ・ニューヨーク』は、マーティン・スコセッシ監督が描く渾身の歴史絵巻。19世紀のニューヨークの町並みを実際に再現し、その迫力はやはりCGとは桁外れ。圧倒される」「3時間近い作品ながら、さらっとした感触だ。しかしながら、じつに複雑な要素を盛り込んでいる」「人間のドラマというよりは、ニューヨークの歴史的な記憶を描いたと言う方がいいのかもしれない。映画の中心にあった男たちの熱い思い、肉弾戦が、大砲によってあっけなく吹き飛ばされるシーンが、それを象徴しているように思う」

 「時間が経つにつれて、さまざまな場面が思い返される。じっくりと心にしみ込み、長い年月忘れることのない作品」「いろいろと欠点はあるが、『ギャング・オブ・ニューヨーク』は、そんな作品かもしれない。やがて、アメリカの同時多発テロとその後の状況とともに語られることになるだろう。そう考えると、この作品がアメリカやニューヨークを歴史的にとらえ返すという力を持っていることに気づく」「エンドロールとともに流れるU2の歌が示唆的だ」

 「『ウェイキング・ライフ』(リチャード・リンクレイター監督)は、実写映像にデジタル・ペインティングで加工するという手法による実験的な作品なのだが、たえず揺れている浮遊感のある処理が、夢と現実をテーマにした哲学的な内容と響き合い、不思議な魅力を生み出している」「ただしローリング・ストーン誌が『『2001年宇宙の旅』以来のアタマぶっとび映画』と論評するほど斬新な手法とは思わない」

 「注目すべき俳優たちが顔をそろえている。とはいっても、実写は見えない。虚実の中間を漂う映像が催眠的な狙いなのかもしれないが、ペインティング処理がもっと多様な展開をしていると、さらにイメージ豊かなものになったはずだ」「思い切って実写に近付く場面と、大胆に改編する場面があってもいい。微妙にセンスの違うアニメーターが、着かず離れず寄せ集まった印象を受ける」「もっと奔放であったなら、夢中になったかもしれない」

 「最近のフランス映画には、斬新な力がある。宣伝コピーではなく、『8人の女たち』は本当に一つの事件だ。フランソワ・オゾン監督は、一気にファン層を広げるだろう」「カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン、ヴィルジニー・ドワイヨン、リュディヴィーヌ・サニエ、ダニエル・ダリュー、フィルミーヌ・リシャールが共演し、一人ずつ歌を披露、踊りも踊るというだけではない。なんとカトリーヌ・ドヌーヴとファニー・アルダンが濃厚なラブシーンを演じるのだ。空前絶後の映画に出会うことができる」「2002年ベルリン国際映画祭の8人全員の最優秀芸術貢献賞もうなずける」

 「物語はコミカルな殺人ミステリーなのだが、謎解きは重要ではない。ただし、ネタばらしをすると美味しい作品の持ち味を損なうので、結末には触れないことにする」「ドールハウスのような家の中で、華麗な衣装に身を包んだ女たちが、椅子から転げ落ちそうな驚嘆すべき真実を告白しあうという筋書き。名画のシーンを引用しながら進む映像には、フランソワ・オゾン一流の美しい毒が充満している。女優たちは、艶やかさを競う」「華やかさを失わないカトリーヌ・ドヌーヴの貫禄は、さすがだが、イザベル・ユペールが『ピアニスト』に続いて怪演している。その豹変ぶりが素晴らしい」

 「驚くべきスケールと完成度を備えたミルチョ・マンチェフスキーの初監督作品『ビフォア・ザ・レイン』から7年。待ちに待った新作『ダスト』が完成した。今回は、現在のニューヨークと100年前のマケドニアを、『語り』というユニークな方法で交錯して描いている」「壮大な物語ではあるが、それは虚実を交えた等身大の個人の『物語』として展開されていく。強盗に入った青年に老女が銃をつきつけながら話しはじめるのだ。なんという大胆な設定」「ただ、アメリカのカウボーイが、賞金稼ぎのために戦乱のバルカン半島に渡るというストーリーは、荒唐無稽のように見えて、なかなか歴史的な理にかなっている」

 「100年前のどこか神話的な兄弟の物語も、現代の老婆と青年の関係も、最初はちくはぐな感じで違和感を覚える。しかし時間がたつにつれて、時空の自由さと不思議なつながりに、引き込まれていく。この別々な出来事が、どこかでつながっているという感触こそ、前作の持ち味でもあった」「現実には、こんな形で『語り』が引き継がれることは少ないだろう。そこに監督の切実な祈りのようなものを感じた。さらに、さまざまな映像的実験が、この作品をオリジナリティ性を高めている」「日本のパンフが面白い。紙マッチのデザイン。にわかに意味が分からない」

 「同時多発テロについて語るノーム・チョムスキーの講演やインタビューで構成したドキュメンタリー『チョムスキー 9・11』(ジャン・ユンカーマン監督)。彼は、マサチューセッツ工科大学教授として研究を続ける世界的な言語学者であるとともに、ベトナム戦争以来の反戦活動家である。彼はさまざまな歴史的な事実を示しながら、冷静に謙虚にアメリカの外交政策を批判する」「反抗者というよりも、明晰なリベラリストであることが分かる。彼が少数者であることこそ、問題なのだ」

 「『アメリカの定義に従えば、アメリカは過去に数々のテロを行ってきた』『誰だってテロをやめさせたいと思っている。簡単なこと。参加するのをやめればいい』。極めて分かりやすい主張だ。そして、アメリカの強権的な政策に危機感を覚えながらも、現状はベトナム戦争の時よりも良くなっていると話す前向きな姿勢が印象的」「この良い意味での楽観主義がなければ、活動を続けてくることはできなかったかもしれない」

 「ノーム・チョムスキーの主張に対して、長期的には有効でも、差し迫ったテロの危険には無力ではないかという批判がある。一見、もっともに聞こえるこの意見は、大切なことを忘れている。長い間アメリカがテロ的な攻撃をしてきた国の人々は、報復の手段すらなかったということだ」「報復の連鎖は起こらなかった。だから問題にされなかった。今回、初めてアメリカの中枢が狙われ大規模な犠牲が出た。世界中を巻き込んで報復の連鎖が始まっている」「テロの問題は、今に始まったことではない。テロを根本的に防止するには、アメリカが高圧的な政策をあらため、世界から貧困をなくし平和を確立するという、長期的な取り組みしかないのだ」「日本の行うべきことは明らかだろう」

 「『アメリカン・ビューティー』で傑出した手腕をみせたサム・メンデス監督の新作『ロード・トゥ・パーディション』。1930年代のアメリカ・イリノイ州を舞台にした渋いギャングもの。カチッとした構図の映像で父と子の愛憎ドラマが骨太に、ときに繊細に描かれる」「トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウの共演。感動された方も多いでしょう。私は、最初からつまずきました。ギャングの殺し屋を長年務め、生き抜いてきたはずのマイケル・サリヴァンが、あまりにも無神経だったから。私なら現場を目撃した息子を射殺するか、すぐに家族全員で逃げる」

 「妻と子供一人を殺されてから、あわてて息子マイケルと復讐のための逃避行。ただ、あまり緊迫感がない。殺しの場面のリアリティにも首をかしげたくなる」「殺し屋マグワイアの表仕事は、死体写真家。ジュード・ロウは、このとんでもない殺し屋を嬉々として演じている。ラストシーンは、サリヴァンもマグワイアも、ともに不用心すぎる。マイケルの最後の言葉もくさすぎる」「『アメリカン・ビューティー』の激しい毒気が、すっかり影を潜めてしまったのはどういうわけだ」

 「主演のトム・クルーズが映画化を持ちかけ、スティーブン・スピルバーグが監督した近未来サスペンス『マイノリティ・リポート』。原作がフィリップ・K・ディックと聞くと期待も高まる」「予告編も新しい近未来像を見せてくれるのではないかと予感させる。確かに飽きさせはしない。未来社会のイメージも手堅く映像化している」

 「しかしながら、未来像としてはどうもしっくりとこない。これまでの作品のイメージを発展させた継ぎはぎだらけの印象が残る」「行政や市場による個人の管理ばかりが目立ち、個人の生活が快適になっていない」「物語もすっきりしない。複雑なのは良いとして、未来は予測できるのかというテーマが深まっていかない。安易で平凡な結末に満足している」

 「スピルバーグは論理的な思考に弱いが、今回も哲学的なテーマの映像化から逃げている。かといって、かつての手に汗握るアクションシーンの切れもない」「個々のアイデアや映像は面白いが、全体としてのインパクトは乏しかった。あらためて『ブレードランナー最終版』(リドリー・スコット監督)の素晴らしさを思い返した」「俳優ではプリコグ(予知能力者)・アガサを演じたサマンサ・モートンが上手かった。マックス・フォン・シドーの演技が上滑りだったのには驚いた」

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■銀河・映画対談2002.11

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■銀河・映画対談2002.11

 「前作『ハリー・ポッターと賢者の石』が、デパートのお子さまランチだとしたら、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(クリス・コロンバス監督)は『おせち料理』という感じ。ひとつひとつ丁寧につくっているのは分かるが、まとまりも意外性もなく、満足感が得られない」「原作に忠実なあまり、映画的でない場面が多く、展開が早い割にはペースがもたついている」「何でもありの万能ハリーの物語なので、全然どきどきしない」

 「もっとも生き生きしていたのは、意外にも妖精ドビー。次は無気味な叫び声をあげるマンドラゴラ。人間たちは精彩を欠いている。ハリ−役ダニエル・ラドクリフは、相変わらず振幅がない」「ハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンが、眼の演技に開眼。しかし出番が少なく残念」「ギルデロイ・ロックハート役ケネス・ブラナーはやや悪趣味。こんなひどい演技のケネス・ブラナーは、初めてだ」

 「まるバ会館で11月22日-24日に『山崎幹夫作品集4』上映会が開かれた。『あいたい<2002年版>』(11分)『こぼれる黄金の月』(9分)『セル、眠っちゃだめだ』(8分)という今年の8ミリ作品のほか、私のベスト邦画の一つ『グータリプトラ』(56分、1999年)も再上映された」

 「『あいたい<2002年版>』は、『極星』などに主演した神岡猟氏が病気のため他界したことをきっかけに、神岡氏が撮った映像に山崎氏がナレーションをつけたもの。切実な語りによって、映像の印象が激変するという山崎マジックの一作。『こぼれる黄金の月』と『セル、眠っちゃだめだ』には、反復と変奏を感じた」

 「『グータリプトラ』は、3年前に比べて、いくぶん違った印象を受けた。観客としてよりも製作者として、山崎作品を食い入るように見つめている自分がいた」「人を食ったようなユーモアと、欲望と諦念と自己韜晦と、宇宙と時間の広がりと人間の営み。故・湊谷夢吉さんの曲を山崎氏が巧みに歌っているのも、強い印象を残している」「古びることのない20世紀の奇跡」

 「『たそがれ清兵衛』。山田洋次監督は、監督生活41年、77作目にして初めて幕末の庄内平野を舞台にした本格時代劇に挑戦した。藤沢周平作品の映画化も驚いたことに初めて。時代劇としては、画期的な自然さ。新鮮であり胸に迫る。意外にも作品は、隅々まで山田洋次の世界だった。過酷な現実を見つめつつ、家族との身の丈の暮らしを何よりも大切にする、情感豊かでリベラルな世界がある。しかしながら、冷たさと温かさの振幅の大きさは、これまでにないものだった。黒澤明・時代劇に肩を並べる山田洋次・時代劇の誕生を心から喜びたい。

 「清兵衛役の真田広之のリアルさは、特筆もの。器用な俳優だが、山田洋次監督の狙いを見事に受け止めている。宮沢りえが上手くなった。演技が浮いていない。清兵衛のふたりの子役も可愛らしい。そして、映画初出演の田中泯の存在感に圧倒される。娘の遺骨を食べる鬼気迫る演技は、真田広之との壮絶な殺陣シーンとともに、長く語られることになるだろう。どの登場人物も、本当に良く考えられている。

 「クレール・ドゥニが監督し、ヴインセント・ギャロとベアトリス・ダルが出演するホラー作品と聞けば、何としても観たいと思うだろう。『ガーゴイル』は、愛しあうと相手をかみ殺してしまう体質になった男女ふたりの物語だが、監督の視点やペースが独特で、ハラハラ、ドキドキとはならない」「たくさん血は出てくるが、激しい場面は少ない。物語も登場人物も謎だらけ。映像は奇妙にエロティックだが高まりを見せず、カメラは傍観者のようによそよそしい」「この個性を楽しめるかどうかで評価が分かれるだろう」

 「ベアトリス・ダルの野性的な迫力は健在。コウモリのようにコートを広げ、豹のようにどう猛な牙をみせる。『ベディブルー・インテグラル』(ジャン・ジャック・ベネックス監督)の濃厚な官能を、いまも保っていて嬉しい」「ヴインセント・ギャロは、自分の殺人的な欲望を抑えようとして苦悩するシェーンを演じている。渋い。ふたりが絡むシーンが、悲劇的な場面だけだったことが惜しまれる」「奥さん役のトリシア・ヴェッセイは、無垢さを狙ったのだろうが、ふたりに比べてあまりにも魅力が乏しかった」

 「さっぽろ映画祭2002が、11月10日から15日まで、札幌のシネマ11を会場に開かれた。すべて無料という驚くべきスタイル。ただし、抽選なので観たい作品が必ず見れるとは限らない。オープニング、クロージングの入場は完全抽選で、私は外れてしまった」

 「11日には当日配られる整理券を入手し、三池崇史監督の『SABU さぶ』と熊澤尚人監督の『陰陽師-妖魔討伐姫』を観た。三池崇史監督の『SABU さぶ』は、名古屋テレビの開局40周年記念として製作し、今年5月に放映された95分に、映像を追加して121分の劇場公開版にしたもの。三池監督らしいケレン味はほとんどなく、懐かしい時代劇の味わい。登場する人物がみな魅力的。逆境の中での人間的な成長、友情、愛情がまっすぐに描かれ、じっくりとしみ込んでくる感動を堪能した」「『陰陽師-妖魔討伐姫』は、ストーリー構成がなげやりな低予算の希薄な内容。映像的にもセンスを感じない。ただ、主演の安藤希の端正な美しさが光っていた」「安藤希は、上映前にあいさつし、過酷な撮影の舞台裏をさりげなく明かした。彼女は、ラストに流れる主題歌を作詞し歌っている。歌はへただが、歌詞に微かな才能が匂う」

 「12日は、『NEXTFRAME JAPAN2002』から。世界中の学生によるフィルム・ビデオの短編作品を審査・厳選し、全米、海外で上映ツアーを行っている国際映画祭NEXTFRAMEからのAプログラム。『もぐら家族』(Hiroyuki Wada監督)は、全盲の家族の中で一人だけ眼が見える主人公が、自分の視覚について思いをめぐらせるというストーリー。なかなか興味深い物語だが、ほとんど会話ですませてしまっている。『If you don't like the weather...』(Aaron Greer監督)は、一年間を概念的に見せるコンセプチュアルな作品。インパクトに乏しい」

 「『Breaths』(Amy Ellison監督)は、重いぜんそくの少女が友人を見つけるまでの物語。どたばたから友情劇に移る流れが弱い。『Better Life』(Atsuko Kudota監督)は、淡々としたアニメーションで日常のけだるさを表現している。『15 Ways to Describe the Rain』(Anja Stuck&Lars Henkel監督)は、小粒な幻想的作品。結構好き。そして『Out of Darkness』(David Rittey監督)は、事故にあった少女の内面の変容を見事に表現していた。作品として傑出している」「上映後のトークでは、敬愛する山本政志監督のユーモアあふれる毒舌も聞くことができた」

 「『完全なる飼育 香港情夜』(サム・レオン監督)は、映像に力がある。構図と照明がしっかりしていて観ていて気持ちがいい。『完全なる飼育』シリーズとしてではなく、独立した作品としてみた方がいいだろう」「主演の伊藤かなは、演技にぎこちなさはあるものの、ときおり魅力的な表情をみせる。肢体は、はつらつとして美しい。トニー・ホーは、素朴で気弱な誘拐犯役を自然体で演じている」「凧や玩具という小道具を巧みに使った映像が楽しかった」「拾い物」「伊藤かなが舞台あいさつで『完全なる飼育シリーズの中で一番良いと思う』と、ぬけぬけと話していたが、確かにそうだろう」

 「13日は注目の廣木隆一監督の『アイノウタ [ai no uta]』。BSiで放送した連続ドラマ26話のうち最終回までの4話を上映した。違和感はなく、それだけで独立した作品として楽しめた」「青春ラブストーリー。十勝を舞台にしていたのも、嬉しい。独創的なストーリーではなく、紋切り型に近い結末を迎えるのだが、会話に込めた微妙なニュアンスが印象に残った」「上映後の監督をはじめとする脚本家・武田百合子、俳優の大森南朋らによる軽妙なトークも、面白かった」

 「『モンスーン・ウェディング』(ミラ・ナイール監督)は、マサラ・ムービーではないが、十分にエンターテインメントしているインド映画。きらびやかなシーンを盛り込みつつ、演出は洗練されている」「スラム街のストーリー・チルドレンを描いた『サラーム・ボンベイ』を撮ったミラ・ナイール監督にしては、富豪一族に対する批判の乏しさが物足りない」「結婚をめぐる複雑な家族関係を描いた群像劇としては、きれいにまとまっている。しかしロバート・アルトマンのように辛らつではない。結婚式をクライマックスに持ってきて、温かな気持ちにさせる」「この作品の隠れた主役はマリーゴールド。とても効果的に使われていた」

 「声高かではないが、現代社会へのメッセージもこめられている。ラストで輝くのは、富豪一族ではなく、ウェディング・プランナーとメイドのラブストーリー。そして、アメリカというグローバルスタンダードに対抗するインド文化の豊かさをしっかりと主張していた」「インターネットと伝統が共存するインドという祖国への愛情が、率直に出ていた」

 「『ゴースト・オブ・マーズ』は、ジョン・カーペンターが監督・脚本・音楽を手掛けた火星を舞台にしたCGは使わないパンクなSF。B級のテイストあふれる強引なストーリーは、かつてのウエスタンを思わせる」「そして、かつて理不尽に大陸を征服したアメリカという国の凶暴な無意識を垣間見ることができる。それは、『殺すか、殺されるか』という2者択一に縛られているアメリカの現在を照らし出している」「とはいえ、懐かしきチープな手触りの、最高にスリリングなエンターテインメント作品であることは、間違いない」

 「パンク・テイトスのSFといえば、『バタリアン・リターンズ』(ブライアン・ユズナ監督)のインパクトは、今も忘れない。『ゴースト・オブ・マーズ』も、愚直なほどパンクに爆走する。パム・ダリアが、早々と首チョンパになったのには驚いた。なかなかいいぞ。そして何といっても嬉しいのがナターシャ・ヘンストリッジのB級SF回帰。『隣のヒットマン』(ジョナサン・リン監督)の演技で、俳優として認められた彼女が『スピーシーズ』(ロジャー・ドナルドソン監督)のような、荒唐無稽なSFに帰ってきたのが、何とも感慨深い。作品は、イマイチぶっ飛びが不足していたが、ナターシャ・ヘンストリッジだけは十分にぶっ飛んでいた。

 「『ザ・リング』(ゴア・ブァービンスキー監督)は、鈴木光司の『リング』ではなく、中田秀夫監督の『リング』のリメイクといえる」「中田監督のほかの作品も良く研究し、持ち味を生かした仕上がり。これまでのハリウッド流の乱暴なリメイクではない。派手なシーンは追加されているものの、作品のテイストを引き継ごうという姿勢は、率直に評価していいだろう」「ただ、物語の核心部分の貞子を別人に置き換えてしまったので『のろいのビデオ』の震え上がるようなリアリティが失われている」「似たシーンはちりばめられているが、怖さは『リング』に及ばない」

 「『マルホランド・ドライブ』で、驚くべき演技力を見せつけたナオミ・ワッツが、主人公のレイチェル・ケラーを演じている。貫禄すら感じさせる渾身の演技だ。長い下積み時代が、幅のある演技を支えている。ニコール・キッドマンとの友情話しには、泣かされる」「それに対して『リング』では真田広之の役に相当するノアを演じたマーティン・ヘンダーソンは、やや影が薄い。代わりに子役のデイヴィッド・ドーフマンが、オスメントばりの名演技を見せてくれる」

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■銀河・映画対談2002.10

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■銀河・映画対談2002.10

 「極限的にシリアスな状況だからこそ、ギャグが効いてくる。『OUT』(平山秀幸監督)は、死体解体という猟奇的なストーリーながら、会話劇の面白さをふんだんに盛り込んでいる」「コンビニ弁当を手際良くつくる流れ作業のシーンが、死体解体の手際良さにつながっていくのが、何とも秀抜。家庭崩壊、老人介護、借金地獄、家庭内暴力という危機的な状況、閉塞した人生から脱出しようとする主婦の切実さと、タフさ、そして滑稽さを開放感あふれる演出で描いた」「崖ッぷちを楽しんでいるかのような、生き生きとした女性たちの掛け合いが愉快で、見ごたえがあった」

 「最後には、逃避行は4人連れでと感じるほど、女性たちの奇妙な友情に感染してしまっていた。ラストが、やや甘くなったのが残念。緊張の糸が切れる」「知床のオーロラは『大人のおとぎ話』のような質感を狙ったのかもしれないが、深い闇に包まれた知床の凍てついた夜は、そのままみせてほしかった」「現実からはOUTできない、EDGEがあるだけなのだから」

 「倍賞美津子、原田美枝子、室井滋、西田尚美という4人の絶妙ともいえるキャスティング。平凡な主婦というには華があり過ぎる個性的な名優ぞろいだが、それだけに屈折した人物像をくっきりと浮き上がらせていた」「バラバラに見えながら緊張関係を保ち、やがて友情の深まりを見せる。若手の西田尚美は、3人の貫禄ある演技に対して、あっけらかんと軽く無責任に生きるキャラクターを際立たせて、別な意味で存在感十分。不思議に憎めなかった」「男性陣では、香川照之が狂気をただよわせた良い味を出していた。間寛平も、新境地を開拓した」

 「札幌のまるバ会館で、10月18-20日に『かわなかのぶひろVS.映像の新世代たち』と題した上映会が行われた。渋谷のシアター/シネマテーク・イメージフォーラムの創設者、そして映像作家もあるかわなかのぶひろ氏の作品と、東京の映像系大学・研究所から若い世代の作品が紹介された」

 「Bプロプログラムは、かわなか氏の『空の繪』と、イメージフォーラム付属映像研究所の女性監督の作品で構成。『空の繪』(16ミリ/30分)は、フイルムを持ってアメリカを回った1985年の記録フイルムを中心に、2000年に編集したもの。メカスらアメリカの友人たちが写し出される『旅の繪』といった感じの簡潔なフイルムと、自分史が重なる。無駄のないさり気ない映像が歴史的な厚みを持っている。素晴らしい。引用された寺山修司の詩の力にも、あらためて驚きを覚えた」

 「『ヨモヤマドレス、脱ぐ女』(寺島由紀/8ミリ/15分)は、ハッとするシーンはあるが、まとまりを感じない。『バンビの足はすぐ折れる』(大久保京子/8ミリ/8分)には、人形アニメの新しい世界。サイレントに才能を感じた。しかし、実は音声が出ていなかったことが判明。音声付きでは説明が多すぎて、イマイチの印象。説明などなくても映像だけで十分伝わっていたのに。『犬の棺』(清水好美/8ミリ/10分)は、詩の力を生かした作品。しかし殺してもいる」

 「『エミュ/amu』(神崎愛子/8ミリ/10分)は、衝撃的なファーストシーンに圧倒されたが、後が続かない。『絵空事セミモロジー』(佐川桂代/8ミリ/10分)は、蝉の抜け殻を食べるシーンが迫力ある。『エロティック・煩悩ガール』(山内洋子/ビデオ/20分)は、実写とイラストを併用し、ユーモアあふれる意外な展開に引き込まれた。しかし母親の死に移るとべたべたした映像に変わり、最後は『大きなお腹がエロティック』と、保守的な地点に着陸してしまった。残念」

 「Cプログラムは、かわなか氏と萩原朔美の共作ビデオ『映像書簡八』(28分)と、東京造形大学の女性たちの作品。『映像書簡八』は、等身大の日常的な風景を切り取った往復ビデオ書簡。かわなか氏の『人類共通の記憶』という持論が述べられる。自分の作品は一つの作品と言えると話した後、軽く語った『エンドマークがどこでつくかが、楽しみ』という言葉が印象に残った」

 「『口角』(荒井貴子/ビデオ/8分)は、いろいろな映像処理の魅力はあるが、まとまりに欠ける。『Family ties』(石井麻衣子/ビデオ/5分)は、テクニックは分かるが作品の力は弱い。『神様からの手紙』( 山崎美春/ビデオ/7分)は、おじいちゃんの死を契機に、作品が始まる歴史への問い。『polka dots』(鹿島さつき/ビデオ/10分)は、映像処理が魅力。『こめかみの轍』(島田奈々子/ビデオ/15分)は、アフガニスタンで、アメリカ同時多発テロ直前に撮影されたもの。個人的な映像が歴史的な映像に豹変する。『round-scape』(柳瀬千代美/ビデオ/10分)は、3分割の映像構成。『in two dimensions』(山口亮子/8ミリ/15分)は、執拗な映像処理に好感がもてた」

 「『インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア』(ニール・ジョーダン監督)から8年。やっと続編『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』(マイケル・ライマー監督)が完成した。映像には、より耽美に魅力的になった」「しかしストーリーは、壮大になったものの内容が希薄で厚みがない」「そもそも、何ゆえにレスタトがロックスターになったのか、納得のゆく説明はなかった。孤独の苦悩というよりは、投げやりな印象だ」「呪われし女王であるアカーシャが復活した後の態度豹変の理由も良く分からない。アカーシャは、すべてのヴァンパイアの母なのに、あまりにもあっけなく霧散してしまった」「アクションを持ち込むのなら、もう少しどきどきさせてほしかった」

 「レスタト役のスチュワート・タウンゼントは、演技はイマイチながら官能的なので許そう。この作品が遺作となったアリーヤは、クイーン・アカーシャを好演していたものの、もっと出番がほしかった。魅力を出し切っていない」「おそらく大多数の人が首をかしげるのが人間のヒロインの地味さ。派手好きのレスタトが、こういう女性にひかれるとは思えない。映像美は、楽しめたが、物語は最初から最後まで府に落ちないことばかりだった」

 「大林監督は、2000年4月大分県大町町で開かれた全国植樹祭の総合プロデューサーとして準備中に臼杵(うすき)市を訪れ、その穏やかなたたずまいに感動。隣町の津久見市は『なごり雪』を作った音楽家・伊勢正三の古里であり、臼杵市を舞台に『なごり雪』をモチーフとした作品が誕生した。歴史が静かに重なり、時間がゆったりと流れる臼杵の風景なくして、この作品は生まれなかっただろう」「監督が作品の中で説明するまでもなく、日本の現代を問い返す『臼杵映画』だ」

 「過去と現代を行き来しながら、失われたものを静かに示し、50代の団塊の世代に生き方の再考を促すメッセージを込められている。映像のお遊びは控え、まっすぐな美しくて切ない青春映画に仕上げた」「私は、フイルムと戯れ、はしゃいでいるような大林ワールドが好きだが、最近の大林作品は叙情に流れる傾向が強くなった。それも、悪くはないが『あの、夏の日』のような子供の感性でフイルムと遊ぶ作品も、また見せてほしい」

 「28年前の日本語を再現した会話が新鮮。会話の中に『なごり雪』の歌詞がそのまま取り入れられていることに驚く。かなりの冒険だ。主人公・梶村祐作役の三浦友和は、疲れた表情がいい。親友・水田健一郎役のベンガルとともに枯れた味を出している」「ヒロイン園田雪子役の須藤温子は、新人らしい堅さがかえって昔の美少女らしかった」「宝生舞の女子大生役も、はつらつとしていて印象に残った」

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■銀河・映画対談2002.09

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■銀河・映画対談2002.09

 「『竜馬の妻とその夫と愛人』(市川準監督)。竜馬が愛した女=おりょう、竜馬を愛した男=菅野覚兵衛、竜馬を愛した女を愛した男=西村松兵衛、竜馬を愛した女が愛した男=虎蔵。4人が織り成すラブコメディ。題名からして『コックと泥棒、その妻と愛人』(ピーター・グリーナウェイ監督)をパロディにしている。ただし、内容は全然違う」「テンポの良いギャグで引っ張っていくタイプの三谷幸喜と、物語りを中断しながらたゆたう映像をみせる市川準。正反対とも言える対照的な二人がどんな作品を生み出すのか、楽しみにしていた」

 「期待通りたくさん笑わせて、最後にほろっとさせて、そして本当の最後にあっと言わせるという三谷幸喜の入念な脚本。市川準はコメディに叙情性を持ち込み、観る者を考えさせる」「もたつく場面もあったが、全体的には協働作業は成功したと言える。不思議な雰囲気の佳作だ。中井貴一の巧みなコメディアンぶりが印象的。木梨憲武は、演技が表面的に見えるシーンもあるが、クライマックスではしっかりと感動させた」「おりょう役の鈴木京香は、最近立て続けに良い仕事をしている。貫禄すら感じさせる名女優になった」
 
「奇想天外なアイデアやスピード感に満ちたストーリー展開で、観客を楽しませてくれるSABU監督。これまでの作品は、『主人公が突然事件に巻き込まれ、破滅へと突き進んでいく』という共通の構造を持っていた。しかし、新作『DRIVE』は意外な展開を見せる」「なんとハッピーエンドが用意されているのだ。これも、監督の『驚かしのアイデア』なのかもしれない」

 「主人公役は相変わらず堤真一。しかし、マンネリではない。持ち前のキャラクターを存分に生かしながら、SABUワールドを支えている」「銀行強盗役の大杉漣、安藤政信、寺島進、筧利夫もそれぞれにいい味出している。抜け駆けした筧利夫以外は、新たな生き方を見つけるというストーリーも、意外な感じ」「幼いころに両親が相次いで自殺した朝倉を育てたおば役の根岸季衣が、怪演しているのも見物」「松雪泰子のパンクロッカーも、板についていた」

 「『天国の口、終りの楽園』(アルフォンソ・キュアロン監督)は、メキシコの自然を背景にした17才の少年ふたりと人妻のロードムービー。ラテン的な雰囲気の中で、青春と人生のはかなさとかけがえのなさを描いている」「開放的な性を前面に押し出しながら、人間の孤独や弱さを静かに見つめている。導入部から、画面の半分にボカシがかかるという、ひどい修正に怒りながらも、少年たちの若々しい無軌道ぶりを微笑ましく感じた」「なかなかの佳作」

 「ヒロインのルイサを演じたマリベル・ベルドゥーは、スペイン的な情熱と死の影を兼ね備えていて、華やかさは乏しいものの、魅力的」「プロポーションも少年好みかな。フリオ役のガエル・ガルシアとテノッチ役のディエゴ・ルナは、息のあった演技をしていた。ラスト近くのキスシーンが印象的」「実際でも友人同士だというよ」

 「極めてユニークな手法で観る者を『メメント』に縛り付けたクリストファー・ノーラン監督の新作『インソムニア』。白夜のアラスカを舞台に、猟奇殺人と不眠症の刑事というお膳立てで、どんな独創的な映画が出来上がるのかと思っていたが、ごく普通のサスペンスを、時系列に沿って展開する普通の作品だった」

 「アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクという名優たちが登場するので、映画としての出来は悪くはない」「しかしながら、俳優たちの演技を楽しむだけなら、全裸のままゴミ袋に入れられていた17歳の少女の死体は、髪を洗われ、爪を切られていたという設定は必要無かったのでは。作品の面白さは、刑事の生きざまにあったのだから」

 「9年ぶりにジェイソンが帰ってきた。10作目。『ジェイソンX 』(ジム・アイザック監督)は、『ジェイソン・テン』であると同時に、新しいX としてのジェイソンを表している」「未来の宇宙船の中で殺りくを繰り返すジェイソン。何とも期待させる荒唐無稽な設定だ。そして期待通り、何でもありのB級SFアクション・ホラー・Hコメディになっている」「ふんだんに詰め込んだパロディの数々。とことん楽しませてもらった」

 「最初に悪徳科学者としてデビッド・クローネンバーグ監督が登場するのが、嬉しい」「そして、とても2455年とは思えない女の子たちの衣装デザインが、笑える」「笑えるシーンは多いが、何といってもドロイド役のリサ・ライダーが好演。バージョンアップしたジェイソンと対決するシーンは、いい味出していた」「新世紀版『13金』は、思わぬ掘り出し物。生みの親・ショーン・S・カニンガムが製作総指揮しただけのことはある」

 「『ウインドトーカーズ』(ジョン・ウー監督)は、新帝国主義となったアメリカの戦意高揚映画ではない。第二次世界大戦での実話をもとにした白人とナバホの友情の物語である」「戦争を見つめるジョン・ウーの独自のスタンスを感じた。過酷な状況下で育っていく友情は感動的だ。人々がアリのように見える大時代的な戦争シーンと対照的な休息時のハーモニカと笛のジャムセッションの素晴らしさ。ジョン・ウー監督は、随所に見せ場を用意している」

  「しかし、一方の日本兵は、ひたすら攻撃し死に続ける『敵』でしかない。敵の内面、葛藤を見ようとしないという意味では、新帝国主義の思考と軌を一にしている」「かつての西部劇でのカウボーイたちと闘うネイティブ・アメリカンの描かれ方と、とても似ているともいえる。日本人だから、第二次世界大戦だから、ことさら気になったというわけではないと思う」

 「『バイオハザード』(ポール.W.S.アンダーソン監督)を楽しんだ。前作『イベント・ホライゾン』は、さまざまなテクニックを駆使したSFサイコホラーで、中世を思わせるデザインが印象的だった。ただ、ブラックホール=地獄というあきれかえる設定にしらけ、どのアイデアも生煮えで二番煎じというマイナスイメージが強かった。しかし、何故か忘れられない映画だった」「今回はゲーム『バイオハザード』の基本設定と雰囲気を借りながらも、独自の登場人物とストーリー展開で飽きさせない。古臭い価値観を主張することなく、メタリックな美意識で映像を統一し、シャープな恐怖を盛り上げることに専念している」「ねらいは成功した」

 「序盤に登場するレーザービームによる人間さいの目切りもインパクスがあったが、新しいゾンビ映画としてもグロテスクになる一歩手前の演出が心憎い」「『エイリアン』を連想させる閉塞空間での恐怖演出も、見事に生かされている。ゲームのファンであり出演を望んでいたミラ・ジョヴォヴィッチは、美しく力強いヒロインを熱演。好感が持てた」「『ガールファイト』で強烈な存在感を放ったミシェル・ロドリゲスは、チャーミングさを備えてタフな女性戦闘員を演じている。最近はやりの、男性陣の影が薄いアクション映画だ」

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■銀河・映画対談2002.08

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■銀河・映画対談2002.08

 「『オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー』(ジェイ・ローチ監督)には、信じがたいことに、トム・クルーズ、スティーヴン・スピルバーグ、グウィネス・パルトロウ、ケビン・スペイシー、ダニー・デビート、ジョン・トラボルタ、クインシー・ジョーンズ、ブリトニー・スピアーズ、サー・マイケル・ケイン、オジー・オズボーン一家らが出演している。しかも、珍妙な形で」「ネタばらしはしないが、特にオープニングに注目。ハリウッドが巨費を投じて正月かくし芸大会をつくったら、こんな感じか。通常のパロディの逆を実現してしまったという意味では、記念碑的なオープニングだろう」「『オースティン・パワーズ』が、それだけメジャーになったということでもある。嬉しいような、悲しいような」

 「おバカで華やかでHな展開。そして、荒唐無稽なコメディに隠された現代へのシニカルな批評。今回の『オースティン・パワーズ』には、とりわけハリウッド映画に対する辛らつな視線が感じられる」「唐突に日本を登場させたのも、大きな映画市場である日本をことさら取り上げるハリウッド映画界への皮肉なのだろう。実際の大スターたちが登場するので、ミイラ取りがミイラになるかもしれないギリギリの作品だと言える」「連発されるきわどい下ネタよりも危険な毒だ。とはいっても、基本はナンセンスなギャグ。中盤の影絵ギャグは抱腹絶倒間違いなし。文句なく楽しめる」「ただ、ヒロイン役のビヨンセのセクシーさが、あまり生かされていなかったのは残念」

 「『カンダハール』で、いち早く世界に向けてアフガニスタン問題を提示したマフマルバフ監督は、イラン国内にいるアフガン難民の子どもたちへの教育の必要性を訴え、アフガン子ども教育運動というNGO活動を始めている。『アフガン・アルファベット』は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ直後にイラン国内のアフガン難民キャンプを取材したドキュメンタリーだ」「残念ながら『カンダハール』の両義牲は失われ、一方的な価値観が押し付けられている」

 「アフガニスタンの子供たちの『宗教への絶対的な服従』『世界に対する無知』を取り除こうとする監督の善意は、良く分かる。しかし、強制や文化の否定は『教育』ではない」「子供の人権が尊重され、子供たちが自ら生き方を選択できる力をつけるのが、教育の目的だろう。監督にとってブルカは女性差別や抑圧の象徴なので、それを無理に脱がせることが子供たちのためになると信じて疑わない」「かつて日本でも着物を脱いで洋服を着れば差別がなくなるという主張があったことを思い出した。西洋的な価値観を絶対化し、地域の文化を否定することからは、『未来』は生まれない」「マフマルバフ監督は、自分が西洋的な価値観というブルカをまとっていることに気づいていない」

 「マフマルバフ監督の教育にかける熱い思いが伝わってくるからこそ、この作品の展開を肯定的に評価することはできない」「多文化主義や人権尊重を示し、作品の主張の誤りを指摘することが、アフガニスタンの未来にとって有意義だと思う。日本の教育の限界や誤りも示しながら」

 「『es[エス]』(オリバー・ヒルツェヴィゲル監督)は、2001年モントリオール国際映画祭最優秀監腎賞受賞、ドイツ映画賞最優秀観客賞・最優秀金賞受賞、ベルゲン国際映画祭最優秀観客賞受賞。実際に行われた模擬刑務所での心理実験の驚くべき展開を中心にした作品」「与えられた役割によって、人間はいかに変ぼうするか。戦争犯罪やファシズムにつながる重要なテーマだが、堅い内容のストーリーではない」「実験を記録したドキュメンタリータッチではなく、さまざまな映画的な仕掛けをこらし、恐怖以上のものが楽しめる」

 「心理実験の前に置かれた少しばかり風変わりな恋愛劇。観客は、何故にこんな物語が必要なのかといぶかしがりながら、実験の始まりを待つ。この焦らし」「そして、『看守役』と『囚人役』に分かれたグループが、想像を超えた行動を取り始める。暴走を始める『看守役』、精神を病み始める『囚人役』。研究者の功名心、記者の意図的な煽り、スパイとして参加した軍人の戸惑い。巧みな脚本によって、物語はサイコムービーの高みに達する」「そして、作品全体が、観客の反応を図る心理実験であるかのような皮肉な視線が感じられるのも魅力的」

 「作品を観ていて、つくづく人間の弱さを感じた。危機を乗り越えて行く一部の人間たちではなく、状況によって容易に人格が変わる人間たちの姿こそ、注目すべきだ。私たちの智恵は、人間の弱さを知った上で、その弱さによる暴走が起きない仕組みをつくることだろう」「民主主義や人権や平和のための仕組みとは、そういうものだろうと思う」

 「『ピンポン』(曽利文彦監督)には、アクの強そうな登場人物がそろっているので、斜に構えたスポ根映画かと思っていたら、卓球に青春を賭ける青年たちの熱い闘いと友情に満ちたまっすぐなストーリーだった」「『この星の1等賞になりたいの、卓球でオレは! そんだけ!』と単純明解な目標に突き進むぺコと、ぺコに憧れながらも『卓球なんて、死ぬまでの暇つぶしだよ』とクールに振る舞うスマイル。幼なじみのふたりが挑戦する個性的なライバルたち。彼等のユーモアと熱血のブレンドが、心地よい」

 「クライマックスを、前年の覇者ドラゴンとぺコの準決勝に置いた脚本は、なかなか粋だ」「ぺコとスマイルの決勝戦は、結果が見えているのだから、さりげない記念写真で十分。そして、卓球の試合を迫力あるものにしているのがピンポン球の優れたCG。これも映画におけるCGの王道だろう」

 「前向きながら珍妙なペコを窪塚洋介が大胆に演じている。そしてスマイル役ARATAの繊細な演技が静かな存在感を放つ」「歌舞伎界の中村獅童は、映画初出演ながら圧倒的な迫力で、場面を盛り上げていた」「オババ役の夏木マリは、年期の入った演技で良い味を出している」「竹中直人も、派手なアクションを控え、好演していた」

 「見ていて辛くなる映画は多いが、『イン・ザ・ベッドルーム』(トッド・フィールド監督)には救いのない辛さが終始たちこめている。『ベッドルーム』とは、ロブスター漁の海老かごのこと」「夫マット・ファウラーと妻ルースの一人息子は、建築家を目指すフランク。彼は、夫リチャードとは別居状態のナタリーと恋におちる。そしてフランクは、リチャードに射殺される。物語は、息子を失った夫婦の苦悩を淡々と、ときに鋭く描いていく」「『息子の部屋』に似た設定だが、結末は正反対だ」

 「初監督作品としては、確かに良くできている。しかし、私が一番嫌いなタイプの作品だ。監督は中立を装いつつ、一方的な見方を押し付けてくる。夫婦の怒りからしか世界を見ていない」「犯人のリチャードは、人間として描かれていない。夫婦の怒りを前面に打ち出し、犯人への復讐や報復を正当化するような展開に、ごう慢さを感じた」「リチャードにも缶詰工場を経営する両親がいるのだ。息子を殺される苦しさは同じではないか」

 「『月のひつじ』(ロブ・シッチ監督)は、2000年トロント国際映画祭観客賞受賞。原題はパラボラアンテナの名前『The Dish』。『月のひつじ』という邦題は、詐欺に近い。アポロ11号の人類初の月面歩行という歴史的な映像を、衛星生放送で世界に流すために使用されたのは、オーストラリアの片田舎パークスの放羊地にある巨大なパラボラアンテナだった。月と羊。子供たちの想像にでも出て来るのかと思っていたが、作品の中で月と羊を結び付けるシーンはない」「そんな場面があれば、もっと豊かな作品になったと思う」

 「最初から、実話であることを告げ、ごちゃごちゃと解説が続き、打ち上げのフイルムが流れる。まるで、ドキュメンタリーだ」「こういう作品は、フィクションのように見せて最後に実話であることを示した方がいい」「ストーリーの進め方も、ぎこちない。登場人物の内面に迫るわけでもなく、ドラマチックな演出をするわけでもない。強風の中で、危険をおかして映像を送る場面も、もっと感動的に描けたはずだ。そして、人間が月に立った意味を、30年後にさりげなく示す工夫もほしい」「税金の無駄遣いと言われたが、武器をつくるよりもずっといい。夢があった。そして、月から地球を眺めるという体験は、その後のエコロジカルな活動に大きな影響を与えたと思う」「最近は、そのことすら、忘れられようとしているが」

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■銀河・映画対談2002.07

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■銀河・映画対談2002.07

 「地味な題名ながら、必見の傑作『暗い日曜日』(ロルフ・シューベル監督)。ドイツとハンガリーの合作が成功した」「ユダヤ系ハンガリー人レジョー・セレッシュが作曲し、シャンソン歌手ダミアが歌って世界中で大ヒットした名曲『暗い日曜日』にまつわる物語。『耳に残るは君の歌声』でも、クリスティーナ・リッチが歌っていた。最近ではビョークも歌っている」「当時、曲を聴きながら自殺する人が相次いだため『自殺の聖歌』と呼ばれ、BBCが一時放送禁止にしたほどだった」「人間の尊厳が簡単に崩壊していく悲しみ、そして絶望の甘美さ。時代の雰囲気にマッチしたということだろう」「しかし今聞いても、心がふるえる。時代が、再びこの曲を呼び寄せているのか」

 「ババリアン映画賞で監督賞・撮影賞。紋切り型ではない男女の3角関係(正確にはFMMMの4角関係)を描いた大人の恋愛ドラマだ。情念と理性、華麗さと重苦しさのバランスが素晴らしい。簡潔に切り取られた各場面は、どれも深い意味を持つ。1930-40年代のハンガリー・ブタペストという過酷な時代を背景にしながら、会話がとても粋。困難な状況の中でも、これくらいの余裕を持てるのが大人というものか」「エドヴァルド・クオシンスキ撮影監督の映像のキレもすこぶる良い。ラストは、あっと驚くサスペンス仕上げ。最初のシーンの意味が解き明かされ、重苦しいドラマが痛快に幕を下ろす」「観てのお楽しみ」
 
「登場する4人の人物。皆キャラがたっている。『暗い日曜日』を作曲したアンドラーシュは、美形で痛々しい。『カストラート』(ジェラール・コルビオ監督)のステファノ・ディオニジ が演じている。レストランを経営するラズロは、誠実さも含めた懐の大きさが魅力。ラズロに命を救われながら最後は裏切るドイツ人ハンスは、悪役ではあるが人間的な弱さには共感できる」「そして、中心にいるのが花のように艶やかで、木々のようにしなやかで逞しいイロナ。女優エリカ・マロジャーンの作品は初めて観たが、外見の美しさだけではなく、確かな演技力に魅せられた」

 「2000年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『鬼が来た!』(チアン・ウェン監督)が、ようやく公開された。1945年、日本軍に占領された中国・掛甲台(コアチアタイ)村が舞台。旧正月直前、マーの家に、日本兵と通訳の入った麻袋が投げ込まれたことから、村は思わぬ災難に見舞われる」「衝撃作であることは予想していたが、その予想をはるかな上回るパワーに打ちのめされた」「迫力だけではない。素晴らしい脚本、映像、音楽が高いテンションを支える。ち密な計算によって的確にまとめられている」

 「高みから見下ろした戦争批判ではない。生活に密着したところから、戦争の理不尽さを描いている。そして、笑っているうちに、一転おぞましい殺りくの場面を突き付けられる」「ラストシーンで、私の後ろの席の人がうめいた。私も心の中でうめき声を上げていた。とてつもない傑作に出会いながら、なかなか言葉にならない」「人間への希望を失わせるような無気味な質感は、ドキュメンタリー『リーベンクイズ』とつながっているが、『鬼が来た!』からは中国の大地に根を下ろした不敵な笑いを感じた」「首を切られたマーの最後の微笑みのように」

 「中国の村人たちの描き方が生き生きとしているのは、言うまでもないことだが、日本兵もひとり一人が、とてもリアルに描かれている。研究の跡がうかがえる」「香川照之の熱演は高く評価していい。並々ならぬ困難を乗り越えた偉業と言えるだろう」「歴史を描くという点では、最近ふがいない日本映画に活を入れる刺激になるかもしれないが、何よりも私自身のふやけた感性に活を入れられた」

 「知らない人はいないSFの古典中の古典H・G・ウェルズの『タイムマシン』の映画化。ウェルズの曾孫サイモン・ウェルズが監督した」「デビュー作としては、相当に荷が重かったと思う。19世紀のシーンは、とても雰囲気がある。タイムマシンの周りの風景が変化する場面は、CG技術の進歩でこれまで見たことのないほど魅力的になっている」「ただ、脚本の出来は良くない。主人公は、過去に戻って恋人の死を食い止めようと必死になって研究しタイムマシンを発明したはずなのに、1度試しただけで『過去は変えられない』と諦めてしまい、未来に解決方法を探しに行く」「最低10回は試してみるのではないか、普通なら」

 「そして80万年後の人類の驚くべき進化、食べられる人種と食べる人種に2極分化に憤り、食べられる人種の方が人間的だったためか、頼まれもしないのに彼等のためにタイムマシンを殺人兵器に変えて闘う。シュワルツネッガーのように強い」「この辺の心変わりが良く分からない。科学者が何故ここまで急に強くなるのか、その御都合主義にうんざり」「主人公は自由のために立ち上がるアクション・ヒーローにならなければならないというハリウッド映画の鉄則に沿って、『不自然』街道をばく進する」「図書館の電子検索システムが80万年も稼働し続けているというのも、リアリティがない」「近未来の人類が月を破壊し、月が地球に衝突という展開も、はるか昔のB級SFのレベル」「ガイ・ピアースの魅力も生かされていない」「いちおう正当派タイムマシンものだが、『バック・ツー・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督)の世界ではなく、『A.I.』プラス『猿の惑星』といった感じ」

 「『ノー・マンズ・ランド』(ダニス・タノヴィッチ監督)は、2002年アカデミー賞外国語映画賞受賞など、20以上の賞に輝いた」「1993年、ボスニアとセルビアの中間地帯にボスニア軍兵士とセルビア軍兵士が取り残された。一人の兵士の下には地雷を仕掛けられ、動くと爆発する。ユーモラスで身動きできない悲惨な状況。舞台劇のような設定である」「作品は、誰の立場に立つこともしないが、兵士たちのどうしようもない行動よりも、マスコミのいい加減さと国連防護軍の無責任さ、陰険さが強調されている」

 「戦争なのに、身近な視線。戦場と兵士をとらえる構図が、日常性をおびている。そんな雰囲気だから、兵士たちの行動や会話に少し笑える。そして、その雰囲気が結末の救いのなさを際立たせる」「監督は、すべての戦争の無意味さを告発しているのだろうか。国連兵士の善意の無力さを示すことで、その告発自体を相対化しているようにすら感じる」「戦争の愚かさではなく、人間存在の底なしの愚かさを示しているように感じた。しかし、そこにスタンリー・キューブリックの辛らつさのような切れ味はない」「私は、ラストシーンで言い様のない徒労感に包まれた。21世紀は、ここから出発するしかないのか」

 「ジャン=リュック・ゴダールが資金難とか闘いながら、5年ぶりに完成させた新作『愛の世紀』。予告編の圧倒的な美しさで、すでに打ちのめされた。第1部の白黒フイルムの懐かしい美しさ、第2部のデジタル映像の人工的な美しさ。これまでのゴダール作品とは、また違った映像美に出会って、衰えぬ実験精神に驚かされる」「しかし、通常のストーリー展開を拒絶した編集は、見る者に忍耐を強いる」「ゴダールのリズムに乗ることができれば、深く入り込んでくる映像なのかもしれないが、私は取り残されてしまった」

 「若き芸術家エドガーは、出会い、性愛、別れ、再会という四つの瞬間を若者、大人、老人の3組のカップルを通じて描こうという構想を持って、主演女優を選ぶためのオーディションを繰り返している。2年前に出会った、清掃員をしながら子供を育て、コソボ問題の集会に通っている女性が主演にふさわしいと考えている。しかし、彼女は自殺していた。二年前のブルターニュヘの旅が思い返されると、画面はカラーに変わる。ハリウッドが、かつてレジスタンスの闘士だった老夫婦の回想録の映画化権を求めていた。その孫娘が彼女だった。彼女はアメリカに映画化する権利はないと主張している」「すごく人工的な物語だ」

 「ベルグソン、シモーヌ・ベイユ、トリスタンとイゾルデ、スピルバーグ、ロベール・ブレッソン、アウグスティヌスなど、今回もおびただしい引用が行われるが、とりわけあからさまなハリウッド批判が印象的。個人のかけがえのない記憶を大切にするゴダールにとって、派手な演出とともに一面的な価値観を押し付けるアメリカのハリウッド映画が、許せない存在であることは、十分理解できる。しかし、こうまで単刀直入に非難すると、笑えてしまう」「こういう批判が、どこまで有効なのかは疑問だが、あいまいにしたまま自己保身しているよりは数段ましだと思う。愚直なまでにアメリカや国家を批判する姿勢は、新鮮ですらある」「ゴダールじいさんは、いつまでも若い」

 「『バーバー』。原題は、『Man who wasnt there』(『そこにいなかった男』)。コーエン兄弟が念願していた初の全編モノクロ作品。コントラストが目立つトーンではなく、夢のように柔らかなタッチのハーフトーン・モノクロ」「カンヌ映画祭でも『今までに見たことのないモノクロ』と話題になった。1949年のアメリカの雰囲気を醸し出しつつ、見る者を不思議な悪夢へと誘っていく」「コーエン作品は、色彩の妙を楽しむものが多いが、今回はシャープな構図と微妙な陰影を味わうことができる」「転がり落ちるような荒唐無稽なストーリーには、1940年代のヒッチコック作品への屈折したオマージュも込められている」

 「主人公のエドは、ほとんど話さず、どんな事が起きようと、表情を変えない。笑わない。そして髪の毛が伸びることを不思議に思っている。かなり人間ばなれしているキャラクターだ」「物語の中に、唐突にUFOに連れ込まれる話しが出てくる。これも、摩訶不思議、不可解。だから、エドは宇宙人だったという深読みも登場するわけだ」「ビリー・ボブ・ソーントンの名演技には頭が下がる。周囲の人々が、あくの強い個性の持ち主なので、その寡黙さがよけいに際立つ。平凡な日々をおくっていた男が、ちょっとした思いつきがもとで理不尽にも破滅する」「悲劇的な結末にもかかわらず、光に包まれたラストシーンは、冤罪の国・アメリカへの皮肉を超えて、これまでのコーエン作品とは別の映画的な味わいをもたらす」

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■銀河・映画対談2002.06

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■銀河・映画対談2002.06

 「『エピソード1』から3年。『スターウォーズ』の新作『スター・ウォーズ エピソード2』(ジョージ・ルーカス監督)が、公開された。2時間半の作品だが、実感的には4時間の超大作を観たような疲労と満足感に包まれている。テンポが早く、登場人物も多い。どのシーンも一切の手抜きを拒絶し、最高のテンションで訴えかけてくる」「あまりにも急ぎ過ぎて、パドメとアナキンの緊張感溢れるロマンスが生かされていないと言う見方もできるだろう」

 「今回は大河ドラマの幕開けを飾った『エピソード1』よりも、さらにグレードアップした。壮大なビジョンがより多彩に、より俯瞰的に描かれている。そして旧シリーズのような戦闘アクションも、たっぷりと盛り込まれている」「クライマックスはジェダイとドロイド軍の戦闘だろうが、ほかにもさまざまな見せ場が用意されている。中でも、ヨーダのあっと驚くアクションシーンは必見。ヨーダがライトセーバーで闘う場面こそ、静のヨーダが動のヨーダに変わる最大の見せ場だ」

 「話題の『アイ・アム・サム』(ジェシー・ネルソン監督)。知的障害者の父とそう明な7歳の娘が、ソーシャル・ワーカーによって引き離されそうになるが、親子の強い絆と周りの温かな協力で、めでたしめでたしの結末に」「知的障害者役のショーン・ペンは、相変わらず芸達者。娘役のダコサ・ファニングは、とても愛らしい。引きこもり高齢者役のダイアン・ウィースト、弁護士役のミシェル・ファイファー、里親役のローラ・ダーンも、個性的な味を出していた。と、良いところだけを見つければ、それなりに評価もできる。しかし、全体としては、製作者のさもしさとあざとさが見え透いている失敗作だ」「『偽善映画』という批判もうなずける」

 「まず、始まりからして不自然すぎる。次に父親が7歳の知能しかないから、子どもが7歳になったら問題になるというが、どうみても7歳の知能ではないだろう」「計算、言語能力は確かに劣るだろうが、生まれたての乳児を育て上げた父親に、いまさら『子育ては無理』はないだろう」「子どもよりも知的レベルの低い親は、むしろ多数派ではないか。そして、娘が出来過ぎている。こんなに純朴な親に育てられて、こんなに計算高い振る舞いをする娘になるだろうか」

 「主人公は、ビートルズにやたら詳しい。ストーリーの重要なカギになっている。そして音楽は、すべて有名なビートルズナンバー。ビートルズにまつわる映像的なお遊びもある。彼は、なぜビートルズファンなのか。どんな種明かしが待っているか期待していたが、結局何の説明もなかった」「『All you need is LOVE』というラストのためだったとしたら、あまりにも寒すぎる。音楽の使い方も、押し付けがましくって、うざったかった」
 「『とらばいゆ』(大谷健太郎監督)は、女流棋士の姉妹と、その夫と恋人の4人が繰り広げる恋愛劇。バトル・トークがすごい」「単純と言えば、単純なストーリーだが、2時間、片時も飽きることはなかった。大きな事件があるわけではないが、日常的な男女のいさかいが生々しく、等身大の悩みが伝わってくる」「双方がもがき苦しみながら、関係が泥沼になっていく過程は、なかなかリアルに描けないものだが、見事なまでに共感できた。スキのない優れた脚本だと思う」

 「まず瀬戸朝香の演技力に驚いた。スランプに陥り、夫に八つ当たりしまくる麻美の迫力は凄まじい」「それを受け止める夫役の塚本晋也も、芯がありながらひょうひょうとしたキャラクターが自然だ」「妹役の市川実日子は、なかなかの存在感。恋人役の村上淳は、良い雰囲気を醸し出していた。優れた脚本を映像的に支えた美術の素晴らしさも評価したい」

「待望の『ブレイド』(スティーブ・ノリントン監督)の続編『ブレイド2』が完成した。コミックの味を存分に生かした前作は、東洋趣味を取り入れた荒唐無稽にして鋭い美意識に支えられ映像で、新しいアクション・ホラーの地平を切り開いた。『ミミック』のギレルモ・デル・トロ監督が、どんな斬新な映像を見せてくれるのか、わくわくしながら公開を待っていた」「細部まで凝った美術、冷え冷えとして尖った映像、洗練されたアクションの連続、バンパイアたちのスタイリッシュな燃焼美。たしかにギレルモ・デル・トロの個性が発揮されている。しかし、全体が同じような色調なので、その良さが十分に引き立たない」「何よりも、前作にあった荒削りなバイタリティ、圧倒的なサービス精神が、薄れてしまっている」

 「前作は、人間とバンパイアの混血という存在に悩み抜くブレイドの痛々しさが、後半の吹っ切れたアクションを魅力的にしていたが、今回はありきたりな恋の悩みしかない」「新しく登場するクリーチヤー『リーパーズ』は、さまざまな要素をプレンドし過ぎて、迫力に欠ける。もっと、爆裂的な変身をとげなければ面白くない」「後半になって、展開が小さくまとまったのも不満。『邪魔したな、同志!』という前作ラストのモスクワでの秀抜な決めゼリフに比べ、今回のラストは、あまりにも伏線通りで平凡。拍子抜けした」「ニッサ役レオノア・ヴァレラの悲しくも美しい臨終シーンだけが、救いだった。『ブレイド2』は、他の作品に比べたらそこそこ面白い。ただ、前作があまりにも優れていたので、比較すると欠点が目立ってしまう」

 「『トンネル』(ローランド・ズゾ・リヒター監督)も、新しいタイプのドイツ映画といえるだろう。ハリウッド的な手法を持ち込んで観客を十分に楽しませながら、ドイツ的な真面目さも合わせ持っている」「ハリウッド的な感じが強くするのは、主人公ハリー・メルヒャー役のハイノー・フェルヒが、あまりにもブルース・ウィルスに似ていることもおおいに影響している」「それにしても、ラストのアクションシーンを除いて、ほとんどが実話というのには、驚いた。まさに、事実は小説よりも奇なりだ」

 「167分と、かなりの長篇だが、長さを感じさせない。西ドイツから東ドイツに向かって145mの地下トンネルを掘るという地道なドラマに、さまざまな事件、さまざまな人々が絡み、広がりを持たせている」「それぞれのシーンは、派手さはないが的確に切り取られている。フリッツィの恋人ハイナーが壁を越えようといて撃ち殺される場面は、とりわけ秀抜。壁を隔てた二人を高みから俯瞰していたカメラは、やがて放心状態で崩れ落ちたフリッツィの目線に降りてくる」「ジーンと胸に迫るシーンだった」

 「『少林サッカー』(チャウ・シンチー監督)は、サッカーとカンフーの融合というお手軽なアイデアによる作品ではない。おバカ、お下品なコミカルさを突き抜け、サッカー・カンフーアクションの壮絶さを突き抜けて、信じられない傑作が誕生した」「次々と繰り出されるアイデアに笑いながら、意表をつく展開にあぜんとする」「コテコテのギャグを連発し、スポコン、恋愛劇につきものの紋切り型のストーリー展開に、シュールな即興性が加わりながら、最後はきちっと独創的にまとめ上げてしまう力技。香港の興行記録を塗り替えたヒット作なので、期待はしていたが、期待を大きく上回るパワーに圧倒された」「ブラボー!! チャウ・シンチー」

 「映画は、最初から『おバカ』ギャグを宣言する。『オースティン・パワーズ』のノリだ。積極的にしろうとを採用したキャスティングがユニーク。カンフーアクションに似つかわしくない多彩な体型の登場人物が、少林パワーを発揮する高揚感がたまらない」「美しさで知られるアイドル女優のヴィッキー・チャオは、どのシーンもあっと驚くメークで登場する。その俳優魂に敬服」「全体にギャグCGの使い方がうまいが、彼女の太極拳饅頭製作のシーンは、とりわけ秀抜だった。そして、それが怒濤のクライマックスシーンにつながっていく」「見事というほかない」

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■銀河・映画対談2002.05

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■銀河・映画対談2002.05

 「遺伝子操作で生まれた蜘蛛に噛まれて身体が変化し、悩みつつもその能力を生かして正義のために活躍する庶民的ヒーロー・スパイダーマン。生誕40周年の今年、初の実写版としてスクリーンに登場した。『スパイダーマン』(サム・ライミ監督)。滑空感あふれるアクションと純情さあふれる青春恋愛が、とてもバランス良く溶け合っている」「気持ち良く引き込まれ、はらはらし、すっきりと終わる。エンターテインメントの鏡のような作品」「サム・ライミ監督は、すっかり職人タイプの監督になった」

 「スパイダーマンに親しみやすいトビー・マグワイアを起用したのは、正解だった。等身大のヒーロー役としては、彼のようなタイプが向いている。そして、恋人メリー・ジェーン・ワトソン役のキルスティン・ダンストも、最初は地味すぎる感じがしたが、ピーターへの愛に気づき始めるころから、キュートさが増してくる」「スパイダーマンとメリーの逆さまキスシーンは、映画史に残る名場面になるかもしれない。そして、グリーン・ゴブリンを演じたウィレム・デフォーは、『バットマン』のジャック・ニコルソンに匹敵する存在感だった」「すでに、サム・ライミ監督での『2』製作が決まっている」

 「1945年、第2次世界大戦末期の英国ジャージー島を舞台にしたゴシック・ホラー『アザーズ』(アレハンドロ・アメナーバル監督)。これ見よがしのショッキングなシーンを一切排し、古典的な手法で静かに、手堅く恐怖を膨らませていく」「戦場に行った夫を待つ妻グレースの2人の子どもが、日光アレルギーだという設定が効いている。闇と光による自在な演出が可能になった」「怪奇現象から2人の子どもを守ろうとするグレースを、ニコール・キッドマンが、見事なまでに演じている。古典的な舞台には、端正な美女が似合う」

 「物語は、視点の移動によって、あっと驚く結末を迎える。しかしながら、『シックス・センス』のように結末を教えるなと言うような、了見の狭さはない。結末のどんでん返しが分かっていたとしても、ストーリーの切なさは変わらない」「戦争にほんろうされた女性の悲しみが、研ぎすまされた映像から伝わってくる。怖いと言うよりも哀れな物語である」

 「『KT』(阪本順治監督)は、1973年8月8日に起こった金大中氏拉致事件をテーマにした本格的な政治サスペンス。日韓の政治に深く関わる事件だけに、その映画化は衝撃的だった。まさに、今でしかなし得ないタイミングを見事につかんで、ワールドカップに先駆けて公開された」「確かに、骨太な政治ドラマである。手ごたえがある」「しかし、登場人物の背景を描くことで、社会的な問題をあぶりだすというかつての手法が使われるわけではない。それぞれの境遇は、簡単に語られるだけだ。政治を利用しようとして、政治にほんろうされる男たちの姿が、冷えたタッチで描かれていく」

 「人間の生きざまを描いた作品なら、別な感触になったはずだ。富田満州男(佐藤浩市)と押川昭和(原田芳雄)の会話の中で『狼と豚』という比喩が出てくる。あまり良い比喩とは言えないが、何かの主義や目的のために鮮やかな瞬間を目指して生きるのか、大きな目的に殉じることなく日々を楽しみ自分のために生きるのか。この生き方の選択は、戦後の大きなテーマだが、ごく軽く触れられるだけだ。娯楽作を目指したのだから仕方がない」「布袋寅泰の音楽は、最初、あまりに芸がなくてへきえきさせられたが、クライマックスでは的確な効果を上げていた」

 「『リーベンクイズ(日本鬼子)』(松井稔監督)は、日中15年戦争で、日本軍が日常的に行っていた多くの残虐行為を、加害者である元日本兵士が、告白したドキュメンタリー作品。『ゆきゆきて神軍』(原一男監督)のように、追い込んで告白させるのではなく、当事者が自分の意志で語っているということの意味は大きい」「大変に貴重な記録である。そして、すぐれた作品である。多義的で、さまざまなとらえ方ができる。戦争にともなう残虐行為は、日本軍だけのことではないが、近代戦では極端にひどかったといえる」

 「『中国に洗脳されて嘘を話している』という見方もあるようだが、実際にこの作品を見れば、紋切り型ではないリアリティに打ちのめされるだろう。当事者でなければ、なしえない語り口が、そこにある」「証言した14人は、みな犯罪的な行いをしていた。しかし、深刻ぶって話す人は少ない。むしろ、淡々と、ときに笑いすらする。『娘を犯して、殺して、食べたんです』と言って『へへへ』と、笑うのだ」

 「私は、まだ告白した人たちへの評価が定まらない。非難も美化もしたくない。長い年月を経て、今話し始めた気持ちを、なんとか理解しようとしている。そして、何故そうしたのかを」「平凡な生活を送っていた彼等が、何故『子どもをたき火の中に投げ込んで笑っていられる』心境になるのか。楽し気に農家を焼きつくし、女性を強姦し、遊びのように次々に兵士でない人々を殺すことができたのか」

 「『女を見て強姦、人を見て殺し、物一つ奪えなくては、戦友から仲間はずれにされた』という証言に引き付けられた。仲間はずれになることが怖くて、最初は嫌々残虐行為に参加し、やがて面白く感じ、日常化していった」「軍隊という組織が人間を変える典型的なパターンだ。ここにも、戦争の恐ろしさのひとつがある」

 「もちろん、戦争のむごさは、このような行為だけにとどまるものではない。戦争そのものが、十二分にむごいものだ。過去から現在まで連綿と続いている戦争という愚行を思う時、理想主義的に見られがちな憲法9条が、現実を鋭く見つめた現実的な決意であることが分かる」「製作者の意図よりも、おそらくはさらに深く、戦争という愚行を再認識させる力がある。見たら、二度と忘れることのできない作品だ」

 「久しぶりに掘り出し物に出会った。『紅色の夢』(中田昌宏監督)は、姉の腹部にあるケロイド状の傷によって結び付けられた姉妹の残酷で耽美的な愛を描いた佳作。数々の幻想シーンが、わざとらしくならず、二人の情念を的確に描いていて、凄みがある」「このような優れた作品が、長く劇場公開されなかったことが、とても残念だ。今回も短期間の特別公開だった。花村萬月の初期の傑作を見事に映像化していた」

 「何といっても、姉・貴子役の冴木かおりの演技が素晴らしい。奔放にふるまい、男たちを幻惑するが、心の深いところで妹に依存している弱さを鋭く認識した演技だ」「妹・愛子役の夏生ゆうなは、これまであまり感心したことがなかったが、今回は自然な演技で好感が持てた。壊れそうな感性の底にある強靱な意志を表現していた」「特筆すべきは、老画家として登場する藤田敏八の演技。狂おしい老境の心理にうたれた。藤田敏八は、1997年8月29日、65歳で肺ガンのために死去。この作品が遺作になった」

 「『渚のシンドバッド』から5年、やっと橋口亮輔監督の新作『ハッシュ!』が完成した。これまでの作品も、ゲイの世界を超えた広がりを持っていたが、今回の作品は、各世代にまたがるさまざまな人間関係のあり方を鋭く問いながら、さらに大きな世界を描いていた。しかも、コミカルさを十分に生かして」「笑いに包まれるラストの軽さと、その先に予想される試練の重さ。この軽さと重さの共存こそ、『ハッシュ!』の新しい魅力である」

 「秋野暢子、冨士眞奈美といったベテランを起用したことが、作品に新鮮な奥行きをもたらした。主人公・藤倉朝子役の片岡礼子は、鬼気迫るほど役にはまり込んでいた。人生を諦めようとしながら、それに耐えられずに荒んでいく生活を、全身で鮮烈に演じている」「田辺誠一、高橋和也もなかなかの好演だった」

 「『アナトミー』(ステファン・ルツォヴィツキー監督)は、新しいドイツ映画。冒頭から始まるエロティックでショッキングなシーンの連続、青春映画のつぼを心得たストーリー展開、メタリックで明るく統一された美術、そしてナチスからの歴史を引きずっているドイツ医学への批判。生体解剖をテーマにしたキワモノ系のB級ホラーだと思っていたが、なかなかの水準だった」「ドイツでヒットしたわけだ。ステファン・ルツォヴィツキー監督の音楽を含めたセンスの良さは、これからが楽しみ。『2』も製作するらしい」

 「治療よりも研究を重視する医学界の秘密結社『AAA!』。ナチスドイツの時に隆盛を極めた。ナチスの人体実験は、これまで社会派映画でもB級エロティック映画でも多く登場したが、この作品では独特な取り上げられ方をしている。本物の死体から水分を取り除き樹脂を注入して保存するプラスティネーションの強烈な美しさが、『AAA!』のメンバーを狂わせ、生体解剖したプラスティネーションの製作にのめり込ませる。生きながら解体されて模型に組み立てられる恐怖。猟奇的なテーマだが、全体に重苦しくない」「ときに、青春映画の明るさ、清清しさ、ユーモアさえ感じさせる。最初の場面、死体が並ぶ解剖教室で響きわたる学生たちの明るい笑い声が、いつまでも耳に残った」

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■銀河・映画対談2002.04

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■銀河・映画対談2002.04

 「『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(ジョン・キャメロン・ミッチェル監督)は、ロック・ミュージカルを、舞台と同じく監督、脚本、主演で映画化したもの。冷戦下の抑圧的な東ドイツ。アメリカへの憧れ。米兵との恋。性転換手術の失敗。相次ぐ恋人の裏切り。怒りのバンド演奏。1970年代の熱いグラムロックと、ヘドウィグの数奇な運命が共振して、心にストレートに訴えてくる」「何と言っても歌の迫力がすごい。プラトンの『饗宴』にヒントを得た『カタワレ探し』という愛のモチーフは、かなり時代錯誤的だが、ヘドウィグが熱唱すると、彼の深刻な欠如感を表現していて、とても説得力がある。バンド『アングリーインチ』の異様な迫力は、ヘドウィグの不幸に支えられている」

 「なげやりだったヘドウィグは、各地で演奏会を続けるうちに、次第に輝きを増していき、自分を取り戻す。女装への憧れを持つヘドウィグの夫イツハクを演じた女優ミリアム・ショアも見事。この二人の存在が作品自体を魅力的にしている」「ニメの使用は、映像に変化を与えてはいるが、それほど奇抜な表現ではない。むしろ、ヘドウィグの圧倒的な切なさをやわらげる効果を上げていた」

 「『アレクセイと泉』(本橋成一監督)は、第52回ベルリン国際映画祭のベルリナー新聞賞を受賞した。チェルノブイリ原発事故で被爆したブジシチェ村。大地は放射能に汚染され600人いた村民たちは移住勧告に従って村を出た。しかし、55人の老人と青年のアレクセイ1人は、村でそのまま暮らし続ける道を選んだ」「この村の中心に位置する泉の水からは、まったく放射能が検出されない。こう説明すると、深刻な社会告発作品と思われるだろうが、映画はタルコフスキーの映画を彷佛とさせる美しい自然風景に満ちあふれ、家畜たちと共存したのどかな自給自足の生活が、淡々と描かれていく」「ユーモアと愛おしさが全編を包み込んでいる」

 「チェルノブイリ原発事故の悲劇と村の生活を支配するのどかさ。このあまりにも大きい落差に打ちのめされ、原発事故が何というおぞましいものであるかをあらためて認識せられた」「この物語のストーリーは、ほとんど寓話の高みにあるが、すべて実話だというのが奇跡的。アレクセイ青年の静かだが、含蓄に満ちた言葉が、耳に残る」「一之瀬正史の撮影、坂本龍一の作曲も、本当に素晴らしい」 

 「『折り梅』(松井久子監督)には、社会派作品にありがちな感傷性や説教調がみじんもない。家族や人間の生き方を描いた、極めて深い人間ドラマだ。映画として一級の出来といえる」

 「世話するために引き取った義母・政子が、アルツハイマー型痴呆症を患って奇行を繰り返し、主婦の巴をはじめとする家族4人は、深刻な危機を迎える。しかし、グループホームに入れる日、政子は巴に実の子にも話していない自分の過去を整然と話し始める。巴の中の痴呆のイメージが変わる劇的な場面だ」「痴呆が進む政子に、絵画という思い掛けない才能が開花する。私の痴呆観も大きく変化した。それは、人間の豊かさの再認識でもある」

 「梅が、こんなにも深く、美しいイメージとともに映画の中核に位置する作品を私は知らない。『折り梅』という言葉が、高齢者のメタファーとなって、魅力的に立ち表れる瞬間が素敵だ」「吉行和子、原田美枝子という名俳優は、競い合うのではなく、響き合うように感動を高めていく。吉行和子が添い寝した原田美枝子の胸に触って甘えるシーンが素晴らしい」「子役たちも健闘している。加藤登紀子、金井克子、りりィは、3人とも印象的な役で登場する」

 「『友へ チング』(クァク・キョンテク監督)には、懐かしさがある。チングとは、古くからの親友の意味。1970年代後半から90年代前半のプサンを舞台に、4人の男たちの友情を描いた感動作。無理に泣かせようとしない抑制が、かえって深い感動を残す」「1970年代のプサンを描いたノスタルジックな風景は、韓国の中年の人たちには、ジーンとくる場面だろう。私たちが『クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』に、うるうるしていまうように。プサンの名所が次々に登場し、4人が高校から映画館まで駆け抜けた通りは『チング通り』と命名されたという。このシーンから、映画は急にテンポを上げ、より輝きはじめる。そして、暴力が目立ちはじめる」「映画館での乱闘シーンの迫力に驚いたが、ヤクザの血で血を洗う抗争のリアルさもすさまじい。フイルム・ノワールの味わいだ」

 「クァク監督が、プサンでの実体験をもとに、書き上げた半自叙伝的な作品。監督に近い立場のサンテクが、少し善人すぎる以外は、どの人物も造形がしっかりしている。そして俳優たちが、素晴らしい演技をみせる」「ユ・オソンは、ジュンソクの強さと弱さを演じ分け、人間的な魅力を十分に引き出している。ジュンソクと心ならずも対立するドンス役チャン・ドンゴンは、陰影のあるしなやかな演技。刺し殺されるシーンの見事さは、長く記憶に残るだろう」「紅一点のジンスクを演じたキム・ボギョンは、とてもチャーミング。今後に期待したい」

 「どの国の映画にも、その国に住んでいる人だけに分かる笑いがある。この作品でも、そんな場面があった。サンゴンがドンスをスカウトする時の言葉『自分は日陰に住んでいながら、日なたに住む人々をより輝かせるのがヤクザではないか』は、かの悪名高いKCIAの標語『我々は陰地で働き、陽地を志向する』をもじったもの。知っている人は苦笑したことだろう。私は、残念ながら映画を観た後で知った」

 「『ビューティフル・マインド』(ロン・ハワード監督)は、数学の天才が統合失調病と闘い、妻の愛に支えられ病いと共存しながらノーベル賞を受賞するまでの感動の物語。2002年のアカデミー賞で作品賞と監督賞を獲得した」「数学の天才を主人公にした作品は、少ないようで結構ある。最近でも『π(パイ)』(ダーレン・アロノフスキー監督)や『グッド・ウィル・ハンティング』(ガス・ヴァン・サント監督)が、思い浮かぶ」「『ビューティフル・マインド』は、ジョン・ナッシュの伝記をもとに脚色したものだが、『グッド・ウィル・ハンティング』、『シャイン』(スコット・ヒックス監督)、『ファイト・クラブ』(デイビッド・フィンチャー監督)を足して3で割ったような印象を受けた」「米ソ冷戦下の緊張を強調した脚本は良くできているが、原作にあった同性愛の問題を避けたので、ナッシュの苦悩の深さが十分に生かされていないと思う」

 「ジョン・ナッシュ役のラッセル・クロウは、さすが。今回も、知性と精神の病が共存する役になりきっていた。ただ、かすかなあざとさが鼻につく」「特筆すべきはアリシア・ラード・ナッシュを演じたジェニファー・コネリー。私にとって注目の俳優だが、メジャーな適役に乏しかったのは事実。やっと、話題作のはまり役に巡り会い、アカデミー賞の助演女優賞を受けた意味は大きい」「艶やかさと意志の強さと聡明さが共存している」

 「『魚と寝る女』(キム・キドク監督)は、2001年ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。不思議な作品である」「墨絵のように幽玄で美しい湖に叙情的な音楽が重なる耽美的な映像。優れた日活ロマンポルノのような情念あふれる猟奇的なストーリー。そして、寓話的なラストシーン。釣り針の束を飲み込み、それを引き抜くという痛覚を刺激される場面もあるが、シリアスにみせかけたコメディのようにも思える」「魅力的というば魅力的、中途半端というば中途半端。ただ、このところ活力のある韓国映画の新しい側面を見せてくれた作品と言える」

 「何といっても、一言も口を聞かず、いつも不機嫌そうにしている官能的な釣り場支配人のヒジンを演じたソ・ジュンに最大級の拍手を送ろう。スタイルもルックスも美形の俳優なのだが、釣りのえさのミミズを食いちぎったり、カエルをたたき潰して皮を剥いだり、股に釣り針の束を押し込んだりと、怪演の域に達している」「ただ、あまりの熱演のために、今回のイメージが強すぎて、今後の芸域が狭まってしまうことが心配だ」

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■銀河・映画対談2002.03

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■銀河・映画対談2002.03

 「3月29日-31日にまるバ会館で、『Innocent Eyes and Lenses Tatsu Aoki 作品集』が上映された。シカゴ在住のフリージャズのミュージシャンとして有名なTatsu Aoki氏は、映像作家でもあり、今回来道を機に、本人トークも交えて、上映が行われた。心地よく変化する、これまで見たことのない映像に、感激した2時間。青木氏の軽妙な語りも印象的だった」

 「『Decade Passed』(ディケイド・パスド、2002年、16ミリ、18分)は、最新作。『10年経つ』という題名を持つ意味深長な日記映画は、日常的であると同時に抽象的。友人のジェフ・パーカーが曲をつけているが、映像が音楽に負けることなく、ダイレクトに魅力的なイメージを発している」

 「『Raputurou!s』(1984年、16ミリ、16分)、『Hallway』(1984年、16ミリ、15分)、『Souund in Sync』(1984年、16ミリ、19分)は、1980年代前半の作品で、それぞれに明確なコンセプトを持っているものの、あまり驚きはない。『Harmony』(1991年、16ミリ、12分)は、雑踏を撮った作品だが、なんと38重露光という処理をしている。羽衣のように流れる映像には、デジタルとは違った味わいの面白さがある」

 「『Free Hands Part 1』(1997年、16ミリ、10分)、『Puzzle』(2001年、16ミリ、20分)は、作品そのものの持つ喚起力に打ちのめされた。難しくなく、少しずつ変化する反復的な美しい映像に身をまかせる快感。甘美であり、恐怖でもある自在な映像。これまで体験したことのない映像の世界に引き込まれた」

 「伊藤隆介監督が聞き役となったトークも楽しかった。青木監督の語る横断表現的な芸術家論、生地の変化を基本にした映像論、持っているオリジナルの量が大切だというプロ論、分りやすく伝えようという芸人根性論は、とても共感する点が多かった」「貴重な上映会だったと思う」

 「アメリカによるアフガニスタン空爆を預言するように公開されたフランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録・特別完全版』。そのテンションの高さは、映画史に屹立し、半ば伝説化されていたが、今回の再編集で、さらに完成度が高まった」「1979年の作品に53分の未公開映像を追加、全体を再編集。フランス人農園の一族やプレイメートとの再会など、歴史的な視点、女性のまなざしが加わって、より深く立体的になった」

 「コッポラ監督が自ら語るように、この作品は『反欺瞞映画』だ。戦争の欺瞞性を、アメリカ自らが、ここまで真摯に告発した映画はない。その後に続いた戦争映画も、この作品の圧倒的な鋭さには、遠く及ばない。しかし、ラストを神話的な構図に収めたことで、その政治的な告発が、生かされなかったという側面もある」「もっとも、作品としての射程は、人間存在そのものにまで、延びているのだが」

 「エルフリーデ・イェリネックの自伝的な小説を映画化した『ピアニスト』(ミヒャエル・ハネケ監督)。重いテーマを突き付けられ、観終って、へとへとになるタイプの作品。2001年カンヌ国際映画祭でグランプリ、最優秀主演女優賞、最優秀主演男優賞に輝いた」「カンヌは、こういう人間存在の闇を暴くような、作家性の強い作品が好きだ」

 「母親とともにピアニストになるために禁欲し続けてきた中年の女性が、教え子に愛を告白され、抑圧してきたマゾヒステックな欲望にほんろうされるというストーリー。つまりは、屈折した性欲の話だ。展開は冷静で、それでいて映像にねっとりとした質感がある。不思議な生々しさに包まれている」「イザベル・ユペールが、驚くばかりの熱演をみせる。クラシックの華麗な演奏が繰り返されるので、後味の悪い結末に続く無音のエンドロールがかえって痛みを増幅させる」

 「ミヒャエル・ハネケ監督は『逃げ出すのが不可能になる形式を見つけ出そうと、私は試みているのです。状況をラディカルに尖鋭化させて、心理的個人的な鋳型を避けることで、観客自身を不安と攻撃の真っ只中に投げ込むことのできる形式を探し求めているのです。映画は気晴らしのための娯楽だと定義するつもりなら、私の映画は無意味です。私の映画は気晴らしも娯楽も与えませんから』と、挑発的に話している」「なるほどね」

 「『モンスターズ・インク』(ピート・ドクター監督)。大人たちに、子供のころを思い出させるという基本的なスタンスは、今回も変わっていない。モンスターシティのエネルギー源である子供の悲鳴を集めるモンスターズ社を舞台に、モンスターの世界に紛れ込んだ2歳児『ブー』と、サリー、マイクとの心の交流を温かなタッチで描いている」「細部まで丹念に練り上げ、描き切るピクサーの姿勢には、いつも感心する。しかし、『トイ・ストーリー』シリーズに比べると、キャラクターの造形が今一つ弱い印象を受ける。悲鳴のかわりに笑い声をエネルギーにするという結末も、途中で分ってしまった」

 「ただ、エンドロールとともに始まる恒例のNG集は、今回も傑作。『トイ・ストーリー』からの隠れたカメオ出演が分ったり、うるさ型として登場していたおばさんが、ちゃめっ気を発揮していたりと、作品を観た直後の美味しい遊びが楽しめる。そして、モンスターズ社の社内劇まで披露されて、モンスターの世界をより身近に感じさせる」「エンドロールが始まると、かなりの人たちが席を立つ。エンドロールの部分を含めて、楽しまないともったいない」

 「『光の雨』(高橋伴明監督)が、30年前の連合赤軍事件を映画化するという困難な企画を成し遂げたことを、まず評価したい」「構成はわざと複雑にしている。『光の雨』の映画化を試みる俳優と監督の戸惑い、苦悩、それに関わるメイキング監督の思いという重層的な構図で、事件に多角的に迫ろうという意図は分かる。ただ、あの事件の持つ意味を、歴史的に『総括』しようという視点を持っているとはいえない」「『同世代の人は思い返えそう。若い人たちも一緒に考えよう』と、言っているだけだ。それが、切実な問い掛けだとしても『あの事件を忘れないで』というレベルにとどまる」「監督の失踪で映画が中断したときに開かれる残念会のシーンで、濃密な人間関係の持つ可能性と危険性がほのかに示されるが、深められることはない」

 「あの事件の歴史的な意味は、まず若者が国家を超える理想を持つことに臆病になったということがあるだろう。人々が力を合わせて世界を変えることのリアリティが失われた。少なくとも、その傾向を決定的にした」「なお変革を諦めなかった人たちは、深刻な方針転換を迫られ、人間の持つ弱さ、意識の変えがたさの認識から反差別の運動に移行したり、非日常性を求めるのではなく日常生活そのものを変えるという意図で、エコロジー的な運動が広まった。しかし、大きな理想が見えにくくなったのは事実で、オウム事件は、ある意味でその影響といえる」「この作品を観て、若い人たちは『オウムみたい』と感じるだろうが、歴史が繰り返されているのではなく、『総括』にはなお時間がかかるということだ」

 「俳優では、裕木奈江のうまさがダントツに光る。知性と欲動の屈折を見事に演じている」「山本太郎には、もう少し重い言動がほしい。次々と同志を殺していくシーンが『バトル・ロワイアル』(深作欣二監督)の延長に思えてしまう。萩原聖人は、とまどいながら映画と観客をつなぐ重要な役をそつなくこなしていた」「映画の最後で、立松和平が語り手となって『あの時代に生きた子もみな普通の子どもだったよ。夢のとりこになって真剣だった』と述べる。ぶち壊しだ。この作品にただよう、自己満足さを増幅している」「とはいえ、これから劇場公開される『突入せよ!あさま山荘事件』(原田眞人監督)の偽善性を照らし出す役割は、果たすことができるだろう」

 「『ロード・オブ・ザ・リング』に、涙が出るほど感動している。作品に泣かされたというよりは、妥協を許さないピーター・ジャクソン監督の迫力に圧倒された」「日曜映画監督として、友人の協力を得ながら、自己資金で1984年に『バッド・テイスト』を完成したニュージーランドのインデペンデント監督は、次に究極のスプラッター・コメディ『ブレイン・デッド』によって、度肝を抜くパワフルな世界を見せた。さらに、少女たちの繊細で残酷な感情を描いた『乙女の祈り』で、世界的に有名になり、『コリン・マッケンジ−/もうひとりのグリフィス』は、ドキュメンタリーと空想の垣根を取り払った愛すべき作品になった」「しかし、これまでのキャリアは、とてもハリウッドの大作向きではない。その彼が、映画化は不可能と言われてきた世界最高のファンタジー『指輪物語』(探しに行くのではなく、捨てに行くというところに英知を感じる)を、ここまで美しく、壮大に、そして魅力的に仕上げるとは」「監督としての力量だけでなく、死にものぐるいの熱意がなければ実現できるものではない」「しかも、ニュージーランドでロケし、ニュージーランドの会社でCGを製作した」「まだ3部作のうちの第1部だが、記念碑的な作品として、歴史に残ることは間違いないだろう」

 「ほぼ、3時間の大作。しかし、最後まで一時も飽きさせることなく、巧みに緩急をつけながら物語は進んでいく。心地よいクライマックスの連続。原作を忠実に再現した自然や建造物が素晴らしい」「『指輪物語』の影響を色濃く受けている『スターウォーズ エピソード1』(ジョージ・ルーカス監督)の構想力を、しのいでいる。その美しい映像に見とれ、独創的な異世界に深く包み込まれた。数々のCGも、ハリウッドのレベルとそん色ない」「ややもたつくシーンもあったが、むしろファンタジーとしての持ち味を引き出していた。キャスティングもめりはりがあって見事なものだ。中でも、ガンダルフ役のイアン・マッケランが、傑出していた」「次作が、こんなに待ち遠しい作品はない」

 「20世紀までのファンタジーは、特定の個人や集団が、力の集中したものを巡って闘うという構図が目立った。物語の構造として、とても人々を引き付けた。しかし、今世紀は、この神話的な構造そのものを変える、それでいてリアルな物語を必要としている」「世界各地のひとり一人の試みが、離ればなれでいながら影響し合い世界を劇的に変えるというビジョン。その物語は、相互にリンクされた数千の断片によって構成する新しいスタイルになるだろう。そんなことまで、考えさせられた」

 「『カンダハール』は、2001年9月11日のアメリカでの同時多発テロ以前に撮影されたが、日本での公開は、2002年。同時多発テロ以後では、この映画の印象が大きく変わってしまう」「2001年5月にカンヌ国際映画祭エキュメニック賞を受賞しているが、その時には『なぜ重要でないことを取り上げたのかと大勢の人が私に聞いた』とモフセン・マフマルバフ監督は語っていた」

 「この作品は、女性差別などタリバンの抑圧性を強調している。ともするとアメリカによるアフガニスタン空爆を支持しているかのように見える。しかし、逆だろう。監督のまなざしは、そこに住む人々、歴史にほんろうされるひとり一人に向けられている」「アフガニスタン空爆後に撮影されたとしたら、そこに暮らす人の視線で、アメリカの無神経さ、独善性を静かに告発したことだろう」

 「アフガニスタンで撮影できなかったのは、タリバンが映像そのものを禁止しているから。スタッフ、キャストの生命の危険を考慮して、撮影はイランで行われた。登場する人々は、ほとんどの人たちが俳優ではない。しかし生活感をたたえた見事な演技をしている」「主人公ナファス役のニルファー・パズイラも、アフガニスタン出身のジャーナリスト。この作品は、彼女自身がカブールに住む友人からもらった『生きる希望を失ったので自殺する』という手紙が、もとになっている」

 「同時多発テロ以前に観ていたら、砂漠をはじめとした映像の美しさが、まず心に響いただろう。抑圧の象徴である衣装・ブルカが、とても美しく、複雑な気持ちになった」「 そこで生きていかなければならない人々の、過酷な、しかしどこか滑稽なシーンやシュールな場面を通じて、アフガニスタンのおかれている現実を知ること。政治的にではなく、一人の人間として。監督は、それを願っているように思う」

 「『オーシャンズ11』(スティーブン・ソダーバーグ監督)は、ラスベガスの地下200フィートに埋められた巨大金庫から1億6,000万ドルの現金を盗み出すという大胆にして精密な計画を実行する男たちの物語。『オーシャンと11人の仲間』(1960年)のリメーク版。出所した窃盗犯オーシャンが立案し、友人のライナスとともに、各方面のプロたちが集められる。参加する男たちの内面が描かれるわけではない。大金よりもスリルが参加の理由だろう」

 「ストーリーは、心地よく流れていく。意表をつく展開も、それほど驚かせるような演出をしない。飽きさせず、とても面白いのだが、あまりに自然に流れていくので、観終わった後に何も残らない」「重い余韻を残した『トラフィック』とは、対照的。しかし、これはこれで見事な職人芸だと思う。ビッグスターの顔合わせにありがちな騒がしさもない」「ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツらは、抑え気味の演技で、前に出過ぎないように配慮していた」「『オーシャンと11人の仲間』は観ていないが、今回オーシャン以外の強奪作戦メンバーは、10人しかいない。妻のテスを加えて11人なのだろうか。『オーシャンズ11』の場合は、オーシャンも含まれるのかな」

 「『コンセント』は、田口ランディ原作の小説『コンセント』の映画化。まさか中原俊監督が手掛けるとは思わなかった」「小説は異様な迫力に満ちていたが、中原作品は抑制されたバランスの良い仕上がり。CGの場面がやや軽くなるきらいがあるものの、新しい中原映画の誕生を喜びたい」「ユキ役の市川実和子は、一昔前なら『体当たりの演技』と評されただろう、激しいセックスシーンを演じている(体当たりの演技にいえば、『よみがえる金狼』の風吹ジュン、『丑三つの村』の田中美佐子、『春雷』の石田えり、『白蛇抄』の小柳ルミ子、『聖獣学園』の多岐川裕美、『春の鐘』の古手川祐子、『犬死にせしもの』の今井美樹、などなど、懐かしい)。普段は、妙に単調な表情と会話なのに、セックスの時だけは生き生きとしている。男たちは、忘れていた記憶を思い出す」「ユキは、シャーマンなのだが、市川実和子の独特のオーラによって違和感を感じさせない」

 「市川実和子の醒めた熱演も特筆すべきだが、シャーマニズムの研究をしている律子役つみきみほの奥の深い演技も見逃せない。トラウマを抱えながら、シャーマンにひかれつつシャーマンに頼らない自力での立ち直りを目指す律子の痛々しい姿に共感した」「影が薄くなりがちな男たちの中では、腐乱死体の部屋を掃除する特殊清掃員役の斎藤歩が、生命力あふれる前向きの存在感があって清清しい」 「3月3日、シアター・キノでの先行プレミア上映会では、中原俊監督、札幌在住で映画初出演の特殊清掃員役・斎藤歩さん、製作プロデューサーの佐藤美由紀さんを招き、ティーチインを行った」

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2004.03.15

■銀河・映画対談2002.02

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■銀河・映画対談2002.02

 「『さらば、わが愛/覇王別姫』でカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した陳凱歌(チェン・カイコー)監督が、ハリウッドに進出し初めて試みた英語作品『キリング・ミー・ソフトリー』。R18指定というので、どんなに濃密な官能を描くのかと期待していたが、ハリウッドの壁は厚く、平凡なサスペンスにとどまった」「陳凱歌らしい深みがない。この程度の描写でR18は疑問だ。直接的な性描写は抑えられていても『さらば、わが愛/覇王別姫』の方が、はるかにエロティックで激しかった」

 「主人公アリス・ラウデン役のヘザー・グラハムは、平凡な日常からめくるめく快楽へと飛び込んでいく。しかし伏線が用意されていないので、立ち止まった男の視線がきっかけというのでは、説得力がない」「疑惑を抱いた後の行動も不自然すぎる。アダム・タリス役ジョセフ・ファインズも、確かに魅力的だが、今一つピンと来ない」「そんな中でアダムの姉デボラ役のナターシャ・マケルホーンだけが、リアルさを見せていた」

 「畳み掛けるように襲いかける謎に打ちのめされた『ロストハイウェイ』に比べ、デイヴィッド・リンチ監督の新作『マルホランド・ドライブ』は謎が謎のまま魔術のように消えてしまうので、観終わった直後は物足りない感じがした。しかし、時間が経つにつれて、じわじわと影響され始めた。さまざまな場面が脳裏に浮かび、容易に消えない。印象的なシーンに込められたねらいが気になって落ち着かない。リンチの奔放な想像力とハリウッドに対する愛憎が、独創的な作品に結実したといえる」

 「あっと驚く始まりと、あっと言う間もなく終わるラスト。ショックによる記憶喪失になって逃げる妖艶なローラ・エレナ・ハリングの姿を追ううちに、女優を夢見る初々しさをただよわせたナオミ・ワッツの美しさに眼が移る。断片的なエピソードをはさみながら、二人が同性愛に陥る展開に意表をつかれ、ナオミ・ワッツの豹変ぶりに驚愕した」「そして物語は大きくねじれ、想像を刺激して止まない迷宮へと閉じ込められる。美しい謎は、長く私の中に留まるだろう」

 「敬愛する評論家・滝本誠は『マルホランド・ドライブ』のパンフの中で『『マルホランド・ドライブ』を見ての絶望=他の映画がつまらない、を癒してくれ覚醒させてくれたのが、三池崇史『殺し屋1』だったのである。この作品ぐらいしか『マルホランド・ドライブ』の二重化された映画の時間構造の底無しの魅力に対抗できない』と書いている。 コミックの『殺し屋1』は、確かに覚醒させる力を持っていた。三池崇史の作品は、覚醒ではなく酩酊ではないのか」

 「山本英夫のコミックを原作にした、とことん暴力的で悪趣味な三池崇史ワールド『殺し屋1』。やりたい放題というのは、こういう映画のことを言うのだろう。タブーがない」「R18指定も、この作品ならうなずける。タイトルからして、これ以上の悪趣味はないという場所に浮き上がる。全編が刺激的なシーンの積み重ねで、だんだん感覚が麻痺してくる」

 「原作の基本にあるのは人間の欲望の屈折。映画は、ほぼ原作通りに過激な暴力と性を描いているが、人間洞察というよりは、お祭り気分で悪乗りしていく。ブラックユーモアやギャグは楽しめるが、映画としての手ごたえが少ない」「同じく解離性人格障害を描いた『オーディション』の方が、はるかにズシリときた」

 「ユニークなスプラッターシーンがたくさん出てくるが、内臓の描き方が下手。臓物をばらまけばいいというわけではない」「内臓の祝祭のように誇張して描かれた『ブレイン・デッド』(ピーター・ジャクソン監督)の方が、まだリアリティがあった」「情夫に殴られて歪んだセーラの顔も、ハリボテみたいで迫力がない。こういうところを手抜きすると、ガクンと質が落ちる」「精力的な多作ぶりは評価するが、粗製濫造にならないことを願っている」

 「もしスプラッターをギャグ調で描くなら三家本礼(みかもと・れい)のリッパー・ザ・ホラー『ゾンビ屋れい子』を、ぜひとも映画化してほしいものだ。このマンガが持つギャグとシリアスが交錯した無類の面白さと三池崇史の力強いスピード感は、相性が良いと思う」

 「『リング』で新しいホラーのスタイルを作り上げた中田秀夫監督の新作『仄暗い水の底から』。今回も都市伝説風の鈴木光司の原作。ゆっくりとしたペースで、映画的な恐怖を引き出している」「さまざまな水の表情を生かしつつ、恐怖を演出する。あざといほども感じるが、ついつい引きずり込まれる」「『東海道四谷怪談』を頂点とする日本の怪奇映画の伝統をしっかりと踏まえながら、ホラーの文法を築いた功績は大きい」

 「映画としての面白さは、巧みな編集とともに、黒木瞳と菅野莉央の熱演に支えられている。娘を思う神経質な母親役の黒木瞳は、やや過剰な演技で叫び続ける。貯水槽に登るシーンは、ぞくぞくした」「娘役の菅野莉央が素晴らしい。場面場面で、じつに的確な表情を見せる。周りを固めるほかの俳優がかすんでしまうほどだ」「それだけに、クライマックスでの腐乱した亡霊の特殊効果の弱さが目立った。腐乱した子どものリアルさが出ていたら、恐怖は数倍になっていたはずだ」

 「『ジェヴォーダンの獣』(クリストフ・ガンズ監督)には期待してはいたが、ここまで面白い作品だとは思わなかった。大満足の仕上がり」「フランス史上最大の謎と言われている18世紀のフランス・ジェヴォーダン地域で起こった野獣による残虐な怪事件をベースにしている。フランスお得意のコスチューム歴史劇に、派手なカンフーアクションを詰め込み、ラブストーリー、ミステリーにホラーまで盛り付けし、映像処理もめりはりがあって素晴らしい」「韻の残るラストも、見事だ。B級活劇の楽しさを基本にしながら、隠された歴史の重みまで伝わってきて、得した気持ちになる」

 「ヴァンサン・カッセルのあくの強さは天下一品。ぞくぞくするほど魅力的」「ぞくぞくするといえば、モニカ・ベルッチも負けてはいない。高級娼婦として登場し、官能美を振りまきながら、ラストでは意外にも主役に躍り出てくる」「そして、『ロゼッタ』(リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督)で生な存在感をみせたエミリエ・デュケンヌが、こんなにも貴族の衣装が似合うことにも驚いた。その可愛らしさと美しさに見とれた」「主人公フロンサック役のサミュエル・ル・ビアンも、けっして悪くはない。複雑な性格を良く演じている。しかしながら、周囲があまりにも輝いているので、分が悪かった」「あれだけ、激しいアクションを見せても、地味に感じてしまう」

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■銀河・映画対談2002.01

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■銀河・映画対談2002.01

 「1888年の秋、切り裂きジャックは10週間に5つの儀式的で凄惨な殺人を犯した。しかし事件は迷宮入りしている。その後、さまざまな犯人像がささやかれてきた。『フロム・ヘル』(ヒューズ・ブラザーズ監督)は、事件の背後にフリーメイソンとイギリス王室を置いている。ただし、作品の魅力はストーリー展開ではなく、コラージュを多用した巧みな映像にある」「陰惨で冷え冷えとした質感。セットもライティングも凝っている」

 「惨殺屍体は無気味なほどリアルで、やりきれなくなる。やりきれないと言えば、5人仲間の2人が相次いで殺されても、夜の街に1人で出かけて行って殺される娼婦たちの破滅指向が、不自然でやりきれない」「不必要な裸のエレファント・マンまで登場させてしまうヒューズ兄弟のマニア向けサービスもやりきれない」

 「妻子が死に深い悲しみから立ち直れずにアヘンを吸い、事件の幻覚を見るアバーライン警部を演じるジョニー・デップ。その憂いに満ちた美しさは、さすが。自称"切り裂きジャック・オタク"としての会心の演技を見せる」「娼婦メアリ役のヘザー・グラハムは、美貌よりも生活に疲れた疲労感が印象的。唯一助かる娼婦だが、ホラーならば彼女が一番惨殺にふさわしい存在だと思う」

 「『息子の部屋』(ナンニ・モレッティ監督)は、2001年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞している。平穏な日々を送っていた家族が、息子のでき死によって、それぞれが苦しみ、家族がバラバラになりかける。しかし、息子の恋人との出会いが、再生へのささやかなきっかけになる」「1つひとつの会話、しぐさがていねいに作られていて、静かにしみ込んでくるような感動を覚えた。この作品に心を動かされなかった人は、幸せな人なのかもしれない」「肉親の死を経験した人には、個々のエピソードがダイレクトに共感できるはずだ」

 「父親は患者の心の悩みを治療する精神分析医。父は息子との約束を守っていれば、息子はダイビングに行かず事故にもあわなかったのではないかという自責の念にとらわれる。そして、精神状態が不安定になり、診療を断念する」「自己のトラブルに対処できない精神分析医を皮肉っぽく描くこともできたが、モレッティ監督は父の悲しみに寄り添い、演じる」「事故直後、激しい悲嘆にくれていた母親よりも、次第に深い悲しみに襲われる父親のリアルさ。そして、かすかな希望。モレッティ監督は、すべてを優しく思いやりに満ちた視線でみつめ続ける」「2000年にパルムドールを獲得したトリアー監督とは、正反対のタイプだな」

 「『ロスト・チルドレン』『エイリアン4』などでビジュアル・エフェクトを手がけてきたピトフの初監督作品『ヴィドック』。最新デジタルカメラ"HD24p"を全編に使用しながら、ハリウッドとは違った絵画的質感のデジタルムービーとなっている」「ジャンパルジャンのモデルともなった実在の私立探偵・ヴィドック。彼が犯人に殺されるというショッキングなオープニングから、畳み掛けるように真相が明らかになっていく」「ケレン味たっぷりといって良いような過剰な雰囲気。ピトフ監督はギュスターヴ・モローを参考にしたというが、黄金色を基調にした色彩は、ゴシック的なテイストとマッチしていた」

 「しかし、ジャン・ラバスやマルク・キャロが一緒なのだから、ゴシック的な要素を、もっと強調しても良かったのではないか。まがまがしい錬金術師の部屋は、もっとなめるように描いてほしかった。そうすれば、ラストに向けて、さらに盛り上がったはずだ」「ギュスターヴ・モローを意識するのなら、闇の中の宝石のような色彩をちりばめてほしかった。派手な演出はあったが、どうも見せ場の重みが足りない」「映画の醍醐味は、編集に負う面が大きいからだろう」

 「『バニラ・スカイ』(キャメロン・クロウ監督)は、ていねいに作られたといっていい。スペイン映画『オープン・ユア・アイズ』(アレハンドロ・アメナバール監督)のリメイク。トム・クルーズがハリウッドでの映画権を買い、自らプロデュースし主演している。オリジナルのどうしようもない閉塞感、絶望感が薄れ、華やかなラブサスペンスになっているのは、さすがハリウッド」「オリジナル作品に出演したペネロペ・クルスが共演し、ニコール・キッドマンと離婚したトム・クルーズと恋愛中というのも、出来過ぎた展開だ。この作品の製作そのものが選ばれた仮想現実のようだ...。おっと、ネタばれ」

 「いつも混雑しているニューヨークのタイムズ・スクエアがデヴィッドただ一人になるという驚くべきシーンから始まる」「ポップ・カルチャーの雰囲気もしっかり出ていて、なかなか良い。きわどい会話をしつつ自滅的な運転をして死ぬジュリーを演じるキャメロン・ディアスに感心しつつ、ペネロペ・クルスとの対比を楽しむ。ファッションも対照的」「独創的な選曲は、ロック・ジャーナリストとしてスタートしたキャメロン・クロウらしい」「ただ、自動車事故で醜くなったデヴィッドの顔の崩れ加減が、オリジナルに比べて不満」「作品のインパクトよりも自分の顔を選んだトム・クルーズっていったい? 」

 「『夢ニ』から10年。鈴木清順監督の新作長篇『ピストルオペラ』を観ることができたことを本当に嬉しく思う。『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢ニ』を3部作と称しているが、前2作が耽美的な映像と激しい情念を基本にしているのに対して、『夢ニ』は、もっと軽い印象を受けた」「今回の『ピストルオペラ』は、殺し屋を主人公にして死を描きながら、さらに『軽み』が徹底しているように感じた。枯れている軽みではなく、徹底して遊びまくるという自在さだ」「既成観念を捨てて、身をまかせ、楽しみ、後には何も残らない」

 「和服にブーツの江角マキコの立ち振る舞いが、凛としてかっこいい。話さない方がもっといい」「山口小夜子は、相変わらず妖しい雰囲気をまき散らしている」「新人の韓英恵の幼さと妖艶さの共存に驚いた。樹木希林、加藤治子、平幹二朗と、超ベテランが脇を固めている」「しかし『殺しの烙印』のリメークなのだから、ぜひとも宍戸錠に登場してもらいたかったと感じたのは、私だけではないだろう」

 「『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総進撃』(金子修介監督)を、観た。まず、最初のシーンで『Godzilla』(ローランド・エメリッヒ監督)を皮肉る金子修介のユーモアに感心。そして、ゴジラが第2次世界大戦で死んだ人々の残留思念であるという設定に時代への切実なメッセージを感じて納得。さらには、ガメラシリーズでお馴染みの日本の古代伝説とからめるストーリー展開にも、にやりとさせられた」「語の厚みもCGの美しさも、これまでのゴジラシリーズを上回っていた。ただ、『ハム太郎』との同時上映はいただけない」

 「主人公はTV番組『デジタルQ』のスタッフ・由里。この辺は、ハリウッド映画っぽい。由里を演じた新山千春が素晴らしい。華奢な身体ながら、ゴジラをリポートしようとする気迫が、清清しく伝わってくる。応援したくなる日本の若手女優の一人だ」「キャスティングといえば、多彩なメンバーに加えて、ほんの数秒の役で、実に多くの有名な俳優たちが登場する。それも、楽しみの一つ」「ゴジラが悪役に徹し、いつも白眼をむいているのもユニークだった。動きも早い」

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■鈴木京香が汚れ役に挑戦!

 私のお気に入りの女優である鈴木京香が大胆な濡れ場に挑戦する!。今秋公開予定の崔洋一監督「血と骨」で、レイプされ、強引に結婚もさせられ、激しい暴力を受けながら、狂気と暴力に満ちた男にほんろうされるヒロインを演じる。いまから、どきどきする。
 京香は1991年のNHK朝ドラ「君の名は」のヒロインで注目され、今年は女優デビュー15周年を迎える。深刻な役柄からコミカルな役までこなし、演技の幅を広げてきた。しかし、今回の役は、新たな飛躍といえる、典型的な「汚れ役」だ。

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■10番目の惑星を発見!

 以前から推測されていた10番目の惑星-。NASAなどによると、カリフォルニア工科大学の研究チームが、太陽から最も遠い冥王星よりも、さらに外側を周回する天体を発見した。「10番目の惑星」とも言える天体で、NASAが米東部時間15日午後1時(日本時間16日午前3時)に発表する。
 アメリカ・CNNテレビによれば、この天体は、地球から100億キロの距離にあり、直径約2000キロ。氷と岩でできているとみられる。1930年に見つかった冥王星(直径約2300キロ)以来、最大の惑星となる。イヌイット神話の海の女神にちなみ、「セドナ」と命名された。

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■路上キスで禁固5年の刑!

 インドネシアの一部国会議員が「反ポルノ行動」法案の提出を準備している。法案には、恋人たちが公衆の前でキスすることを禁じる条項が盛り込まれている。違反した場合、最高刑は禁固5年または約350万円の罰金。同法案は4月下旬に国会に提出される見通し。
  禁止される行動は、公衆の面前での(1)裸体の露出(2)エロチックな行動やキス(3)性交−など。キスについては「法的な婚姻関係」があれば認められる。ザイン・バジュベル議員は「わが国は現在、ポルノを包括的に規制できる仕組みがないので、こうした法が必要だ」と説明している。

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■新作はクモとタコの戦い!

 7月10日公開の映画「スパイダーマン2」(サム・ライミ監督)で、スパイダーマンの敵役となる「Dr.オクタヴィウス(ドック・オク)」の正体が明らかになった。背中にある人工知能を搭載する4本のアームは、意思を持つかのように自在に動き、車を軽々と持ち上げる驚異的なパワーを持つ。
 ドック・オクは、スパイダーマンの親友が経営する「オズボーン社」の優秀な科学者だったが、自ら開発した人工知能搭載の4本のアームが研究中の事故で体に同化、人格まで凶暴になった。製作費は220億円。コンピューターグラフィックスを多用し、迫力ある映像を目指して現在編集作業中だ。

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2004.03.14

■辺見庸が脳出血で入院!

 14日、作家の辺見庸さんが新潟での講演中に脳出血で倒れた。講演中に倒れる作家が多いのは、何か訳があるのだろうか。2003年6月には、松下竜一が福岡市内で講演中に脳内出血で倒れている。人前で興奮し過ぎるという訳ではあるまい。
 辺見は、市民団体主催の講演会に招かれ、午後2時から「いま私たちにできること−どこまでも戦争の論理を拒むために」と題して講演したが、30分後に体調不良を訴え、新潟市民病院に搬送された。意識はあるが右手足がまひしている状態。1週間の入院が必要で、回復にはさらに1カ月程度かかる見通しだ。

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■怜さんのバースデーイブ!

 吉井怜さんが、ファンとお祝いイベント「バースデーイヴパーティー」を17日に開く。18日の誕生日の前日に吉井さん自身が参加者をもてなす。普通はお祝される記念日の前に、「ちゃんと『ありがとう』と伝えることは恥ずかしくて出来なかったりする。1年に1回、普段言えない気持ちを表現できれば」と感謝の気持ちを伝えるという。彼女は、周りに励まされながら急性骨髄性白血病を克服した。その経験が、こんなところにも表れている。応援していきたい。

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■室井佑月blogの魅力!

 「ココログ」の「室井佑月blog」は、かなり貴重なブログだと思う。「はじめまして」も、元気良かったけれど、「見舞い花」は、内幕ものとしても、半端でないインパクトがある。普通は、入院している人を、あそこまでは辛らつに描かないものだ。しかし、室井佑月の筆は、妥協しない。そして、その辛らつさの中に人間への優しさがひそんでいる。病的な自分好きだけのことはあるなあと、感心した。

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■「半落ち」と「折り梅」!

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 「半落ち」(佐々部清監督)には、おおいに涙を流したが、主人公・梶聡一郎の妻殺しを是認した訳ではない。子どもを亡くした母親がアルツハイマー型痴呆症になり、「子どもの記憶があるうちに殺して」と主人公に哀願するシーンでは胸が締め付けられた。しかし、哀願と絞殺することは、直線的には結びつかない。裁判官を演じた吉岡秀隆が、安易に同情することの問題性を指摘していた。そこを見逃してはいけない。
 「折り梅」(松井久子監督)には、介護する立場で原田美枝子が登場する。この物語でも、世話するために引き取った義母が、アルツハイマー型痴呆症を患って奇行を繰り返し、家族4人は深刻な危機を迎える。しかし「折り梅」はアルツハイマーの義母の豊かな可能性を示し、新たな出会いを用意している。それは、きれいごとではなく、人間関係というものを鋭く問いかけるものだった。「折り梅」の地平は驚くほど広い。

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■キッドマンが人間国宝!

 ロイターが伝えたところによると、オーストラリア・ナショナルトラストは14日、オーストラリアの「人間国宝」として俳優のラッセル・クロウとニコール・キッドマンら新たに15人を認定した。同団体は、1997年に初めて人間国宝100人を認定しているが、委員会の代表者は「リストを更新する時期がきたと感じていた。多数の投票を通じた、民主的手続きを経て決めた」と話している。
 日本の「人間国宝」とは、少し印象が違う。ラッセル・クロウもニコール・キッドマンも、これからますます活躍し、成長する俳優だと思う。それに、「国宝」というよりも、すでに世界的な人物だろう。自然環境や文化財・歴史的遺産の保全団体なのに、やや価値観を疑いたくなる。もっと、グローバルに判断してもらいたいものだ。

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■「半落ち」に「完落ち」!

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 佐々部清監督の「半落ち」を観てきた。佐々部清監督は、夕張国際映画祭にゲストとして出演し、さわやかなトークを行っていた。豊かな経験を生かした丁寧な仕事ぶりが印象に残ったが、「半落ち」でも、職人芸的なうまさにうなった。
 アルツハイマー病を患う妻を殺し自首してきた元刑事の梶聡一郎は、妻殺しは認めたが、自首までの2日間については頑に自供を拒絶する。映画は、主人公が空白の2日間に何をしていたかを追う。殺人を犯さなければならなかった梶聡一郎の心情とともに、警察、検察、司法、マスコミに関わる、さまざまな人々の思いも丁寧に描いていく。そして、意外な真実が明らかになる。
 殺される妻の役に、「折り梅」でアルツハイマーの義母を介護する役を演じた原田美枝子を充てたところが、面白い。その他の配役も、みな主役クラス。西田敏行、國村隼、奈良岡朋子、吉岡秀隆、鶴田真由らは、場面場面で、とても印象に残る演技をみせる。最初は刑事役の柴田恭兵に注目し、犯人役の寺尾聰の寡黙な演技に感心した。しかし、妻の姉の役で控えめな演技をしていた樹木希林が裁判で証言するシーンには驚嘆した。感情が一気に高ぶり涙があふれた。その後にも感動的なシーンが波状的に続き、泣きながらラストの紅葉を見つめた。監督の上手さに脱帽。「完落ち」だ。

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■ 浅野忠信、初監督DVD!

 浅野忠信は、俳優だけでなく『ERROR』『BUNCH』という画集も発表しアーティストとしても活躍している。そして、今度は初監督作品「トーリ」のDVDが、31日に発売される。通常版3,800円。DVDのために撮りおろした全5話のショートストーリー。約50分。
 ヤマタカEYヨ(ボアダムス)が描き「ポケットモンスター」のOLMが制作を手掛けたアート・アニメ、 宮崎将と菊地百合子が演じる時代劇、 カリスマ・グラフティ・アーティスト、 NESMのドキュメンタリー、 世界のトップ・バレエ・ダンサー、 首藤康之が振り付けを手掛けたダンス・シーンなど、多彩な内容。。脚本は佐藤佐吉、 衣装は北村道子。

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2004.03.13

■B5半分のプロジェクタ!

 東芝は、横長タイプのポータブルデータDLPプロジェクタ「TDP-P6(J)」を3月22日に発売する。外形寸法247.7×93.7×52.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量0.9kg。B5サイズの約半分というコンパクトさだ。ほしくなる。
 投写デバイスは0.7型1,024×768ドットのDMDチップ。レンズは光学1.16倍のマニュアルズームで、投写距離は1.5〜5m。最大137型の投写が行なえる。光源に120Wの高圧水銀ランプを採用し、明るさは950ルーメン、コントラスト比は2,000:1。上下方向の台形歪み補正回路も搭載する。
 これなら、ノートパソコンやプレゼンテーション用の資料と一緒に、ビジネスバッグに入れて持ち運びできる。素晴らしい。しかし値段も店頭予想価格26万円前後と、素晴らしい。

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■しのぶが緋牡丹のお竜に!

 昨年の寺島しのぶは、たくさんの映画賞に輝いた。久々の勢いのある女優として映画関係者が注目している。気になる新作だが、時代劇ブームと富司純子の娘という線で、「緋牡丹博徒」の企画が動いている。「緋牡丹博徒」は1968年から72年に8本作られたシリーズ。藤純子が演じる緋牡丹の入れ墨を背負った女やくざ「緋牡丹のお竜」が活躍する。
 東映関係者は「富司も女優の道を選んだ娘を応援している。自分の代表作『緋牡丹−』に出演なら喜ぶし、富司がゲスト出演すればさらに話題に…。母娘二代の“お竜さん”誕生も夢ではない」と話す。母をスターにしたシリーズを、娘が演じる。いかにも安易な企画ではあるが、「緋牡丹のお竜」は懐かしい。

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■「アタナン2」が公開に!

 2004年夕張国際映画祭では、タイ映画界の新生・ペンエーグ・ラッタナルアーン監督のスタイリッシュな「地球で最後のふたり」、「ワイヤーなし」「スタントマンなし」「早回しなし」のエムタイ100%アクション映画「マッハ!」と、タイ映画の勢いと広がりを実感した。しかし、タイ映画の面白さを教えてくれたのは2001年公開の「アタック・ナンバーハーフ」だった。心に元気のスパイク炸裂!!。むちゃくちゃ気持ち良い元気を与えてくれた。
 そして、ことし春「アタック・ナンバー・ハーフ2 全員集合!」が日本公開される。
 東京は、4月24日からヴァージンシネマズ六本木ヒルズ、札幌は、5月1日からシアターキノ。「2」は、「1」のビフォー、アフター。つまり、チーム結成以前の様子と、優勝後に分裂した仲間たちが再結成するまでが、平行して描かれる。前回は、スポ根的なストーリー展開だったが、今回は各キャラクターを掘り下げるようだ。別な面白さを運んでくれるだろうか。

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■鴎外の動画、是非観たい!

 東京都文京区立鴎外記念本郷図書館の記念室担当の大沢恵子さんが、死去する前年の森鴎外を撮影したフィルムを発見した。鴎外の二女、故・小堀杏奴(あんぬ)さんは、エッセー集「回想」中で、鴎外が映っているフィルムを発見したことを記述していた。大沢さんは、このフィルムが現存していると推測し、日本映画新社(東京都港区)で所在を突き止めた。
 昭和天皇が皇太子時代の1921年に欧州に外遊し、帰国した際の出迎えの様子を収めた35ミリフィルムに、死去する10か月ほど前の鴎外が帝室博物館総長として参列していた様子が写っていた。約3秒。首を右にかしげ、やや前傾姿勢で歩き、きまじめな面もちでカメラの前を横切った。芥川龍之介の1927年のフィルムよりも、まだ古い。鴎外記念本郷図書館には、ぜひホームページで、この動画を公開してほしい。

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2004.03.12

■ジャパネットたかた!

 ジャパネットたかたは3月12日、顧客情報が流出した問題で、同社顧客データを保存した磁気テープが盗まれた可能性があるとし、長崎県警佐世保署に被疑者不祥のまま窃盗容疑で告訴状を提出した。同社は、3月10日時点で148人分の名前や住所、生年月日などの流出を確認しており、流出数は30万−66万人分に及ぶ可能性もある。
 情報が流出したユーザーへの対応は検討中。同社は9日からラジオやTVでの通販番組放映を中止。Webサイトもトップページに情報流出の報告とお詫びの言葉を表示し、休止している。平気で新規契約活動を続けるYahoo!BBとは、企業としての姿勢が違う。

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■がん組織を捨てないで!

 もしがんにかかって手術したら、摘出したガン組織は捨てないで保存しておこう!。自家がんワクチンをつくることができる。自家がんワクチンは、患者自身のがん組織を使った、患者本人だけのため専用の薬。がん抗原や免疫担当細胞は、患者一人一人によって異なるからだ。がん組織にだけ、がん抗原がある。がんを特徴づけているがん細胞表面の「抗原」を体内に入れることで免疫機能を強化し、がんを攻撃させる。がんの種類を問わず、どの癌にでも適用可能。
 茨城県牛久市のベンチャー企業セルメディシンは12日、肝がんの手術で切除したがん細胞でワクチンを作り、その患者に投与すると再発抑制と延命に効果があることを臨床試験で確かめたと、発表した。理化学研究所や中国の中山医科大、米ジョンズ・ホプキンズ大との共同研究。手術で摘出後、病理検査のためホルマリン漬けで保存されている標本を利用するのが特徴。約2グラムを細かく砕き、免疫刺激剤や生理食塩水と混ぜて3回に分けて注射とした。中山医科大で行った臨床試験は、B型肝炎から肝がんになり手術を受けた患者を対象に実施。術後、経過観察だけの21人は1年間で約62%が再発したが、ワクチンを投与した18人では約17%にとどまった。

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■銀河・映画対談2001.12

■銀河・映画対談2001.12

 「『アメリ』は、あまりに面白すぎる!!。『デリカテッセン』、『ロスト・チルドレン』と、こってりとしたグロテスクな美しさが持ち味のジャン=ピエール・ジュネが『観た人が幸せな気分になるような映画』を完成させた」「一人で幻想に浸っていた少女が、ひょんなきっかけで人々を喜ばせる楽しさを知り、スピード写真コーナーに落ちている捨てられた写真をコレクションしている青年ニノと恋に落ちる」「細部までジュネの美意識が生かされた映像。シャレていてテンポの良いストーリー運び。ふんだんに盛り付けられたくすくす笑い。本当に幸せな気持ちになれる」「フランスではヒットし過ぎて、『復古的なフランス回帰』に利用されそうになったほど。確かに移民が目立たなく、懐かしい雰囲気に満ちてはいるが、ここに描かれているのは、どこにもない街、おとぎばなしの世界だ」
 「多くの人たちを喜ばせる作品ではあるが、下ネタもしっかりと盛り込んでいる。さすがジュネだ。そのアクの強さを中和するほわほわな存在が、アメリ・プーラン役のオドレイ・トトウ。彼女なしには、こんなにも爽快な悪戯っぽい味わいにはならなかっただろう」「好きなことが、クレームブリュレの表面のカリカリをスプーンで割る、豆の入った袋に手を入れる、川に小石を水平に投げて水切りするというのも、ぴったり。ナレーションを聞いて、思わず『分かる、分かる』とうなずいてしまった」「この作品は、細部までエスプリが効いていて、嬉しさがどんどん積み重なっていく。2000年の暮れには、トリアーの悪意とビョークの歌声に圧倒されたが、2001年の最後は、ジュネの魔術とトトウの愛くるしさにやられてしまった」

 「『ハリー・ポッターと賢者の石』(クリス・コロンバス監督)は、100カ国以上で出版され1億部を売ったと言う大ベストセラーの映画化。11歳の誕生日を迎えた額に稲妻形の傷を持つハリー・ポッターに、魔法魔術学校の入学許可証が届き、さまざまな体験をくぐり抜けていく」「そうそうたるスタッフとキャストをそろえ、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフも、適役だと思う。彼の成長とともにシリーズ化が決まっているので、彼はハリー・ポッターとして記憶されることが運命付けられたわけだ」

 「原作を忠実に再現しているために、2時間半と長めになっている以外は、まとまった印象で、CGもそつがなく手堅い仕上がり。そこそこ面白い。万人に受け入れられるだろう」「しかしながら、映画的な感動は乏しい。映画は、やはり映画的な手法で自由に構成した方が楽しめると思うが」

 「私にとっては、ハリー・ポッターよりもサリー・ポッター。新作『耳に残るは君の歌声』を心待ちにしてきた」「『オルランド』、『タンゴ・レッスン』と、才気に満ちあふれた作品を発表してきたが、今回は一見、一人の女性を通じて差別されてきた人たちの歴史的な悲劇を扱った普通の作品に見える。しかしながら、サリー・ポッター監督の才気は衰えていない」「的確に選ばれた音楽によって、人々の言いしれぬ思いを表現するという手法のみならず、ストーリー展開やキャスティングにも、監督ならではの機知に満ちた配慮が込められている。アメリカに渡った父がミュージカル映画を製作していたという部分やユダヤ人役の多いジョン・タトゥーロに差別主義の声楽家の役を配した点など、探していけば、いろいろ楽しめる」

 「音楽の力だけではなく、映像の力も大きい。自在で巧みな映像撮影は、古くは『去年マリエンバートで』、近年はピーター・グリーナウェイの作品で耽美的な作風を残したサッシャ・ヴィエルニー(2001年5月15日死去)。この作品が遺作となった。『ノスタルジア』で異様なまでの切ない存在感をみせたオレグ・ヤンコフスキーが父親役で登場するのも嬉しい」「子役のクローディア・ランダー=デュークは、めちゃくちゃに上手、クリスティーナ・リッチもとても魅力的だ。ジョニー・デップもケイト・ブランシェットも上手い。この配役と切れの良い映像と叙情的な音楽。見終わった後の不思議な味わいは、さすがサリー・ポッターだ」

 「12月14-16日に屋台劇場まるバ会館で、『かわなかのぶひろ作品集・日常の実験』が行われた。1941年、東京生まれ。若くして両親を失っている。1960年代前半から実験映画の制作を始め、常に一線で作品を撮り続けてきた。イメージフォーラム設立など、上映活動、教育活動でも重要な位置にいる。今回は、かわなか氏自身が作品を解説しながらの上映というまるバ会館ならではの貴重な企画だった」

 「かわなか氏は『肉声が通る場所で上映するのは珍しいこと。東京では非常に広い会場で上映することが多かった。しかし、違うなと思う。僕らの映画は大スクリーンに映して見るものではない。小さなスクリーンで密度のある会場で見るのが、ぴったりくるのではないかという感じがする。まるバ会館に強引にやってくれないかとプロポーズした。そうしたら、引き受けてもらって、こういう上映が実現した』とあいさつ。かわなか氏の方から、まるバ会館での上映会を希望したことを明らかにした」

 「『フィードバック』はヌードがタブーだった時期に、それを打ち破るために制作。数枚の静止画が、編集によって生き生きと動きだす。『スイッチバック』は、記憶にアプローチした初めての作品。古いニュースフィルムと絵はがきが、懐かしい感覚を呼び戻す。かわなか氏は、現在まで一貫して記憶をテーマにして作品を作り続けてきていると言っても過言ではない。その意味で極めて重要な位置にある。『映像書簡2』は、『イメージのピンポンゲーム』という感じの萩原朔美氏との共作だが、あまりにもち密すぎて共作とは思えない。『Bふたたび』は、光と戯れ、映像が交錯しスピード感がある。映像実験としても先駆的な作品だ」

 「『時の繪』はミャンマーの生活を撮影した最近の作品。人々の笑顔の素晴らしさが印象的で温かい。目線は高くなく、かわなか氏がかつての自分をオーバーラップしていることが、素直に伝わってくる。『人の表情が豊かで99%の人がカメラの方を見ている。ビューファインダーを相手に見せて距離を詰めて撮る。そうすると、コミュニケーションができるような感じがする。マーケットの色彩と少年少女を撮った』と、かわなか氏は解説した」

 「『いつか来る道』は、最も新しい作品。『自分自身のことを描くことを避けてきたが、この年になって、ちょうどいいやということで、生い立ちを双六でたどってもらう。言わば名刺代わり』という異色の構成。最後が『また振り出し』となっていたのを、再スタートの宣言と受け取ったのは、素直すぎるか。『私小説』シリーズには、最も感動した。毎日撮り続けてきた8ミリの記録を編集したものだが、この編集の力がすごい。すごいと感じさせないところがすごいのだ。普通ならは捨てるカットを選び、選ぶような素材を意図的に排除している。それでいて、飽きさせない。個人の記憶と時代の記憶の交差が、紋切り型ではなく、身の丈の感覚でひたひたと静かに伝わってくる。予定外で上映した『キャンバス』は、ニューヨークで見つけた戦争の実写フイルムと現在の東京を交互に映す。それまでの作品からは、あまり感じなかった監督の戦争へのまなざしが存在した」

 「『冷静と情熱のあいだ』(中江功監督)には、まいった。イタリアと日本を往復する10年にわたる恋の軌跡。ストーリーも映像も音楽も、その世界に浸りきれば、感動をさそう高い水準にあることは認めるが、あまりの純愛さに、こちらが気恥ずかしくなってしまう」「この気恥ずかしさは『ゴースト・ニューヨークの幻』(ジェリー・ザッカー監督)以来のこと。私は、嘘だろうという気持ちになるが、その嘘の世界を甘い夢として楽しめる人には傑作なのだと思う」

 「海外ロケを取り入れた邦画のラブストーリーはかなりの数にのぼるが、それらの中では傑出した作品と言える。多くの日本の作品にただよう低予算な印象がない。外国でも日本の俳優が浮いていない。映像の切り取り方もセンスがいい。音楽にエンヤを起用したのも正解だ。美術もファッションも気配りが行き届いている。そして、日本にもイタリアにもマッチする竹野内豊とケリー・チャンの初々しいカップル。彼等でなければ、このすれ違いストーリーは、成り立たなかっただろう。とりわけ、竹野内豊の実直な存在感は、今後に期待が持てる」

 「『ロードキラー』(ジョン・ダール監督)では、車の無線『CBラジオ』での、ちょっとした悪ふざけが、とんでもない恐怖へと変わる。最後まで、姿を見せないトラッカー・ラスティ・ネイルが執拗に迫る」「最近珍しい日常の延長線上にある恐怖を描いた作品。車、モーテル、無線という道具立ても、けっして新しくない。ジョン・ダール監督は、意識して昨今の映画の傾向に背くように、古い構図の中で、青年たちの行動を描写していく」

 「駄作というほどではないが、ミステリーとして、あっと驚くような展開が用意されているわけではない。フラー、ルイス、ヴェナという3人の関係が変化していく青春映画としても、目新しさはない」「破綻なく最後まで見せる力はあるが、満足感よりは失望感の方が強く残った。3人のおののきが弱すぎるし、ラスティ・ネイルの邪悪さも足りない」

 「『メメント』(クリストファー・ノーラン監督)に、くらくら」「ショックによって、新しい記憶が10分間で消えてしまう前向性健忘という記憶障害になった主人公レナードは、愛する妻をレイプ後に殺した犯人を追っている。ストーリーは断片化され、映像は最後から巻き戻されたような独創的な構成。しかし、単純な逆回しではなく、多くの謎が散乱している。最後には、あっと驚く結末が用意されているが、憎悪の無限ループを悪用されたという解釈も、素直に信じられない。黒沢明の『羅生門』とは、別な次元での宙づり状態に陥る」

 「観る者の記憶力をためすかのような展開だが、記憶のあいまいさを自覚させるという効果もある。前向性健忘を追体験しているのではなく、記憶という何気ない作用の恐ろしさに気付かされる」「作品構成の秀抜さに目を奪われてしまうが、ガイ・ピアースは、難しい役を巧みにこなしていて、あらためて上手さを感じる。キャリー・アン・モスも、悪女という新しい側面を浮かび上がらせた」

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■銀河・映画対談2001.11

■銀河・映画対談2001.11

 「『ボディドロップアスファルト』(和田淳子監督)は、楽しい。足だけの表情で女性たちの思いを表現する可愛らしい導入部。22歳の真中エリが、自分の位置をつかめずに『どうしよう、どうしよう』と、悩み空回りするシーンのユニークなカメラアングルと映像編集。女性版ゴダールか。妄想の世界を恋愛小説化し、大ヒットした後のコミカルで、少し意地悪な展開。世界が破壊された後に清明が訪れる」「大予算ではないが、CGの使い方はなかなか効果的。登場人物も、衣装同様にカラフルだ。手塚眞、あがた森魚、鈴木慶一に続いて、『時が乱吹く』が強烈に印象に残っている金井勝監督が、神様(?)役で登場したのには驚いた」「多彩な表情を持つ作品だが、全体としてとてもチャーミングに思えるのは、小山田サユリの可愛いキャラクターと和田監督の編集センスのたまものだろう」

 「『ボディドロップアスファルト』は、長篇デビュー作だが、和田監督の短編作品もまとめて観ることができた。『閉所嗜好症』(1993年、6分)は、雲を閉じ込めたり、煙りを計ったりする不思議な指向が面白かった。ただ『アイスクリーム38℃』(1994年、9分 )、『桃色ベビーオイル』(1995年、16分)、『アスレチックNo.3』(1995年、8分)は、オリジナリティは感じるものの自身を含めた女性ヌードが前面に出過ぎて興醒め。アメリカのポルノを挿入した『パパイヤココナツ激情』(1995年、22分)は、失敗作としか思えない」「白尾一博との共同監督作品『SHOCKING PEACH』(1996年、20分)は、スピード感がありパンクっぽい映像は魅力的だが、物語が迫ってこない。4年間の充電期間を経て完成した『ボディドロップアスファルト』が、いかにジャンプアップした作品であるかが如実に分かった」

 「『ムーラン・ルージュ』(バズ・ラーマン監督)は、ジェットコースターに乗って大掛かりなミュージカルを観る感覚。悪くない。あふれる色彩と人を食った華麗なCGに幻惑されて夢の世界を味わえる。映画や女優へのオマージュもたっぷりと盛り込まれている」「『紳士は金髪がお好き』の中で歌われていた『ダイヤモンドは女性の親友』を、サティーン役のニコール・キッドマンが歌いながらきらびやかに登場するシーンは、うれし涙が出るほど。そしてクリスチャン役ユアン・マクレガーとの美しい悲恋が展開される」「『象の部屋』での名曲の歌詞を生かした愛のメドレーの高揚感は、とりわけ忘れがたい」

 「監督が、いたって単純なストーリーにしたのは、観客とともにとことん遊ぶためだったに違いない。前半の過剰なまでのコミカルな処理が、クリスチャンのジェラシーによって一転してタンゴを基調とした重苦しい雰囲気に変わる。その群舞もなかなか見物だ」「そして、インドを舞台にした目もくらむミュージカルでクライマックスを迎える」「ニコール・キッドマンとユアン・マクレガーの美声とともに、ロートレック役のジョン・レグイザモの熱演を書き留めておこう」

 「19世紀末パリの『ムーラン・ルージュ』は、まさに祝祭空間。さまざまな階層の人たちが出会い、影響し合う。1977年、ニューヨークにオープンした『スタジオ54』に似ている」「そういえば、『 54  フィフティ・フォー』(マーク・クリストファー監督)という作品があった。現在は、日常が疑似祝祭化したために、本来の祝祭が見えにくくなっている。『ムーラン・ルージュ』という祭りを経験した後に、そんな淋しさを感じた」

 「後のシンセサイザーへとつながる世界初の電子楽器『テルミン』を発明したレフ・セルゲイヴィッチ・テルミンの驚くべき生涯を追ったドキュメンタリー『テルミン』(スティーヴン・M・マーティン監督)。あまりの先駆性と悲劇性に、フィクションを含んだ『コリン・マッケンジ−/もうひとりのグリフィス』(ピーター・ ジャクソン、コスタ・ボーテス監督)を連想したが、こちらは全て真実の記録だ」「1994年のサンダンス・フィルム・フェスティバル『ベスト・ドキュメンタリー賞』を受賞している。何故これまで広く劇場公開されなかったのかが不思議。愛すべき傑作である」

 「マーティン監督は、器用なタイプではないが、テルミンの真実に迫ろうとする一途な思いが伝わってくる。オーソドックスな構成でも波瀾に満ちた生涯は十分に魅力的。弟子にして恋人でもある天才奏者クララ・ロックモアとの再会は、とりわけ感動的だった」「戦争と冷戦がふたりを引き裂きながら、半世紀以上経って再会できた奇跡。『年をとって再会するって素敵ね』『背が伸びたね』と、機知に満ちた会話が交わされ、クララがかつてのテルミンを使って演奏する。そして若き日の可憐なクララ、セクシーなテルミンの愛に満ちた映像が重なる。私は涙した」「映画は、手を取り合ってデートに出かける二人の幸せそうなシーンで終わる。素晴らしいエンディング。テルミンはこの作品が完成した直後に97歳で他界、クララも1998年に死去している」

 「コーエン兄弟の新作『オー・ブラザー!』は、『ビッグ・リボウスキ』の濃厚さはないが、適当に肩の力を抜いた、その力の抜き具合が絶妙で、気持ち良く笑わせ続けてくれる」「ち密な脚本による小技の連続。ストーリーを味わうというよりも、1つひとつのコントを音楽や映像とともに楽しむ作品だ。ホメロスの『オデュッセイア』を原作にして、こんなに遊んでしまえる監督は、ほかにいない」「人種差別主義団体KKKの秘密集会のパロディは、かなり危ない笑いだが、脱走囚3人の『ずぶ濡れボーイズ』が政治集会で歌い、おおいに盛り上がるシーンへとつなげて軽妙に処理している。重くならない仕掛けが、さりげなくちりばめられていた」

 「主人公ユリシーズを演じるのはジョージ・クルーニー。何、ジョージ・クルーニー?、キャスティングのミスでは、と考えた私が浅はかだった。コーエン・ワールドに、見事にはまってい た。頭脳明晰で口達者だが、ポマードに異常なほどこだわる伊達男を好演している。スコーンと抜けたコミカルさがたまらない」「ジョージ・クルーニーは、キザなニ枚目俳優としてではなく、この作品の三枚目俳優として、記憶されることになるだろう。そして、コーエン兄弟もアクの強い作品ではなく、この一見明るく、神話に似せたほら話が代表作になるのかもしれない」

 「北海道立近代美術館で、11月3、4の両日、『アート・ドキュメンタリー2001』が行われた。これまでアート・ドキュメンタリーの上映を続けてきたが、今回は特別展『永遠へのまなざし』のボルタンスキーと連動しながら、ナイジェル・フィンチ特集の側面も持っている粋な企画。相変わらず音響も映像も設備が悪すぎるものの、フィンチ監督の得難い傑作に出会うことができた」

 「『C・ボルタンスキーについて彼らが思い出すこと』(2000年、33分、佐藤京子監督)は、ややまとまりに欠けるドキュメンタリー。それでも、カタコンブに『命を感じる』というボルタンスキーの感性に接することができる。さまざまな人たちがボルタンスキーの印象を語る構成になっているが、資料を読むと、そのテキストはボルタンスキー自身が書いたものだということが分かった。すべてを煙にまいてしまう。あいかわらず、人を食ったアーティストだ」

 「1996年の『アート・ドキュメンタリー』で取り上げた10年前の作品『ボルタンスキーを探して』(1990年、45分、アラン・フイッシャー監督)も再上映されたが、こちらはさらに手の込んだ仕掛けに満ちている。時代と真摯に向き合いながら、虚構と真実の境界を故意にあいまい化し、自己韜晦するボルタンスキー。彼の肉声は、象徴性をたたえる作品群と共振する。シリアスさとユーモアが溶け合っている緊張感に満ちた秀作ドキュメンタリーで、『C・ボルタンスキーについて彼らが思い出すこと』が色褪せて見える」

 「ボルタンスキーと同じように彫刻家ルイーズ・ブルジョワのドキュメンタリーも2作品用意されていた。比較すると面白い。『CHERE LOUISE 〜親愛なるルイーズ』(1995年、50分、ブリジット・コルナン監督)は、ルイーズが作品を示しながら、深い精神的な傷を負った自己史とのかかわりを説明していく構成。途中で少し機嫌を損ねるシーンはあるものの、全体におだやかな仕上がり。しかし、1911年生まれとは思えない鋭さが印象に残る」
 「『ルイーズ・ブルジョワ』(1993年、54分、ナイジェル・フィンチ監督)は、フィンチ監督とルイーズ女史との口論から始まる。警戒心を露にするルイーズと作家性をゆずらないフィンチ。それでも撮影は続けられ、暴力的なまでに感情の起伏が激しいルイーズの内面が照らし出される。記録者と当事者の葛藤を通じて信頼関係が築かれていくスリルに満ちた展開。そして穏やかなルイーズの表情で終わる。見事だ。見終わって『苦悩なんて他人から見れば滑稽なだけ』と言い放つルイーズが、とても好きになっていた」

 「『チェルシー・ホテル』(1981年、55分)もフィンチ監督作品。ニューヨークにある多くの芸術家が滞在した伝説のホテル。アンディ・ウォーホルが記念碑的な『チェルシー・ガールズ』を撮影、バロウズが『裸のランチ』を、アーサー・C・クラークが『2001年宇宙の旅』を執筆し、若きメイプルソープとパティ・スミスが暮らし、シドとナンシーが人生最後を過ごした。貴重や映像記録が盛り込まれているものの、ドキュメンタリーとしては、思いきった奔放な構成で、それが芸術家たちを包容したホテルの柔軟さや奇妙さを浮かび上がらせている」

 「フィンチ監督の『ロバート・メイプルソープ』(1988年、52分)は、写真家メイプルソープが42歳で死去する直前の記録という貴重さ以上に、ドキュメンタリーとしての傑作。鋭い美意識に貫かれた彼の独創的な作品が紹介され、メイプルソープ本人と関係者のコメントが的確に挿入される。ルイーズ・ブルジョワも登場する。スキャンダラスな事件ばかりが強調されるメイプルソープ作品の水準の高さがひしひしと伝わってくる」「あらためてポートレートや花々を見て、あまりの美しさに息を飲んだ。ほかの誰が、あるような深い表情、鋭角的な花々を撮影することができるだろうか」

 「パフォーマンスの映像記録には、格別の難しさがある。『ダムタイプ/p H』(1992年、68分、映像演出=古橋悌二)と『ダムタイプ/OR』(1998年、68分、映像演出=高谷史郎)を観て、作品との対峙の仕方について考えさせられた」「観客の視点のように固定するのか、思いきって解釈を持ち込むのか。ダムタイプという先駆的なパフォーマンスの質の高さを感じながら、映像から伝わってくるどうしようもないもどかしさを忘れることができなかった」

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■銀河・映画対談2001.10

■銀河・映画対談2001.10

 「豪快にして繊細。深刻にして軽快。シリアスにしてギャグ満載。その振幅を存分に楽しむことができる屈指の傑作『GO』(行定勲監督)。在日韓国・朝鮮人の問題を軸にしながら、アイデンティティ探しと、友情、家族、恋愛などが描かれていく。行定勲監督は、長く岩井俊二監督の下で助監督をしてきたが、映像センスの良さは抜群だ」「『リリイ・シュシュのすべて』も『GO』も痛みを感じる青春映画だが、『リリイ・シュシュのすべて』が剃刀なら、『GO』は素手で思いきり殴られた痛みだ。差別の問題をこれほど正面から、しかもポップに突き付けられると、在日日本人という自分の社会的な位置を問い返さないわけにはいかない」「そして苦しみ抜いた後に訪れるハッピーエンドに、勇気づけられる」

 「直木賞を受賞した原作の良さは当然として、それを映画として構成し直し、独自の味を加えた宮藤官九郎の脚本が素晴らしい。まず『スーパー・グレート・チキン・レース』というアクションシーンのテンションの高さで、一気に引き込まれた」「主人公・杉原役窪塚洋介の冴え渡った幅の広い演技。山崎努や大竹しのぶと互角に勝負できる逸材だ。恋人役の柴咲コウも期待通り。ますます魅力的になった。そのほか、この作品ではたくさんのおいしいシーンが楽しめる」「とりわけ、暴力団組長の息子・加藤の誕生日に開かれたクラブで流れる指つめや花札のVJは拍手ものだ。ヤクザ映画からサンプリングした佐和田惠監督助手の作品だ」

 「インターネット小説から始まった岩井俊二監督待望の新作『リリイ・シュシュのすべて』。せつなさが辛さに変わっていく。登場する少年少女たちの無謀な振る舞いを観続けながら、青春の生き難さ、閉塞感を思い返していた」「生の理不尽さや痛みから巧みに身をかわすフットワークを軽蔑していた時代。音楽にのめり込むことで、かろうじて日常性を保っていたあのころ。たしかに楽しいこともあったが、どうしようもなく不安定なあの時代に戻りたいと、私はけっして思わない。古い傷口が少し開いた」

 「目の覚めるような鮮烈な構図。いじめや犯罪の呵責ない描写。リリイ・シュシュの歌とドビュッシーの音楽。美しさとやりきれなさに揺れ続ける映像。作品としてのまとまりを拒絶した展開と結末。それは、青春の手触りを大切にするために、意図された手法だろう」「居心地の悪い、ばらばらな感覚こそ、14歳のリアルに近い。全体の圧倒的な暗さに まぎれそうな、監督の『お遊び』も大切な隠し味。岩井監督は、映画のフィールドを広げ、豊かにし続けている」

 「『焼け石に水』は、ニュー・ジャーマン・シネマの代表的な映画監督ファスビンダーが19才で書いた未発表の戯曲が原作。フランソワ・オゾン監督は、1970年代のドイツの雰囲気を生かし、冷え冷えとしたファスビンダーの手触りに、独自のコミカルさを加えている」「ゲイ・テイストを基本にしながら男女4人のねじれた愛憎を、毒に満ちた4幕の室内劇に仕立てた」

 「残酷なストーリーに似つかわしくない音楽とクライマックスでの突然のタンゴ。辛らつな物語に強引に笑いの要素を持ち込むことで中途半端になったとみるか。悲劇がさらに深まったとみるか」「いや、オゾン監督の作品の魅力は、両方の見方に激しく揺れ動く、その振幅にあるといえるだろう」「いつもながら、オゾンは底意地が悪い」

 「『ドラキュリア』(パトリック・ルシエ監督)は、ゴシック・ホラーの重厚な映像から、パンク・ホラーの派手な演出まで、1970年代から現代までのドラキュラ映画のおいしいところを詰め込んだような作品。物語の展開は早く、アクションシーや幻想シーンが、ちりばめられて飽きさせない」「音楽はヘビーメタルを基調に、うるさいほど映像を盛り上げている。しかし、ヘルシング教授を演じたクリストファー・ブラマー以外は、登場人物に存在感がない。ドラキュラ役のジェラード・バトラーは、長い年月を生きてきたとは思えない軽いノリでロッカーのようだった」

 「この作品の特徴は、十字架、聖書、銀などを恐れるドラキュラの正体を明らかにするというユニークさにある。キリストの最後をからめた種明かしは、なかなか鋭いもので、確かに独創的である」「いや、キリスト教とは異質な文化から生まれ、たえずキリスト文化を脅かす存在であったドラキュラを、キリスト教の体系の中に封じ込めるという最悪のアイデアだと思う。御都合主義のストーリーよりも、私にとってはこの点が許しがたい。常に外部であり続けるドラキュラの存在意義自体を抹殺する、銀のクイよりも致命的なアイデアだ」

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■銀河・映画対談2001.09

■銀河・映画対談2001.09

 「美しくはあるが、石井聰亙監督のハイテンションを味わうことのできなかった『五条霊戦記』は、壮絶な落雷シーンで終わる。真の石井ムービーは、落雷の後にこそ盛り上がる、と思っていたら、本当に浅野忠信と永瀬正敏が共演し落雷で始まるやんちゃなパンクムービー『ELECTRIC DRAGON 80000V』をつくってしまった」「『電気と感応し爬虫類と心を通わせる男=竜眼寺盛尊』と『電気を修理し怪電波をキャッチする謎の男=雷電仏蔵』という2人の、奇想天外な電撃バトルが展開される」「久しぶりに出会う石井聰亙の暴力的な映像に、文字通りしびれた」

 「そして、ささくれだち、のたうちまわるエンド・クレジットがさらに素晴らしく、『スポーン』のめくるめくような炎のエンド・クレジットを思い出した」「音楽がまたいい。本当の主役かもしれないと思うほど、ギンギンに響き渡っている。音楽担当の小野川浩幸と石井監督が結成したバンド『MACH1.67』に、浅野忠信が正式メンバーとして参加し、主題歌『Shock DNA』を熱唱しているのが何よりの証拠だ」

 「古典を換骨奪胎する面白さを堪能させてくれたジョン・マッデン監督の傑作『恋におちたシェークスピア』から、はや3年。再び映画の力をみせつける『コレリ大尉のマンドリン』に出会った」「第2次世界大戦下のギリシア・ケファロニア島を舞台にした過酷な状況の中で愛を貫いたイタリア兵と島の娘のラブストーリー。戦火にあってもなお人々を平和につなぐ音楽の美しさを歌い上げている」「美しい島の風景と残虐な殺人。イタリアとギリシャの文化の違い。そして、戦争と音楽。『コレリ大尉のマンドリン』という題名には、これらの対比が込められている」

 「まず、いつまでも耳に残るマンドリンの愛おしい音楽。スティーヴン・ウォーベックの力作だ」「医者を目指すペラギア役ペネロペ・クルスの輝き。少女が成長していく姿を自然体で演じ、さわやかさの中に俳優としての底力を感じさせる。父親役のジョン・ハートは、時代を冷静に見つめる老いた医師のえも言われぬ存在感をにじませる」「主人公のニコラス・ケイジは、普段の押し付けがましい演技を抑え、誠実で陽気なイタリア人を好演している。その他の俳優も、皆素晴らしい。ジョン・マッデンは、私のお気に入りになりそうだ」

 「劇場映画版『ファイナルファンタジー』は、快挙だ。ハリウッド映画のCGでの新しい時代を切り開きつつ、ゲーム『ファイナルファンタジー』の壮大な生命観、高度な様式美を妥協なく表現している。すべての生命がつながっているというガイア理論は、ゲーム『ファイナルファンタジー』に通底するものだが、映画版でも中核をなしている」「坂口博信監督自らが『自分に敵対するものを理解しようとする強さ』と語っている重要なテーマは、ハリウッド流の勧善懲悪とは違う重みを持つ」「殺りくを止めようと戦場の最前線に立つ主人公アキ・ロスの姿は、『風の谷のナウシカ』(宮崎駿監督)を連想させる。ファントムと呼ばれる宇宙人の亡霊は腐海の虫たちを思わせるし、青と赤が感情のメタファーになっている点も共通している」

 「ゲーム『ファイナルファンタジー』は、ムービー部分の美しさ、優れたデザイン性が高く評価されている。映画版では、その繊細にして迫力ある様式美が大スクリーンに展開する。とりわけ、アキが夢に見る幻想的なシーンのセンスの良さは比類がない」「クライマックスでのファントムの不気味で、しかも魅力的な動きにため息が出た。何度観ても飽きることはないだろう。そして、人の表情を細密に表現したCGの見事さ。この点ばかりが強調されるのは問題だが、確かに新しい地平を開いたと言えるだろう」「シド博士のシミやしわ、微妙な動きは実写と紙一重の水準に達している。半面、アキはまだ少しつるつるした感じが残っている」

 「ただ、ハリウッド映画という制約から、いかにもハリウッドSFという設定になっている。宇宙人との戦いというテーマは、一見凡庸にみえるが細部を観ていけば、この作品の優れた独創性が理解できる。しかし、本当はゲーム版『ファイナルファンタジー10』のような象徴性あふれる世界設定、アジア的、幻想的な雰囲気の作品が観たかった」「『10』の独創性に触れてしまうと、あの美しさに映画でも出会いたいと願ってしまう」「ただ、苦労してつくり込んだ人物データを生かして、いわば俳優のようにさまざまな場面設定で使いまわすことは容易だろう。坂口監督が、そんな『2番煎じ』を許すかどうかだが、私は『2番煎じ』ではなく、それもCGにとっての新しい試みだと思う」

 「埼玉県立川越高校水泳部が、文化祭で行っている男子によるシンクロナイズドスイミングからヒントを得た矢口史靖監督の新作『ウォーターボーイズ』。『裸足のピクニック』、『ひみつの花園』、『アドレナリンドライブ』といった、これまでのアクの強い、強引な展開とはひと味違う」「ブラックなユーモアは、ほどほどに抑え、スポ根ものの素直なストーリー運びに徹している。そして、ラスト10分に及ぶシンクロシーンは、まさに圧巻。女性のシンクロとは、また違った力強くダイナミックな動きに魅せられた」

 「最初は不純な動機で始めながら、次第にのめり込んでいく5人の男子が、それぞれ個性的。とくに主人公・鈴木を演じた 妻夫木聡は、はつらつとしていて気持ちがいい。男子たちのどたばた喜劇が中心だが、紅一点のヒロイン静子役・平山綾は、とてもさわやかで愛くるしい」「男子たちにシンクロの基礎を教えるイルカの調教師磯村役の竹中直人だけが、『Shallweダンス?』並みの濃い演技を貫いた。しかし今回は、28人によるシンクロが、最も輝いていた」「スポーツものの幅を広げる青春映画だ」

 「『チアーズ!』(ペイトン・リード監督)は、元気が出るというよりも、爽快感が味わえる青春映画。スポーツの傍役とみられていたチアリーディングを主役に据えた、新しいスポ根作品といえる」「男女混合の妙技は、集団体操と呼べるほどに質が高い。そして派手な衣装を身につけて歌い踊るので、ミュージカルのように華麗に見える。最初から最後まで、楽しませようというサービス精神も嬉しい」「ラストの盛り上げ方が今一つだが、押し付けがましくないと評価することもできる」

 「主役のトーラス役キルステン・ダンストが、輝いている。なんて、可愛いんだろう。『ヴァージン・スーサイズ』(ソフィア・コッポラ監督)で自殺してしまうアンニュイで小悪魔的な少女ラックスとは対極的な、はつらつとした表情ときびきびとした動きが素敵だ」「『インタビュー・ウイズ・バンパイア』(ニール・ジョーダン監督)からのフアンではあるが、ベテラン女優として順調に成長している。ミッシー役のエリーザ・ヂュシュクも大人びた表情が魅力的だった」

 「嬉しくて嬉しくてしょうがない。『シャドウ・オブ・バンパイア』(E・エリアス・マーハイジ監督)。吸血鬼映画の傑作が誕生した。古典的な吸血鬼のイメージを確立した作品である『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年)の撮影現場が舞台。しかも吸血鬼を演じた俳優マックス・シュレックが本物の吸血鬼だったら、というきわもの的なアイデアを膨らませながら、監督という仕事がまさに吸血鬼的であるというブラックユーモアに仕立て上げ、コメディ・ホラーの要素まで盛り込んでいる」「思わず笑ってしまった『吸うか、吸われるか』というチラシのコピーは、意外に本質を突いている」

 「設定もいいが、映像も凝っている。ドイツ表現主義の質感を楽しみながら、カラーの映像も端正で美しい。そして、なんといってもシュレックを演じたウィレム・デフォーの変身ぶりに驚嘆した。アクの強い役は見慣れているが、これほどまでの怪演に巡り合えるとは。はじめ怖くて、最後は可笑しい」「傑作を撮りたいという恐るべき執念に燃えるムルナウ役のマルコヴィッチも凄まじい迫力だ。モルヒネに溺れる女優グレタを演じたキャサリン・マコーマックは、官能的でコミカル。また芸域を広げた」「バンパイア役の常連ウド・キアーが出ているのも、無上の喜びだね」

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■銀河・映画対談2001.08

■銀河・映画対談2001.08

 「日本で初めて公開されたアレクセイ・バラバノフ監督の作品『フリークスも人間も』。20世紀初頭、リュミエールのシネマトグラフが初めて上映された頃のサンクトペテルブルクが舞台。エロティックな写真を撮って金儲けする男ヨハンとその仲間は、鉄道技師ラドロフと医師スターロフの平和な家庭を崩壊へと導く。美声を持つシャム双生児、ラドロフの愛娘リーザも彼等に翻弄されていく」「『動くな、死ね、甦れ!』のヒロイン、ディナラ・ドルカロワが、さらに可憐になってリーザを好演している」

 「セピア色に染めあげられた性的倒錯の世界、隠された欲望が暴かれる屈折したストーリーだが、けっして下品ではない」「映像は、古典的なまでに品格がある。しかし、どこかにいかがわしさも感じさせる。一見映画や人間に対する悪意を秘めているように思えるが、それらを慈しんでいるようにも思える。不思議な宙づり感覚を味わうことができる。貴重な才能だ」

 「ルーツであるロマ民族(ジプシー)をテーマに映画を撮り続けてきたトニー・ガトリフ監督の最新作『ベンゴ』。ロマ民族のフラメンコが育ったアンダルシアの友人たちと世界的なミュージシャンによってつくられた。フラメンコ映画というよりも、フラメンコそのものに近い」「自由で過激で、しかも豊かだ。2001年セザール賞最優秀映画音楽賞を受賞している」

 「ストーリーは、『ゴッド・ファーザー』を連想させるファミリーの血なまぐさい対立が基本になっているが、映像からわきあがるような数々のフラメンコのシーンこそ、この作品の華である」「フラメンコとスーフィー音楽の出会いという素晴らしい冒頭シーンから、フラメンコが多彩な文化と共存し、吸収してきたことを見事に示している。『ラブユー東京』がフラメンコと化す衝撃の場面も、この文脈からすれば、当然の流れだ。映画を観た後、CDを買いに走ったのは、言うまでもない」

 「『千と千尋の神隠し』が公開。『もののけ姫』から4年。宮崎アニメが帰ってきた」「引退を表明していただけに、嬉しい限り。観客数は早くも1,000万人を超えたようだ。渾身の力を込めた傑作『もののけ姫』と比較すれば、いくぶん見劣りはするものの、色彩豊かなエンターテインメントに子どもたちへのメッセージを乗せた楽しい作品になっている。愛らしいキャラクターも健在だ」
 「うすっぺらで、つかみどころのない現代を生きざるをえない子どもたちに、歴史と文化の豊かさを示そういう宮崎監督の熱い思いに嘘はないだろう」「日本のみならず、世界の多彩なファンタジーを、未消化を顧みずに盛り込んだ意図も分かる。妄想に近い奔放なイマジネーションの世界は、眠っていた想像力を刺激する」「これまでの宮崎アニメの凛とした緊張感はいくぶん失われたが、新しい歩みを始めたということなのだろう」

 「『π(パイ)』でデビューしたダーレン・アロノフスキー監督の、待ちに待った新作『レクイエム・フォー・ドリーム』。麻薬中毒による破滅を、独自の映像で描いている」「ジェニファー・コネリーとジャレッド・レトが演じる若いカップルよりも、母親役のエレン・バースティンの演技がぶっ飛んでいる。ダイエットのために医師から覚醒剤を飲まされ、錯乱に陥っていく」「すさまじい。まさに怪演だ」

 「クロノス・クァルテットの音楽と映像が見事な相乗効果を上げ、登場人物も生き生きとしている。独創的な映像処理も効果的だ。作品としての出来は、高く評価していいだろう」「私にとっては『π(パイ)』の衝撃の方がはるかに大きかった。この作品も、容赦のないいたぶりに満ちているが、本当に吐きそうになったのは『π(パイ)』の方だ」

 「『トゥルーシズ・エイ・ストリーム』の札幌公開を実現できて、ほっとしている。監督・脚本・美術・音楽・編集・製作が、すべて槌橋雅博。安易な現代映画の流れに逆らい、時代に屹立する美しく力強い孤高の作品だ」「映画に対する深い信頼に裏打ちされた妥協のない姿勢は、映像の歴史を見渡せば極めて正道であることが分かる。現代の軽薄さを果敢に批判し、私たちを挑発するにとどまらず、映像文化に新たな豊かさをもたらしたことは間違いない」「『グータリプトラ』(山崎幹夫監督)と並ぶ、ここ数年のベストフイルムである」

 「槌橋雅博監督の頑固さに貫かれた、それでいてしなやかな映像は、そのまま生きるスタイルを提示しているかのようだ。言葉と映像と音とが、響きあい、調和しつつ争っている。映画の独自のリズムに乗れば、圧倒的な強度に全身が共振する」「希有な体験。そう映画を体験するという近年忘れかけた機会にめぐり合えた」

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■銀河・映画対談2001.07

■銀河・映画対談2001.07


 「『クイルズ』(フィリップ・カウフマン監督)は、シャラントン精神病院時代のマルキ・ド・サドを、虚実を織り交ぜて描いている。史実通りでも十分に映画的な人生だったが、創作を加えることによって、サドという存在の現代性がより際立ったと思う」「知的なユーモアと背徳的な表現が溶け合った会話、サドをめぐる人々の複雑な関係、十字架を飲み込んで絶命するクライマックスシーン。ダグ・ライトの脚本は、素晴らしく独創的。サドやコラール博士の内面に入り込むのではなく、行動によって思想をあぶり出す手法も現代的だ」「撮影、衣装など美術面も傑出している。品格とケレン味がバランス良くブレンドされ、芸術的な奥行きと刺激的な娯楽性を両立させている」

 「『シャイン』のオスカー俳優ジェフリー・ラッシュと『サイダーハウス・ルール』で2回目のオスカーを受賞したマイケル・ケインがサドとコラール博士を演じて対決する。『グラディエーター』でオスカーにノミネートされたホアキン・フェニックスがクルミエ神父、『タイタニック』でノミネートされたケイト・ウィンスレットがサドの理解者マドレーヌ。この4人は、息詰まる熱演をみせる」「彼等に隠れて目立たないものの、コラール博士の16歳の幼な妻シモーヌ役のアメリア・ウォーナーが、サドによって背徳の性に目覚めていく妖しい美少女を見事に演じている」「サドに影響された人々の多くが破滅していく中で、彼女はサド思想の自由の側面を開花させているね」

 「1968年に公開された、あまりにも有名な『猿の惑星』をティム・バートン監督がリメークした『萌の朱雀』から、4年。奈良を舞台にした河瀬直美監督の新作『TRUTHS: A STREAM』にも出演していた中村優子が主演。少女時代のトラウマを抱えたまま大人になった弱さと、人間としてのふてぶてしさの両方を、大胆かつ繊細に演じていた。ぶっきらぼうに見えながら、醜さと美しさが交差し、しっかりとした存在感がある」「癌に倒れ、最後は窯で弔われるあやこの母親代わりのストリッパーを山口美也子が、どこかに淋しさをたたえながら、どっしりと演じている」「しかし男たちの影は薄い」

 「『ブレード・ランナー』(リドリー・スコット監督)の有名なエレベーターのラストシーンが、『惑星ソラリス』で使用した首都高速道路も登場する。シュリー・チェンという女性監督が、CGを多用しながら、セックス・レプリカントの行動を流れるように活写していく」「ストーリーは、ひねりがなく平凡で、映像の求心力も乏しいが、トータルで評価すれば、ちょっぴり日本を皮肉ったおおらかなポルノ風B級SFかもしれない」「男性にとっては扇情的なポルノとは呼べないだろうが、女性たちが、どう評価しているのか、知りたい」

 「注目すべきは、キャステイングだろう。面白い俳優たちを集めている。レイコの七変化は、予想に反してあまりインパクトはなかったが、時任歩のねっとりとした存在感には圧倒された」「私にとっての最大の収穫は、Aja(あや)というアーティストとの出会い。『クスコー氏の宇宙』『赤い魚』『月の海月』というCDアルバムを発表しているほか、独創的なパフォーマー、作家でもある。人間もレプリカントも、ともに魅了してしまう美しき超絶レプリカントTokyo Roseを演じるにふさわしい逸材だと思う」

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■銀河・映画対談2001.06

■銀河・映画対談2001.06

 「待ちに待った『A.I.』の先行上映に駆け付けた。スタンリー・キューブリック監督が、長い年月映画化を目指していた『A.I.』をスティーブン・スピルバーグ監督が、その遺志を継ぐ形で製作している。キューブリックが骨格をつくり、スピルバーグが仕上げをした」「キューブリックは、力強い映像をつくるが、温度が低くやや強引な展開が個性。一方、スピルバーグは落ち着いたストーリー運びで映像の温度は温かめ。性格の違う両者の持ち味が融合し、不思議な色合いの作品になっている」「その点をちぐはぐに感じるかどうかで、評価は分かれるだろう。スピルバーグの集大成という宣伝コピーが使われているが、むしろキューブリックSFの集大成と言った方がいいだろう。基本は、キューブリック・テイストだ」

 「愛をインプットされて生まれた少年ロボットの話だが、真実と偽りをめぐる物語は、長い時間を経て、思わぬ展開をみせる。真実と偽りが逆転する結末は、私たちの常識を激しく揺さぶる。いかにも、シニカルなキューブリックらしいが、それを柔らかなファンタジーにまとめあげるところが、スピルバーグらしい」「人工知能の物語といえば、まっ先に『2001年宇宙の旅』を思い出す。人工知能の行方、人間と機械の共存というテーマの一つの回答が、『A.I.』だともいえる」「結末も『2001年宇宙の旅』のラストと響き合っているように思う。2001年に公開された意義は大きい」

 「『JSA』(パク・チャヌク監督)は、ショッキングな作品だ」「38度線上の共同警備区域=JSA。この南北朝鮮分断の象徴で不可解な射殺事件が起こり、真相を究明するためスイス軍将校が訪れる。そして、驚くべき真実と統一への熱い思いが明らかになる。紋切り型を避け、南北分断の現実をファンタジックでありながらリアルに描いた問題作」「2000年に、韓国でこのような作品がつくられたと、きっと後世は記すことになるだろう」

 「最初は、演技が硬く、もたつきが気になったものの、中盤からは南北の男たちの友情に、ぐんぐん引き込まれた。タブーを犯しながら、出会いを繰り返し、本当に楽し気に語らい合う4人。重大な犯罪という政治的な側面を忘れさせるほどに、その会話はコミカルだ。だから悲劇が際立つ」「スイス軍将校役のイ・ヨンエは、最初付け足しのような役回りだったが、最後は未来を象徴する存在となる。表情が乏しく物足りない面もあるが、月並みな恋愛に巻き込まれなかったので許そう」

 「小沼勝監督は、1937年に小樽市で生まれた。12年ぶりに発表した映画『NAGISA』は、2001年第51回ベルリン国際映画祭のキンダーフィルムフェストで日本映画初のグランプリに輝いた。『サディスティック&マゾヒスティック』は、小沼監督の助監督を務めた経験を持つ中田秀夫監督による日活ロマンポルノ30周年記念作。17年間 に47本の日活映画を撮り続けた小沼監督を通じて、日活ロマンポルノの意義を浮き彫りにしている」「懐かしい映像とともに、おとなしそうな監督の『鬼』の側面が明らかにされていく。かつての過酷な共同作業の思い出を語る関係者の証言が面白い」

 「石井秀人は、1960年群馬県生まれ。専修大学在学中、演劇活動をした後、1984年、イメージフォーラム付属映像研究所で実験映画を学ぶ。処女作『家、回帰』が1985年のPFFに入選。以後、8ミリフィルムで作品を制作する。1999年、新作『光』を発表した。山崎幹夫が『8ミリ界の孤 高の人』と呼び、尊敬している監督。6月に屋台劇場まるバ会館で『石井秀人作品集:視線の祈り』が企画された」

 「Aプロプログラムは、『家、回帰』(18分、1984年)、『光の神話』(25分、1986年)、 『風わたり』(26分、1991年)。『家、回帰』は、祖父の死に衝撃を受けて始められ、入浴する祖母の裸体を執拗に記録することで終る。個人映画の王道か。『光の神話』は、『家、回帰』の記憶を反復しながら、変奏していく。『風わたり』は、不動のまま移動、出会いへと転奏していく試み」

 「Bプログラムは、2作品。『小さな舟』(15分、1992年)の写真の独創的な使用、『光』(48分、1999年)の光と影と音響のシンクロは、ケミカル系へと超越しそうになりながら、自らの根拠へと立ち返ってくる。8ミリ映像としての面白さは感じるものの、頑固なまでに世界を切り詰めていく手法は、かなり息苦しい」

 「第2回アメリカン・ショート・ショート・フィルム フェスティバル2000inサッポロのオープニングレセプションが、6月7日夜、イベントスペースEDITで行われた。実行委員長の別所哲也さんは『ショート・フィルムの面白さを北海道中に広めていただきたい』とあいさつした。上映作品のダイジェスト紹介、トークライブの紹介に続き、第54回カンヌ国際映画祭で、短編映画部門のパルムドール賞を受賞したアメリカ映画『おはぎ(ビーン・ケーキ)』(デイビッド・グリーンスパン監督、12分20秒)の上映も行った」「『おはぎ』を見る前に皆でおはぎを食べるという札幌らしい粋な試みも。『おはぎ(ビーン・ケーキ)』は、戦時中の日本の学校を舞台にした作品で全編日本語。軍国主義教育の下、建て前が重んじられた時代だ。そんな中でも率直な感性を失わない子供がいた。転校生の少年を宮川竜一が好演、彼に好意を持つ少女を波多野沙也加が爽やかに演じている。時代考証に支えられながら、全体に素朴な味わいが素晴らしい。ほのぼのとした感動が広がる」

 「6月8日が映画祭の初日。午前11時からアーバンホールで特別プログラム1が始まった。平日ながら、まずまずの入り。『月球儀少年 Moon Grow』(山田勇男監督、28分)は、デジタルな感覚とレトロな感覚のミスマッチ。冒頭の『雨は千億のほうき星』という語りから、稲垣足穂へのオマージュに満ちた幻想世界が広がっていく。まだ生な感じの場面もあるが、山田映画の新しい展開として、今後が楽しみだ。『teevee graphics ・VIDEO VICTIM』(総合演出=小島淳二、34分)は、16の多彩なパーツから成り立っている。最初はデジタル映像のおとなしいサンプルかと思ったが、後半に進むにつれて危ない展開の作品が多くなり、少しドキドキした。結構Hだ」

 「特別プログラム最大の収穫は新海誠監督のアニメとの出会いだ。1973年生まれで、新進気鋭。『彼女と彼女の猫』(4分46秒)は、一人暮らしの女性と拾われた猫のほわっとした日常を描いている。省略のセンスが抜群で、心地よい時間を過ごさせてくれる。2000年のSKIPクリエイティブヒューマン大賞、第12回DoGA CGアニメコンテストグランプリを受賞している。製作中の『ほしのこえ』は、予告編を公開。スーパー遠距離恋愛、アクションSFといった内容。女性が国連宇宙軍のパイロットに選ばれるというのが、いかにも現代的。『私たちは、たぶん宇宙と地上にひきさかれる恋人の、最初の世代だ』というコピーが、新鮮だ。胸の中に染みてくる音楽は、ともに天門の担当」「名コンビと言って良い」

 「札幌ショート作品として『monumentに話し掛ける男』(吉澤智之監督、10分)も上映された。吉澤監督は、マルチ集団 『COMPAS』を主宰している。見ようによっては哲学的なテーマを軽くポップに描いているといえるが、おちゃらけスレスレの危うさもある。堂々と作品化した姿勢は立派。今後に期待しよう」「北海道開発局の看板が取り上げられているので、いくらでも深読みができる」

 「6月9日午前11時からは、特別プログラム2。『デンマーク・ヴィデオアート・データバンク』(80分)は、キュレーターのトーベン・セーボルグ氏が自作『これが色彩である』『それが私である』『広く開けた海の沖合いへ』『AとBの間の宇宙は無限大である』を含め26作品を集めたもの。実験作を中心にしながらも、1960年代から活動している先駆的なデンマーク・ヴィデオの層の厚さを感じる。考えさせる作品が多い中で、カサンドラ・ヴェーレンドルフの『枕』、ダニエル・サロモンの『フットボールヴィデオ』は、笑わせてくれた」

 「Aプログラム(9作品=81分)。ジャパン・ショート・ショート『侍スター』(花見正樹監督)は、集金人の逆襲を描いたもの。凝ったショットは認めるとして、寄せ集め的で個性が見えにくかった。 いよいよアメリカン・ショート。『This Guy Is Falling』(Michael Horowitz & Gareth Smith監督)は、無重力コメディ。スケールががあんなに大きくなるとは思わなかった。12分ではもったいない。 『CHUCK』(Alex Turner監督)は、狂気に陥り訪問者を惨殺するセールスマン・チャックを不気味なまでに静かに描いた作品。後味の悪さは一級。『Me and My Old Man 』(Georgie Roland監督)は、長年連れ添った妻に逃げられた男が父親を訪ねてきて、衝撃の事実に気付くせつなすぎるドラマ。辛い」

 「カンヌ映画祭でも注目された『Seraglio』(Gail Lerner & Collin Campbell監督)は、日常に退屈していた中年主婦がキャベツ畑で自分宛てのラブレターを見つけたことで、生活が一変する。テンポ良く男女の心の機微を描いた。うまい。『TITLER』(Jonathan Bekemeier監督)は、ヒトラーを笑いのめしたブラツクコメディ。下品きわまりない替え歌が笑える。『Sunday Afternoon 』(Paul Charney監督)は、『不誠実な返答』などト書きそのままによる会話というアイデア小品。 『The Fool』(Jon Farhat監督)は、『未知との遭遇』のパロディ。男のおバカぶりとブラックな結末に、思わずニヤリとした」「『Vincent』(1982年、Tim Burton監督、6分15秒)は、何度も観ているが、何度観ても飽きない。恐怖の世界に憧れる早熟な少年の妄想を見事に映像化している」

 「Bプログラム(10作品=82分)。ジャパン・ショート・ショートは 『Too Much』(野川みゆ樹監督)、『サイの芽 』(アラキ マサヒト監督)の2作品。ともに2分台で、一気に話を進める。『Delusions in Modern Primitivism』(Daniel Loflin監督)は、今年のアワード受賞作。ドキュメンタリーの面白さと結末の衝撃が評価されたのだろう。『The Ride Home』(Sam Hoffman監督)は、アルツハイマー病の悲しさと家族の絆を描いた寡黙な作品。 『Soul Collectors』(Rebecca Rodriguez監督)は、ショートショートにありがちなオチの典型。先が読めてしまう」

 「『That Creepy Old Doll』(Beck Underwood監督)は、アニメーションの技術的な面白さはあるが、もう少し物語を膨らませてほしかった。平凡な結末。『Seven Hours to Burn』(Shanti Thakur監督)は、過酷な民族と宗教の歴史をたどる。『Zen and the Art of Landscaping 』(David Kartch監督)は、若い庭師が仕事先の家の家族のとんでもない関係に巻き込まれる物語。『Voy』 (Casey Thomson監督)は、ストーカーの実態に迫ったやりきれない作品。 『Girl Go Boom 』(Mark Tiederman監督)は、女性を口説く青年に待ち構えている結末が凄まじい」

 「Cプログラム(8作品=80分)。 ジャパン・ショート・ショート2作品。『取毛男』(高掛智朗&前田賢次朗監督)。抜いた鼻毛がくじ引きだったらというコミックCG作。着眼点は素晴らしかったが、ひねりが足りなかった。残念。『Elle etait si jollie 』(Marc Rigaudis監督)は、在日のフランス人によるもの。いじめによる自殺を描いている。最後の長々とした説明がなければ、もっと胸に迫ったはず」「『The Ballad of Little Roger Mead 』(Mark Carter監督)は、とんでもない作品。芸能コンテストに参加した12歳の少年の特技は、歌いながらゲロを空中に吐き、それをまだ飲み込むというもの。観客は皆気分が悪くなって、父親にも勘当されてしまう。ゲロ吐きが印象的な映画としては、『トレインスポッティング』(ダニー・ボイル監督)や『チューブ・テイルズ6・マウス』(アーマンド・イアヌッチ監督)、日本では『ピノキオ ルート964』(福居ジョウジン監督)などがあるが、独創性ではこの作品が一番かもしれない」

 「『NO IDEA』(Dan McLaughlin監督)は、1分間のアニメ。ファスナーなどの発明品を思い浮かべている原始人が登場する。『Oregon』(Rafael Fernandez監督)は、近未来の冷酷な管理社会を冷徹に描いているように見えて、その滑稽さも表現している。 『The Last Real Cowboys』(Jeff Lester監督)も、カウボーイの定義をめぐる男たちの物語。温かさと冷たさの両面を備えた作品。『The Box 』(Stefan Gronsky監督)は、優れたCG技術を見せてくれる」「『Frankenweenie』(Tim Burton監督)は、『シザーハンズ』の原型と言われるストーリーだが、まだ習作といった方がいい。センスの良さは感じるが」

 「Dプログラム(9作品=79分)も、ジャパン・ショート・ショートは2作品。『Hands』(島田英二監督)は、メッセージ性を乗せたスピード感のある映像。ほのかなユーモアも見逃せない。『若い二人(Too Young)』(合志知子監督)は、フルCGによるブラックなコメディ。はつらつとした笑いの下に隠された暴力性をえがいている。のかな。『12 x 12』(Maja Zimmerman監督)は、シリアスな独房もの。政治犯がゴキブリと心を通わせる場面から、痛々しい孤独が伝わってくる。緊迫感のある展開が、ラストでそがれたのが惜しまれる。16分のドラマを見事にまとめた『 LAST REQUEST』(Tom Hodges監督)は、ギャングたちのやりとりが抜群に面白い。長編の余韻さえ残す味わいだ。『Alien Song 』(Victor Navone監督)は、CGによる1分間のお遊び」

 「 地獄行きが決まった主人公は、善行を積んで天国へ行けるのか。『In God We Trust』(Jason Reitman監督)も、16分を目一杯使ってドラマを楽しませてくれる。計算される善悪の価値観がめちゃくちゃで笑わせる。『Rick & Steve: The Happiest Gay Couple in All the World 』( Q.Allan Brocka監督)は、レゴを使ったアニメ。超危ない会話も、可愛いレゴ人形によって救われている。『Invisible』(Mollie Jones監督)は、ドラッグ中毒のアーティストの物語。ストーリーよりも映像の美しさに引き込まれた。グラスドームをめぐるラブストーリー『The Indescribable Nth』 (Oscar Moore監督)は、セルアニメの自在さを生かして、心温まる世界を作り上げた」

 「Eプログラム(8作品=81分)。ジャパン・ショート・ショートは、さわやかな感動を運んでくる『並木道』(小野寺圭介監督)。リリシズムの表現力は将来性十分。 『The Hook-Armed Man』(Greg Chwerchak監督)は、殺人鬼『フック腕』が、社会に溶け込もうとするが、再び殺人を繰り返してしまうまでを、皮肉な視線で描いている。 『Better Life 』(Atsuko Kubota監督)は、タッチがユニークなアニメ。日常を淡々と描写するという狙いは分るが、あまりにも当たり前すぎる。『New Apartment』(AlexanderRose監督) は、前任者の忘れ物をテーマにしたクスクス笑いの小品」

 「『The Great Upsidedown』(Brian Klugman監督)は、盗みを働いて逆さ吊りにされた3人の若者の会話劇。コントとして楽しめる。会場を笑いが包んだ『Pillowfight』(Scott Rice監督)は、リアルで愛情に満ちたコメディ。監督が奥さんに捧げたというラストクレジットと、最後の放屁がさらに笑いを盛り上げた。『Boundaries』(Greg Durbin監督)は、20分近いドラマ。無口のトロンボーン奏者に24時間こづかれているという患者が、その悲惨さを医師に訴える。俳優の演技のうまさと見事な結末に感心した。『George Lucas in Love 』(Joe Nussbaum監督)は、アメショーにふさわしい心温まる作品。笑った回数は、この作品が一番多い」

 「Iプログラム(7作品=85分)。このプログラムは、アメリカ以外の国の作品。『Flowergirl』(Cate Shortland監督)は、オーストラリア。日本人ダイスケは、帰国を前にして、友人たちとの関係など、さまざまな思いに浸る。ラストのビデオが素敵だ。ニュージーランドの『Infection 』(James Cunningham監督)は、コンピューターウィルスをテーマにしたCGアニメ。少し不気味。ドイツの『Kleingeld 』(Marc-Andreas Bochert監督)は、ホームレスとビジネスマンの関係を描いて、なかなか考えさせられる」

 「『Walking on the Wild Side 』(ベルギー、Dominique Able & Fiona Gordon監督)は、Hでハッピーなコメディ。大いなる勘違いがドタバタ劇に発展し嬉しくなる。 イランの『Alone with the Land』(Vahid Mousaian監督)とシンガポールの『Sons』(Royston Tan監督)は、父と子をめぐるストーリーが心にしみる。『Cycling is Essential』(Soko Kaukoranta監督)は、フィンランドの冬の風景を生かしたほのぼの作品」

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■銀河・映画対談2001.05

■銀河・映画対談2001.05

 「スティーブン・ソダーバーグ監督が、アメリカとメキシコを結ぶ巨大な麻薬組織に迫った渾身の傑作『トラフィック』。ひとまず、そう言っておこう。アメリカとメキシコを色彩によって描き分け、麻薬をめぐるさまざまな場面が浮かび上がる。困難を極める麻薬との闘い。その深刻さを映像に刻み付け、映画は静かに終わる」「複雑な展開が完璧に決まったとはいえないが、安易な解決を避け手応えのある作品に仕上がっている。ただ、ラストシーンは麻薬問題を家族の問題に狭めているような印象を与えたかもしれない」

 「大勢の人物が登場するが、実に手際良く動かしている。ただ、欲を言えば不満はある。優等生キャロラインが麻薬に手を染めていく過程は、もう少し彼女に寄り添ってほしかった。警官ハビエールの頑固さ、信念の強さは伝わってきたが、それが何によって支えられているのかは理解しづらい」「前宣伝が盛んだったマイケル・ダグラスとキャサリン・ゼタ=ジョーンズの夫婦初競演。マイケル・ダグラスは、主役ではあるが、やや弱気な役。今回存在感を放ったのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズの方だ。華麗な小悪魔性が、貫禄ある悪魔性に成長していた」「怖かった」

 「『15ミニッツ』(ジョン・ハーツフェルド監督)に移ろう。『2days トゥー・デイズ』から4年。今回も時間の長さの題名。アンディ・ウォーホルの『誰でも15分間は有名人でいられる時代がくる』というマスメディア社会を預言した有名な言葉から取られている。」「視聴率を上げるために血なまぐさい事件を追い掛けるマスコミを安易に批判するだけの映画かと思ってみていたら、もっと骨のある良質な作品だった。コメディ風の導入部から一転して殺人が起こり、緊迫感のある展開になる。主人公と思っていたエディ刑事が、あっけなく殺されてしまって唖然」「そこから、手に汗握る映画の見せ場が始まる。ブラックなユーモアをたたえたラストシーンは、爽快さを感じていた私をあざ笑うかのようだった。まったく、やられたぜ」

 「エドワード・バーンズに『片腕を切り落としてでも共演したかった』と言わせたロバート・デ・ニーロは、相変わらずの渋い味を発散。出過ぎだよ、という思いをすぐに消し去ってしまう」「放火捜査官ジョーディ役のエドワード・バーンズは、最初は頼りな気だが、困難な状況を見事に切り抜けるタフガイぶりをみせる。そして、カレル・ローデンとオレッグ・タクタロフの得難いキャラクターに拍手。彼等の存在がこの作品を重層的なものにした」「忘れてはならないのがメリーナ・カナカレデスのギリシャ彫刻のような美しさ。彼女のひとすじの涙がエディの死に、何ものにも変えがたい花を添えている」

 「『ガールファイト』は、2000年サンダンス映画祭でグランプリ、最優秀監督賞を受賞した。カリン・クサマ監督は、父親が函館出身、日米ハーフの女性監督。20歳前半にボクシングを始めた経験を持っている。孤独で禁欲的なボクシングの決勝戦で、恋人たちを闘わせるというアイデアは、なかなかのもの。攻撃的でひたむきなラブシーンだ」「ここには『ファイト・クラブ』(デイビッド・フィンチャー監督)のような、屈折したいかがわしさはない。まっすぐなに青春映画に素直な賛辞を送ろう」

 「何といっても、ダイアナ・グズマン役のミシェル・ロドリゲスを賞賛しない訳にはいかないだろう。まず、オープニングでの、むき出しの怒りをあらわにしたまなざしが衝撃的。全身から日常への激しいいらだちを放っている。そんな彼女がボクシングの試合を見つめる時には、はっとするような可憐な表情をみせる。この落差がリアルだ。トレーニングに励むひたむきな横顔も美しい」「フラメンコのリズムをアレンジしたテオドール・シャピロの音楽も印象に残った」

 「『ブレアウィッチ2』(ジョー・バーリンジャー監督)は、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(エドアルド・サンチェズ、ダニエル・マイリック監督)の続編。映画がヒットしたために、バーキッツヴィルには観光客が押し寄せていた。ウェブでグッズを売っていたジェフ・パターソンは、『ブレアウィッチ・ハント』を企画し、一癖ある観光客とともに森に入っていく。 そして、恐ろしい出来事が。なかなか面白い展開だなと思っていたら、話はどんどん横道に逸れて、B級ホラーの終末へ」「思いつきは良かったのだが、それだけに終ってしまった」

 「自称・魔女として登場するエリカ・ギーアセン役のエリカ・リーアセンがなかなか魅力的。ホラーには、こういう存在が必要です。ただ、怖くない」「前作は、手振れの映像が恐怖を引き出した。今回はチラシにもあるように『酔いません』。しかし、チラシにあるように『ブレアの呪いの謎が全て明かされ』る訳ではない。ただ、事実と写っていた映像が大きく異なるという結末は、映像の相対化という意味では、前作とつながっているとも言える。深読みすればの話だが」「手振れシーンでの酔いはなくなったけれど、映画にも酔えなかったというオチはどうでしょう」

 「『東京マリーゴールド』(市川準監督)では、冒頭『ほんだし』発売30周年記念作品と大写しになり、思わず苦笑。樹木希林と田中麗奈だものなあ」「確かに大切な場面で味噌汁が登場していた。田中麗奈初の大人の恋愛もの。1年間で終わるせつない恋を、1年間で枯れてしまうフレンチマリーゴールドに例えている。これを未熟な恋愛とみる向きもあるだろうが、1年で別れなければならないという緊張感が、恋を情熱的にしたともいえる」「古今東西、ハンディがあるほど燃え上がるのが恋愛というものだ」

 「さまざまな東京の風景が切り取られ、その空気がただよってくる。市川監督お得意のシーンだが、エリコの揺れ動く心と共振し、現在の東京を浮かび上がらせている」「そんな市川流の心地よいスケッチを揺さぶるのが、クラシックで芯の強そうな田中麗奈の存在感、その瞳だ。恋に振り回されながらも、懸命に自分らしさを保とうとする彼女の決断が、この作品を爽快な青春映画にしている」

 「『山崎幹夫の短編世界』が、まるバ会館で開かれた。今回は2プログラム。Aプログラムは、V.M.シリーズ8編を合体し追加編集した『V.M.』(1997年、8ミリ80分)。1999年に独自の多重露光を生かした『VMの夢想』と『VMの漂流』を観ているが、それらの作品をつなげたというよりは、廃虚を基調にして多次元的な空間を開いた新作といった方が正解だろう」「山崎監督自身でなければ上映できないというパフォーマンスがうれしい」

 「Bプログラムは、11作品。『泥のなかで生まれた』(1986年、8ミリ17分)は、危ない映像がちらつく独自の露悪性が魅力。 『うまうお』(1986年、8ミリ3分)は、ショート特有のアイデア。『りりくじゅんび』(1987年、8ミリ10分)は、学童クラブの子供たちに8ミリカメラを渡して勝手に撮らせたものを編集した作品。映像を撮ることの特権性がまだ生きていた時代だけに、子供の世界の生々しいサスペンスが記録されている。不滅の作品だ」「『あいたい』(1988年、8ミリ11分)は、変色したフィルムをめぐる熱い想念。映像として定着した時間と現在との隔たりとつながり。かけがえのなさの発酵。山崎監督の友への叫び、その肉声がとりわけ胸を打つ」

 「『くねひと』(1991年、8ミリ3分)は、ビルの壁の亀裂など街の『気になるもの』のスケッチ。『破壊市を探して』(1992年、8ミリ15分)は、過去の作品に出演していた犬飼久美子の死去の知らせを聞いたことがきっかけになった作品。外に開こうとする思いは伝わるが不発気味。『6月15日の赤いバラ』(1993年、8ミリ3分)は、『虚港』のために撮影された断片。『コージョルの鳩』(1996年、8ミリ3分)は、インド映画への疑問を、強引に日本への皮肉につなげた力技の小品。『8ミリシューター論理狼』(1998年、8ミリ3分)は、自身のパロディ化。おちゃめな側面をみせる」「『夜にチャチャチャ』(1999年、8ミリ14分)は、1999年にも観た。カメラからレンズを外して撮った作品。山崎監督の魅力的な声が響き渡る。『モーロー牛温泉』(2000年、8ミリ3分)は脱力的なナンセンス。21世紀の山崎作品は、新しい広がりを見せていくのか。そういえば、『グータリプトラ』にも、いくぶんナンセンスの側面があった」

 「それぞれの作品の間にある振幅や落差の大きさは、驚くべきものがある。そして短編個々の面白さとともに、まとめて観ることで、それが長編へと組み込まれていく様子も知ることができた」「さらに、過去の自作を引用・改編していく自在な境地にまで、すでに達していそうな気配も感じた。20世紀の全自作を再構成した、スピード感あふれる壮大な新作が生まれるかもしれない」

 「『LOVE SONG』(佐藤信介監督)は、主題歌に尾崎豊の曲が流れることで、注目された。しかし、尾崎の曲とは似ても似つかないつまらない映画だった。尾崎の歌には、青春の切実さが込められている。赤裸々な憤り、怒り、怯え、不安、とまどいが心を打つ。この作品は、夢を求める若者を描いてはいるが、表面をなぞるだけ。ストーリーは、すかすかのまま拡散し、紋切り型の結末を迎える。あまりにも平凡な終わり方で、欲求不満がつのった」

 「仲間たちとレコード店を開きながら友人に裏切られて挫折した松岡を演じた伊藤英明には、もっともがき苦しんでほしかった。『ブリスター!』(須賀大観監督)の方が、何倍もいきいきと青春していた」「高校最後の夏に松岡を訪ねて北海道から東京に出てきた彰子を演じた仲間由紀恵も、不完全燃焼。『リング0〜バースディ〜』(鶴田法男監督)の方が、まだ魅力的だった」「ファンとしては、こんなふやけた作品で、尾崎の曲を聞きたくなかった」「ため息出たね」

 「『日本の黒い夏 冤罪』(熊井啓監督)は、かなり抽象的な題名だ。素直に『松本サリン事件 冤罪』で良かったのではないか」「映画的な盛り上げを意識的に避けた構成が心に残った。サリンによる被害者の中毒症状の衝撃的な場面から始め、マスコミや警察の対応、そして冤罪へと話を進めていくのが、普通だろう。しかし熊井啓監督は、高校の放送部が地元のローカルテレビ局を訪れるシーンから始め、冤罪事件が何故起こったのかを冷静に追求していく。物語は、たえずテレビ局の会議室に戻り、当時の状況を分析する。そして、冤罪が明らかになった後、初めて人々がばたばたと倒れる事件の映像が流れる。ちぐはぐに見えるこの構成を、下手と断ずることは易しい。しかし私は、意図的にセンセーショナルな展開を避けた監督の志の高さを評価したいと思う」「あざとさが微塵もない格調の高い作品だと思う」

 「冤罪事件は何故起きるのか。マスコミが犯している過ちは何か。しっかりとした事実確認よりも、不確実であってもスクープ性が優先されるマスコミの実情が明らかにされていく。それが警察の情報操作に利用される側面も。高校性の取材に応じた地元テレビ局は、取材力では他社にかなわなかったものの、事実の裏をとる慎重な報道を行った。スクープ性に傾きがちな東京主導の他社と違い、誤報の恐ろしさを知る報道部長の判断が生かされたとともに、現場取材に徹した地元の強みが発揮されたといえる」「この作品は、特にマスコミ関係者に観てもらいたい。それにしても地下鉄サリン事件がなかったら、松本サリン事件がどのような展開になっていたのかを考えると、そら恐ろしい気がする」

 「江戸時代中期の宝暦年間、現在の岐阜県に位置した美濃国郡上(ぐじょう)藩で、増税に反対する農民一揆が起こった。『郡上一揆』(神山征二郎監督)は、その史実に基づくもの。製作委員会や支援組織ができ、『県民映画』としてつくられた」「困窮した農民が短期的に闘うという一揆のイメージとは、かなり違う。増税が行われた場合の困窮を予想し、作戦を立て、長い時間とお金をかけて交渉していく。最後は、闘いには勝利するものの、首謀者は獄死するか、さらし首にされる」「現在の祭りのシーンから始まり、その平凡さにイスからずり落ちそうになったが、物語が進むうちに俳優の熱演もあり、映像は熱をおびてきた。武士の役が多かった加藤剛を、農民の智恵者としてキャスティングしたことで、イメージが大きく変わったと思う」

 「ストーリー運びは悪くない。しかし、観ていて複雑な思いにとらわれた。製作者の意図は何だろう。社会のために命をかけて闘うことを賞賛しているのか。単にその地域の史実を紹介しようとしているのか」「一揆に立ち上がり、命をかける人々の迷いや苦悩はあまり描かれない。何故か。家族の心配や哀しみも慎ましやかに表現されている。何故だろう。もっと深刻なあつれきや激しい葛藤が描かれても良いのではないか」「なかでも、さらし首になった父親の姿を誇らしげに子供に見せる母親の姿が、どうしても納得いかない」「駄作ではけっしてないが、今一つ心に響いてこなかった」

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■銀河・映画対談2001.04

■銀河・映画対談2001.04


 「『サイダーハウス・ルール』の感動がさめやらぬうちに、ラッセ・ハルストレム監督は、また素敵な作品を届けてくれた。とろけるようなファンタジー『ショコラ』。おいしい食べ物が人々の心を解き放つというテーマは『バベットの晩餐会』を連想させるが、この作品にはチョコレートのように、ほのかに官能的な香りがただよっている」「辛らつさをひかえめにして心地よく終わる。登場人物一人ひとりを丹念に描き分けるあざやかな手さばきは、あいかわらず。脚本は緊密で、コミカルな会話を楽しむうちに人物像と人間関係が浮かび上がる妙技だ」

 「今回のキャスティングも、非のうちどころがないね。尖った役が多いジュリエット・ビノシュも、今回は甘い笑顔が魅力的。『ポネット』(ジャック・ドワイヨン監督)で4歳にして天才的な演技をみせたヴィクトワール・ティヴィソルは、面影を残したまま可愛らしく成長していた。ココアを飲んだように心が温かくなった」「ジュディ・デンチの自然体の貫禄にあらためて脱帽。キャリー=アン・モスが、古風な母親を演じていたのにも驚いた」「そしてジョニー・デップの粋なしぐさ。ミュージシャンだった彼だが、映画では初めてギターを弾いている。レイチェル・ポートマンの静かに心にしみてくる音楽とともに、なかなか聞かせる」

 「『あの頃ペニー・レインと』は、1970年代を舞台にロックグループとグルーピーと音楽ライターの関係を描いた懐かしさいっぱいの作品。皮肉屋のキャメロン・クロウ監督にしては、爽やかさが残る甘酸っぱい青春映画に仕上がっている」「クロウ自身の自伝的な要素が強いことが影響しているのだろうか。主人公のウィリアム・ミラーが、あまりに純粋で一途すぎるのが、気にかかる。美化とまでは言わないが、少年らしい迷いや恐れを、もっと強調しても良かったのではないか」

 「サイモン&ガーファンクル、ザ・フー、イエス、ロッド・スチュアート、ディープ・パープル、レッド・ツェッペリン。次々に流れる曲に酔いしれていたので、幾分点は甘くなる」「『スティル・クレイジー』(ブライアン・ギブソン監督)に比べると腰が弱い感じもするが、別な質感を狙ったともいえる」

 「『ハンニバル』(リドリー・スコット監督)は、『羊たちの沈黙』(ジョナサン・デミ監督)から、10年間待っていた続編。しかし、やはり失望した」「1990年以降のリドリー・スコット監督は単純な熱情、あからさまな強者志向でどれも評価できない。派手な割りには映像に濃密感がない。上げ底な印象を受ける。今回も、原作の深みが失われ、恋愛ものに猟奇がプラスされただけになっている。二人の心の闇という共通点も無視されている」「時間的な制約があるにせよ、分りやすさを狙い過ぎた。ハリウッドの御意向とはいえ、クラリスが最後まで覚醒し抵抗していたのも、物足りない」

 「街の印象を変ぼうさせる監督らしく、フィレンツェを陰惨な暗い街に描いていた点は、評価しよう。オープニングタイトルで、平和を象徴する鳩の群れがレクターの顔に見えるというアイデアも面白い。レクターの犯行写真をちらっと見せるサービスも嬉しい。そして、やや出し惜しみ気味だったものの、脳の活づくりによる晩餐シーンは、ブラックなユーモアが見事」「ただ、メイスン・ヴァージャーが豚に食われるシーンは、もう少しサービスしてほしかった」

 「『スターリングラード』(ジャン=ジャック・アノー監督)は、厚味のある戦争映画だった。ドイツ、ソビエト双方で100万人以上が戦死し、第2次世界大戦で最も悲惨な戦いと言われるスターリングラード戦。その中で、次々に敵を射殺しナチス・ドイツを破滅に導いた天才スナイパー、ヴァシリ・ザイツェフがいた。組織的な軍隊による圧倒的な破壊・大量死を特徴とする近代戦争で、実は一人の技量に頼る狙撃が大きな役割を持っていた点に目をつけたのは、さすがアノー監督だね」

 「戦場におけるおびただしい殺りくと、一人のスナイパーをめぐる人間劇が、絶妙なバランスで描かれている。脚本の密度が高い。だから、大味の戦争ものにも、ヒーローの恋愛ものにも陥っていない」「戦争と人間をみつめる視座が確固としている。そして声高に反戦を訴えている訳ではないが、戦争の哀しみが全編を覆っている」

 「強い意志と深い悲嘆をひめた瞳。ヴァシリ・ザイツェフを演じたジュード・ロウが、圧倒的な存在感を放つ。政治的理想と個人的欲望に引き裂かれる政治将校役のジョセフ・ファインズは、自然体でその振幅を表現してみせた。ドイツ側の冷徹なスナイパーをエド・ハリスが渋く演じている。彼の目にも哀しみが宿っていた」「半面、後に首相に登りつめるフルシチョフを演じたボブ・ホスキンスが、ひどく嫌なやつにみえたのもアノー監督の狙い通りだったのだろう」

 「『隣のヒットマン』は掘り出し物。殺意を抱くほどいがみ合っている歯科医夫婦の隣に、伝説のヒットマン・ジミーが引っ越してきたら...。ジョナサン・リン監督は、なかなか粋なコメディを作り上げた」「余裕に満ちたヒットマンをブル ース・ウィリスが演じ、あたふた騒ぎまくる歯科医オズをマシュー・ペリーが熱演。この二人にジミーの妻シンシアとオズの助手ジルが絡み、コントを重ねていく。歯科医とヒットマンの意外な組み合わせが、ラストで生かされる展開に驚く。とにかく飽きさせない展開が心地よい」

 「『スピーシーズ』(ロジャー・ドナルドソン監督)のナターシャ・ヘンストリッジが、オズとの恋におちるジミーの妻を好演した。そして、注目はオズの助手ジル役のアマンダ・ピート。どこか歯車が狂っているような危ない性格ながら、ジミーと結ばれる可愛らしい女性の魅力を感じさせる。ソフィ役のロザンナ・アークェットは、夫を殺すことに執念を燃やす切れかかった妻をコミカルに演じた。3人とも魅力的」「楽しかった。こういう大人の遊びに徹した映画は、最近めっきり少なくなったね」

 「『アタック・ザ・ガス・ステーション!』(キム・サンジン監督)は、韓国で歴代興行記録第3位を記録した。刹那的な若者の犯罪を描いた荒削りな作品と思っていたが、ガス・ステーションという施設の特徴を最大限に生かしたスピード感のある佳作だった」「『なんとなく』襲撃を思い立った4人の無軌道ぶりを強調しつつ、やがてそれぞれの屈折した過去を挿入し、徐々に感情移入をさそう仕組みだ。物語は、周囲を巻き込みつつ入り乱れ、怒涛のクライマックスに突入する。はらはらしながら迎えた納得の結末に拍手」

 「ノーマーク、ムデポ、タンタラ、ペイント。4人は、個性的な性格付けがされているが、中でも目を引くのが挫折した天才投手ノーマーク。寡黙ながら、圧倒的な存在感を放っていた。イ・ソンジェは、今後名優として成長していくに違いない」

 「アタックとくれば、この作品を忘れてはいけない。タイ国体に、オナベの監督とほとんどがオカマの選手のチームが出場し、なんと優勝してしまったという実話に基づくスポ根コメディ『アタック・ナンバーハーフ』(ヨンユット・トンコントーン監督)。笑わせて、最後はじーんと感動させるという定石通りのストーリー運びだが、気持ち良い元気を与えてくれる快作だった」「保守的なタイでの大ヒットもうなずける」「原題の『サトリーレック』は、鉄の女という意味。実際のチーム名を付けているが、邦題の『アタック・ナンバーハーフ』は秀抜。監督自身も『アタック・ナンバーワン』を参考にしたと話しているから、ぴったりのネーミングだ」

 「ピア役のゴッゴーン・ベンジャーティグーンがはつらつとして美しい。彼だけは実際のゲイ。その他はストレートの俳優が演じている。作品を爽やかにしているのがジュン役のチャイチャーン・ニムプーンサワット。とてもチャーミングな存在で映画の雰囲気を盛り上げている」「逞しい身体と柔らかなしぐさのミスマッチが楽しいノンを演じたジョージョー・マイオークチィも貴重なキャラクター。一番笑わせてくれた」

 「ベルギー・アニメーションの第一人者・ラウル・セルヴェ(Raoul Servais)の代表作5作品を上映する『夜の蝶/ラウル・セルヴェの世界』が札幌でも実現した」「5作とも、作風、テーマが違う。常に新しい技法を探究し続けている姿勢がはっきりと伝わってくる。それでいて、どの作品も完成度が高い。ほぼすべての作品が賞を受賞しているのも当然だろう」「権力に対する強靱な批判精神と柔軟な想像力とユーモアのセンスを合わせ持っている」

 「『ハーピア』(1979年製作、9分)は、実際の人間を使った風変わりなアニメだ。女性の上半身と鳥の下半身を持つハーピアをめぐるコミックホラーの味わい。実際の人間を使った風変わりなアニメだ。カンヌ国際映画祭短編部門パルムドールを受賞している」「 『クロモフォビア』(1966年製作、10分)。 カラフルで自由な社会をモノクロの全体主義が襲う。それを可愛い少女とピエロが再び色彩豊かな世界に戻す。基本となるアイデアは単純だが、両者の戦いをアニメ的な遊びをふんだんに盛り込んで描いている点が素晴らしい」

 「『人魚』(1968年製作、9分30秒)。港にある巨大なクレーンと古代の怪鳥。攻撃的な線画が恐ろしい雰囲気を漂わせている。釣り上げられた人魚は殺され、人間と魚の部分に切断されるが、少年の笛によって人魚は蘇る。時代への決意が感じられる」「『語るべきか、あるいは語らざるべきか』(1970年製作、11分)は、安易なヒッピー文化に対する批判的な内容。自由だったはずの表現が商品化され権力に利用されていく。やや堅い」「ポール・デルボーへのオマージュ 『夜の蝶』(1998年製作、8分)は、静かなたたずまいの中に甘美な香りを醸し出している。こういう味わいはなかなか出せるものではない」

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■銀河・映画対談2001.03

■銀河・映画対談2001.03

 「『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で抜群の映像・音楽センスを見せたガイ・リッチー監督の新作『スナッチ』。こんどもやってくれた。さまざまな悪党どもの血なまぐさいドタバタ劇を、ハイスピードの展開で混ぜ合わせ、あっという間に終えてしまう。通常なら3時間の物語を鮮やかな手さばきで100分余りに仕上げた」「群集劇ではあるが、『マグノリア』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)のような重たい手応えとは対極にある。軽い。粋といえば、粋。肩の凝らない、しかしスタイリッシュな手法を編み出したと言える」「肩は凝らないが、眼は疲れるね」

 「相変わらずのアクの強いキャスティング。しかし、ブラッド・ピットの使い方にはとりわけ感心した。素手ボクシングが強い流れ者の役だが、けっして前には出ていない。へたくそな刺青を全身に入れたチープさが、独特の魅力を引き出している」「本来は、こういう危ない役がハマリなのだと思う。ボクシングでの派手な殴られ方もいい。そこにも、ガイ・リッチーのセンスが光っている」

 「『ザ・セル』(ターセム監督)は、刺激的な作品。拉致されている被害者の居場所を知るために、意識を失った犯罪者の意識に入り込むという発想自体は、ありふれたものだ。しかし、錯乱した精神世界を奔放に映像化しようとするターセム監督にとっては、またとないキャンバスだった。さまざまな倒錯的な映像が、尖った美意識でフォルム化されている」「不気味で残酷、しかし美しい世界。既存のアーティストのアイデアを寄せ集めた感があり、個々のシーンの独創性は少ないものの、ここまで徹底すれば新しい映像地平といえるかもしれない」「衣装の石岡瑛子も大健闘している」

 「少年期に虐待を受け深いトラウマを抱えて猟奇的な殺人を繰り返す犯罪者カール・スターガーをヴィンセント・ドノフリオが演じている。絶句するほどの迫力。彼の代表作の一つになるのでないか」「彼の意識に入り込む精神科医キャサリン・ディーンは人気絶頂のジェニファー・ロペス。現実世界の意志的な性格と、精神世界でのめくるめくような七変化の対比が楽しめる」

 「『見出された時』(ラウル・ルイス監督)は、マルセル・プルースト『失われた時を求めて』の最終編『見出された時』を中心とした映画化。ハリウッド映画を見なれていると、序盤での『つかみ』の展開に慣れてしまう。しかし、この作品はゆっくりと静かに物語を進めていく。最初はとまどうものの、やがてゆるやかに物語に入り込んでいける。そうしないと、まどろみがやってくるが」「戦争という過酷な状況にありながら、ドラマチックからは程遠い。夢のようにすべてがファンタジック。パッチワークのように時空が自由に断片化している。多くの登場人物が複雑な関係を持ちながら、移ろっていく」「説明は少ない。ラウル・ルイス監督が自ら語っているように、原作を知らないと分りづらい」「ただ、マルセル自身が失われた時、忘れられた時代を新たに見い出すものとして、芸術の価値を噛み締める結末は、じんわりと感動的で余韻が長く残る」

 「キャスティングがすごい。すごすぎる」「監督は、貴族に憧れるマルセルの視線を意識した配役だというが、カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、マリ=フランス・ピジエと並ぶと、壮観だ」「ジョン・マルコヴィッチも屈折したシャルリュス男爵を熱演していた」「有名な俳優たちにまぎれてマルセル役に無名の俳優を置く辺りに、監督の優雅な遊びを感じた」

 「傑作『グッド・ウィル・ハンティング』のガス・ヴァン・サント監督による新作『小説家を見つけたら』。青年の天才的な才能に気付いた大人が、その才能を伸ばそうと交流を深めるという筋書きは、似ている。しかし、前作のような細部の工夫が乏しいので、感動には導かれない。文学や音楽の使い方が、いかに巧みでも、脚本の弱さは隠せない」「天才青年が16歳というのも、やや無理がある。せめて18歳でなくては、あの熟達の文章にリアリティがなくなる」

 「隠とん生活をしている小説家をショーン・コネリーが演じている。さすがに堂々としている」「青年の才能をつぶそうとするクローフォード教授をF・マーリー・エイブラハムが演じているのも見もの。『アマデウス』でのサリエリ役が、強烈に脳裏に焼き付いているからだ。ただ、この作品では彼の内面にまで視線が届いてない」「ベテラン二人と互角に張り合ったのが新人ロブ・ブラウン。最大の収穫かもしれないな」

 「『サトラレ』(本広克行監督)は、チラシに『泣きのエンターティンメント』というコピーが付けられているが、まさにその通り。青年の清らかな心に触れて、泣くことができたという満足に浸ることができる」「『考えていることがすべて患者に伝わってしまう医者がいたら』というドリフターズのコントのようなアイデアだが、その人物に真実を知られないために国家政策として24時間監視し保護しているという、荒唐無稽な設定。さすがは本広克行監督、ほどよいスパイスで味付けし、笑いと涙をブレンドしていく」

 「主人公の安藤政信が、ピュアな青年を好演している。この年頃の男性は、もっとHだと思うのだけれど、それを言い出すと全体が崩れるから大目に見よう」「私は、『バトル・ロワイアル』(深作欣二監督)での、一言も話さず、ひたすら殺人の快楽を追い求めていた桐山役との対比を楽しんだ。すべてが対照的で驚いてしまう。こういう偶然も面白い」「鈴木京香はコミカルとシニカルを使い分けられる女優に育った」「そして、ベテランの八千草薫。穏やかな表情が年を取っても美しい」

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■銀河・映画対談2001.02

■銀河・映画対談2001.02

 「21世紀初めてのゆうばり国際ファンタスティック映画祭が、2月15-19日に開かれた」「寒かったね。ことしは、釜山フィルムコミッションのメンバーを招いてのシンポジウムを開催。映画撮影をスムーズに運ぶために行政が全面的に協力した経験を紹介するとともに『周りの市民の協力がなければ撮影はうまく行かない』と、市民の意識が最も大切だと報告された」「ホウ・シャオシェン監督が映画祭を舞台にロケしたことも大きなニュースだった。なぜ夕張で撮影するのかと聞かれた監督は『世界中の映画祭に参加したが、夕張映画祭は他の映画祭と全く違う。心を静めてくれる。そして夢を観続ける力を与えてくれる』と答えたという」「多くの国際映画祭がビジネス主導に傾く中で、夕張は映画を愛する人達の交流の場であり続けている。参加した監督たちも同じような発言をしていた」「ことしもさまざまな友情の輪が広がったと思う」

 「注目の『ブラックボード - 背負う人 -』は、昨年のカンヌ国際映画祭にカンヌ史上最年少(20歳)の監督作品としてコンペティション部門に出品、審査員特別賞を受賞した作品。1998年の『りんご』で注目されたサミラ・マフマルバフ監督の長編第2作」「この作品は、イラン=イラク戦争末期、子供たちに勉強を教えるために、黒板を背負って国境を越える教師の姿を描く。流れ者としての教育者。それがイランの現実なのだ」「監督が、棄民化した老人や危険な運び屋として生きざるをえない子供達を見つめる視線は、地をはうように低い。鋭く、しかも優しいまなざしには、老成すら感じる」

 「『夢の旅路』(マイケル・ディ・ジャコモ監督)は、作家性を全面に押し出した、リアリティすれすれのほとんど妄想に近いラブ・ファンタジー。ティム・ロスが、見方によってはかなり青臭い作品で主演しているのがうれしい。制作は監督とのコラボレーションだったそう」「同じ大人の寓話『海の上のピアニスト』(ジュゼッペ・トルナトーレ監督)と、完成度は比べようもないが、別の屈折した個性は感じる。特にシーツをつかったラブシーンは、女性の影の変化が抜群に美しくて心ときめいた」

 「『VERSUS』(北村龍平監督)は、2時間全てがクライマックスと言えるほどのハイテンション・ムービー。コミック・アクション・ホラーの常で内容はないが、力は充満している。4,000カットというのも尋常ではない」「アクションは多彩を極め、荒削りながら、この分野の古典となる可能性を持つ怪作」「きれいにまとまったラストを打ちこわして、さらに高い水準に引き上げる徹底ぶりに、立ち上がって拍手を送った」

 「『ポエトリー,セックス』は、『女と女と井戸の中』のサマンサ・ラング監督の新作。ヤング・ファンタスティック・クランプリ部門エントリー作品としては、完成されすぎていると思われるほど、堂々とした監督の個性が全編を貫いている」「レズビアン関係とサスペンスを巧みに絡ませながら、人間の欲望と孤独に迫る監督の姿勢は前作と変わらないが、洗練度は格段に上がった」「ケリー・マクギリスをこういう形でよみがえらせた点も高く評価できる」

 「招待作品、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『マレーナ』は、熟達の技が光る実に魅力的な作品。ことしのベスト5になりそう。年上の美貌の未亡人への、13歳の少年の恋と、ファシズム支配の下で戦争になだれこんでいくイタリアの世相をていねいに重ね合わせ見ごたえのある仕上がり」「民衆の残酷さと寛容さの両面をきっちりと描いている。名画へのオマージュに満ちた少年の妄想シーンも嬉しい」

 「『ドーベルマン』(ヤン・クーネン監督)が記憶に新しいモニカ・ベルッチは、羨望の未亡人が娼婦になり、戦後リンチを受けて髪を切られ血みどろになる役を演じた。美しいだけでは終わらない、骨のある姿勢は健在だ。」「苛酷な物語ではあるが、なつかしい気持ちに変えて終わらせるトルナトーレ流が心地よい」

 「『サイアム・サンセット』 (ジョン・ポールソン監督)は、結構深刻なテーマをコミカルに描いた佳作。おんぼろバスによるトラブル続きのツアーが笑いを誘う。次々と不幸に襲われる主人公・ペリーを、ライナス・ローチが軽妙に演じている」「色をつくり出す仕事というユニークな設定が、とても良く生かされている。サイアム・サンセットは、タイの夕陽の色の意味。ここでは平和を象徴している」

 「『ニュー・イヤーズ・ディ 約束の日』は、ロンドン在住のインド人監督スリ・クリシュナーマによる長編第2作。スキー旅行で雪崩事故に遭い、多くの友人が死に二人だけ生き残ったジェイクとスティーブン。彼等は死んだ友人たちが最後のビデオの中に残した、それぞれの夢を実行してから死のうと約束する」「思春期の青年の痛苦な心の揺れを描いた力強い作品だ。とにかく勢いがある」

 「クロージング作品は『102』(ケビン・リマ監督)。『101』の続編。超マイナーな自主製作作品から、こういった話題作まで上映してしまうのがゆうばり映画祭の特質といえるだろう」「毛皮愛好者への批判はあるものの、基調はいたってラブリィ。他愛のないストーリーを無邪気に楽しむのも、映画鑑賞の一つの姿勢だ」「グレン・クローズとジェラール・ドパルデューという名俳優が、ドタバタ喜劇を演じている」

 「ヤング・ファンタスティック・クランプリには、スリ・クリシュナーマ監督の『ニュー・イヤーズ・デイ』が選ばれた。若々しさに溢れ、この賞にふさわしい内容だ。審査員特別賞は『夢の旅路』(マイケル・ディ・ジャコモ監督)。南俊子賞は『サイアムサンセット』 (ジョン・ポールソン監督)。話題になった『VERSUS』(北村龍平監督)には、千葉真一賞が贈られた」

 「ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門グランプリは『東京ハレンチ天国 さよならのブルース』(本田隆一監督)。審査員特別賞は『L'llya〜イリヤ〜』(佐藤智也 監督)。劇場未公開のファンタスティック・ビデオ・フェスティバル部門グランプリは『ダディ&ミー』が受賞した」

 「札幌の劇場公開作品に移ろう。『レンブラントへの贈り物』は、知的なサスキア、官能的なヘンドリッキエ、母性的なヘルティエという3人の女性に支えられながら、不器用に生きるレンブラントの生涯を描いている」「監督のシャルル・マトンは、画家でもあるので、レンブラントの作品のような光と影の魅惑的な映像をつくり出した。出演俳優に合わせて描かれる作品の顔を書き替えるという思い切った試みも評価したい。2000年セザール賞美術賞を受賞している」

 「ただ、レンブラントをはじめ、肝心の登場人物がほとんど描けていない。悲劇の連続に苦しみながらも次々と作品を完成させていったレンブラントの内面が伝わってこない。それぞれの女性たちの思いも宙に舞っているようにつかみどころがない」「出だしは、様々な仕掛けを楽しむ事ができたが、サスキアが死んだ後は急に地味な展開になったように思う」

 「世の中を変えるには、何をすればいいのか。少年のアイデアが人々を変化させていく。直球タイプの社会派作品『ペイ・フォワード 可能の王国』(ミミ・レダー監督)。ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント、ハーレイ・ジョエル・オスメントという芸達者がそろった」「特にアル中のシングルマザーを演じるヘレン・ハントのうまさにうなった。95%までは、とても良い仕上がりだった」

 「そう。唐突な結末で一気に下品な映画になった。社会活動をする人は殉教者にならなければならないのか。この映画の基本は誰もが行なえる善行だったはずだ。そこまでして、観客の涙を搾り取らなければ気がすまないとは、なんとあさましい考えだろう」「厳しいねえ。『ディープ・インパクト』もそうだったが、ミミ・レダー監督は良い作品をラストで台なしにする天才だね」

 「『シックス・センス』の衝撃のラストが記憶に新しいナイト・シャラマン監督の新作『アンブレイカブル』。列車事故で乗客131人が死亡したが、ただ一人だけ無傷のままの生存者がいた。今回は最初に大きな謎を提示し、見る者を引き付ける」「どんな奇抜な展開になるのかとわくわくさせられた。しかし、予想だにしないストーリーではない。肩すかしのような真相。最も犯人らしくない人物が犯人であるという定石に沿った結末である」「伏線の張り方はうまいものだが」

 「ブルース・ウィリスとサミュエル・L.ジャクソンという取り合わせも、生かされているようには思えない。ブルース・ウィリスは『ダイ・ハード2』(レニー・ハーリン監督)のころから、アンブレイカブルだったし、サミュエル・L.ジャクソンが虚弱体質の妄想家というのもしっくりこない」

 「『ぼくの国、パパの国』(ダミアン・オドネル監督)は、思わぬ収穫だった。原作『east is east』は、父がパキスタン人、母がイギリス人の家庭に生まれたアユーヴ・カーンが初めて書いた自伝的な戯曲。最優秀ウエストエンド戯曲賞を受賞するなど絶賛された。アイルランド出身のダミアン・オドネル監督が初長篇で映画化。カンヌ国際映画祭第1回メディア賞を受賞した」「パキスタンとイギリス。異なる文化のきしみを孕んだ家族を、辛らつに、コミカルに描くという困難な課題を克服している」「権威をふりかざし暴力をふるう父親。ともすれば悪者にされがちな父親への温かいまなざしが、作品に深みをもたらした」

 「末っ子のサジをはじめ、兄弟の個性がきらめく。多兄弟家族の雰囲気が楽しい。そこに文化の違いによる危機が訪れる。父親役のオーム・プリーの熱演も評価するが、何といっても最後にびしっと決めた母親役のリンダ・バセットがうまい」「それにしても、あんなに下ネタが満載とは思わなかった」「徹底ぶりは、『メリーに首ったけ』( ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー監督)以来だね」

 「『BROTHER』(北野武監督)は、日・英合作による国際的なプロジェクト。ハリウッドのビジネス・システムと北野武の作家性を生かし合う映画製作手法としては、注目すべき成果を上げたといえるだろう。しかし、作品としてはやや期待はずれだった」「『HANA-BI』で確立した独自の映像文法が失われ、おびただしい殺戮が続くだけだ」「『ハラキリ』を盛り込むなど海外を意識しすぎたサービスも不快。北野流は、こんなにうすっぺらだったのか」

 「ほとんど死ぬためにロサンゼルスへ渡った山本を、ビートたけしならではのセンスで演じている。その虚無感はなかなか良い」「しかし縄張りを拡大するための犠牲死や日本人の連合が、物語を安易な方向へと転がして行った」「マイノリティ同士の友情というほのかなテーマ性はあるものの、見終わったあとの欠落感は否定できない」

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■銀河・映画対談2001.01

■銀河・映画対談2001.01

 「『愛のコリーダ』は、25年前の日本での公開時には一部シーンはカットされ、シーンによっては全面にぼかしがかって、何をしているのかさえ分らないほどの『修正』がなされていた」「今回『愛のコリーダ2000』としてよみがえった作品は、一部にぼかしはあるものの、修正はごくわずかで何をしているかはすべて分かる。ショッキングなラストは修正なしで公開された。やっと、日本で『愛のコリーダ』が劇場公開されたと言っていいだろう」

 「1936年の『阿部定事件』を、時代に抗した男女の壮絶な愛のドラマとして描いた大島渚監督の熱いまなざし。その力強く美しい映像は、戸田重昌の美術によって、さらに輝きを増している。全く古びていないばかりか、時がたってさらに魅力的になったと感じた。世界に誇りうる傑作である」「さらに、じつにさまざまな性の形態が盛り込まれていることにも驚く。『ポルノ』ではないと言われたが、日本文化を踏まえた極上のポルノグラフィでもあると言いたい」

 「定役の松田英子は、本当に逸材だった。あの存在感は誰も真似できない」「ただ、その後の不幸を知っているだけに複雑な思いになる」「ハードコアに挑戦した藤竜也の勇気は、今こそ最大限に評価したい。二人の身体は、映像な美に昇華している」「脇役も素晴らしい。中でもみすぼらしい乞食を演じた殿山泰司の『勇気』こそ、最もたたえなければならないだろう。役者だ」

 「『バトル・ロワイアル』は、国会で表現の法的規制の発言まで飛び出した深作欣二監督70歳、60本目の作品」「ヤクザ映画ならどんなに残虐な殺し合いでも良くて、中学生ならR15指定になるのは何故か。理解できない」「ストーリーは荒唐無稽のようでいて日本社会を考える思考実験としては、リアリティがある。問われているのは、大人社会のあり方だ」「冒頭『この国はすっかりダメになりました』と言われるが、登場する子供たちは、皆生き生きとした人間的な感情にあふれている。不良も含めて、こうした子供たちを恐れている大人たちのひよわさと狂気に慄然とする」

 「そして級友を殺さなければ殺されるという限界状況に置かれた15歳の中学生が、どんな選択をするのか。さまざまな道が模索されている。中でも、なごやかな雰囲気だった少女たちが、一瞬にして殺し合うシーンの異様な迫力は忘れがたい」「殺りくに満ちてはいるが、スピード感にあふれ、清清しい。甘さを排し時代を突き抜ける力に満ちた傑作」「ただ、ラストの『走れ』という文字は、蛇足だった」

 「生徒たちは、深作欣二のテンションに良くついてきていた。群像劇としての厚味もある。ビートたけしの絶妙さは評価するとして、藤原達也、前田亜季らも難しい役をこなしていた」「しかし、全員が主役という方がいいだろう」「自ら死を選ぶ者、迷いつつ逃げ道を探す者たちの中にあって、決然と殺しつづけることを選んだ相馬光子役柴咲コウの熱演が、とりわけ光った」「殺しっぷリも、殺されっぷリもすごい。他者への憎悪を抱え込んだ幼年期は描かれていないが、その不幸さが手に取るように伝わってくる」「柴咲コウは、今後が楽しみな女優だ」

 「世界的な注目を集めた『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』以来5年ぶりの新作『アヴァロン』。今回も先進的な技術を使い、今まで見たことのない美しい質感を表現している」「これまでのデジタル処理の多くが、アニメ的手法を実写に持ち込む試みだとするなら、この作品は実写をもとにアニメを製作するという方法を取っている。実写とアニメは、デジタル技術の進歩の中で、競いながら溶け合っていくのだろう」

 「体感型ネットワーク・ゲームの隠されたフィールドを探るというテーマは、目新しいものではない。しかし、歴史が重層化しているポーランドでオールロケし、セビア色を基調にしたスタイリッシュな映像は、間違いなく押井守の作家性に貫かれている」「コーラスを多用し荘厳なまでに構築された川井憲次の音楽は、ストーリーの神話性を高めていく。現実に迫ろうとして異世界を描く押井守は、閉塞的な神話世界との危うい闘いを続けている」

 「『アサシンズ』のマチュー・カソヴィッツ監督が、苦みのきいた娯楽作『クリムゾン・リバー』を作り上げた。山岳アクション、猟奇的殺人ミステリー、閉鎖的な大学空間。この意外な組み合わせによって『クリムゾン・リバー』は、スリリングな展開をみせる」「たるみのない展開と力強い映像は見ごたえ十分。こんなに多彩な見せ場を盛り込んだフランス映画は珍しい。ハリウッドなら評価しないが、フランス映画の今後にとっては意義がある」

 「映画はタイトルから衝撃的。無数の裂傷を負い、腐敗しかかった死体がクローズアップでなめるように描かれていく。あまりにリアル。あまりにショッキング。『セブン』(デビッド・フィンチャー監督)と違い、実に即物的な描写だ」「監督の強引にして魅力的な映像が幕を開ける」

 「ジャン・レノとヴァンサン・カッセルが刑事役で登場する。レノの独特の存在感は謎に包まれた物語にぴったり。ヴァンサン・カッセルは、息を飲むような武術を見せる。実際に鼻を骨折したほどの熱演。ナディア・ファレスは、難しい役で今後の飛躍を予感させる」「娘をひき殺され発狂した母親役を、かのドミニク・サンダが演じていたのは、思わぬ拾い物だった」

 「ナイキのテレビCMで 一躍有名になったアントニー・ホフマンの初監督作『レッド・プラネット』。『火星地球化計画』をベースにしたSF作品。ストーリーも映像も、飛び抜けて独創的という訳ではないが、見事な火星の風景、緻密な音響設計、滑らかなロボットの動作、多彩な登場人物、スピーディな展開と、いずれも時間をかけてつくられたことが分かり、全体としては、かなり密度の濃い作品になっている」「CGに依存した派手なだけで大味なSFが多い中で、ハイレベルの仕上がりといえる。エマ・シャプリンの美声を含め、音楽もなかなか聞かせる」

 「『マトリックス』(ウォシャウスキー兄弟監督)のトリニティー役で有名になったキャリー=アン・モスが、宇宙船の船長ボーマンを演じている。次々に襲いかかる困難な状況を、独力で乗り越えていく。タフ。しかも人間的な優しさも持ち合わせている。『エイリアン』のリプリーをほうふつさせる。いや、リプリー以上に冷静だ」「ヴァル・キルマーら男性たちも個性的。哲学的な思索にふけるベテラン宇宙飛行士のシャンティラス役にテレンス・スタンプを充てたのは、巧みなキャスティングだ」

 「『キャラバン』は、ヒマラヤ4000メートル以上の山地でのオールロケによる作品。構想10年。80年代からネパールに住んでいたエリック・ヴァリ監督は、3年間ドルポの村に住み、村人との信頼関係を築いていった。その結果、大自然の中での壮大なドラマを、村人たちが演じるという困難な課題を克服することができた」「写真家でもある監督だけに、自然の切り取り方が抜群に美しい。そして、人間と自然のたぐいまれな距離感は、そこに住んでいる者でなければ、なかなか生まれないだろう」

 「麦を得るための命懸けのキャラバン。そこに指導者をめぐる世代間の対立を絡める骨太の構図。なんといっても長老ティンレ役ツェリン・ロンドゥップの渋い演技が光る」「ただ、死に際に、それまで憎んでいたカルマとすんなりと和解するシーンは、ちょっと違和感があった。もっとも、心の奥底で通じ合っていたとも考えられるが」「子役パサンを演じたカルマ・ワンギャル少年の、涼し気なまなざしが印象的。次期指導者の片鱗を感じた」

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■謙虚に歴史を振り返ること!

 このところの日本全体を覆っている「子どもじみた」雰囲気を、危険に感じている。謙虚に歴史を振り返り、再び過ちを犯さない決意が必要だと思う。かつては現実を無視した理想主義が批判された。しかし今は、理想なき現実主義こそ批判されなければならないだろう。
 私たちの本当の誇りは、歴史に目をつぶって得られるものではない。気絶しそうなほどの、人類の残虐な歴史を見つめ、私たちの先人の過ちを認め、にもかかわらず、絶望したり、諦めてしまわずに、自分のできるささやかな取り組みを続けることの中にしかない。

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■銀河・映画対談2000.12

■銀河・映画対談2000.12


 「『初恋のきた道』を観て驚いた。力強く熱気に満ちあふれた『紅いコーリャン』や、スタイリッシュで濃密な空間描写に徹した『紅夢』を突き付けたチャン・イーモウ監督は、まったく別の世界を紡ぎ出した」「町から赴任してきた若き教師と村の娘の恋を中心にした小さな物語。美しい自然描写の中で、けなげな恋が描かれる。いとおしく忘れがたい味わいを残す。映像は変ぼうしたが、テーマにふさわしい映像を作り上げる確かな手腕は変わらない」

 「チャン・ツィイーのデビュー作である。いち早くツィイーの才能を見つけたチャン・イーモウ監督の慧眼に感心する。私たちは、先に『グリーン・デスティニー』(アン・リー監督)の勝ち気で意志の強いチャン・ツィイーの演技を知っている。だから、『初恋のきた道』での素朴な笑顔やちょこちょこ歩きが、自然なしぐさではなく演技であることも分かる。それでも、彼女の愛くるしい表情は、私の胸をときめかせる」「ツィイーは、2000年の新人賞だね」

 「『鮫肌男と桃尻女』でさっそうと登場した石井克人監督が、独特のユーモアをさらに押し進めた新作『Party7』。アニメも音楽もかなりテンションが高い。何よりも心地よい空虚な笑いが、最高にポップだ」「ばかばかしい会話がえんえんと続く、バラバラの会話劇のような構成だが、ラストで帳じりを合わせる見事さに脱帽。映画から離れているようで、しっかり映画している」

 「会話劇を盛り上げているのは、コミカルなキャラクターに徹した俳優たちの努力のたまもの。浅野忠信は、どんな役にも難なく入り込んでしまうが、今回の役はそんな中でもピカ一だろう。『風花』での文部省官僚役よりも驚いた」「そして、特筆すべきなのは原田芳雄のおかしさ。これまでのハードなイメージを一変させている。くすりとさせるユーモアのセンスは持っていたが、今回は抱腹絶倒の演技」「60歳の原田芳雄、恐るべし」

 「『ことの終わり』。『クライング・ゲーム』や『インタビュー・ウイズ・バンパイア』で、濃厚にして屈折した愛を表現したニール・ジョーダン監督だが、今回はグレアム・グリーンの原作の味わいを保ちながら、戦時下の激しい不倫劇を気品に満ちた映像で描き出した。神の視点を加えた古典的な展開ながら、見終った後には狂おしい思いが残る。少しばかり胸が締め付けられるような気持ちになった」

 「『イングリッシュ・ペイシェント』(アンソニー・ミンゲラ監督)で、忘れがたい演技を見せたレイフ・ファインズ。ベットシーンを含めて、どんな場面でも品位を醸し出す存在感は貴重だ」「ジュリアン・ムーアは高級官吏の妻にしては、崩れかけた雰囲気が強すぎるものの、不倫の関係に溺れていく姿は説得力があった。マイケル・ナイマンの音楽が、悲劇を盛り上げるが、どの作品も同じように聞こえるのはいただけない」

 「『ホワット・ライズ・ビニース』は、ロバート・ゼメキス監督が、全身全霊でヒッチコック監督に捧げたオマージュ。ヒッチコック作品の変奏の嵐。その徹底ぶりに感心し、ときには口元が緩む。大きな仕掛けではなく、細部を積み重ねることで恐怖や謎を膨らませいく繊細な手つきは、ヒッチコックが乗り移ったように見事だった」「私はゼメキスと感性が合わず、評価が高かった『コンタクト』も『フォレスト・ガンプ 一期一会』も、神経を逆撫でされて不快な印象を持った。しかし、今回は鏡を効果的に使う繊細な演出によって、するりと作品の世界に入り込むことができた」「ラストのホラーは、ヒッチコックからの逸脱だが、ゼメキスのお遊びとして許してあげよう」

 「ハリソン・フォードが、ノーマンという名前で登場したときから、ただならぬ展開が予想された。これまでの俳優像を利用して、意外性を高めていく知能犯的な配役だ。ハリソン・フォードにとっても、大きな位置を占める作品となっただろう」「そして、ミシェル・ファイファー。最初からラストまで、彼女の演技にくぎ付けになった。不安が増殖していく過程を、美しい表情の変化でみせる。『恋のためらい』とは、まったく別の新しいファイファーがいた。ぞくぞくするほど魅力的だ」

 「『ライオン・キング』の舞台演出で、高い評価を得たジュリー・テイモアの初映画作品『タイタス』。シェイクスピアの戯曲中、最も残虐と言われている『タイタス・アンドロニカス』を大胆に組み替えて、ケレン味に満ちたスキャンダラスな映像世界を構築している」「確かに果敢な挑戦であり、想像力の豊かさも認めるが、今一つ突き抜けた美しさに欠ける。残酷なシーンの手前で引き返してくるような躊躇が感じられる」「だから、ラストの希望もさほど心に響いていない。ピーター・グリーナウェイ監督に似ている面もあるが、知的な悪意は感じられない」

 「何と言ってもタイタス役アンソニー・ホプキンスの名演技をたたえなければならない。彼の存在感がなければ、この作品は総花的なイメージの乱舞に拡散していたかもしれない。強引な展開にリアルさを与える力には脱帽する」「個性的なキャステイングだが、ラヴィニア役のローラ・フレイザーが鮮烈に印象に残った。まずタイタスの従順な娘として可憐な美しさを見せる。やがて、彼女は強姦され、舌を抜かれ、両手首を切り落とされて、そこに小枝を刺される。血を吐きながら無言で嘆く悲壮な姿は、痙攣的な美しさに満ちていた」「文句なく残酷美と呼べるのは、このシーンくらいだろうな」

 「『クレイドル・ウィル・ロック』は、ティム・ロビンス監督、5年ぶりの新作。不況と労働者のストライキが続く1937年の荒れたアメリカ。マーク・ブリッツスタインが作曲し、オーソン・ウェルズが演出した舞台『ゆりかごは揺れる』は、政府によって初日前日に中止された。しかし危険を顧みず舞台を成功させようと立ち上がった人々が、奇跡の舞台を生み出す。この歴史的な実話を中心に、大資本家ロックフェラー、大富豪マザーズ、ムッソリーニの元愛人サルファッティ、メキシコ人画家ディエゴ・リヴェラなどなど、じつに多彩な人物が登場する」「広い視野で多面的に1930年代のアメリカを描こうという意気込みが感じられる。その意欲は貴重だ」

 「歴史を複眼的に取り上げようという狙いは理解できる。しかし、そのためには3時間は必要だろう。さまざまな魅力的な人物が登場し、俳優たちも熱演しているが、駆け足の展開ではやはり物足りない。もっとじっくりと人間を描いてほしかった」感動的な舞台をそれだけに終らせるのではなく、資本家たちの思惑に抗した表現者たちの誇りとして位置付けたかったのだろうが、多くの話を盛り込み過ぎて焦点がぼけてしまいがちだった」「たしか歴史の多面性は伝わるが、散漫な印象も残った」

 「『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(ラース・フォン・トリアー監督)は、第52回カンヌ国際映画祭のパルムドールと主演女優賞をダブル受賞した。ドキュメンタリー風の映像とミュージカルシーンの緊張した二重構造で、チェコからアメリカに移民したシングル・マザー・セルマの痛ましい悲劇が描かれる」「深々とした裂け目をつないでいるのが、セルマ役のビョークの演技を超えた身ぶりと歌声。アメリカ社会の絶望的現実と人間の尊厳に満ちた希望が、こんな形で映像化されるとは」「ハリウッド映画では、けっして到達できない奇跡的な高みが、実現している」

 「ミュージカルを愛しつつアメリカミュージカルの浅さ、いいかげんさを認識していたトリアー監督は、思いもかけない方法で、ミュージカルを蘇らせた。これほどまでにミュージカルを生かしながら、既存のミュージカルを、そしてミュージカルを生み出したアメリカを批判しえた作品は初めてだ」「ミュージカルの舞台に立つことを夢見ていたセルマは、最も過酷な場面で、その夢を実現する。想像するだに恐ろしいアイデア。そして、打ちのめされるラストシーンが、本当はセルマの勝利だということに気がつくのだ」「20世紀を締めくくるのにふさわしい傑作」

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2004.03.11

■銀河・映画対談2000.11

■銀河・映画対談2000.11


 「『アンジェラの灰』(アラン・パーカー監督)は、映画を観ただけでは、『アンジェラの灰』という題名の意味は分らない。フランク・マコートの自伝的小説の前半部分を映画化しているから」「アイルランドでの貧しい家族の姿を手堅く描写するアラン・パーカー監督。アイルランドがあまりに暗く、アメリカがあまりに明るく描かれているのは、時代的な制約だろう。こういう『おしん』的な作品は、久しぶりだ」「確かに歴史的な真実ではあるが、次第に実感が伴わなくなっている。それでも、こうした作品で貧困と差別の過酷さ、そして希望を失わない少年のまなざしが描かれると、現在も同様な事実があることに気付かされる」

 「フランク少年を演じるジョー・ブリーン、キアラン・オーウェンズ、マイケル・リッジの素晴らしさは、いうまでもない。こういう作品は、子役で決まるといっても過言ではない。母親アンジェラ役エミリー・ワトソンと父親役のロバート・カーライルは、ともに不幸と屈折した心情が似合う側面を持っている」ロバート・カーライルの父親は、繰り返し繰り返し描かれてきた愚直で不器用な父親像なのだが、やはり胸に迫る」「ラストは、明るいが複雑な思いが残る。アメリカへ向かうフランクの笑顔に、次々に死んでいった兄弟たちの影がちらついてしょうがなかった」

 「『グリーン・デスティニー』(アン・リー監督)は、武術の達人たちが大自然の中で闘い、悲劇的なロマンスが繰り広げられる。闘いは壮絶の一言。そのすさまじさに圧倒された」「とりわけ、女性同士の闘いは、美しさと激しさが交差しながら、長い時間、息もつかせぬ格闘が続いていた。さらに、ロマンスまでも、格闘なしには進展しないほど、全編を闘いが支配している。格闘から抱擁につながっていく流れは、意外な官能性でため息が出た。絶えまなく移動して壮大で多彩な自然の表情に浸り、美意識に支えられた武術の高みを楽しみつつ、大時代的な悲恋を味わう」「一歩間違うと大味な作品になりがちな題材を、巧みに料理し、大作の風格を持たせることに成功している」

 「リー・ムーバイ役チョウ・ユウファとユー・シューリン役ミッシェル・ヨーの二人は、ベテランの貫禄。人間離れした技を見せても、場がしらけない」「予想外の存在感があったのが、イェン役のチャン・ツィイ。政略結婚を間近に控え、自由への憧れに胸を焦がす少女が、密かに学んできた武術を生かして、無謀な冒険を始める。華奢な身体ながら、その情熱が全身にあふれ、なによりも勝ち気で意志的なまなざしが印象的。可憐さと暴力性を兼ね備えたイェンを見事に演じていた」

 「ボーダーライン・ディスオーダー(境界性人格障害)と診断された17歳の少女が、精神科で過ごし交流する中で、次第に自分を取り戻していく『17歳のカルテ』(ジェームズ・マンゴールド監督)。スザンナ・ケイセンの原作に惚れ込んだウィノナ・ライダーが、製作総指揮と主演を務めている。17歳というのは、いかにも無理があるが、力の入った演技を見せる」「1967年という時代の精神医療への批判は、現在ではかなり克服されているので、個性や多様性を尊重しようという主張は、それほどインパクトがない」

 「ウィノナ・ライダーの演技が、ややきれいごとに流れている一方、アンジェリーナ・ジョリーが反抗的な少女像をくっきりと浮かび上がらせる。なかなかの迫力。アカデミー賞最優秀助演女優賞もうなずける」「ラストでのウィノナ・ライダーとアンジェリーナ・ジョリーの対決は見ごたえがあった。その他、ハリウッドの新進若手俳優たちも難しい役柄を掘り下げ、好演している」

 「『カル』(チャン・ユニョン監督)には、血がはんらんしている。複数の死体を切り刻み、パラバラにして人の集まる場所に捨て、気に入ったパーツを取っておいて縫合する。猟奇殺人ものがタブー視されている韓国で、猟奇殺人の王道を行く本格的なスプラッター・スリラーが誕生した。スーパーのエレベーター、高速道路、グラウンドなど、死体の発見されるシーンが素晴らしい。映像とストーリーに迫力がある」「韓国の警察には『現場検証』という言葉がないのか、と突っ込みを入れたくなる場面もあるが、展開が早く、意外性に富み、複雑な謎が散在し、飽きさせない。韓国映画の勢いが感じられる1作だ」

 「『8月のクリスマス』(ホ・ジノ監督)で共演したハン・ソッキュとシム・ウナが、全く違う役柄で登場する。刑事役ハン・ソッキュは最後に職業意識を失い、シム・ウナは弱々しく清楚なイメージが豹変する。ハン・ソッキュの俳優としての力量は、折り紙付きだが、スヨン役のシム・ウナは『8月のクリスマス』以上に美しくなり、演技もうまくなった。可憐に見えながら、底なしの男性嫌悪を内に秘め、殺人を楽しんでさえいる悪女を演じて、背筋を凍らせる」「心に大きな闇を抱えたまま理不尽に殺されるオ・スンミン役ヨム・ジョンアも、強く印象に残った」

 「馬肉的な質感の『カルネ』。あの衝撃は、忘れられない。そして、待ちに待った続編『カノン』(ギャスパー・ノエ監督)が完成した。予想通りのねちっこい感触。娘に恋をした父親の世界への憎悪と赤裸々な欲望が、独白となってこだまする。怒りは、叩き付けるような映像によって、増幅されていく。私たちは引きずられるように、彼の後をついていかざるをえない」「あらゆるタブーに頓着することなく、己の下品な感情をむき出しにする父親に、爽快感さえ感じた」

 「問題のラスト。いかがわしさとリアルさのぎりぎりのところで遊ぼうとするギャスパー・ノエ監督の真骨頂だろう。『Attention!』の点滅では笑いと期待がないまぜになった」「良識派の批判にも配慮したユーモアだ。近親相姦のシーンも巧みに回避している。そして2つの結末が用意された。血塗られた破滅と愛による救済。多くの観客は時間的な関係で、希望に満ちたラストと受け取ることだろう。ここにも批判をかわす狡獪な遊びがみえる」「ヤン・クーネン監督が『上映したら殺される』と警告した作品は、高い評価を得ることになった。天晴れ!ギャスパー・ノエ」

 「『風花』は、監督デビュー20周年の相米慎二監督、13本目の作品。北海道でのロケがとても良く生かされているからか、さっぽろ映画祭2000のオープニングを飾った。小泉今日子と浅野忠信の顔合わせ」「小泉今日子は落ち目の風俗嬢、浅野忠信はアル中の文部省官僚という意外な役どころ。二人とも、新しい魅力を見せた」「小泉今日子にとっては、アイドルから完全に脱した記念碑的な作品となった。目尻のしわが、とてもいい」

 「東京で生きている実感を失いかけ、死を望み始めた二人が、死に場所として北海道へと旅立ち、富田の実家に向かう。春の兆しを感じさせながら、なお雪深い山の中で、富田は睡眠薬自殺を図り、澤城は必死に介抱する」「大自然の癒し力が、二人を立ち直らせる...。こう書いてしまうと、つまらないストーリーになる。しかし、相米監督の緊密にしてとりとめのない映像、ユーモアに満ちた屈折した会話によって、不思議な味わいのラブストーリーに仕上がっている」

 「相変わらず、驚異的なペースで新作を発表し続ける三池崇史監督。好き放題、したい放題に独自世界を突き進んでいる。『漂流街 THE HAZARD CITY』も馳星周の原作を、自分の映像センスでねじ伏せた」「冒頭、日本の入国管理局のバスをヘリコプターで襲撃するシーンで、もう開いた口がふさがらない荒唐無稽さ。軍鶏に『マトリックス』させるために、わざわざ緻密なCGを使う不敵さ、クライマックスシーンになんと卓球を登場させる馬鹿馬鹿しさ。映像にセンスとパワーがなければ、投げ出してしまいそうになるが、そこは三池マジック、しっかりと楽しませてくれる」

 「登場人物の背景説明はほとんどない。しかし、誰もが生々しい個性を露出させながら、あばれまわる。チャイニーズマ フィア・コウ役の及川光博の冷え冷えとしたニヒリズムにぞくぞくした。13年ぶりに映画出演した吉川晃司は、新しいヤクザ像を映像に刻み込んでいる。蹴った缶がカメラのレンズに当たるというラストは、やや平凡」「一度はやってみたいシーンだとは思うが」

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■銀河・映画対談2000.10

■銀河・映画対談2000.10


 「ゴダールが20年の歳月を注ぎ込んだライフワーク『映画史』。蓮實重彦氏が『20世紀が後世に誇れる何かがあるとしたら、とりあえずはゴダールの『映画史』しかないと自信をもって言える時が必ず来ると思う』とまで言っていた作品。大きな期待とともに不安も感じていた。第1章。『何も変えるな、すべてが変わるために』というブレッソンの言葉と『戻るは大事業、大難事』という詩人ウェリギリウスの言葉が浮かぶ。そしてヒッチコック『裏窓』のジェームズ・スチュワートが望遠鏡をのぞきこむシーンのクローズアップが続き、おびただしい映像が次々と重なる。音楽が、言葉が土砂降りのように降り注ぐ。とても、ついていけない。断片から断片へとつながる意味を考える間もなく変化する映像に打ちのめされた」

 「しかし、第1章、第2章の苦行を通過すると、展開はかなり分りやすくなる。ジュリー・デルピーがボードレールを読むシーンでほっとする」「そして、意味を言語化するのではなく、映像の変化に無心で身をまかせる面白さを知り始める。性と死をテーマとする映像の連鎖、サラエボの悲劇を批判する声から『無防備都市』などのイタリア映画へ、ヒッチコックへの率直なオマージュ。見なれたシーンの間にいかがわしい映像が紛れ込み、唐突に政治と映画がシンクロする快楽。思わぬ切り口から映画の歴史が示される」「通常の映像による歴史記述ではなく、映像的に編集された歴史、映像的な思考への誘いでもある。そう考えると、かえって言葉に頼り過ぎるゴダールが気になり始める。視野の狭さという限界も見えてくる」

 「ゴダールが切り開こうとした映画史の可能性を、さらに広げられるのではないかという気持ちになる。誰もが映像を編集することが可能な時代になったのだから。映画の裾野はもっと広く、編集の仕方はもっと深い。ゴダールがたえず自分に引き付けて映画を語ったように、誰もが映像とともに自分を表すことができる」 「そんな思考へと駆り立てる力が、この作品には充満している。浅田彰氏が言っているように『それを体験し、そこからどれだけ生産的な反響を引き出させるかが、われわれに問われている』のだろう」

 「ベストセラー・コミックの映画化『X-MEN』。ブライアン・シンガー監督は、冒頭で差別・隔離・抹殺の象徴であるアウシュビッツの場面を置くことで、ミュータントと人間の共存についての思索を促そうとしているかのようだ」「ミュータント集団が人類との主戦派と共存派に分かれて闘うという悲劇的な枠組みよりも、触れた人の生命力や能力を奪う『力』に悩むローグの姿が痛々しい」「他者と関係をもつ事を恐れる思春期の怯えともつながり、その苦しみが伝わってくる」「社会派的な展開に続いて戦闘が始まるが、ハリウッドの大袈裟なアクションシーンを見なれた目には、やや地味に見えた」「ただ、さりげない場面での心憎いCGには、にやりとさせられた」

 「キャスティングは、めりはりがあって面白い。パトリック・スチュワートとイアン・マッケランの老練な演技とともに、アンナ・パキン、ファムケ・ヤンセン、ヒュー・ジャックマンらが魅力的に演じている。ミュータントたち、それぞれの個性も自然に描き分けられているが、レベッカ・ローミン=ステイモスが演じたミスティークだけは、冷徹さ以外の性格がそぎ落とされている」「見事なプロポーションは印象に残るけれど、人物像は空虚だった」

 「前作『スターシップ・トゥルーパーズ』のいかがわしさについては、批判的だが、その毒の強さは認めたる。新作『インビジブル』は、最新のCGを駆使した透明人間への変化の映像に寄り掛かった駄作。コメディ化しがちな透明人間ものに恐怖を持ち込もうという狙いは、見事に外れた」「最初のこけおどしのシーンからして志が低い」「透明人間になることで、潜在的な暴力が目覚めるという設定もリアリティが薄い」「お得意の性的描写が意外に控えめ。最後は、ハリウッドお決まりのアクションシーンで、めでたしめでたし。どこにポール・バーホーベン監督らしい悪意があるのか」「『ショーガール』のラズベリー賞には異議があったが、今回は文句なく推薦したい」「ただし、ジェリー・ゴールドスミスの音楽は、かなり気合いが入っている」

 「見せ場は、透明化したゴリラの可視化、そしてケビン・ベーコン扮するセバスチャン・ケインの透明化と、可視化の失敗。皮膚が消え、うごめく内臓がむき出しになり、やかて骨だけになる。10年前なら驚いただろうCGも、今では迫力不足」「『ハムナプトラ』(スティーブン・ソマーズ監督)のミイラの復活シーンの方が、まだ印象的だった」「考えてみると、内臓から透明化して皮膚は最後に透明化するはず。皮膚から順に透明化するというシーンは、見せ物小屋の発想だ」「恋人同士だったセバスチャンとリンダが、葛藤もなく殺し合うのを見て、バーホーベン監督の病んだ心が透けて見える気がした」

 「『ブリスター!』(須賀大観監督)は、今年の夕張映画祭で見逃してから、ずっと気になっていた作品。期待を裏切らないハイテンションの映画だった」「幻のフィギュア『ヘルバンカー』を探す熱烈なフィギュアフリーク・ユウジとその恋人麻美、そして二人を取り巻くフリークたちの物語。フリークたちの生態をリアルに再現するかのように見せて、実はSFコミックの嘘くさい世界に引き込んでいく。その虚実の揺れがなんとも面白い」「フリークの映画だけに細部をとても大切にしながら、大きな虚構を楽しもうという監督の意気込みが、ビシビシ伝わってきた」

 「ユウジ役の伊藤英明は、はまり役。『クロスファイア』(金子修介監督)より、ずっといい」「コミック『ヘルバンカー』をはじめ、登場するフィギュアは皆オリジナル作品。その力の入れように驚く」「エネルギッシュな音楽もメジャーデビュー前の新人たちが参加している」「それぞれの分野の若い才能が結集し、ほとんど『おたく』的なこだわりで制作されただけに、その熱気は映像の隅々にまで行き渡り、心地よい感動を運んでくる」「掘り出し物のフィギュアをみつけた時のような気持ち。長く記憶されることになる作品だろう」

 「民族派パンクバンド『維新赤誠塾』のメンバー雨宮処凛と伊藤秀人を追った反天皇主義の土屋豊監督の作品『新しい神様』。元赤軍派議長・塩見孝也の誘いで北朝鮮を訪問し、『よど号』事件のメンバーに出会うなど、貴重な映像があるものの、この作品は右翼、左翼をめぐるドキュメンタリーとはいえない」「雨宮処凛に個人的な関心を持った監督が、彼女にカメラを渡し、彼女がレンズを通して監督の向けて真情を告白する映像が大半を占め、やがて彼女も監督に好意を抱き始める。最後に監督自身が彼女への愛を表明する。映画制作を通じて急接近する二人の関係を記録した恋愛作品といった方が、いいだろう」

 「『天皇陛下、万歳!』と叫ぶパンクバンド、北朝鮮の映像記録、一水会の会合、雨宮処凛、伊藤秀人、土屋豊による宴会(?)とさまざまな映像で構成されているが、圧倒的に面白いのは雨宮処凛のユーモラスなほどに率直な告白だ」「酷いいじめに会い、自己嫌悪から自殺未遂を繰り返していた彼女は、鮮やかな生き方を示す民族派に出会い、救われる。切実な選択をした自分を巧みに相対化しながら、そのときどきの気持ちを語りかける彼女の表情が魅力的。ただ、それが監督個人に向けたものであることに気がつくと複雑な思いにとらわれる」

 「彼女は、カメラに語りかけながら、民族派の思想から、少しずつ自律し始めているように感じる」「監督との恋愛が代替しているのかもしれない。彼女が求めていたのは、依存だから。だが彼女は依存から抜け出そうという欲望も持っている。この辺の微妙な揺れが、この作品を貴重なものにしている」「彼女以外の映像を大胆に刈り込むことで、ポップな作品になった。その点を物足りなく感じる人はいるだろうが」

 「『五条霊戦記』。源氏の再興を目指して育てられた遮那王(しゃなおう)こと源義経は、山にこもり日々武術、妖術の鍛錬を続け、五条大橋で平家武者を次々と切り『鬼』と恐れられていた。影武者・芥子丸(けしまる)と護衛僧兵・剛人(ごうじん)を連れ、殺戮を繰り返した。修業を続けていた弁慶は『鬼を退治せよ』という啓示を受け、義経を討つために京に戻る。対決を阿闍梨に邪魔されるが、源義経は断食行によって『一切の神仏は無用』と悟り阿闍梨を斬殺、弁慶との闘いに臨む。義経と弁慶の物語を、血なまぐさい濃密なアクション作品に仕上げるという果敢な試み。最後には、力対力のテンションの高い決闘が待っている」

 「過剰な暴力を描かせたら、右に出る者がなかった石井聰亙監督。強度に満ちた映像は、ぞくぞくする興奮をもたらした。新作は、たしかに力強いが、かつてのような途方もない逸脱を用意している訳ではない。激しくはあるが、呆れ返るほどのスピードや破壊はない」「最後に赤子が出てくるが、石井聰亙らしからぬ平凡さだった。ただ、浅野忠信の氷のように冷え冷えとした鋭さが、隆大介の熱い重さと対照的で、不思議な魅力となっていた。鉄吉役の永瀬正敏も、相変わらずうまい」

 「まるバ会館で宮崎淳作品集が公開された。『真空氷』(1990年8ミリ映画・24分)『BORDER LAND』(1999年16ミリ映画・15分)『FLIP LIGHT CRUISER』(1998年16ミリ映画・10分)『RAPID FIRE』(1996年ビデオ・10分)『PRASTIC TEAR』(1995年ビデオ・5分)『DESIER』『MOTION PHOTOGRAFFITI』(2000年)。 宮崎淳氏は1988年の卒業製作が第2回イメージフォーラムフェスティバルで大賞を受賞した。現在、東京造形大学非常勤講師。フィルムで試みた多重のイメージを組み合わせる先駆的な映像手法は、今日デジタルフィルムによる標準的なスタイルとして定着している」

 「『真空氷』は、炎をモチーフにした作品。イメージフォーラムフェスティバル1991の"エクスペリメンタル・イマジネーション賞"を受賞している。今見ると、丁寧ではあるが、きらめくような才能は伝わってこない。『BORDER LAND』は、時間軸を持った写真という感じ。冷たい映像は確かに綺麗だが、音楽がないので観続けるのがしんどい。『FLIP LIGHT CRUISER』は、都市と女性を描いてとても魅力的。ファッショナブルな映像のつながりに力がある。『RAPID FIRE』も速度に乗った映像のきらめきが美しい」「『PRASTIC TEAR』は、危険な香りの短編。唇と有刺鉄線が刺激的だ。『DESIER』はプロモーション・ビデオ。宮崎淳らしいのだが、一般のビデオクリップとしてみても違和感はない。それほど、彼の手法が浸透しているということだろう。『MOTION PHOTOGRAFFITI』は、日記的な写真のコラージュ。手馴れているが、何故か物足りない。満ち足りているからか」

  「MIX2000ムービーショーケース&クリエイティブ・カンファレンスが、10月5、6の両日、札幌のジャスマックプラザ・ガイアで開かれた」 「5日のムービーショーケースは、『第3回インディーズ・ムービーフェスティバル』の短編入選作18作品を一挙公開。クリエイティブ・カンファレンスでは、セッション1『日本映画、21世紀の戦略(若手監督、映画制作会社に聞く)』と題してBUGの佐々木邦俊氏がモデレーターを務め、 早川 渉(映画監督)、佐々木昭雄(カルチャー・コーディネーター)、 橋本申ニ(スタイリスト、インディーズムービーフェスティバル・ディレクター)の3氏がパネラーとして、意見を述べた。セッション2『ショート&インディーズが変える新しい映像スタイルと新市場』では、久保俊哉氏(マーヴェリック・クリエイディブ・ワークス代表)がモデレーター、西村秀雄(インディーズ・ムービープロジェクト実行委員会代表)、高橋敬子(アメリカンショートショート実行委員プロデューサー)、アンドリュー・トーマス(映像ディレクター)の3氏がパネラーとして参加、今後の可能性について意見交換した」

「『第3回インディーズ・ムービーフェスティバル短編入選作』をまとめて観た。【Part1】『e-st@rt』(15分、新井 澄司監督)は、近未来アンドロイドもの。手作りで未来のせつなさを表現しようと努力しているが、少し無理が目立つ。『Syo SyoN 〜ショション〜』(11分、野口 康一監督)は、銃への志向が露な17歳の生々しい感性が、お笑いすれすれの映像を切実なものにしている。『駒奴―コマンド―』(12分、西田 啓太監督)は、だじゃれ的なアイデアを最大限に膨らませた力強い怪作。将棋ギャグで笑いをとる才能は貴重だ。一押し。『BOX』(13分、元川 達也監督)は、観覧車の中に大金があったらという設定。時間差攻撃が生きていない」

 「【 Part2】『いずれ得る光』(15分、後藤 紀幸監督)は、とても力が入っている。ここにも銃弾が出てくる。見えない敵との闘い。しかし、緊迫感が伝わっていない。『Quiet Landing』(12分、大西 悟監督)の自分探しの映像はリリカルで気持ちが良い。やや一本調子ではあるが、静止画を取り込んだ映像センスは高く評価できる。『オ・ハ・ヨ』(13分、岩松 顯監督)の心象風景はストレートに響いてくる。孤独、ギャグ、暴力、空騒ぎ。現代を描く一つの手法だろう」

 「【Part3】『あの向こう側へ』(18分、谷 大将監督)は、野菜に目とまゆをつけただけのあまりにも素朴なアニメ。しかし、哲学的な領域にまで踏み込んでいく脚本力はあなどれない。どんな展開になるのかと引き込まれた。切れの良いオチを期待したが、ラストは弱い。『手と卵』(15分、那賀島 康晃監督)は、とぼけた味わいの粘土アニメーション。男性の鬱屈感を表現しようとしたのだろうが、構成力のレベルが低すぎる。『摩訶不思議』(10分、坂本 サク監督)は、貪欲に表現可能性を探ったCGアニメーション。華やかさがある。やや統一感に欠けるが、小さくまとまっていない点に、むしろ将来性を感じる」

 「【Part4】『逢いたくて』(13分、五藤 利弘監督)は、ストーリーが臭すぎて好きになれない。『ころし日和』(19分、山口 雄大監督)は、見る者を引き付けるコツを身に着けている。ブラックなユーモアの連続技は一段抜きん出ている。『夢みるユカタン』(8分、細野 牧郎監督)は、インディーズのパワーはあるものの悪いところにはまってしまった。何故入選したのか疑問。『無限の力 〜INFINITE POWER〜』(10分、小久保 美乃亜監督)は、中学校の文化祭のために製作したもの。しかし驚くほど良く出来ている。ストーリーのオリジナリティは置くとしても、カメラアングルの的確さには舌を巻く」

 「【Part5】『匂う女』(15分、奥村 悠気監督)は、着眼点は良かったし、男優の熱演は認めるが、アイデアを生かし切る前に終ってしまった。『PORTRAIT』(13分、小山 寛史監督)は、心中を試みたものの女性が生き残り、死んだ男性の写真が『早く死ね』と迫る。ラストも含めて良くある話。『海底の雫』(10分、後藤 紀幸監督)は、美しい題名には似つかわしくない駄作。『にこにこ女』(10分、岡本 泰之監督)は、題名からは想像できない世界へと飛躍する。小気味のいいブラック・コメディ。CGの出来も及第点だ」

  「6日のショーケースは多彩。まず『サッポロ・インディーズ・ムービー』と 東京の 『インディーズ・ショート』を対比する面白い試み。『Moment』(関原裕司監督)はお馴染み。ピコグラフ作品集は『都市生活者』『のるかそるか』『TIGHTROPE』『家裁くん』の4作。『都市生活者』のセンスが傑出している。『並木道』(小野寺圭介監督 )は、照れずに叙情に徹する姿勢が清清しい。『砂』(長沼里奈監督)。冷たく落ち着かない、もどかしい作品。その他『アルバイト北海道』のCM作品が紹介された」

 「東京からは個性的な4作品を紹介。『爆弾娘の憂鬱〜恋の放射能〜』(小林エリカ監督)は、核爆弾の少女が主人公。もっとも否定されている存在を主人公し、彼女が恋するという展開。しかし、普通の生き物は放射能ですぐに死んでしまう。ブラックで可愛らしくて不気味なミュージカル・アニメーション。丈和の音楽も効果的。『抜く女』(フカサワカズヒロ監督)は、わざと汚く撮っている。あえて下品さを狙ったギャグ。『モロヘイヤWAR予告編』(蔭山 周監督)は、戦闘シーンが続くものの、監督は内向きな気がする。『サッポロ』(清水史郎監督)は、考えるだけでなく実践した勇気は認めるが下品なだけの悪ふざけ」「札幌は仮想されたリリシズムに傾き、東京は痛々しいギャグにのめり込んでいる。共通の孤独を抱えながら、やがて出会うことになるのだろうか」

 「『CGアニメーション』は、4パーツ。『しょんべん公園』(塩畑泰男監督)は、ほんのお披露目程度。完成が待たれる。プロダクションI.G.制作の『DIGITALS』、『Little Terra』(Wilson Tang監督 )に続いて『ill』(gooddy監督)が上映された。センスの良い質感のCG。男性の動きがうまい。血の表現も秀抜。女性にもっと表情があると、さらに完成度が増しただろう」

 「 注目の 『Onedotzero - "Wow & Flutter" program』(約80分)は、日本初公開。1『B-Creatures extract』(Butler Bros監督)、2『Hell for Leather』(Andy Martin監督)、3『Two Squares 』(Dylan Kendle監督)、4『3space』(Alex Rutterford監督)、5『Most Photos』(Robert Le Merle , Kate Rodgers監督)、6『Music for 18 Musicians / Steve Reich』(Jeremy Hollister監督)、7『 Salaryman』(Jake Knight監督)、8『Snack & Drink』( Sabiston & Pallotta監督)、9『Tourist 』(Spin監督)、10『Slammer』(D-Fuse監督)、11『Untitled 』(Crooked監督)、12 『Consumer cultures / Tongue 』(Stephen Wolstenholme監督)、13『July + My Chocolate Bar』(Nick@tomato監督)、14 『Tokyo Fish Market 』(John Warwicker@tomato監督)、15『Thumbnail Express』(The Light Surgeons監督)、16『Virgin Conference films 』(Why Not Associates監督)、17 『Giovanni and Dusty + Tel Aviv City Symphony』(Grant Gee監督)、18『I Never Said It Was For Ever』(Honey Brothers監督)、19 『Jubilee Line』(Tim Hope監督)と、いずれも個性があるが、『Tokyo Fish Market 』と『Jubilee Line』が、とりわけ印象に残った」

  「『アメリカンショートショート』は傑作セレクト。『The Light of Darkness』(Michael Cargile監督)、『More』(Mark Osborne監督)、『Elevator World』(Mitchel Rose監督)の3作はすでに見ていた。『Herd』(Mike Mitchell監督)は、へたうま風のSF。ちょっと『マーズ・アタック!』(ティム・バートン監督)を連想させる悪ふざけ、いじわるさだった」

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■銀河・映画対談2000.09

■銀河・映画対談2000.09


 「『マルコヴィッチの穴』は怪作の名に恥じないユニークさ。まず、とんでもない思いつきを発展させて、見事な作品にまとめあげたチャーリー・カウフマンの想像力に拍手を送ろう。そして、日常シーンとウィットに富む会話の積み重ねによって、次第にリアリティを高める手法を生かし切ったスパイク・ジョーンズ監督。CMやビデオクリップでの経験を、奇をてらうことなく、何気ない手付きで映画に持ち込み、映画の地平を広げている」

 「マルコヴィッチを体験することで自分の『男性』に目覚めたロッテを演じるキャメロン・ディアズは、ぼさぼさ頭ばかりが話題になるが、演技の素晴らしさを強調しておきたい」「ジョン・マルコヴィッチ本人も、渾身の演技だ。自分の頭の中に入った時に見る、すべてがマルコヴィッチに埋め尽くされているシーンは、俳優の虚栄を余すところなく表現して見事だった。トラウマを抱えるチンパンジーも、重要な役を演じていて忘れられない」

 「9つのオムニバス作品『チューブ・テイルズ』は、予告編が最高にかっこ良かったが、本編もテンポが良い。『ミスター・クール』(エイミー・ジェンキンズ監督)は、導入部としての軽いコント。回送電車の冷たさとその中の孤独が伝わってくる。『ホーニー』(スティーヴン・ホプキンス監督)は、セクシーな女性に挑発されてうろたえる中年紳士の物語。Hな話にサッチーや王室の映像を忍び込ませるアイデアが笑える」「『グラスホッパー』(メンハジ・フーダ監督)は、ドラッグを運んでいた青年の大いなる勘違い。ブラックだが、もう一ひねりほしい。『パパは嘘つき』(ボブ・ホスキン監督)は、地下鉄への投身自殺を子供とともに目撃しおびえる子供に『落ちた』と嘘をつく父親の姿が悲しい。背景に妻との離婚と子供との再会があるから。『ボーン』は、ユアン・マクレガー監督。アイデアは良くあるパターンだが、嫌味なくまとめるセンスはさすがだ」

 「『マウス』(アーマンド・イアヌッチ監督)は、もっともインパクトがあった。地下鉄に乗り合わせた魅力的な女性とのかかわりを、それぞれに妄想する乗客たち。その彼女が、突然大量のゲロを吐き、周囲を汚しまくる。汚物をなめる犬に熱演賞」「ジュード・ロウ監督の『手の中の小鳥』はしぶい。淋し気な老人の手の中で息を吹き返す小鳥。地上へと急ぎ、小鳥を空に放つ老人の姿にうたれる。『ローズバッド』(ギャビー・デルラ監督)は、子供の目線での心地よいリズムがあり、ささやかなファンタジーがうれしい」「最後の『スティール・アウェイ』(チャールズ・マクドゥーガル監督)は、『銀河鉄道の夜』だった。アクションシーンから始まって、感動的なドラマがあり、意外な結末へとつながっている。見ごたえのあるストーリー。ただ、やや宗教くさくなって、それまでのポップ感覚が一気に薄れた」「終着駅での失速は、評価が分れるだろう」

 「9月19日に、札幌のプレシャス・ホールでシアター・キノ主催『チューブ・テイルズ・ナイト』が行われ、アンダーグラウンド映画の代表作と若手自主制作作品が上映された。麻生知宏&中島洋監督の『YOURSELF』(1970年、8ミリ、約12分)は、2画面のマルチ上映。北大の構内で裸で8ミリを向け合った2つの映像がスピーディに駆け回る。荒々しい力がほとばしる。寺山修司にほめられたのもうなずける。居田伊佐雄監督の『オランダ人の写真』(1976年、16ミリ、7分)は、写真をコマ撮りしてアニメのように見せる。入れ子構造になっていく過程が刺激的で、古さを感じさせない。一つのアイデアをとことんまで追求する姿勢に感動した。この夜の最大の収穫」「同じ監督の『子午線通過』(1977年、16ミリ、5分)も、かなり凝った映像。どのようにして撮ったのだろうという疑問が膨らむ。小池照男監督の『生態系5番』(1988年、ビデオ版、16分)、『生態系9番』(1993年、ビデオ版、13分)は、ノイズ系の作品。目まぐるしく動く映像、神経を逆撫でする音楽が切れ目なく続く。5分くらいなら我慢できようが、15分となるとかなりきつい」「周りの人たちは耐えきれずに席を立っていった。ケミカル系のコンセプトなのかも知れない」

 「若手自主制作作品では、短編集『デジタル トンデンヘイ』(2000年、20分、菊池玄摩監督)が、奇妙な味わいがあって面白かった。長沼里奈監督の『威風堂々』(2000年、13分)は、思春期の女性のゆれる感性を定着しようとしているが、まだ手付きがぎこちない」「関原裕司監督の『We were born to die or kill』(2000年、7分30秒)は、ハードボイルドタッチのアクション作品。銃を使った緊張感は見事。センスの切れは抜群に良い。『moment』(2000年、11分)は、アメリカン・ショート・ショート・フィルム・フェスティバル2000in札幌でも上映されていた。吉田学園デジタルステージ札幌学生CG作品集は、3D作品が多かったが、あっと驚くような映像には出会えなかった」

 「『最終絶叫計画』(キーナン・アイボリー・ウェイアンズ監督)は、まず、何よりも宣伝のうまさを誉めておこう。『アメリカン・ビューティー』(サム・メンデス監督)に対するスピルバーグ監督の賛辞をパロディ化した上で『早くもアカデミー賞絶望!』のコピー。心地よいギャグだ。そして、映画の冒頭は『シックス・センス』(M. ナイト・シャラマン監督)の『お願い』のパロディ。最初から徹底している。ストーリーの基調は『スクリーム』(ウェス・クレイヴン監督)。そこに、さまざまな映画のパロディを詰め込んでいく。『スクリーム』自体が、ホラー作品のパロディの色彩が強いので、メタ・パロディになっているとも言える」

 「パロディ映画は、アイデアだけになりがちだが、『マトリックス』(ウォシャウスキー兄弟監督)のカンフー・パロディは、技術力も光っていた。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(エドアルド・サンチェズ、ダニエル・マイリック監督)の鼻水シーンは、抜群のギャグ。ラストのオチは、 『ユージュアル・サスペクツ』(ブライアン・シンガー監督)。この作品のオチ自体が、かなりいかがわしかったので、パロディ化が作品批評にすらなっていると評価するのは、深読みだろうか。ペニス殺人という下ネタさえ、ホラーのフロイト的解釈と深読み可能なのが、恐ろしい。オバカ映画に翻弄されてしまった」

 「 登場人物は、ほどほどのアクがあって、作品にふさわしい。ドリュー・デッカー役のカーメン・エレクトラは、『ベイウォッチ』のお色気を振りまいて惨殺されるし、セクシーなバフィを演じたシャノン・エリザベスは、首だけになっても熱演していた。ドゥーフィ役デイブ・シェリダンの危ない演技には、別の意味ではらはらしたが、ラストのどんでん返しで、帳消しにする巧みさだ」「そして、逸材は、シンディ・キャンベル役のアンナ・ファリス。本当は、彼女が最も怖い存在だ。ひょうひょうと、とんでもないことをやってしまう」「彼女の前では、マスクマンも形無し」

 「『ハピネス』(トッド・ソロンズ監督)は、ほのかな甘さに包まれた猛毒。監督の人徳なのだろうか。とんでもない出来事が続発するのに、登場人物は大騒ぎしない。事実を受け入れる。すべてが悲しくてユーモラスな日常の中に溶け込んでいる。犯罪者のセンセーショナルな告白は、意外なかたちで静かに行われる。映像はけっして騒がず、観る者に判断を委ねる」「監督の人間に対するまなざしの深さは、尋常ではない。ただ、あまりにも淡々としているので、時折かったるい気持ちになる。『たるさ』が、この作品の一つの持ち味なのは理解できるが」

 「三姉妹をめぐる物語に見えて、観終った後に圧倒的な印象を残すのは、姉妹の周りの人たちだ。妄想をいだきながらいたずら電話をかけ続けているアレンの焦躁が伝わってくる。しかし、アレンに関わる人物の方が、さらに屈折していることが、しだいに明らかになる」「人恋しいがセックスが嫌いなクリスティーナは、レイプした男を殺して細切れにして少しずつ捨てている。精神科医のビルは、幸せな家庭を築き良き父親であるが、なんと子供の友達を眠らせて犯してしまう。犯罪が発覚し、子供に静かに真実を話すシーンが秀抜」「監督は、どんな人物からも距離をおいて、やや斜めから優しくみつめている」

 「阪本順治監督の女性が主人公の初めての作品『顔』。主人公は藤山直美。藤山直美の存在感に対抗するように、配役がすごい。この濃さは、ただ事ではない」「豊川悦治、國村隼、中村勘九郎、岸部一徳、佐藤浩市。男たちは、とりわけ個性の振幅が大きい。それにしても、中村勘九郎が酔っ払って藤山直美を強姦したのには、心底驚いた。終った後、香典袋のままのお金を中村勘九郎に渡して『取っとけ』と叫ぶシーンにも、ひっくり返ったけれど」

 「自閉症気味の生活を送っている正子は、母が急死したことをきっかけに妹への長年の憎悪が爆発し、妹を殺して逃走する。逃走先で、さまざまな人々に出会い、心を解き放っていく。動くことがおっくうなしぐさを見せていた正子が、自転車を覚え、最後には海を泳いで逃げ続ける中で、軽やかさを身につけていく」「表情も豊かになっていく。この辺の変化は、藤山直美だけあって、さすがにうまい。過酷な状況の中での笑いも板についていた」

 「シナリオをつくらず、現場でスタッフ、キャストと話し合いながら7日間で7日間の物語を築いていく手塚眞監督の『実験映画』。撮る者と撮られる者という関係を象徴するカメラという対立性を乗り越えて二人は出会う」「コラボレーションでありながら、手塚眞の耽美性が全編を覆い、異様なまでに美しい映像が綴られていく。方法論的にも映像処理的にも、実験性にあふれているが、それが魅力となって映画を輝かせている」「稀に見る力強い美学に貫かれた傑作だね」

 「理由も分らないまま映画を撮影することになった男を永瀬正敏が演じる。自身も映像作品を発表しているだけに、カメラを持つ手付きが様になっている」「そしてミステリアスな美しさが際立つ少女役の橋本麗香。『白痴』以上に、その美貌が忘れがたい。演技に堅さはあるものの、前向きな姿勢が眩しい」「時間をかけて、大きな存在になっていく気がする」

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■銀河・映画対談2000.08

■銀河・映画対談2000.08


 「『ロゼッタ』(リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督)。なんという力技だろう。逆境をものともせず仕事を得るために闘うロゼッタから、カメラは片時も離れない。執拗に追い続ける。ロゼッタの苦しみ、ロゼッタの怒りに共鳴しながらも、ぎりぎりの距離を保ち続ける」「無駄な説明を一切省き、ロゼッタの身ぶりにすべてを語らせたリュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督の潔さ。映画への確信が眩しい」「クローネンバークが委員長を務めた1999年カンヌ国際映画祭でのパルムドール大賞獲得は、本当に意義深い」

 「暴力的なまでのエネルギーを内に秘めながら、アルコール中毒の母親を抱えながら、時折襲う腹痛に耐えて、仕事を求めて行動するロゼッタ。母親に裏切られ、職を奪われても彼女は弱音を吐かない。観る者の同情を拒絶する強さに満ちている」「そんなロゼッタが追い詰められ、優しく接してくれているリケの職を奪うために密告する」「ここで緊張の糸が切れたように、ロゼッタはガス自殺を試みる。しかし、ガスボンベが空になり、新しいボンベを買いに行く。重いボンベを運ぶロゼッタ。底抜けに辛いシーンだ」「つまずいて転び、リケに助け起こされることで、救済が訪れる」「ロゼッタ役のエミリー・デュケンヌの熱演が作品を支えていた」

 「子供たちの愛くるしい表情が忘れがたい『運動靴と赤い金魚』に続くマジッド・マジディ監督の新作『太陽は、ぼくの瞳』。1999年のモントリオール映画祭グランプリを受賞した」「テヘランにある盲学校に通う8歳の少年モハマドが主人公。妻を亡くした父は、祖母の反対を押し切り、再婚のためにモハマドを大工の修業に出そうとしていた。夏休みで故郷の村に戻ったモハマドは、家族の優しさに触れ、大自然の美しさに包まれる。しかし、幸せは長く続かなかった」「マジッド・マジディ監督は、過酷な現実を、神話的な結末で癒す」

 「盲目のモハマドの優しさ、感受性の豊かさにうたれる。風に光を感じ、石や植物の凹凸を点字に託して指で解読していく姿に、呆然とした。知らない世界を垣間見た感動。変化に富む自然が少年の内面と響きあう奇跡が、映像に焼き付いている」「『宝石』と絶賛されたのもうなずける。迷い苦しむ父親を演じたホセイン・マージゥーブのせつなさも胸にしみた。ラストの濁流でのぎりぎりの演技は、そのカメラワークの巧みさとともに高く評価されるだろう」

 「『サウスパーク 無修正映画版』(トレイ・パーカー監督)の過激なギャグに、最初は空いた口がふさがらなかった」「下ネタの連続、天国と地獄を往復しサダム・フセインまで登場するとんでもない展開のアニメ。しかし基本にある主張は『戦争反対』『検閲反対』と、いたって良識的だ」「あまりの下品さで社会問題化したTVのアニメ作品を、映画を武器に擁護するという不敵な作戦は成功した」「切り絵みたいに簡略化した作風だが、どういうわけか炎渦巻く地獄のCGだけが異様にリアル。ほとんどの人が落ちる地獄。『スポーン』(マーク・デッペ監督)以上に迫力がある。ぺらぺらでちょっとエロチックな天国との対比が素晴らしい」

 「ロッキー山脈に囲まれた、常冬の小さな町コロラド州サウスパークが舞台。カナダのコメディアン、テレンス&フィリップ主演のオナラ映画『燃えよコウモン』を見た小学生たちが、超下品なののしり言葉を連発、ギャグをマネた子供が火傷し病院が手術に失敗して死んだため、PTAが怒り狂った。カナダが悪いと主張し、ついには宣戦布告、子供たちの脳には汚い言葉に反応して電気ショックを起こすVチップを埋め込もうとする。コメディアンの処刑に乗じて世界を支配しようとするサタン。そのサタンを利用しようとするサダム・フセイン。子供たちがサタンを救い、世界を平和に戻す。毒のある笑いに染めあげられた荒唐無稽の極みで、うまくまとめた手腕は認めよう「本当は、もっと突き抜けてほしかったけれど」

 「『アシッドハウス』(ポール・マクギガン監督)は、『トレインスポッティング』(ダニー・ボイル監督)の原作者アーヴィン・ウェルシュが書いたオムニバス短編三部作。スコットランドのどうしようもない日常生活がコミカルにシュールに変ぼうしていく」「第一章『ザ・グラントン・スターの利益』の毒にぶっ飛んだ。不幸の連続にうちひしがれているボブが、いじわるで無責任な神によってハエに変えられながらも、ハエの特性を生かして個人的な復讐をとげる。その悪意にしびれた」「神をも恐れぬブラックなユーモアこそウェルシュの真骨頂だ。両親の屈折したセックス・プレーに驚き、母親にたたき殺される結末が底なしに悲しい」

 「第二章『カモ』。人の良いジョニーは誰の子か分らない子を身籠ったカトリオーナと結婚、妻に代わって子育てに熱を入れている。カトリオーナは上の階に引っ越してきた男に夢中となり、ことあるごとにジョニーを罵倒する。やがて妊娠し男に捨てられたカトリオーナが、よりを戻そうと帰ってくる。ジョニーは、静かに受け入れる。切実だが傷口は浅い」「第三章『アシッドハウス』は麻薬でトリップしていたココ・ブライスが雷に打たれ、出産した赤ちゃんと身体が入れ代わってしまうコメディ。つくりものの赤ん坊が、なんとも不気味。あのまま進んだら『チャイルド・プレイ』になったかも。面白いが、毒にしては甘過ぎる」

 「『マトリックス』のジョエル・シルバーと『コンタクト』のロバート・ゼメキスが共同設立したホラー映画専門プロダクション『ダークキャッスル・エンタテインメント』の第一弾作品『TATARI』(ウィリアム・マローン監督)。かつておぞましい生体実験を行っていた廃虚のバナカット精神病院で、大富豪が妻の誕生パーティを開き、肝試しの仕掛けを行う。しかし呪われた屋敷自体が目覚め人々は血祭りにあげられていく」「最初のタイトルからして、恐がらせようという意欲がありあり。カイル・クーパー的な手法を取り入れながら、恐怖の舞台へと誘う」

 「妻エブリン役のファムケ・ヤンセンをはじめ、派手めの女優たちをそろえ、個性的な男優たちが恐怖をもり立てる。ホラーの王道だ。観客を弄ぶように、ストーリーも捻ってある。そして何といっても挿入される幻想シーンのインパクトがすごい。夢に出てきそう」「『ジェイコブズ・ラダー』(エイドリアン・ライン監督)からのパクリも見られるけれど、許してあげよう」「似た設定の作品に『ホーンティング』(ヤン・デ・ボン監督)があるが、『ホーンティング』の空騒ぎに比べ10倍怖い」

 「ルネ・クレマン監督の傑作『太陽がいっぱい』を、『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ監督がリメイクした『リプリー』。画家志望のディッキーをジャズ愛好家に変えて張りのある自由闊達な展開にしたほか、オペラや合唱を生かし、堂々たる作品にまとめた」「音楽が、あまりにも場面に合い過ぎていて窮屈な点はやぼったいが」「貧富の問題よりも同性愛の色合いを強くしたのはお国柄と時代の差だろう。リプリーがディッキーを殺して成り変わるお馴染みのストーリーを、憑依のようにみせれば、さらに重層的な味わいが出たと思う。傑作のリメイクは、どうしても点が辛くなる」

 「演技派のマット・デイモンだが、リプリーはうなるほどの出来ではない。むしろ、奔放なディッキー役のジュード・ロウが、美しく輝いていた。『恋におちたシェークスピア』では清楚な魅力を放っていたグウィネス・パルトロウに、信じられないほど華がない。『エリザベス』のケイト・ブランシェットさえ、存在感が乏しい」「豪華スターの競演としては、盛り上がりに欠けていた」

 「札幌の屋台劇場まるバ会館で、山崎幹夫氏の長編8ミリ三部作『極星』『猫夜』『虚港』が上映された。いずれも一筋縄では語れない。体験への好奇心とともに、そこに安住しない強靱な自己批判力が傑出している。個人映画の狭い枠を超えようともがきつづける、リアルと嘘を往復する自虐的な楽しみが、さまざまなバリエーションで展開されていた」

 「『極星』(1987年、75分)は、問題意識に沿って無理に物語を紡ぎ出すことを断念した後の、解き放たれた映像の力に支えられている。偶然に身をゆだねることで、記憶に深く浸ることで映画的な輝きが増してくる不思議。マイクを燃やすシーンに、山崎幹夫の暴力的な破壊衝動が集約されている」「ぎこちなさは感じるものの、自己に閉じこもらない個人映画の新たな可能性が開かれていく」

 「『猫夜』(1992年、80分)は、『極星』との連続性を意識して始まりながら、すぐに方向を転換し、カメラさえ友人たちにゆだねてしまう。それは、勇気に満ちた爽快な選択だ」「作家的な意図を持たない映像の心地よさ。物語的な収まりを断念した静けさに満ちている。突き放しているようで温かい。そうすることで、観る者の中にひそやかな物語を誕生させるという試みは成功している」

 「『虚港』(1996年、80分)は、捨て身の援助交際の盗撮フイルムまで駆使しながら、物語の創造と破壊を繰り返し、繰り返し見せつける。その虚構の重層の中から、私たちが置かれているリアルな気分が漂い出す」「ハリウッド的世界を象徴するミッキーとミニーの楽園からの脱出をモチーフに、インド映画の天真爛漫な世界へと唐突に突き抜けていく展開。シリアスをまとったギャグのセンスに痺れる」「そして、『グータリプトラ』(1999年)の自在な美しさへとつながっていく」

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■銀河・映画対談2000.07

■銀河・映画対談2000.07


 「『ボーイズ・ドント・クライ』は、ネプラスカ州フォールズ・シティで、1993年に殺害された性同一性障害(心の性と身体の性が不一致)のティーナ・ブランドンの生きざまを追った作品。女性監督キンバリー・ピアースの初めての劇場用長編映画。ピアース監督の熱意と抑制が伝わってくる佳作だ」「自分の女性としての身体を嫌悪し苦悩するブランドンの内面を追求するのではなく、欲望に忠実に生きたために死ななければならなかった前向きな人間として描いている点が特徴。ヒラリー・スワンクの渾身の演技は、アカデミー賞主演女優賞にふさわしく、この難しい作品に痛いほどのリアリティを与えている」

 「ブランドンが女性の身体と知っても、自然に受け入れたラナを演じたクロエ・セヴィニーのさりげなく演技も印象深い。自由に生きているように見えたラナの母親が、ブランドンを『化け物』とののしった姿勢と、あまりに対照的だった。ラナの柔らかな感性と周囲の無理解という構図についても、考えさせられた」

 「札幌のまるバ会館で、動きの快楽!!アニメ祭りがあった。 山村浩二氏の9作品と、中村景子氏の5作品。メジャーなアニメ作品ばかり観ていた目には、はなはだ新鮮だった。凝縮されたアイデアが短い時間に次々と登場し、得した気分になった」

  「山村浩二氏は1964年、愛知県生まれ。『水棲』(1987年)は粘土を使った不思議な感覚のアニメ。ぎこちなさは残るが、めくるめくようなメタモルフォーゼが繰り返される。『ひゃっかずかん』(1989年)は、日本語と英語のしりとりを並行して進めていく。技法もアイデアも、かなり高度。感心した。『遠近法の箱』(1989年)は、過剰なコラージュの嵐。うまい」「NKHKで放送された『カロとピヨブプト』(1993年)シリーズ『おうち』『サンドイッチ』『あめのひ』は、丁寧な連作。きらりとアイデアが光る。『キッズキャッスル』(1995年)は、子供とともにイマジネーションの世界に遊んでいる。軽いタッチで変幻自在。ボイス・パフォーマンスで統一した音も、楽しさを倍加させている」「『バベルの本』(1996年)は、ボルへスの『幻獣辞典』にインスパイアされた作品。子供の目線に立ったタッチが印象的。『どっちにする』(1999年)は、子供たちとのワークショップでつくりあげた。こういう創作方法もあるのだね」「ヤマムラアニメーションの広がりを味わうことができた」

  中村景子氏は1966年、東京生まれ。寺山修司などの自主映画に関心を持って8ミリ作品を撮る。アニメーションは1992年から始めた。自主映画ではあまりお目にかかれないセンス。『トムとジェリー』的なテンポとファッショナブルな造形、そして毒を含んだエロティシズムを、おおいに楽しんだ」「まず『狼と3匹の子豚』(1997年)に圧倒された。わずか1分半の作品だが、彼女の魅力が凝縮された傑作」「『コヨーテの首飾り』(1993年)『まよいの森』(1994年)『ベティとペイニーペンギン』(1995年)は、それぞれ面白さを探っている作者のしぐさが感じられる。『おまけ・地獄的天使予告』(2000年)は、本当におまけのノリだったね」

  「『ジョン・ジョン・イン・ザ・スカイ』は、映画情報番組『シネマ通信』で、レポーターを担当しているジェファソン・デイビスが、自分の少年時代を振り返り、故郷ミシシッピーを舞台に、アメリカ南部の人々の自然な姿を描いた。父親が家族を抑圧する保守的な風土の下で、妻はヒッピーの自由を夢見、少年は空へのあこがれを募らせていく」「豊かな田園風景の中で生きている人を慈しむ監督の思いは伝わってくるが、作品としては芸がなさ過ぎる。構図は見えてくるが、人々の思いがいきいきと伝わってこない」

 「主人公のジョン・ジョンと知的障害者セオラが、喧嘩しながら苦労して飛行機をつくる過程は、もっともっとユーモラスに表現できたはず。登場するそれぞれの人物に多面性や屈折があれば、物語の味わいも豊かになったと思う」「少年時代をノスタルジックに回顧するだけでなく、自分や時代を批評する厳しいまなざしがほしかった」

 「奇抜なストーリー展開で、映画的な面白さを追求し続けるSABU監督。新作『MONDAY』でもその姿勢は徹底している。遺体のペースメーカーの線を間違えて切ったために死体が爆発するコントから、ダンスフロアでの爆裂踊りまで、しっかり笑わせておいてショットガンによる連続射殺へとテンションを上げていく」「遺書を書くシーンのギャグはシャープにして巧み。主人公に『この世に必要なのは銃なんかじゃない。ほんの少しの優しさと愛だ』と叫ばせて、警察だけでなくヤクザも銃を捨ててしまうクライマックスに抱腹絶倒した」「銃社会への批判ではなく、単純なお遊びとして存分に楽しめば良い」

「SABU作品で主役を続けている堤真一の演技は、今回もあっぱれと言うほかない。松雪泰子が妖艶な女を演じて魅力的。『アナザヘヴン』(飯田譲治監督)でも、凄みを見せていて将来有望だ。つかみどころのないおかしさを醸し出す野田秀樹にも感心した。さすがだ」「配役に文句はないが、ただひとつ暗黒舞踏の取り上げ方が気になった。ファンキーな悪魔のメタファーに使うのは、外国を意識し過ぎているように思う」

 「『フリーズ・ミー』(石井隆監督)。東北のある街で、3人組にレイプされた山崎ちひろは、悪夢から逃れるため都会でOL生活を始め、結婚を前提にした恋人と幸せな日々を過ごしていた。しかし、突然3人組が次々と現れ、恋人に過去をばらし、彼女を凌辱する。彼女は男たちを殺し、冷凍庫の中に死体をコレクションする。だが暑さの中で死体は次第に腐り、死臭を放ち始める」

 「久しぶりに堪忍袋の緒が切れた。石井隆お馴染みの薄幸な女シリーズだが、ストーリーがお座なりで、悲劇性が伝わっていない。だいたい、山崎ちひろ役の井上晴美は、スタイルは良いものの薄幸を耐えるというタイプではない。演技以前のミス・キャストだ」「一方、暴力的な男たちは、あまりにも誇張されていてリアリティがない。『鮫肌男と桃尻女』(石井克人監督)のように、思い切ってマンガチックに徹すれば、まだ救いはあるが、情緒的な悲劇性と効果が相殺されている」

 「ファシズムに染めあげられていく1935年以降のイタリアのフィレンツェを舞台に、国が対立し合う戦時下でもフィレンツェを愛し、自分に正直に生きる5人の女性たちと、親の愛情に接することのできない少年の触れ合いを気品にあふれる映像で描いた佳作『ムッソリーニとお茶を』。過酷な状況にありながら、けっして重くならず優雅さをたたえている。無邪気なほどに素直な人の横断的なつながりこそ、戦争を超える。フランコ・ゼフィレッリ監督に、これほど芯のあるユーモアのセンスがあるとは、正直驚きだ」「今回は、いつもの豪華さの押し売りがなく、イギリスとイタリアをともに愛する監督の心情が素直に投影されている」

 「大女優たちが、個性的にして貫禄のある演技を披露しているのが話題だが、シェールの輝きはやはり別格だろう。自由奔放にして、優しさに満ちたアメリカ人を演じ、圧倒的な魅力を放っていた。前衛的なドレスを着こなし、華麗に踊る。50歳を超えているとは、にわかに信じがたい」「孤独な少年ルカ役の新人・ベアード・ウォレスは、大ベテランに囲まれながら、爽やかな演技を見せる」

 「『ザ・ハリケーン』(ノーマン・ジュイソン監督)は、社会派作品。プロ・ボクサーのルービン・カーターが、警察の人種差別と証拠のねつ造によって殺人犯にでっち上げられ、22年かけて無罪を勝ち取るまでの感動作。2時間半近い長篇だが、ストーリーの運びは淀みがない。ボブ・ディランの『ハリケーン』で有名なように、実話である。アメリカは、今もずさんさな裁判によって、無実の人が何百人も死刑になり続けている国だ。無実にもかかわらず、犯人として死刑を執行される人間の気持ちを想像すると、身震いするほど恐ろしい。それが『人権の国』アメリカの実態」

 「ルービン・カーターも、検察の求刑通り『死刑判決』が出ていたら、世界に真実を知らせる前に殺されていたかも知れない。彼は、プロ・ボクサーとして有名だったので、本を出版でき社会の注目を集めたが、多くの人たちには、真実を広める手段さえない」「アメリカだけの話ではない。日本でも、部落差別を利用してとらえられ、証拠のねつ造によって有罪にされた石川一雄さんの『狭山事件』が、有名だ。どういうわけか、再審はことごとく棄却され、石川さんは犯人のままだ。これは、氷山の一角だろう。日本には何百人も冤罪に苦しんでいる人がいるはずだ」

 「ルービン・カーターを演じるのは、デンゼル・ワシントン。みずから役をかって出ただけに、いつも以上に熱がこもっていた。特訓したとはいえ、ボクシング・シーンの迫力には驚かされる。カーターの本を読んで感動し、カナダ人たちの救援を実現するきっかけとなる青年レズラ役のヴィゼラス・レオン・シャノンも印象的だが、デンゼル・ワシントンの気迫の前では、影が薄くなる」「でっちあげを行った警察、真実をさぐり無罪判決に導くカナダ人たち、その双方の掘り下げが不足しているので、いやでもカーターだけが全面に出てしまっている」

 「『カープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』など独特の視点で世界を描き出す巨匠ジョン・アーヴィング自身が脚色、珠玉の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『ギルバート・グレイプ』のラッセ・ハルストレム監督と聞けば、期待しない方が嘘だろう。待望の新作『サイダーハウス・ルール』は、期待を裏切られなかった」「いつもながらのきめの細やかな演出、絵画のような映像が、心に染みてくる。孤児の分娩や堕胎を行う孤児院という、社会の矛盾が凝縮された場所を舞台にしながら、けっして暗くならず、ときに爽やかな風すら感じさせるバランス感覚は、ちょっと真似ができない」「お決まりの成長物語だが、これだけ丁寧につくられると批判する気になれない」

 「登場人物は多くを語らないが、その思いは伝わってくる。ウィルバー・ラーチ医師役のマイケル・ケインは、屈折した思いを抱きながら淡々と孤児たちの世話に人生を捧げている。ドビー・マグワイアは、過酷な運命にも関わらず純真さを失っていない主人公ホーマー・ウェルズを演じている。さりげない笑顔が魅力」「好きなタイプではなかったシャーリーズ・セロンも、飾り立てしない等身大の女性キャンディ・ケンドールになりきり、好感が持てた。そして何といっても、笑い、悲しむ孤児たちの表情が胸を打つ。最後の嬉しそうな寝顔が忘れがたい」

 「『グラディエーター』は、『ベン・ハー』を思い起こさせるような、久々のスペクタクル大作の誕生かと、期待を膨らませていたが、舞台の大きさに人間ドラマがついてこない空しさが残る失敗作だった」「リドリー・スコット復活ならず。彼の最高傑作なんて誉めていた人は、本当に作品を観たのだろうか」「『スターウォーズ エピソード1』(ジョージ・ルーカス監督)の目も眩むばかりのスケール感と比較するのは酷かも知れないが、CGを駆使して再現した古代ローマの遠景や壮大なコロシアムが生かされていない」「肉弾戦は見ごたえがあるものの、ストーリー展開は荒削りすぎる。特にラストの対決は笑止千万だ」

 「主人公マキシマス役のラッセル・クロウは、現代では難しい英雄的な人物を演じているが、人物像があまりにも表面的すぎる。父マルクス・アウレリウスを殺して皇帝の座を手に入れるコモドゥス役のホアキン・フェニックスの方が、まだ造形に厚味があった。ホアキン・フェニックスは、リバー・フェニックスの弟だが、着実に力をつけている」「ルッシラを演じたコニー・ニールセンは、もっと大胆な演技ができる女優のはず。抑制し過ぎて魅力が半減した」

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■銀河・映画対談2000.06

■銀河・映画対談2000.06


 「アメリカン・ショート・ショート・フィルム・フェスティバル2000・札幌の前夜祭が、2000年6月8日にイベント・スペース・EDITで行われ、映像製作を志す若者を中心に盛り上がりをみせた。わずか55秒の切れの鋭い一発コメディ『Devil Doll』(Jarl Olsen監督)でスタートした前夜祭は、ゼネラル・プロデューサーの別所哲也さん、映画監督の塚本晋也さんをはじめ、マイケル・アリアスさん、森本晃司さんら豪華ゲストのあいさつが続いた。そして、挨拶の合間に優れたショートフィルム映像の上映が詰まった密度の濃い構成で、9日からの連続上映に期待が高まった」

 「別所哲也さんは『映画は長さではないと端的に教えてくれたのがショート・フイルム。直球型で、監督の思いやスタイル、テーマがまっすぐに伝わってくる。それが魅力。その感動を多くの皆さんと共有したい』と、映画祭への熱い思いを語りました。塚本晋也監督は『一番最初に10分間の8ミリ作品〈原始さん〉をつくった。トンチな映画。怪獣を作れなかったので原始人にした。ビルを壊し東京を自然に戻してアメリカの都市を壊しにいくという14歳の時のテーマは、今と同じ。処女作にはすべてが入っているというが、本当にすべてが入っている。短いものは大切だなと思う』と、ユーモアたっぷりに話し、会場は爆笑の連続だったね」「死と暴力を執拗に描きつづける監督とは思えなかった」「その落差が面白い」

 「10日のスペシャル・プログラムでは、普段なかなか見ることのできない多彩な作品が公開された。札幌のインディーズからスタート。『Moment』(関原裕司監督)が叙情あふれる巧みな構成。才能を感じたが、ラストシーンは蛇足。紋切り型のまとめをしない抑制が、作品の深みにつながる」「『Fight it out in front of the GOD』(古幡靖監督)は、相撲をデジタル処理したもの。安定した仕上がりだが、インパクトは乏しい。オリジナル・キャラクターによるTV・CMシリーズを再編集した『Little Terra』(Wilson Tang監督)は、あらためてフル3Dコマーシャルの先駆性を確かめることができた」

 「プロダクションIGの3DCGショートストーリー・シリーズ『DIGITALS』は、4作品を上映。『LOOP』(菅原正監督)と『FRIENDS』(菅原正監督)は、簡略化したキャラクターが、豊かな表情を見せる。『HEART EATER』(荒川真嗣監督)は、どきりとするホラー。『WING'S TREE』(竹内敦志監督)は、メルヘン的な、しかし斬新なアイデアの感動作。どの作品からも果敢に模索する息づかいが伝わってくる。『Michael Arias(マイケル・アリアス)作品集』には、驚かされた。タイトルバック『M・バタフライ』(1993年、クローネンバーグ監督)、アミューズメント用、パフォーマンス用のCG作品。時代を切り開いていった映像に深い感動を覚えた」

 「『森本晃司作品集』も、TVアニメ、MTV、ミュージック・クリップ、GLAY『サバイバル』のビデオ・シングル・アニメーションと多分野にわたる。爽快なテンポと皮肉なアイデア。爆発的に膨らむ構想力には非凡なものがある」「彼が所属するスタジオ4℃のオムニバスCG作品『デジタル・ジュース』も興味深い。『月夜の晩に』(柳沼和良監督)は、メルヘン的なかわいらしいが映像の隅々にまで浸透している。『チキン保険に加入ください』(安藤裕章監督)は、テンポの早いアメリカ・アニメのテイストを目指したもの。手法的にはなかなか凝っていた。そして『圭角』(小原秀一監督)。日本的な感覚と現代的な美意識が混合され、ユニークな味わいが楽しめた。名前などのタイトルを刀に見立てたアイデアは切れ味が良かった」「『空中居酒屋』(森本晃司監督)は3Dバーチャル空間で、居酒屋の酔った人間が醸し出す猥雑感を表現しようとした時代を三歩も進んだ作品。場面の切り替えなどのカメラワークにぞくぞくした」

 「『普通サイズの怪人』(塚本晋也監督)は、『鉄男』のもとになったエポックメイキングな作品。やや説明的なほかは、ストーリーの骨格も同じで、本当に『鉄男』のミニ版だった」「監督の『偏執性』と『編集性』が、しっかりと焼き付いた映像の力強さに圧倒された」

 「まずAプログラム10作品から。『Cruel, Cruel Love』(George Nichols監督、1914)は、チャップリン主演作。まさに黎明期のパワー炸裂。足の裏がキャラクターの『Stubble Trouble』(Philip Holahan監督)は、あまり笑えないコメディ。伊比恵子監督の『The Personals』は、人生の深さと広がりを描きながら軽やかさを保っている。長さだけでなく、質的にも群を抜いていた。『The Blue Shoe』(Peter Reynolds監督)は、放浪する一足の靴のアニメ。寓話風ほのぼの系の仕上がり。『Making Change』(Georgia Irwin監督)は、旅行中に少女に全財産をすられてしまった青年のてん末。青春映画の一場面のようだ」

 「『Seventeen Seconds to Sophie』(Bill Cote監督)は、妻の懐妊から出産までを毎日撮影しつづけた労作。電子レンジ風の自らをちゃかした終わり方がいい。『A Brief Inquiry into the Origins of War』(Philip Farba監督)は、子供が浮かべるおもちゃの船を老人が沈めてしまうという意外性のドラマ。『Shattered』(Charles Weingarten監督)は、心に痛みを覚える佳品。子供の前に、ホームレス風の笛吹きが現れ、繊細なガラス細工を渡すが...」「『Big City』(Ed Bell監督)は、ラップのリズムに乗せて描くアニメ。抜群に軽快。ホラー風の始まりの『Mass Transit』(Michael Goetz監督)は、カップルにしつこくつきまとう老人が意外な事実を明かす。ホラーと思わせて社会派作品のラスト」

 「Bプログラムは、胸にこたえる作品が多かった。『The Great Train Robbery』 (Edwin S.Porter監督、1903)は、エジソン社の制作による初めて筋立てを持った映画『大列車強盗』。最初のストーリーものが血なまぐさい強盗ものとは。銃撃戦の迫力は本当みたいに見えた」「『To Build A Better Mousetrap』(Christopher Leons監督)は、究極のネズミ取り機のコマーシャル。アメリカらしい、アクの強いブラックな味。『Red Ribbon』(Elisabeth Lochen監督)は、ナチス・ドイツの非情な人口増加策を描いたもの。書類の手違いによって繁殖を任務とする兵士に少女が犯され、少女は自殺する。兵士は母親に対して任務を果たそうとする。救いがない暗さ」「20ドルでつくった『Elevator World』(Mitchell Rose監督)。密室の美しき秩序。エレベーターをめぐるクスクス笑いの世界。『Razor's Edge』(Lorenzo Benedick監督)は、ブラックすぎる死刑囚もの。後味はすこぶる悪い」

 「『A Domestic Incident』(Chris Harwood監督)は、幸せなカップルが夫の嫉妬で思わぬ悲劇を生む。オチがない重苦しさ。『More』(Mark Osborne監督)は、手の込んだクレイアートを生かしたアニメーション。アイデアはそれほど斬新ではないが、映像に力がある。観客を少し騙して、ほんわりと終るドラマ『From the Top of the Key』(Jim Fleigner監督)。アメリカの現実というところか。『Avenue Amy』(Joan Raspo監督)は、実写フイルムに強いエフェクトをかけたような不思議なアニメ。ただそれだけ」「マーティン・スコセッシ監督の実験フィルム『The Big Shave』(Martin Scorsese監督)。黙々とヒゲを剃るうちに血まみれになるというストーリーだが、監督の血なまぐさい作品を連想させた。短いながら盛り上げていく手さばきはさすが」

 「Xプログラム9作品には、ひとつおまけがついた。『Rupture』 (Pierre Etaix監督、フランス)は、1961年の作品。失恋した男が手紙を書こうとするが、何もかもがうまくいかない。最後には、自分が窓の外へ。悲しきどたばた・コメディ。『ESN』 (Simon Edwards監督、イギリス)は重い。射殺事件の現場に駆けつけたTV局の報道チームは、CMの間、被害者の救急車への移動を遅らせろという指示を受ける。現場の警察も買収されている。シリアスな社会派作品だ。実験作『Artist's Dilemma 』(Roi Vaara監督、フィンランド)は、生活か芸術かの葛藤を単純に描いているように見せながら、実は世界の荒涼を見せつけているようにも思えてくる」「『Rules of Engagement 』(Jamie Goold監督、イギリス)は、予期せぬ展開のほのぼのショート。男女の他愛のない喧嘩から生まれた教訓。大道芸人の悲劇『Excesos de Ciudad 』(Jorge Luquin監督、メキシコ)は、突然の結末への運び方がにくい」

 「『The Fisherman and His Wife 』(Jochen Schliessler監督、カナダ)は、魚の視点が生かされた不思議なテイスト。どんでん返しに、かすかなユーモアがある。『 Petit Matin Sanglant』(Julien Corain監督、フランス)は、張り込み刑事の悪夢。エロティシズムが新鮮」「『Desserts 』(Jeff Stark監督、イギリス)は、ユアン・マクレガー主演。エクレアを使った一発芸が見事に決まり、余韻も格別。『Tulip 』(Rachel Griffiths監督、オーストラリア)は、突然妻を失った夫の悲しさと牛の話。これぞハートウオーミングの見本だ」「そして、札幌ではプログラムに組み込まれていなかったが、ことしのグランプリを獲得した『The Light of Darkness』(Chery Lawson監督)が急きょ追加上映された。闇の中、車を走らせていた女性は、車がガス欠で動かなくなり、朝まで待とうとする。しかし、無気味な男が近付き、窓カラスを割り、女性を車外に引きづり出す。必死に抵抗する女性。そこに強いライトが...。本格サスペンスの風格。あっと驚くどんでん返し。そして自分の偏見に満ちた予断の怖さに気付かされる」

 「『マン・オン・ザ・ムーン』(ミロシュ・フォアマン監督)は、35歳でこの世を去ったアメリカの過激な天才コメディアン・アンディ・カフマンの生涯を描いた作品。ミロシュ・フォアマン監督は、出だしからエンドタイトルを始めるというカフマン顔負けの演出を見せる。ほとんど寺山修司のノリだ。その後は、彼の成功と挫折、そして死期が近いことを自覚したカレが仕組んだ念願だったカーネギーホールの華やかなショー、そして荘厳と呼びたくなるような葬儀までを一気に見せる」「涙でスクリーンが見えなくなるほど泣いた。『グリーンマイル』(フランク・ダラボン監督)以上に涙が止まらなかった」「ラストは、一捻りして、またまたカフマンらしい終わり方だった」

 「アンディ・カフマンが、今も多くのコメディアン、俳優に影響を与え、不滅の輝きを放っているように、ジム・キャリーは、この作品とともに生き続けるに違いない。いつもの押し付けがましい演技ではなく、カフマンに内面から近付こうとする姿勢が、見違えるような名演技となって映画を輝かせている」「ともに1月17日生まれというだけでなく、二人が映画という奇跡の中で共演しているように見えた」「脇役も曲者ぞろい。多くの本人がカメオ出演して花を添えている」

 「『インサイダー』(マイケル・マン監督)は、たばこ産業が隠しているニコチン中毒に関する真実を明らかにしようとする解雇された科学者とTVディレクターの熱き男たちの物語。実話、しかも皆実名である。派手なシーンはないが、ストーリーは最後まで緊張している」「アメリカは金で真実が買える国だが、たまにこのような美談が生まれ、アメリカの株をバブル化する」「たばこ会社の脅迫にたじろき、迷い、家族を失いながらも証言するジェフリー・ワイガンドという老け役を、ラッセル・クロウが静かにしかし的確に演じている。熱血ディレクター・ローウェル・バーグマンは、アル・パチーノが最高にかっこよく再現している」「その点では見ごたえ十分だ」

 「マイケル・マンは女性が全く描けない監督だ。前作『ヒート』の女性たちは『付け足し』だったが、『インサイダー』の女性たちも『添えもの』だ。ワイガンドとバーグマンの妻は、普通の作品なら、役にかなりの重さがあるはず。しかしこの作品では、血が通った人間になっていない」「ハリウッド映画は、女性の描き方には特に敏感なはずだが、マイケル・マンは頑に男だけの美学を描きつづける。最近珍しい古いタイプの監督なのだろうか」「ここまで徹底すれば貴重な存在だ」

 「『ミッション・インポッシブル』は遠くに来たものだ。人を傷つけることなく、頭脳プレイで任務を遂行する点が爽快だった『ミッション・インポッシブル』は、『ミッション・インポッシブル』(ブライアン・デパルマ監督)でアクロバット・シーンが登場し、知的な趣を失った。そして新作『ミッション:インポッシブル2』(ジョン・ウー監督)では全編がアクションの連続。時には現実性さえもかなぐり捨ててしまう」「はっきり言ってストーリーは古臭い。それでも、冒頭からハラハラし通しで最高に楽しめる。ジョン・ウーの映像マジックに、一段と磨きがかかった。娯楽作としては、申し分のない仕上がりだ」

 「情感豊かなイーサン・ハントを演じるトム・クルーズ。前作よりも数段輝いている。セクシーで切れがあるアクション。『マグノリア』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)での傑出した演技とは別のタレント性を発揮し、俳優としての幅と存在感を増している」「『インタビュー・ウイズ・バンパイア』(ニール・ジョーダン監督)でトム・クルーズと共演したサンディ・ニュートンは、多面性を持ったヒロインを手堅く演じた。その他の俳優も国際色豊かで、個性を競っている」「音楽も充実していて映像を引き立たせている」

 「『クロスファイア』は、『ガメラ3 邪神イリス覚醒』などのガメラ・シリーズで、新しい怪獣映画の地平を切り開いた金子修介監督だけに期待していたが、超能力者ものの新境地を開くまでには至らなかった。『ナイト・ヘッド』(飯田譲治監督)につながる異能者の苦悩を描いたものだが、矢田亜希子の演技力の限界とエンターテインメント性を追求するあまり、十分に深められていない」「一方、少年の凶悪犯罪と裏でつながる警察幹部率いる闇の殺人集団という設定もイマイチ説得力に乏しいまま終ってしまった。最近目立ち過ぎる少年法改正の感情的な流れに迎合するようなストーリーも気になった」

 「注目していたのは、念力発火能力=パイロキネシスを、どのように描くかだった。激しいアクションの特撮には迫力ある『炎』が不可欠であり、その表現は既に一定の水準にある。しかし今回は超能力による発火だけに、その新しいスタイルが見せ場となる」「アイデア次第では、クローネンバーグの『スキャナーズ』のようにその後のトレンドになる可能性もあった。現実の身体発火は、写真で見る限り身体が内側に向けて焼尽していくように崩れている。それが映像で表現できればとの思いがあったが、残念ながら火炎の派手さに頼るばかりで、うなるような表現には出会えなかった」

 「『蛇女』(清水厚監督)は、ダリオ・アルジェントほど徹底してはいないが、恐がらせてやろうという意志に支配されたスタイリッシュな映像は、観続けるうちにそれなりの効果を上げ始める」「『蛇女』という古典的な題名も、内容を考えてみればいいかげんなものだが、監督の意図は伝わってくる。怪奇の世界と呼ぶにふさわしいB級作品」「たぶん、部屋でひとりで見るべきタイプの映画だ。エリック・サティの曲『Gnossiennes』が巧みに使われている」

 「佐伯日菜子は張り切っている。新進モデル・矢野文として前半で神秘的な美しさを発散しつつ、中盤では恐怖に絶叫し、終盤に至っては感情の糸が切れた過激な演技を見せる。『催眠』『富江』の菅野美穂に迫る振幅。いや『ピノキオ ルート964』で見せたヒミコの驚愕の演技を連想させる」「夏生ゆうなもなかなか凄みがあったが、佐伯日菜子の魅力にはかなわない」

 「『大いなる幻影』(黒沢清監督)は、映画美学校の生徒たちとともに撮ったもの。2005年という近未来を舞台にしている。友人が作った音楽を売っているハルと郵便局で働いているミチの淡いラブ・ストーリー。さまざまな場面が描かれているが、それぞれをつなぐ説明はない。登場人物には厚味がなく、ストーリーにも重みがない」「『カリスマ』のような不安に満ちた緊張は乏しい。浮遊する不安を描くために、意識して弛緩しているようにさえ見える。ハルの輪郭が、ときどき薄れていく描写はお手軽な感じだ」

 「それぞれの場面は、考えてみるとなかなか面白い設定なのだが、見せ方がストレートすぎる。ミチが夢を膨らませていた海外から兵士らしい死体が海岸に流れ着き、ミチが取り乱すシーンがある。『このまま終っちゃうの』『僕がいるだろ』『どこにいるの』『ここだよ』『どこ』『僕はやっぱりどこにもいない』。二人のすれ違いを象徴する優れた場面だが、心に染みてこない」「二人が、それぞれ生殖能力が失われる危険がある花粉症の新薬のモニターになっているという設定も、監督の意図ほど新しい愛の形を突き付けてはこない。何もかもがあいまい。とらえどころのない軽い焦躁が残った」

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■銀河・映画対談2000.05

■銀河・映画対談2000.05


 「イギリス演劇界で高く評価されているサム・メンデスの初監督作品『アメリカン・ビューティー』。第72回アカデミー賞で作品賞など5部門を受賞した。乾いた皮肉と温かいまなざしが交差する佳作。郊外の新興住宅地に住む42歳の中年男性が、空虚な家庭生活、不毛な仕事に激しい倦怠感を覚え、娘の同級生に恋をする。仕事をやめてアルバイトを始め、好きなものを買いまくり家族の崩壊に拍車がかかるが、周囲の目をよそに彼は生きがいを感じている」「妻の浮気、娘の恋などを加えて緊密な展開になっているが、この作品のすごさは、それに深刻な同性愛の問題を絡ませている点だ。自分の同性愛指向を抑圧して厳粛な父親を演じ、銃やナチの食器を収集する屈折した元軍人が登場する」「彼こそ影の主役だ」

 「倦怠感にさいなまれる中年男性に感情移入しかけた自分を、途中からは自笑しながら観ていた。登場人物の会話や行動を笑いながら観ていたが、元軍人の人生を想像したとき、今度は笑っている自分を恥じることになった」「コミカルでシニカル。この表現がこれほどぴったりくる映画は少ない」「ケビン・スペイシーは主演男優賞を取ったが、元軍人役のクリス・クーパーの苦悩に満ちた演技に撃たれた。妻役のアネット・ベニングは、『マーシャル・ロー』よりも数段熱演していた」「中年男性を狂わすアンジェラ・ヘイズ役のミーナ・スバーリは、妖しい瞳と唇が印象的。今後が楽しみな女優だ」

 「『オール・アバウト・マイ・マザー』(ぺトロ・アルモドバル監督)は、第72回アカデミー賞の外国語映画賞ほか、30を超える映画賞に輝いた」「心に深い傷を持つ人々、セクシャル・マイノリティの人々が織り成す人間賛歌。荒唐無稽とも思える強引なストーリー展開だが、屈折した歴史を背負った登場人物それぞれの個性がぶつかり合い、不思議な感動を呼び覚ます」「過酷な状況でも繰り出されるユーモア溢れる会話と下品になるすれすれの奇抜な色彩感覚も健在。そして今回は、映画、文学などへのオマージュも詰まっている」

 「『神経衰弱ぎりぎりの女たち』、『キカ』のように世間の常識を打ち破る過激な展開は、少ない。しかし、醸し出される雰囲気はぺトロ・アルモドバルの世界だ」「人々のつくりだす絆が、より多面的に描かれている点に成熟を感じる」「たぶん『女性映画』と呼ばれるのだろうが、私は『男性映画』との単純な比較に関心がない。そうした既存の性差を軽やかに超えたところに、この作品は花開いているのだと思う」

 「『MIFUNE』(ソーレン・クラウ・ヤコブセン監督)は、1999年ベルリン映画祭銀熊賞を受賞 している。『MIFUME』とは三船敏郎のこと。『七人の侍』で菊千代役を演じた三船敏郎とクレステンをだぶらせている」「菊千代は農民であることを隠して侍になっていたが、クレステンは田舎育ちを隠してコペンハーゲンで仕事をし社長令嬢と結婚する幸運をつかんだ。知的障害者の兄ルードは、クレステンを『とても強くて諦めない七人目の侍』と思っている」「やや強引だが、デンマークで三船敏郎がこれほど浸透しているとは嬉しいことだ」

 「この作品は『ドグマ95』の3番目の作品として製作された。映画をハリウッド的なテクニカル重視の傾向から解放しようとする狙いがあると思うが、その約束は極端に言えばドキュメンタリーのように映画をつくれという制約の多い内容で、虚構や飛躍が基本の映画の精神とは相容れないように思う」「ただ、ソーレン・クラウ・ヤコブセンは『ドグマ95』を絶対視するのではなく、『ダイエット』と称してその制約を楽しんでいるようだった」

 「成功したクレステンに、兄と暮らしていた父親の死亡の知らせが来る。天涯孤独と言っていた嘘が妻にバレ、仕事と家庭を失う。しかしクレステンは重荷を降ろしたように気楽になり、兄と暮らし始める。嫌がらせ電話から逃れるためにメイドとしてやってきたコールガールのリーバに恋し、その弟で退学になったビアーケとも新しい生活を始める」「知的障害者のルードが、屈折した思いを抱えながら生きている3人を解放していくという基本線は、よくあるといえばよくあるパターンともいえる。しかし、素朴な映像によって彼等のひたむきな情感が自然に伝わってくる」「『身の丈』という言葉を久しぶりに思い出したよ」

 「『スティル・クレイジー』(ブライアン・ギブソン監督)は、『これがロック版フルモンティだ!』という宣伝文句が気に入らなかった。それでも巧みな配役につられて観てしまった。予想通り、イギリスの深刻な失業問題を背景にした辛らつなコメディの『フル・モンティ』とはかなり違う作品だったが、メンバーが個性的で意外に面白かった」「1977年、ウィズベックの野外ロック・コンサートで解散したストレンジ・フルーツのバラバラになったメンバーが集まり、バンドを再結成するという実際にも良くある話なのだが、反目しながらまとまっていく過程が、軽妙な会話で巧みに盛り上げられる。そしてお決まりの結末に感動した」

 「期待していないと、妙に点が甘くなりがちだが、平均点は超えていると思う。個性的だが社会性に乏しい中年男たちを、女性のカレンが引っ張っていくという設定が、『ロック=男性』となりがちなこの種の作品を豊かにしている」「懐かしい70年風の曲がオリジナルだというのもうれしい。吹き替えなしの歌も迫力があった。そして、最初は死んだと思わせられたブライアンは、後半さっそうと登場し美味しいところをさらってしまった。さすがブルース・ロビンソンである」

 「『カリスマ』は、黒沢清監督が『CURE キュア』をさらに深化させてつくりあげた独自の映像世界。登場人物の輪郭も物語の因果関係もつかめないが、底知れぬ不安な緊張が持続する」「生々しさと神秘性が拮抗する真似のできない境地。世界の最高水準に立つ掛け値なしの傑作だろう」「救済も魂のせつなさも奪われてしまった後の乾き切ったタルコフスキーの映画ようだ」「ちょっと違う気もするけれど。映像の強度は似ているかもしれない」

 「自らが生きるために毒素を出し、周りの木々を枯らしている『カリスマ』と呼ばれる木。森の生態系を守るために『カリスマ』を排除すべきか、『カリスマ』も自然の一部として受け入れるのか。『カリスマ』も森も一度絶滅させるべきなのか。周りに悪影響を与える個性的な個人と社会の関係のメタファーであることは、容易に理解できる」「しかし、この作品の魅力は、そのテーマ性にはない。そのテーマの下で動き回る人間たちの、不吉で不気味なリアリティこそが卓越している」

 「『オーディション』(三池崇史監督)も、傑作。美術は現代的だが、女性の男性への『怨み』というホラーの古典を踏まえた作品。村上龍の小説もかなり怖かったが、三池崇史監督は映画の技法を最大限に生かして極上のサイコホラーを生み出した」「小手先のこけおどしではない。『キリキリ、キリキリ』。怖い上に『痛み』を感じさせる表現が貴重だ。『ヘルレイザー』とはまた違った種類の痛覚を刺激された」「切れの良い、勢いのある編集で、たっぷりと恐怖を堪能できる」

 「ちょっと身勝手な中年男性・青山重治を演じた石橋凌が良い味を出している。息子の青山重彦役沢木哲は、なかなかすがすがしい。舌と足首を切られて飼育されている柴田役の大杉漣にも拍手」「そして『言葉なんか嘘だけど、痛みだけは信じられる』『うんと辛い目に合ったときだけ、自分の心の形がわかる』と言いながら、嬉しそうに注射を打ち、針を刺し、足首を切り落とす美女。幼児虐待の深いトラウマを抱えている山崎麻実を演じ切った椎名英姫こそ、高く評価されなければならない」

 「TVとも連動した飯田譲治監督の『アナザヘヴン』。殺人後、脳を取り出してシチューやカルボナーラなどに料理する猟奇的な事件が続発する。首が折られていたことから大男の犯行とみられたが、料理やその他の証拠は女性の犯行を予想させた。そして、失踪していた女子大生がセクシーに男たちを誘惑し、『悪意』が男に乗り移る。刑事は失踪した場所・美術館の頭が欠けたアポロの像の前で推理する。ここまでは、なかなか緊張感のある展開だった。しかし、前作『らせん』と同じように、後半に入ると失速していく。観念的な説明が強くなると魅力が半減する」

 「時間をさかのぼって『天』から降りてきた『悪意』なのに、脳が拒否反応を起こした腫瘍を作るのか。何故水の形態を取って、わざわざ皮膚から入り込むのか。そんな存在なら宇宙生物にした方が、まだスッキリするだろう」「善良な人間の犠牲的な行為により『悪意』は滅びるという結末もありきたり。とりわけラストの早瀬マナブの演説は、噴飯ものだ。高尚なことを喋らせたくなる飯田譲治監督の悪い癖だろう。岡元夕紀子、松雪泰子、市川実和子の熱演に水をさす結果になった」

 「『発狂する唇』(佐々木浩久監督)は、なんともいかがわしい。内容が決まる前に決定していたという『発狂する唇』という題名からして、かなりいい加減」「全編通じて、とんでもなく無責任なエロ・グロ・ナンセンス&アクション映画。神経を逆撫でするようなシーンが畳み掛けるように続く」「父が死刑になり、兄も女子高生連続殺人事件の容疑者として追われている家族。マスコミ、近隣住民、 刑事から嫌がらせを受けている。なんともシリアスな設定。しかし突然三輪ひとみが歌謡曲を歌い、霊能力者が家に現われたあたりから、すべてが狂い始める」「刺激的で面白ければそれでいいという佐々木浩久監督の信念が貫かれている。ただ、ストーリーは猛烈に過激だが、興行的な配慮などから過剰な表現は巧みに避けている。その冷静さが、この作品からカルト的なパワーを奪っているのは否定できない」「監督自らが『60点の出来。小さくまとめ過ぎた』と語っているので、次回作に期待したい」「『発狂する唇2』かな」

 「この作品の前半は美少女アイドルいたぶり。その点、三輪ひとみは格好の対象だろう。手から血を流して包帯するシーン、家族の悲劇に苦悩するシーン、母親や姉に押さえられて死体に犯されるシーン、なかなかのサービス精神である」「そして後半、彼女が連続殺人事件の真犯人であることが明かされる。追ってきた遺族たちをカンフー・アクションで倒しながら、愛しあっていた兄とともに殺される。この大どんでん返しには空いた口がふさがなかった。それにしても、演技は下手でも三輪ひとみのひたむきな姿勢は魅力的だった」「阿部寛、大杉漣らの怪演も華を添えている。特に大杉漣は目が点になった」

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■銀河・映画対談2000.04

■銀河・映画対談2000.04


 「『シャイン』のスコット・ヒックス監督が、太平洋戦争勃発時のアメリカを舞台に、戦争、法廷劇、そして悲恋が絡み合う物語を、雪に包みながら寡黙に描いた傑作『ヒマラヤ杉に降る雪』」「回想シーンの編集がなんとも素晴らしい。現実の場面にイシュマルの思い出が交錯しながら、狂おしく美しく重なりあうフラッシュバック。意識の流れをこれほど自然に再現した映像を私は知らない」

 「俳優たちは、イーサン・ホークをはじめ皆手堅いが、日系移民ハツエ役の工藤夕貴がとりわけ印象に残る。陪審員に向けた弁護士の演説を聞き、張りつめた無表情から一瞬にして泣き崩れる0.5秒間の劇的な演技は、長く記憶されることだろう」「少女時代のハツエを演じた鈴木杏の天真爛漫な表情も可愛い。だからこそ、大人になったハツエの意志的で終始緊張した表情が生きてくる」

 「人気の『グリーンマイル』(フランク・ダラボン監督)は確かに泣ける。被害者の少女を救おうとした黒人が殺人犯として処刑される。死刑の意味を問い返すという点では、『デッドマン・ウォーキング』(ティム・ロビンス監督)以上にインパクトがある」「しかし、物語が次第に寓話化されていくので、差別や死刑問題という重いテーマからは離れていく。病気を直し死んだネズミを生き返らせる力を持つジョン・コーフィは、その力を誇ることなく、世界中に悪意に満ちた犯罪がまん延してることに心を痛め、生きることを断念し死刑になることを願う。彼が電気いすで処刑されるシーンを涙なしで見ることのできる人は少ないだろう。目をそむけてきた現実を突き付けられ、心の深いところが揺さぶられる」

 「物語は緊密で、俳優も演技派ぞろい。ただ、善人と悪人が整然と分けられ、悪人は滅んでいくというのは安易すぎないだろうか。卑劣きわまりない看守パーシー・ウェットモア、良心のカケラもない犯罪者ウィリアム“ワイルド・ビル”ウォートン。この二人ほど救いようのない悪人は近年珍しい」「世界にまん延する悪の問題に切り込みながら、単純に人を区分してしまったことで、テーマが紋切り型になったのは否めない。その方が分かりやすいのは確かだが。そして最後に示された秘密は、私には付け足しにしか思えなかった」「トム・ハンクスは確かにうまいが、真の主役はマイケル・クラーク・ダンカンだ。あの涙に満ちた瞳が切ない」

「『タイタニック』後のデュカプリオ主演作品として注目された『ザ・ビーチ』(ダニー・ボイル監督)。何か違う世界を求めて旅を続けているバックパッカーのリチャード。安ホテルでドラッグ漬けのダフィから秘密の楽園の地図をもらい、隣に泊まっていたエチエンヌとフランソワーズを誘ってその島を目指す。たどり着いた楽園は、美しい自然に包まれた少人数のコミューン。しかし、夢のような生活は長くは続かなかった」「前半の明るさ、美しさと後半の暗さ、陰惨さがとても対照的だ。鮫に食われた傷の生々しさが、象徴的に前後を分けている」

 「閉鎖的な小集団の危険性については、1970年代に嫌というほど見せつけられた。しかし、今も理想の共同生活への希求は繰り返されている。この作品は、あらためて理想の暮らしを求める小集団の危うさを示したものだ」「しかし、けっして説教くさくなるわけではない。最後に、インターネットの開かれた共同性をさりげなく提示しているところが、いかにもボイルらしい」

 「大胆な手法でイギリスの閉塞を描いた『トレインスポッティング』で高い評価を得たダニー・ボイル監督が、レオナルド・デュカプリオを迎えて描いた新作。お金はかけているだろうが、大作というよりは理想と現実の断層を見据えた青春映画だ」「デュカプリオは、狂気に振れかける危うい感情表現で持ち前の演技力を発揮し『タイタニック』(ジェームズ・キャメロン監督)の重しを見事にはね除けている」「ティルダ・スウィントンの存在感はさすが。一方、ヒロイン役のヴィルジニー・ルドワイアンは、あまり陰影がなく持ち前の魅力を発揮していない」

 「1998年、ケニアの首都ナイロビのアメリカ大使館に隣接するビルが、テロリストによって爆破されるという事件があり、完成前に類似点が指摘されて公開が延び延びになっていた『マーシャル・ロー』(エドワード・ズウィック監督)。テロリストによるニューヨークの連続爆破事件によって、FBI、CIA、陸軍が対立する中で、ついに戒厳令が敷かれアラブ系市民への弾圧が始まる。エキストラを駆使した迫力は認めるが、大掛かりな仕掛けが裏目に出た社会派映画の失敗作」「物語も登場人物も全然かみ合っていない。ハイジャックされたバスから高齢者が解放されかけた瞬間にバスが爆破されるシーンの衝撃力とFBI、CIA、陸軍のすれ違いをさらりと見せた序盤の期待は、この後見事に吹き飛ばされてしまった」

 「だいたい、戒厳令を命令した大統領が最後まで登場しないのは何故なのだろうか。CIAのエリースは、かつて自分が訓練した青年たちが次々にテロを起こしていることに薄々気付きながら、何をしていたのか。最後のお涙ちょうだいはしらけるだけだ。」「陸軍がアラブ人に拷問したとしてFBIがダヴロー将軍を逮捕するが、それで戒厳令が解かれるのは理解できない。誰がテロリストが壊滅したと判断したのか」「そして、アラブ=テロリストではないのなら、アラブとアメリカの歴史的関係や世界観の違いなどにも、少しは触れるべきではないか」

 「国立公園のレンジャー部隊2人を殺した人類学者・動物学者のイーサン・パウエルは、共同生活をしていたマウンテン・ゴリラが惨殺されたことに怒り、現代人から決別するために沈黙していた」「西洋の『奪う者』としての残酷さ、『自由の幻想』の指摘といい、すべてを言語化しようとする精神分析医との対峙といい、『ハーモニーベイの夜明け』(ジョン・タートルトープ監督)は、文明論的、哲学的な骨組みを持っている」「しかし、最も映画化しづらいテーマを無理して映画化したという感じも受けた」

 「アンソニー・ホプキンスが知能指数の高い凶暴な『精神障害者』を演じている。思わず、近く続編の撮影に入る『羊たちの沈黙』(ジョナサン・デミ監督)のハンニバル・レクターを連想したが、趣きはだいぶ違う。こちらは『奪う者』を導いてしまった自分の責任を感じての理性による『沈黙』の選択であり、結局は再び言葉によって出世主義の精神分析医の目を覚まさせる」「最後にパウエルは、やすやすと脱獄してしまうが、精神病棟の待遇などさまざまな問題は宙づりにされたまま残った。この投げ出された感じは監督が意図したものなのだろうか」

 「両生類の有精卵からつくられた生体ポッドが脊髄を直撃する魅惑の仮想体感ゲーム。『イグジステンズ』(デビッド・クローネンバーグ監督)は、十年ぶりのオリジナル脚本だが、近未来のゲームを取り上げているが、アイデアの斬新さは乏しい。今さら現実と仮想の壁が壊れるシーンを描いても陳腐なだけだ」「どんでん返しの結末も予想できてしまう。少なくても、かつてのようなまったりとした複雑な触感を残すラストシーンではなかった。どちらにもとれる微妙な終わり方が好きだったのだが」「前作『クラッシュ』のひりひりするような反社会性に比べると、バーチャルリアリティ・ゲームの危険性を示して教科書的ですらある」

 「動物の骨で組み立て人の歯を弾丸とするグリッスル・ガンの秀抜なデザインにはニヤリとしたが、身体に空けられた穴につばをつけてポッドを差し込むシーンには閉口した。いかにもクローネンバークらしいが、後者はあまりにもあからさまだ。身体の変容を追求してきたクローネンバーグ監督なので、仮想世界で思いっきり暴れまくるのかと楽しみにしていたが、グロテスクでいかがわしい小道具や過剰な血を見せるだけで、小さくまとめてしまった」「公開をわくわくしながら待っていただけに、失望感に近い物足りなさを味わった」

 「『スクリーム3』(ウエス・クレイヴン監督)は、とんとんとテンポ良く劇場公開された『スクリーム』シリーズの完結編。ホラー映画のパロディとしてスタートした『スクリーム』は、『スクリーム2』ではそれが重層化して、蘊蓄の度合いも進んだ。『3』では、さらに3層構造に進化し、味わいも深まった」「予想に反して『2』で殺されてしまったランディが、今回は遺言ビデオで登場し、三部作のスーパー・ルールという蘊蓄をたれるシーンには、思わず拍手したね。やはり『スクリーム』にランディの蘊蓄は欠かせない」

 「脚本は『隣人は静かに笑う』のアーレン・クルーガーが担当。さすがにうまい。『スクリーム』の基本を押さえながら、緊密でスリリングな展開になった」「ユーモアと恐怖のスピード感は絶妙だ。そして、今回特筆すべきなのは、この作品が人間ドラマとしてもしっかりとしているということだ。主人公シドニー・プレスコットが立ち直っていく姿が見事に描かれている」「過去の記憶に怯え幾重にも戸締まりしていた彼女が、最後に何かが起こることを密かに期待する私たちを見すかすように、ドアを空けたままにする静かなラストシーンは感動的」

 「ニューヨーク大大学院の卒業制作として仕上げた作品『ザ・パーソナルズ』(伊比恵子監督)が、いきなり1999年アメリカ・アカデミー賞のドキュメンタリー映画賞短編部門でオスカーを獲得した。ニューヨークでアマチュア劇団をつくるユダヤ系米国人の70歳、80歳を取材。新聞に『交際希望』の広告を出す高齢者をテーマにした公演を準備するサークルのメンバーに。性体験など率直な質問が繰り返され、それぞれの個性と孤独が浮き彫りになっていく」「『お年寄りたちのユーモアと率直さのおかげで映画ができた。出会えて幸運だったと思っている』と伊比監督は話していたね」

 「記録者と当事者。両者の信頼感と距離感の絶妙なバランスが、素晴らしいドキュメンタリー作品を生み出した。高齢者たちは、なんとも率直に、ときにユーモラスに性体験や人生の悩みを語る。密度の濃いテーマを可能な限り凝縮しながら、息苦しさを感じさせない編集のセンスも高く評価したい」「そして、高齢者の肉声をすくい上げるだけでなく、終盤では、劇団への公的な援助が突然カットされるという社会政策の問題点も静かに指摘している。人生と社会を同時に考えさせる心憎いばかりの配慮だ」

 「まるバ会館で上映された黒坂圭太監督作品にも触れておこう。1956年東京生まれ。現在は漫画家としても有名」「1991年作品の『春子の冒険』は、老朽化したアパートと少女の交感を中心に描いているが、すごいのは実写写真をモノクロコピーし、その濃度の変化で現実のブレを表現している点だ。その異様な緊張感は私を不安にした」「迫力というか気迫というか」「絶句するほど」「『変形作品第5番〈レンブラントの主題による変形解体と再構成〉』は1986年作品。28分の長さだが、20分過ぎまでは、単純な反復。習作を見せられているようで退屈した。しかし、ラストに向かって映像の美しさが高まり、荘厳ささえ漂っていた」「1990年作品『個人都市』は、さまざまな技法を駆使して次々にシュールな世界を突きつけ、飽きさせない」「作者渾身の告白なのだろうけれど、私には孤独感や痛みがあまり伝わっていなかった」「切実さとお茶らけたお遊びのブレンドが性に合うかどうかだね」

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■銀河・映画対談2000.03

■銀河・映画対談2000.03


 「すべてがティム・バートン監督にコントロースされた『スリーピー・ホロウ』の映像美に見とれた。自分のテイストを守りながら、有名なワシントン・アーヴィングの原作『スリーピー・ホローの伝説』をもとにホラー娯楽作をつくってしまうティム・バートン。確かに血みどろであり、首がぽんぽん切られていくが、ハメを外すほどのおふざけはない」「今回は『マーズ・アタック!』以上に、そつなくまとまっている。深いトラウマを抱えながら、ハッピーエンドを描けるようになった監督の幸せを、批判するつもりはない」

 「『エド・ウッド』のジョニー・デップと『アダムス・ファミリー』(バリー・ソンネンフェルド監督)のクリスティーナ・リッチの共演というバートンらしい取り合わせとともに、尖った歯をむき出しにしたクリストファー・ウォーケンの怪演が嬉しい」「そして、バートン最愛のリサ・マリーは、天使のような母親役で登場。最後は『鉄の処女』に入れられて全身串刺しになる。何という壮絶な美しさだろう」「ヴアンパイア役で名高いクリストファー・リーの起用も忘れてはいけないポイントだね」

 「『トイ・ストーリー2』(ジョン・ラセター監督)は、しっぽの先まで美味しいあんこが詰まった鯛焼き。1996年の『トイ・ストーリー』を技術的にもストーリー的にも上回る出来映え」「子供たちに触れられ愛されながらやがて捨てられるか、プレミア・トイとして博物館のガラスケースの中で永遠の命を得るか。おもちゃの『究極の選択』がテーマだが、堅苦しさは微塵もない。登場する個性的なキャラクターを楽しむだけでも1時間30分があっという間に過ぎる」

 「吹き替え版で観たが、作品全体を丁寧に日本語化していて、違和感がなかった。『バグズ・ライフ』に続いてラストクレジットに用意されているNG集は、抱腹絶倒もの。さらにギャグに磨きがかかった。本編がNG集のためにあるといっても過言ではないほど」「上映前にハイライトシーンが明かされた、今年暮れ劇場公開予定のCG作品『ダイナソー』の壮大な自在さに驚いたことも報告しておこう」

 「『トイ・ストーリー2』のあとは、『ストレイト・ストーリー』。味わい深い。忘れがたい老境映画の誕生だ」「デビィッド・リンチが監督したことを驚く必要はない。もともと確かな技量と美的センスを持った監督なのだから。いつもの作品から暴力とセックスと錯乱を除くと、『ストレイト・ストーリー』になる」「鹿をめぐる印象的なシーンや燃え上がる家、カウンターをこすり続ける客など、よく見ているとリンチ・ワールドの片鱗は隠されている。今回は暴走していないだけだね」「こんな映画をつくっておいて、次回は再び理解不能な映像を叩き付けるのが、リンチ流なのだろう」「安心はできない」

 「第72回アカデミー賞主演男優賞は逃したものの、リチャード・ファーンズワースの味わい深い演技は、誰もが賞賛することだろう。現在79歳で、『最後の作品』と語っているようだが、まだまだ多くの作品に出演してもらいたい」「アメリカの大地に根ざした生きざまを、無理なく演じられる数少ない名優なのだから」

 「巧者パトリス・ルコント監督の新作『橋の上の娘』。今回はモノクロ映像。銀幕の官能性をあらためて感じた。『イヴォンヌの香り』では、匂い立つようなエロティシズムを漂わせていたが、『橋の上の娘』は触れあうことがないままに愛を交わす、ナイフ投げの芸人と的モデルの屈折したエロスを焼きつけている」「ナイフが刺さる時の鋭い音と的の吐息のなんという官能。しびれるような快感が伝わってくる。ウイットに富んだ会話と無言の交感の対比が絶妙だ」

 「こんなに美しく、こんなに演技のうまいヴァネッサ・パラディに出会えるとは。断わることができず、どんな男ともすぐに関係を持ってしまうが、いつも孤独な少女を自然体で演じている」「そして禁欲的な芸人にダニエル・オートゥイユがなり切っている。鷹のような意志的な眼が印象的だ」「その他の脇役も皆一癖あり、いかにもルコントらしい」

 「『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は、キューバ音楽の素晴らしさに感動したヴィム・ヴェンダース監督とライ・クーダーによって企画された至福の音楽ドキュメンタリー。演奏者の生き生きとした表情と人生の年輪が刻み込まれた明るい音楽に包まれて、幸せな気分になれる」「作為を感じさせない落ち着いた構成ながら、ニューヨーク・カーネギーホールでの歴史的なコンサートが実現する過程を追ううちに、アメリカとキューバの複雑な歴史的関係が静かに浮かび上がる」「脳天気なようで、意外に深い作品だ」

 「自分の人生を語り、楽しそうに演奏する往年のミュージシャンたち。忘れられた人たちが集まり、再び脚光をあびる。一人ひとりが輝いている。最初に登場する90歳を超えたギタリスト、コンパイ・セグントのダンディーさ、天性のシンガーであるイブライム・フェレールの人なつっこさ、ピアニストのルービン・ゴンサレスの華麗なテクニックと繊細な感性」「その音楽は本当に心地よいが、過酷なキューバの歴史が生み出したものであることも忘れてはならない」

 「『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』(アナンド・タッカー監督)。イギリス最高の天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレと姉のヒラリー・デュ・プレの愛と確執を描いた迫力あるドラマ。『シャイン』(スコット・ヒックス監督)に並ぶ佳作だ」「ジャクリーヌは28歳の頂点の時に難病の多発性硬化症に冒されてステージを降り、42歳で1987年に亡くなっている。『ほんとうの・・・』という邦題は、伝説化され神格化されている天才の実像に迫ろうという姿勢を示しているが、それを知らないと奇異な感じを受ける」「欧州では内容に抗議するデモがあったという」

 「前半はそっけないほど淡々と流れていくが、後半に入って前半の場面が眩く活きてくる。予想はしていたものの、エルガーのチェロ協奏曲の鬼気迫るような音色に圧倒された。この音に出会えただけでも収穫だった」「自分の才能と人生に戸惑い苦悩するジャクリーヌをエミリー・ワトソンが渾身の力で演んじた。印象深い『奇跡の海』(ラース・フォン・トリアー監督)以上にリアルだと思う。ヒラリー役はやや美化されている気もするが、レイチェル・グリフィスの演技に嫌味はない」

 「『ケイゾク/映画』(堤幸彦監督)のテレビ番組やインターネットのホームページなどを連動させながら、映画につないでいくという手法は、『踊る大捜査線』(本広克行監督)と同じ路線。しかし、『ケイゾク/映画』の方がテレビを観ていないと映画が理解しにくい。『ツイン・ピークス』『エヴァンゲリオン』などなど、先行するさまざまなイメージを取り込み、変形しながら、ギャグとシリアスのサラダという流行りのテースト仕上げだ」「それが単なる寄せ集めか、一つの世界を作り上げているかのが作品評価の分かれ目になる」

 「何がリアルに感じられるかという好みの問題になるのだろうが、私には積み木細工に感じられた。ギャグのばかばかしさは、あまりに白々しい。生死への問いは、見せ掛けばかりで紋切り型だ。派手だがセンスの良くないCGが場面をつないでいく。複雑なようで空しいストーリー展開」「だが、それは私たちの日常と似ている。『ケイゾク』というプロジェクトは、私たちの閉塞した観念世界をあぶり出しているのかもしれない」

 「1998年にゆうばり国際映画祭ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門で激励賞を受賞した『クルシメさん』(井口昇監督)のニューヴァージョンが、札幌のまるバ会館で上映された」「好きになった人の一番嫌いなことをしてしまうという困った癖を持つ女性と、舌の先が大きく割れている女性の出会いの物語。人と関わること、他人の視線に怯えながらも、人とのつながりを切望する二人。それを追う監督のまなざしの繊細さが印象的だ」「新井亜樹、唯野未歩子の演技は素晴らしい。特に新井亜樹のおどおどした態度は切なくなるほどだ。唯野未歩子はそこにいるだけで存在感があるといういつもの役柄ではなく、引っ込み思案で新鮮だった」「身につまされるような叙情とほのかなユーモアに包まれるが、最後はコミック・ホラーになってしまう。私としては、別な終わり方を期待したが、これは監督の一種の『照れ』なのだとも思う」

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■銀河・映画対談2000.02

銀河・映画対談2000.02


 「『富江Replay』(光石冨士朗監督)は、『富江』(及川中監督)の続編ではなく、オリジナルな作品。原作の『富江』は、男を狂わせ自分をバラバラに解体させて増殖していくが、映画もさまざまに原作を切り刻み、それぞれに変化増殖していくことを期待したい」「通常のような続編ではない形でシリーズ化すると面白い」「宝生舞は、なかなか妖しい雰囲気を漂わせていたね」「でも冷たい美しさは富江役にぴったりだが、脚本が富江の人間性、死ねない辛さなんかを表現しようと考えたので、恐怖がしぼんでしまった」「富江を人間に近付ける必要はない。富江は人間的な感情から離れた存在であってこそ、迫力があるはずだ」

 「『うずまき』がなかなかいい。ウクライナ出身、東京育ちのHiguchinsky監督は、ミュージック・ビデオ・クリップで高い評価を得ているが、映画はこの作品がデビュー作。くすんだ色調は『怪奇大作戦』を連想させる。懐かしい雰囲気に最新のCGを持ち込み、ギャグと恐怖を組み合わるセンスは面白い」「コミック色が強いが、突然怖いシーンを叩き付けるので、観客は席から飛び上がるくらい驚く」

 「うずまきだらけで、おもちゃ箱のような構成だが、映画としての収まりの面で、大杉漣、高橋恵子の演技に助けられている。髪を膨張させる関野恭子役の佐伯日菜子は、思い切って漫画チックにデフォルメした演技が笑える」「斎藤秀一役フィーファンは、奇妙な味を漂わせてハマリ役。ヒロインの初音映莉子は、演技はこれからという感じだが、清楚な雰囲気で好感が持てた」

 「『リング0〜バースディ〜』(鶴田法男監督)は、『リング』シリーズの完結編ということだが、『バースディ』の中編『レモンハート』を基にした組み立てに無理がある。あの作品群は、あくまで外伝として楽しむものだ」「山村貞子が、呪いのビデオテープをなぜ生み出すことになってしまったのかを解き明かしたと宣伝されているが、私は第1作『リング』自体の説明で十分だと思う」

 「鶴田法男監督は、恐がらせるテクニックには精通している。しかし、ストーリーが薄いので、恐怖の質も浅いものにならざるを得なかった。仲間由紀恵は、美少女だが山村貞子役としては線が細すぎる。地味な配役だったが、麻生久美子はラストに向けて演技に熱がこもり、『カンゾー先生』(今村昌平監督)の体当たりの演技を思い出させた」

 「『勝手に死なせて!』、『人間椅子』と、屈折した人間心理を突き抜けた表現で作品化してきた水谷俊之監督。鋭い映像感覚は高い水準にあった。超能力と多重人格を扱った『ISOLA』も人間心理を描いたものだが、阪神大震災への配慮からか、製作上の制約からか、水谷監督としては大胆さが欠けているように感じた」

 「黒澤優の拒絶的な表情が抜群にいい。演技はこれからだが、目に力がある女優なので、今後が楽しみだ。癒し系の女優と見られていた木村佳乃は、人の心が読める超能力者の孤独を演じて、女優としての幅を広げるきっかけがつかめたのではないか」「『 M/OTHER』(諏訪敦彦監督)で強烈な印象を残した渡辺真起子は、激しくはあるが人間としての掘り下げが乏しい役で、かわいそうな気がした」

 「『マグノリア』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)は、ロバート・アルトマン監督の大傑作『ショート・カッツ』を連想させるアンサンプル映画。12人の男女の一日をタペストリーのように精緻に編み上げていく。それぞれの立場は過酷で、追い詰められていくが、みつめる監督のまなざしは不思議に温かい」「偶然についての歴史的なエピソードを並べた巧みなプロローグから、手際の良い人物紹介、そして登場人物全員が『Wise Up』の『もうとまらない』という歌詞を口ずさむシーンの素晴らしさはどうだろう」「心地よい肩すかしを楽しみながら、3時間7分を過ごすことができる」「『マグノリア』という題から、あからさまな華を求めてはいけない。ラストの控えめな微笑み以外は」

 「私にとっての本当の驚きは、想像を絶したクライマックスシーン(アイデアは浮かんだとしても、実際にやってしまうとは。すべてを洗い流す土砂降りの雨。It rains frogs.)ではない。SEX教祖役のトム・クルーズの名演技だ。『アイズ・ワイド・シャット』(スタンリー・キューブリック監督)でさえ、枠を超えられなかった彼が、群像劇で花開くとは。12人の個性的な俳優たちの中でも、ひときわ存在感のある青年を演じ、強烈な印象を残した」

 「『シュリ』(カン・ジェギュ監督)冒頭の北朝鮮での特殊工作員の訓練シーンは、息を飲むほどに壮絶だ。韓国、北朝鮮の緊張関係、民族分断という現実の裏づけがあるだけに、リアリティは痛いほど。北朝鮮の工作員を人間として描いていたのも共感できた。そして、スパイと情報部員の悲劇的な恋が最大の効果を発揮している」「ラストのキャロル・キッドが歌う『When I Dream』は、心に染みたなあ」

 「ハン・ソッキュは『8月のクリスマス』(ホ・ジノ監督)とは180度違う硬派の男を演じきっていて見事。キム・ユンジンも苦悩をうまく表現していた。編集も音響も非常に切れが良い。多くの映画評は絶賛している」「傑作なのは認める。ただ、液体爆弾CTXの原理があまりにもお粗末であったり、情報部員としてはかなり不用意な行動が目立つなど、娯楽作としても疑問な点はある。しかし、ハリウッド映画に負けない娯楽作をつくろうというカン・ジェギュ監督の意気込みが全編から伝わってくる」

 「ことしも、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000に行ってきた。ヤング・ファンタスティック・クランプリ部門では、全6作品を観た。『金髪の草原』(犬童一心監督)は、80歳の老人がある日目覚めると20歳の青年になっているというファンタジー。心温まるファンタジックなアイデアで、登場人物もみなユニーク。納得のグランプリだった」「本人は20歳のつもりだが、周りは80歳と思っている。そしてマドンナとして憧れていた女性に似ていたお手伝いさんに恋をする。夢のあるボケを描いているのかと思って見ていると、そうでもないようにも思えてくるような仕掛けが用意されている。ラストシーンは不要に感じられたが、あのシーンによって明るいまとまりになったと思う」

 「『ミステリー・オブ・ザ・キューブ』(ジョナサン・ユー監督)は、冒頭からコンピューター・グラフィックによるエフェクトの連発。タイトルには、カイル・クーパーの影響も感じられる。日本と韓国の歴史や有名な詩人の難解な詩を織りまぜながら、ミステリー、ホラー、アドベンチャーを横断していく」「ただ、仕掛けばかりが目立って意外に引き込まれない」

 「『ホーク』(ブルース・ロー監督)は、テロリスト宗教集団の毒ガス計画を阻止しようとする香港と日本の刑事の悪戦苦闘を描く。もう見え見えの企画。爆破シーンの迫力は度胆を抜くほどだが、テロリスト集団をたんにパロディ化、漫画化しているだけで、結局はアクションだけなので見終って何も残らない」「そういう作品があってもいいが、私は物足りない」

 「『パップス』(ASH監督)は、13歳の銀行強盗の物語。良くある話だが、細部のアイデアのオリジナリティが高く引き込まれる。パート・レイノルズがいい味を出していた。そして『キャメロット・ガーデンの少女』(ジョン・ダイガン監督)のキャメロン・ヴァン・ホイがとてもキュートだった」「監督も俳優として高く評価していた」

 「『ボーダーライン』(アラン・ベジェル監督)は、友人の『ベニスで火葬にしてほしい』と言う遺言をかなえるために、病院から遺体を盗み出すストーリー」「展開にやや無理はあるものの、なかなか考えさせられる。広田レオナがミステリアスなアキコ役を好演。監督は天使をイメージしたと言っていたが、さすが人間離れした美しさだった」

 「『人狼 JIN-ROH』は、日本アニメ界の多くに原画作家として参加してきた沖浦啓之の監督デビュー作。押井守 の原作・脚本。ありえたかも知れない架空の昭和30年代を舞台に市街戦の血なまぐさい世界を描いている」「人間の弱さ、デリケートさが政治に利用されていく残酷さ。救いがない暗さが立ちこめているが、それが重たい感動につながっていく。赤頭巾をさらに残忍にした童話が実に巧みに生かされている」

 「クロージング上映の『どら平太』(市川崑監督)は、黒澤明、木下恵介、市川崑、小林正樹の4人による『四騎の会』の30年前の脚本が日の目を見たもの。最近ではお目にかかれない豪快な主人公が大活躍する勧善懲悪もの。わくわくしながら、小気味の良い展開、編集に酔いしれた」「役所広司はどんな役も見事に演じてしまう」

 「招待作品『現実の続き夢の終わり』(チェン・イー・ウェン監督)は、はっきり言って期待外れ。最初は新しい表現手法を感じたが、あとは失速。混沌とした台湾ヤクザ社会を描いているのは分かるが、話にリアリティが乏しい。 水野美紀が短期間でニキータみたいに銃を使いこなすのはあまりにも不自然だろう」

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■銀河・映画対談2000.01

20世紀、最後の1年の映画たち...


銀河・映画対談2000.01

 「『母の眠り』(カール・フランクリン監督)は渋い味わい。国民文学賞を受賞した優れた文学者の父の影響を受け、専業主婦の母の生き方に反発して新聞記者となってニューヨークで特ダネを追っていた娘エレン。父の誕生パーティのために久しぶりに帰郷した彼女は、母親が末期ガンであると知らされ、父親から母親の世話をするために戻って来いと言われる。母の強さや父の弱さに触れて家族を、そしてこれまでの自分の仕事をとらえ返しながら、死を迎えようとしている母親の介護を続ける」「誰もが直面している問題を静かに提示しているが、あえてミステリー仕立てにしなければならないのがハリウッド映画の悲しさだ」

 「メリル・ストリープ、ウィリアム・ハート。この二人の味わい深い演技によって、物語の中に引き込まれていく。メリル・ストリープが一見平凡な主婦の存在感を示して見事。ウィリアム・ハートは、努力家だが家庭を軽んじている中年男性をバランス良くみせた」「憔悴しても最後までぷっくら顔でちょっと首をかしげたが、レニー・ゼルウィガーの率直なヘレン役も悪くない」

 「原題は『Jakob The Liar』。『聖なる嘘つき、その名はジェイコブ』(ピーター・カソヴィッツ監督)というひどい邦題で、ちょっと観るのをためらっていたが、やはり観て良かった。佳作である」「いわゆるユダヤ人収容所、ゲットーの物語だが、軽妙さを貫くことで悲しみを引き出した『ライフ・イズ・ビューティフル』(ロベルト・ベニーニ監督)とは別の方法で、ユーモアを生かしている」「ヒトラーを取り上げたブラックジョークを持ってきて『冗談を言うことが我々を支えている。他はドイツ人に奪われた』とジェイコブに語らせる導入部がうまい」

 「極限状態の中で生きる人々を、それぞれ生き生きと個性的に描き分ける見事さ。ベテラン俳優たちがそろっている。主人公ジェイコブ役のほかに製作総指揮も務めたロビン・ウィリアムズの演技は、とりわけ素晴らしい。このところの大袈裟さが微塵もない絶妙な表現力。嘘をついても真実を話しても、結局人を死なせてしまう立場に置かれたジェイコブの苦悩と悲しみがひしひしと伝わってくる」「だから、少女とのつかの間のダンスの場面で涙が出た」

 「女優ジョアン・チェンの監督デビュー作『シュウシュウの季節』。広大なチベットの自然の中で、中国の文化大革命に翻弄された少女の物語。革命を信じた純粋な少女が、故郷に帰るために共産党官僚に進んで身をまかせるようになる姿は、正視できないほど残酷だ」「中国政府の許可を得ずに撮影を強行し、作品を完成させた執念は、『ポーラX』(レオス・カラックス監督)に匹敵するものがある」

 「なんといってもシュウシュウ役のルー・ルーの可憐さが忘れがたい。前半、あまりにも可憐なので、後半の変化がとてつもなく痛々しい。自然の変化と小道具をうまく使いながら、寡黙に簡潔に描かれた悲恋」「それにしても、去勢されたラオジン以外の男性たちは、獣のように描かれている。共産党批判と男性批判が重なっているのが、結構こたえた」

 「ミラ・ジョヴォヴィッチへの惚れ込みから誕生した『ジャンヌ・ダルク』だが、歴史に翻弄される女性を執拗に追い続けるリュック・ベッソン監督の映像は力強い」「時に勢い余って空回りする場面も見受けられたが、100億円の駄菓子『フィフス・エレメント』よりは、はるかに見ごたえがあった」

 「いかにもベッソンといった鋭く構図の美しいシーンと戦場の猥雑で血なまぐさいシーンの振幅の大きさに感心した。通常の歴史劇に比べ、数歩対象に近づいて撮っている」「血を浴び火に焼かれているベッソン監督を想像した。入れこみようは大変なものだろう。エリック・セラの音楽も、これまでに増して堂々としている」

 「『ゴースト・ドッグ』では、鳩とハイテク、武士道とヒップポップ、言葉が通じない友情、古いものと新しいもの、純粋なものと猥雑なもの、さまざまな異質なものが独特のスタイルで混在している。ジム・ジャームッシュの世界は、いつもユニークで、しかも不思議にリアルだ。考えてみると、殺し屋に『葉隠』の美学は実にぴったりくる。殺し、殺されることを中心に生き方を純化しているからだ。」「単純な振る舞いに還元する武士道のスタイルは魅力的だが、代わりに複雑な世界の豊かさをばっさりと切り落としてしまう。もちろん映画は多様性を失ってはいない」

 「少女ルイーズ・ヴァーゴが『葉隠』の本をゴースト・ドッグ に渡し、最後に少女パーリーンに本が引き継がれる。最初と最後に聡明な少女を配したところが、いかにもジム・ジャームッシュ。老人マフィアの見事な死に様と対照的だ」「そして、残酷なアニメがストーリーと連動していく趣向も心憎い。ハイセンスなギャグとシリアスのブレンド」

 「『ワイルド・スモーカーズ』(スティーブン・ギレンホール監督)は、マリファナをめぐる血なまぐさい殺人事件から始まるが、物語はちぐはぐなコメディタッチで進んでいく。どこか『飛んじゃってる』主人公たちが繰り広げるドタバタ劇を追いながら、マフィアと地域コミュニティの対立というマジなテーマが浮かび上がる仕掛けだ」「でも深刻ぶらずに終始なごんだ香りが包む。マリファナ文化に詳しくなくても十分に楽しめるが、知っていればもっと笑えるはず」

 「ヒップな作品だが、キャストも『極上』。個性派俳優が次から次へと登場する。ビリー・ボブ・ソーントン、ライアン・フィリップ、ハンク・アザリアにケリー・リンチが絡むのだから嬉しくなってしまう。そしてジョン・ボン・ジョヴィも良い味出している」「皆楽しんで演じているのが伝わってくる。1981年に構想した脚本は、多くの出会いに支えられて、最高にハッピーな映画に仕上がった。そのこと自体、かなり幸運なことだ」

 「『隣人は静かに笑う』の切れの良いどんでん返しが記憶に新しいマーク・ペリントン監督のデビュー作『インディアナポリスの夏・青春の傷跡』。サンダンス映画祭で審査委員特別賞に輝いた。1954年、朝鮮戦争で兵役してきた対照的な性格の二人の青年が故郷インディアナポリスに帰る汽車の中で出会い、友情で結ばれる。戦争と抑圧の時代、子離れしない母親の時代に、自分らしい生き方を求めて迷い続ける青年を、ときにユーモラスに、ときにシリアスに描いていく」

 「『隣人は静かに笑う』とは、かなり違う舞台だが、シャープな映像感覚は、この作品でも何度か見ることができた。懐かしいオールデイズに乗せて、ジェレミー・デイヴィス、ベン・アフレックとも50年代の雰囲気を醸し出している。」「周囲の女性たちも、なかなか個性的で、彼女たちになら悩まされるのもうなずけた」「母親役のレスリー・アン・ウォーレンがとびきりの怪演だ」

 「『ベルベット・ゴールドマイン』(トッド・ヘインズ監督)で、一躍注目を集めたジョナサン・リース・マイヤーズの幻の初主演作『ザ・メーカー』。自分がつかめずにいるジョシュの前に10年前に家出した兄が現れ、悪の道に連れ込まれる」「しかし、その後が良く分からない展開になる。ジョシュが見る夢のシーンがスタイリッシュ。これはミステリーかと思っていると、あっけない謎解きで、終ってしまう」

 「作品の質はともかく、ジョナサン・リース・マイヤーズの存在感はたいしたもの。ノーメークでも十分やっていける」「ティム・ハンター監督は、これまでも『テックス』でマット・ディロンを、『リバース・エッジ』でキアヌ・リーヴスを主演につけ、注目を集めた」「作品はダメでも、こういう才能にたけた監督がいるのだ」

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■札幌でも人体の不思議展!

 「人体の不思議展」が、札幌でも開催される!!。札幌メディアパーク・スピカ(札幌市中央区北1条西8丁目)で、4月24日(土)から6月27日(日)まで。紹介されている人体プラストミック標本は最新技術によって、半永久的に常温保存できるもの。つまり全て本物の人体。全身解剖標本20体余りをはじめ、頭蓋骨の断面や内臓、血管の仕組みがわかる標本など170余点を展示する。実際に手で触ることのできる標本もある。いやぁっ、わくわくするなあ!!。死体ビジネスの是非論議は、この際置いておいて、ね。
 開場時間は午前10:00-午後5:00(最終入場時間は午後4:30) 。ただし6月19日(土)〜27日(日)は午後8:00まで開場(最終入場時間は午後7:30)。当日券は一般1,400円。主催は、STV札幌テレビ放送、人体の不思議展監修委員会、日本アナトミー研究所。詳しくはスピカのホームページで。

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■日本一の高層マンション!

 54階、高さ200メートルの老人ホーム付き超高層マンションが、大阪市に誕生する。オリックスグループは11日、「クロスタワー大阪ベイ」を大阪市港区に建設すると発表した。2006年8月完成予定。185メートルの「エルザタワー55」(埼玉県川口市)を抜き、マンションでは高さ日本一となる。
 地上54階建て、456戸で、価格帯は2000万円弱から1億円強になる見込み。共用部分の装飾はフランスのデザイナー、アニエス・べーが監修。高齢者が安心して暮らせるように老人ホームを併設する。今年夏から分譲を始める。

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■卵胞形成の常識覆る!

 ほ乳類の雌では、生まれる前にすべての卵胞がつくられ、出生後にできないと半世紀以上信じられてきたが、生物学の常識が覆された。 ハーバード大学の研究チームが11日付の米科学誌サイエンスに「マウスの卵巣では、出生後も卵子のもととなる卵胞が新しく生み出されている」と発表した。研究チームは、マウスの卵巣で、卵胞やその前段階の卵母細胞をつくる幹細胞を発見したと主張している。
 マウスの死ぬ卵胞の数が予想外に多く、一方で新たに生み出されないと勘定が合わないことを実証。さらに、薬剤で若い雌マウスの卵胞をいったん全部殺し、その後、新たな卵胞が生じたことを確認した。人間でも確認されれば、この幹細胞を増やすことで、これまで以上の高齢出産が可能になり、不妊治療も容易になる。

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■「goo BLOG」著作権条項削除

 3月9日にオープンしたばかりのブログサイト「goo BLOG」で、投稿記事の著作権問題が持ち上がっていたが、ユーザーからの反発をうけて条項は削除されることになった。数日中に削除する方針だ。
 「goo BLOG」では、無料でブログサイトを開設できるが、利用規約に「投稿の著作権はすべて運営会社のNTT-Xに帰属する」とあったため、ユーザーから「自分の日記の著作権が移転されるとは」など、疑問の声が上がっていた。gooともあろうサイトが、とんだお粗末だった。

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■私たちはガンダムになる!

 私たちはガンダムになれる!。アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のロボット工学チームは10日、強化ロボットスーツを公表した。 重い装備で長距離を移動する救急隊員や兵士らを支援するために開発。背中の装置と外骨格約77キロを背負っても、約2キロの負担しか感じない。
 背中に電源供給や信号処理を行う装置を背負い、筋肉の動きを検知する40個以上のセンサーと、動作を支援する油圧駆動装置の付いた金属製外骨格を太ももの両側などに取り付ける。研究チームは「装着者をターミネーターのようにする強化服になる」と話しているが、ターミネーターというよりガンダムのイメージだろう。

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